ニセモノ皇女の居場所はない

ニセモノ皇女の居場所はない【133話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ニセモノ皇女の居場所はない】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介と...

 




 

133話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 仲直り

宿舎内の食堂。

レキシオンが相当な額を支払って宿舎を貸し切ったおかげで、その食堂は完全に彼らの縄張りになっていた。

「私が、あの日の朝どれだけ驚いたか知ってる?」

カーディンがテーブルをドンッと叩きながら詰め寄ってきた。

「起きてみたら、君は消えてるし、ルグィーンは抜け出して部屋に押し入ってくるし、ジェレミアは足を折ってるし、レキシオンは私に何ひとつ知らせてくれないし……!」

話を聞いてみれば、カーディンの立場からすると確かに腹が立って当然かもしれない。

フィロメルは彼を慰めた。

「ごめんなさい。あの時は、カーディンに説明してから出る余裕がちょっとなくて……」

言ったところで止めてくれたかどうかは怪しいが……正直なところ、カーディンは“秘密を秘密のままにする”才能がまるで無さそうだった。

(顔に全部出るタイプなんだよね……)

レキシオンがフォークで肉を一切れ刺して口に運んでからぼそりと言う。

「うるさい。食事中くらい黙ってろ。」

「フィル、それとね。君が出て行ってから、レキシオン、前よりさらに不機嫌になること増えたんだから!」

「私が、何したっていうの。」

「ほら、前よりずっと笑うようになったじゃない。」

レキシオンはフィロメルを見て、どこか気まずそうに微笑んだ。

「誰が僕に笑えって言いました?無理に笑う必要なんてありませんよ。」

「はは……」

レキシオンの“無理やりの笑顔”が減ったのは良いことだが、相変わらず人を刺すような皮肉はそのままだ。

(前は笑顔に隠されてたけど……いまや皮肉だけ残ってるわ)

フィロメルにとっては大した違いじゃなかったが、深く物を考えないカーディンにとっては
大きな変化に見えるらしい。

(そうだ、カーディンってこういう人だった。)

