こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は51話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
51話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 馬車の中
目を開けると、カシスがそばにいた。
けれど、なぜか納得がいかない。
いや、そもそも私はどうして意識を失っていたの?
まるで強制的に剥ぎ取られたり、消されたかのように所々記憶が空いていた。
私がなぜ、どうして今ここにいるのかも分からない。
「もう少し横になっていた方がいい」
再び頭の上で低い声が響く。
一瞬、首の後ろがゾクゾクするほど低い囁きのせいだろうか、それとも濃い陰影が難しくて詳しく確認できない顔のせいか。
まるで今、私のそばにいる人が私が知っていた人じゃないような気がするのだ。
とりあえず私は、カシスから遠く離れることにした。
私が動くと腰に巻かれた腕にそっと力が入る。
けれど、私の望み通りにしてくれるつもりなのか、彼はすぐに腕を解いて私を放してくれた。
密着していた体が離れると、固まっていた髪が少し緩む。
そういえば、さっきまで、私はカシスの足を枕に横になっていたらしい。
「どうした、ロクサナ?」
昨夜のことを思い出そうと努力する。
「なぜここにいるの?私がどうしてあなたと___」
その時、ふと小さな記憶の欠片が、水に澄んだインクのように白く空いていた頭の中に染み込んだ。
『姉さん・・・、僕も捨てるの?』
その瞬間、ズキズキと頭が痛くなる。
あまり思い出したくない記憶のようだ。
カシスは私をじっと見ていた。
馬車の中は暗かったが、闇に慣れた目は何も邪魔されない。
和合会の最終日に宴会場の外で会って以来、初めて見るカシスだ。
もちろん、その後にアグリチェで彼に会ったのだから、今同じ空間にいるのだけれど・・・。
やっぱり何も思い出せない。
向かい合うカシスの表情から感情を読みたいが、彼の中に秘められた意中を把握することができなかった。
カシスはゆっくりと口を開く。
「今は何も考えずに、もう少し横になって休んでくれ」
その後の彼の話に、私は耳を疑ってしまう。
「三日ぶりに意識を取り戻したのだから、気力を完全に回復するには時間が必要だろう」
私が三日間も意識を失っていたなんて。
カーテンを開けて、外を眺める。
しばらく移動が止まった状態で、馬車は動いていなかった。
今、室内には私一人だけ。
眩しい視界にふと灰白の影が差し込む。
青空から飛んできた鷹が素早く降下し、保護帯をつけたカシスの腕に落ちた。
三年という時間は、私の想像以上に長かったようだ。
少年が青年になり、それなりに見慣れた人が見知らぬ人になるのに十分な時間。
記憶より遥かに伸びた背も、広い肩も、さっき私の腰を抱いていた固い腕も、すべて私が知らなかったものだ。
夜明けの霜のような冷気を含んだ顔も見慣れないのは同様。
以前は、線が細くて綺麗な美少年の印象だったのだけれど。
今では空言でもカシスの前で「綺麗」とは言えなさそうだった。
和合会の時にも彼を見て感じたのだが、大人になったカシスは、彼の父親であるリッセル・ペデリアンに似ている。
その時、カシスのそばに一人の男が近寄った。
片目に眼帯をつけた茶髪の男性。
三年前、アグリチェの境界で見た男だ。
名前を思い出そうとしたが、簡単に思い出せなかった。
カシスの元に飛んできた鷹は、おそらく伝書鳩だろう。
彼は鷹の足に縛らていた手紙を確認し、男に何かを言っている。
私はその姿を見て、カーテンを閉めていた手を下ろした。
馬車のドアを開けると、冷たい空気が待っていたかのように中に押し入る。
室内が暖かくて忘れていたが、今は一年の中で一番寒い時期。
それでも私は屈することなく外へ出た。
周りには思った以上に人がいる。
武器の手入れをしていたり、馬の世話をしている人もいれば、馬車を整備している人も目についた。
侍従がいてもおかしくないのに、不思議なことに彼はみんな騎士に見える。
そのように各自の仕事をしていた彼らが、一瞬にして立ち止まって私を見た。
周囲はあっという間に静かに。
私が馬車を降りた瞬間から時間が止まったかのようだ。
他の人に注意を払わず、まっすぐ目的地の方へ歩く。
いつの間にか、カシスの視線も私に届いていた。
彼も私の方へ向かってくる。
「横になっていると言ったじゃないか」
寒い冬の空気に、その色彩に似た低い声が被せられた。
けれども、思ったより私の向けられた目つきや声は低くない。
彼は何かを言おうとしたが、近づいてきたカシスを見上げて私が口を開いたのが先だった。
「今からどこへ行くの?ここはどこ?」
別に私に隠す気はないのか、カシスが答える。
「今止まっている場所の地名はフレデリカだ。このまま半日ほど移動すれば、高原を完全に抜けるだろう」
地名を聞くと、今ここが何処なのかハッキリと分かる。
一言で言って、今この一行が向かう場所は「ペデリアン」という言葉だった。
カシスがロクサナを連れてきた理由は?
捕虜として?
それとも保護?
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