影の皇妃

影の皇妃【51話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「影の皇妃」を紹介させていただきます。

今回は51をまとめました。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

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フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。

皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。

そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!

自分を陥れた大公家への復讐を誓い…

エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。

リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。

フランツェ大公:ベロニカの父親。

クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。

イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。

レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。

フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。

ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。

アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。

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51話 ネタバレ

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登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 格の違い

「どのようなご用件でしょうか?」

大公家の印章が刻まれた甲冑をつけた騎士ヒュレルバードが身分確認を要求する。

「美術商のカリフ・デ・ヘアと申します。ベロニカ公女殿下に美術品仲介をして差し上げるように訪問しました。これは身分証明書です」

ヒュレルバードはカリフが提示した身分証明書に偽証があるかどうかを綿密に調べた。

「公女殿下に丁重に仕えるようにとお言葉をいただいております。どうぞこちらへ」

「ありがとうございます」

小さな庭まである寮の全景に感嘆にしながら、中に入るとメイが待機していた。

「こちらの応接室で準備をしていただければ幸いです」

「分かりました」

カリフは最初に紹介する絵を設置する。

「準備が終わりました。公女殿下にそうお伝えください」

「少々お待ちください」

メイの階段を上るヒール音がハッキリと聞こえる。

カリフは緊張して固唾を飲んだ。

2年ほど前から見たことはあるが、このように単独面談をするのは初めてなのだから。

そのうえ、同じ学術院の学生の身分ではなく、美術商と公女の身分として会うだけに、緊張せざるを得なかった。

ベロニカ公女が階段を降りる。

制服ではなく、海のように青い色のドレスを着ていた。

「・・・」

カリフは口を大きく開けて感嘆する。

あまりお洒落をしていないにもかかわらず、淡白な身なりが男なら目を向けるしかない慈愛に満ちた美しさ。

いや、美貌という単語で彼女を表現するには物足りなかった。

(雰囲気が完全に狂っている)

ベロニカ公女の高貴な気品に息が詰まる。

自然と頭を下げ、仰ぎ見てしまうような権威。

ただ立っているだけなのに、圧倒されるような気がするほどだ。

学んだのではなく、自然に身体を流れる生まれつきの高貴さ。

(私なんかが見つめていい女性ではない)

学術院に在学しながら、少なからず貴族出身の令嬢を見る機会はあった。

その中には、4大公爵家のラインハルト公爵家の長女アヴェラも含まれている。

(ベロニカ公女殿下と比較することすら失礼だ)

アヴェラはただ運が良くて公爵家の長女として生まれ、待遇を受けて生きるだけ。

彼女からは、大貴族なら生まれつき持つべき高潔な姿や品位が少しも感じられなかった。

 



 

  • 即決

応接間の真ん中に置かれたソファに着くと、エレナは笑みを浮かべながら挨拶する。

「いらっしゃいませ」

彼女の微笑みにカリフの緊張が少し和らぐ。

「お会いできて光栄です。カリフと申します、公女殿下」

「話は聞いています。今年卒業を控えているようですね?」

「はい。そのつもりでしたが、この仕事にすっかりハマって卒業できるか分かりません」

エレナが学術院という共有できるテーマを取り出して自然に対話をリードすると、カリフの表情は一層良くなった。

「志ある場所に道があると言います。卒業証書はただの紙切れなのですから」

「他でもなく、公女殿下がそう言ってくださるので力が出ますね」

カリフがある程度余裕を取り戻したようなので、エレナは本題に移った。

「絵を見てみましょうか」

「はい」

カリフはイーゼルの布を外した。

「この絵のタイトルは『若い女性の肖像』です」

エレナはソファにもたれて座り、アンの紅茶を一口味わいながら絵に目を向ける。

「この絵は、画家ジョルジオの作品で世俗的な愛に染まった現在の時代像を反映し・・・」

「説明はそのくらいでいいですよ」

「え?」

「買いましょう」

前後の脈絡もなくエレナがそう言うと、カリフは目を瞬いた。

「今、この作品を買うという事でしょうか?」

「ええ」

作品を販売した喜びよりも動揺の方が大きかった。

しかし、驚くにはまだ早い。

「それでは次の作品を・・・」

「1点ずつ見るのはもどかしいですね。絵を全て並べてください」

「ぜ、全部ですか?」

「アン、メイ。じっと立っていないで、彼らの手伝いを」

「はい、お嬢様」

カリフは侍女と作業員たちを動員して絵を全部取り出してきた。

「では順番に作品の説明を・・・」

「いいえ、結構です。絵以外の主観や作意は鑑賞の邪魔になります。私はこのまま絵を見て鑑賞したいわ」

「あ、はい・・・」

カリフは言葉を失う。

 



 

  • 全てを

エレナはクッキーや紅茶を片手に絵画を楽しむ。

「すべて素晴らしい絵ですね」

「ありがとうございます、特に厳選した絵ですので」

エレナの反応にカリフの表情が明るくなる。

そして、次の言葉で彼の表情は驚愕へと変化した。

「全部買います」

「え?き、9点全部ですか?」

「ええ」

カリフが実感が湧かなかった。

「いい買い物をしました。これも全て、立派な絵を厳選したカリフ先輩のおかげですよ」

ベロニカ公女のお墨付きに、気分の良くなるカリフ。

美術界で初めての一歩を踏み出した取引で成功したのだから、彼が嬉しく思うのも当然だろう。

「そんな事はありません。感謝の意味で総支払代金の一部を割引させていただきますが・・・」

「いいえ、やめてください」

「え?」

「私は、芸術品を巡って値段交渉をしません。それは芸術に対する侮辱です」

(狂おしいほどに素敵な方だ)

カリフは純粋に感嘆する。

ベロニカ公女の吐き出す言葉の一つ一つが、彼女をさらに眩しくし、目が離せなくなる。

単純に綺麗な貴族の令嬢たちはたくさん見たが、全てが素敵に見えた女性は、ベロニカ公女が初めてだ。

「作品の代金の一部は今支払い、残りは借用証書を書きますので大公家に請求してください」

「はい、分かりました」

「時間をかけずにすぐに譲渡契約書を作成しましょう」

書類に署名して、カリフは契約が成功したことを実感する。

「ありがとうございます」

彼は嬉しさで口の端を隠そうと腰を下げて感謝の意を表した。

「感謝することは何もありません。価値のある作品を適当な価格で買うだけですので。これからも良い作品を紹介してください」

「もちろんです。公女殿下のお気に召す名画を持ってまいります」

 



 

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