あまりに素直すぎるその性格に、思わず拍子抜けしてしまう。

つい先日まで、カーディンが向けてくる親切が本物なのかどうか迷っていたのに……今なら素直に“そういう子なんだ”と納得できる気がした。

「誰それ, こいつそれって……言うだけは立派だな。」

ジェレミアはむくれた顔で、やけ酒のようにグラスを傾けた。

「ほら、子どもが酒なんて飲んじゃダメだよ。はい、牛乳。」

フィロメルは思わず、カーディンがジェレミアの首を絞めそうになるのを止めた。

気まずい沈黙がしばらく続く。

レキシオンとジェレミアは――結局、まだ仲直りしていないようだ。

互いにほとんど口をきかないままでも、いつもと変わらない雰囲気だった。

三人はフィロメルの試験を応援するためにわざわざ来てくれ、聖地には今朝到着したらしい。

その話を黙って聞いていたフィロメルは、そっと口を開いた。

「……ルグィーンも、私を応援しに来てくれたって……思っていいんですよね?」

レキシオンは肩をすくめる。

「それは、ご本人に直接聞くのが一番かと。ルグィーン様なら屋上に向かわれたようですが。」

「そうですか。ちょっと行ってきますね。」

フィロメルは椅子から立ち上がった。

「お父様も来ていらしたんですか?私はまだお会いできていなくて……」

まだ“ルグィーン”の正体を知らないナサールだけが、ぽつりとつぶやいた。

「あとで教えてくださいね。」

そう言って、フィロメルは屋上へ向かう。

屋上では、椅子の上に一匹の猫が座り、ゆったりと景色を眺めていた。

「隣、座ってもいいですか?」

「……。」

「もう、そっぽ向くのはやめてくれません?」

「にゃー。」

猫はつれなく鳴いただけで、フィロメルの方を見ようともしなかった。

「ルグィーン。」

フィロメルは、夕陽に染まる聖地を見下ろしながら言った。

「手紙にも書きましたけど……言葉にしてくれなきゃ、わたしにはわからないんですよ。」

「……。」

「人と人がわかり合うには、ちゃんと向き合って、十分に話し合うことが大事なんです。」

それでも猫は相変わらずフィロメルを見ようとしない。

そこでフィロメルは、少し声のトーンを変えた。

「本当は……ルグィーンが心から望んでいたのって、自分を理解してくれる“誰か”じゃないんですか?」

小さな体が、びくりと震えた。

――やっぱり。

半分は想像で言ったことだったが、どうやら図星だったらしい。

フィロメルは続けた。

「その……ルグィーンが書いた“暁の子どもたち”に関する書類、わたし、見たことがあるんです。」

そこには三兄弟それぞれの性格が、驚くほど細かく記されていた。

最初はただの記録だと思って流していたが、読み進めるほどに――『どうしてこんなものを?』という疑問が強くなっていった。

――ルグィーンは“エステルリオンを継ぐ子”を望んで実験していた。

それは、あくまでレキシオンの説明と、他の人の推測にすぎない。

フィロメルは一度もルグィーン本人と、その話をじっくり交わしたことはなかった。

「エステルリオンを受け継ぐ“後継”が目的なら、細かい性格なんて、本来どうでもいいはずですよね。」

だが、その書類は――三兄弟の魔法能力と同じくらい、むしろそれ以上に、“内面”の特性を細かく記していた。

そしてその中でも、ひときわ目についた単語があった。

『平凡』『正常』――そんな言葉だ。

『……もしかしてルグィーンが本当に望んでいたのは、強さなんかじゃなく “普通であること” だったんじゃない?』

ふと、そんな考えが胸に浮かんだ。

根拠なんてどこにもない。

ただ、フィロメルには妙にその推測が正しいように思えた。

そして――かつて傭兵の件でルグィーンと話をしたとき、彼が何気なく漏らした一言を思い出す。

『育児書に載っていた、正しい養育法だ。』

彼は――なぜ育児書のようなものを読んでいたのだろう?

フィロメルは別の理由で本棚を覗くふりをしながら、魔塔主(ルグィーン)の私室の書庫に入る許可を得た。

そして、膨大な魔法書の合間に、場違いな本の数々を目にする。

《人間心理の理解》

《正しく健全なコミュニケーションとは》

《人は“関係”の中で生きる》

《家族とは何か》

あまりにも明らかで、そして実用的すぎる本のタイトル。

出版年を見る限り、ルグィーンはかなり前からこういった系統の本を集めてきたようだ。

……魔塔主は、ずっと気にしていたのだ。

『――“普通の人たち”はどんなふうに生きているのか。』

彼は、しばしば “他人の感情は理解できない” と口にしていた。

けれど、それは本当は――理解したい、という意味だったのかもしれない。

『ルグィーンは初対面のあとから、ずっと私を魔塔へ連れて行きたいって言ってたっけ。』

あの時は、ただの興味本位だと軽く流した。

でも……もしかすると、そうではなくて。

「……もしかして、“私ならあなたを理解できるかもしれない”って思ったんですか?」

フィロメルは、モフモフした猫の背中にそっと問いを落とした。

理解したいと思う気持ちと同じくらい、彼自身も理解されたかったのではないだろうか。

あるいは――まず理解してほしいから、理解したかったのかもしれない。

「残念ですが、私はそういう人間じゃありません。いえ、この世では“血が混じっている”という理由だけで、あなたを理解してくれる人なんていません。」

彼は家族に対して幻想を抱いていたのだろう。

家族なら、無条件に理解してくれるはずだ――そんな幻想を。

フィロメルは、その幻想を心の奥底から理解していた。

『私も、想像の中の実の親に、そんな幻想を抱いていた。』

ユースティスとの関係がこじれた理由を、互いに血がつながっていないせいだと思っていた。

だから実の親なら、何か特別なはずだと信じた。

けれど、違った。

ルグィーンもカトリンも、実の親である前に、それぞれ事情を抱えた一人の人間。

家族であっても、結局は違う。

歩んできた経験も、置かれてきた環境も、そして価値観も――すべてが違う。

フィローメルは、その当たり前の事実を、ようやく理解したのだった。

そして今は、この人にもそれを理解してほしいと願っている。

「――ルグィーン。もし本当に理解し合いたいのなら、子どもを作ることじゃない。他の誰かと、きちんと時間を重ねるべきだったんです」

「…………」

「本音をぶつけ合って、ときには言い争いもして、それでも歩み寄ろうとする。そういう時間こそが、必要だったんです」

猫が肩をすくめる。

その仕草があまりにも頼りなく見えて、フィローメルの胸には、どうしようもない哀れみが滲んだ。

「おじさんのくせに、猫かぶってるの。」

フィロメルは頬をすぼめた。

「え、うーん。言い方が変になっちゃったけど、だからって“なんで生んだんだ”って責めたいわけじゃないんです。」

フィロメルは小さな肩に手を置いた。

小さすぎて、指を二本しか乗せられなかった。

「これからでもいいから、ルグィーンがどんな人なのか教えてください。」

時間はたっぷりある。

「無理に“いいところ”だけ見せようとしなくても大丈夫ですよ。」

彼がフィロメルに好かれたくて本心を隠すふりをして、こうして戻ってきたのかもしれないとは思わなかった。

「お互いの欠点も受け入れて、歩み寄っていく──それが、家族というものですから。」

猫は、しばらくしてからフィローメルのほうを振り返った。

「……ああ……」

そのとき、宙に文字が浮かび上がった。

――君なら、きっと俺を理解してくれると思った。でも、それだけの理由で、君に優しくしていたわけじゃない。

ルグィーンが、彼女に伝えたかった言葉なのだろう。

――君を見ていると、ただ……楽しかった。

フィローメルの瞳が、大きく見開かれた。

「……楽しかった、ですって?」

彼女は思わず問い返す。

――てっきり、彼はユーモアというものとは無縁の人間だと、そう思い込んでいたのに。

『みんなは俺を怖がるのに、お前は俺のことを軽く見て、遠慮なく接してきただろ。』

「え?わ、私がいつルグィーンにぞんざいにしたって……」

『お前は兄貴たちと違って、力もないし、小さいくせにな。』

雰囲気としては褒め言葉のはずなのに、なぜか気分が悪い。

『“本の真実”だか何だかを見つけようって、必死にやってるのも新鮮だった。』

銀色の文字は消えては、また続けて新しく現れた。

『そんなの調べたところで金になるのか?強くなれるのか?――初めてだった。そんなくだらないことのた…』

――ずいぶんと、あっけらかんと言うものだ。

「だって……ルグィーンも、エステリオンがどこから来たのか、知りたがっていたでしょう?」

『まあな。エステリオンは強大な力だ。未来すら満足に読み切れない書物なんかより、よほど価値がある』

「……ああ、つまり今まで、私はその程度の存在だと思われていたわけですね……」

一言でまとめるなら、彼にとってフィローメルは――罰せられることもないのに、妙なものに命を懸ける、奇妙な人間だった。

――この人、本当に……。

『最初は、理解できなくてさっさと連れ帰るつもりだった。でも、見ているうちに……不思議で、気になってな』

その言葉は、どこまでも不器用で、正直だった。

彼にも自分の気持ちを整理する時間が必要だったのか、次の文字は少し間を置いて現れた。

『ずっと見守っていたかった。だから、君が無事でいてほしかった。』

「ルグィーン……」

猫は頭を深く垂れた。

両耳もしょんぼりと下がっている。

『……もう俺、嫌い?』

新しい文字が浮かぶ。

『俺が勇者になるのに反対して、逃げ出したくなるほど嫌になった?』

返事はすぐに出た。

「いいえ。嫌いじゃありません。」

猫は、ぴくりと顔を上げてフィローメルを見た。

「でも……もし、もう一度でも私を利用しようとするなら……本気で嫌いになってしまうかもしれませんよ?」

『それは困る!』

「ですから――もう、極端なことをするのはやめてください」

皇帝や、エレンシアを殺すだなんて――そんな決断を、勝手に下されては困る。

「私が力になれないこともあるでしょうけど……それでも、重大なことがあるなら、ちゃんと私に相談してください。家族なんですから」

『……努力は、してみる』

フィローメルは、ふっと肩の力を抜き、両腕を広げた。

「さあ。――おいで」

猫は素早く彼女の胸元に飛び込んだ。

フィロメルは猫と、熱い抱擁を交わした。

「……あ、それから。悪かったって思ったからって、わざと猫に変わらないでくださいね。」

フィロメルは、さっきから考えていたことを小声で付け加えた。

「私が怒れないように、こうしてるんでしょう?ずるいです。」

目の前に文字が浮かぶ。

『じゃあ、本来の姿に戻ろうか?』

「だめ、今はだめです。」

そんなことをしたら、仲直りどころか、かえって気まずくなってしまう。

そうして二人は仲直りした。

 



 

 

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