こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は58話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
58話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 否めない魅惑
「あ」
ロクサナの口から、微かに呻き声が聞こえた。
倒れていた間の記憶がチラッとよみがえったばかりだ。
喉が渇くような感覚に陥る。
体の毒気をコントロールできず、熱が上がったり下がったりする間、口の中は乾燥し、唇はヒリヒリするほど乾く。
けれど体が重くて、意識はあるが指一本動かせない状態。
そんな彼女の唇の上に、暖かい何かが、押しつぶされるように舞い降りた。
まるで彼女の気持ちに気づいたかのように、開いた唇の間から水が漏れてくる。
舌を濡らす水が、まるで生命水のようにひどく甘い。
もう少し欲しいと哀願するように縋る。
すると誰かが宥めるように自分の頭と頬を撫でた。
その優しい手に、全身が溶け込みそうになる。
再び暖気が唇に重なった。
そばにいる人は、彼女が十分満足するほど水を流し込んでくれた。
「・・・」
それから再び眠りについたのか。
過ぎ去ったことを思い出す間中、ロクサナは些か機嫌が良くなかった。
少しは強迫的だという事実を自分でも分かっている。
しかし、意図していない自分の弱い姿を誰かに見せることは、依然として有り難くなかったのだ。
一人で顔をしかめている時、昨日聞いたカシスの言葉がふと脳裏をかすめる。
『君の残った時間を私にくれ』
『いずれにせよ、今後の目的地がどこでも構わないのなら、私のそばにいろ。君が死ぬまで』
そうか・・・。
自分にとって無価値でしかない時間であるのなら、そんな風に使ってもいいのか。
そう考えている間に、さっき飛ばした毒蝶が帰ってきた。
遠くから見ても、その羽ばたきは力強く、活気に満ちている。
久しぶりに捕食した毒蝶は浮かれているようだ。
本来なら制御できない危険があるため、このようなやり方で毒蝶を取り出すことはできなかっただろう。
しかし、今日はここへ来て一番体調がいい。
その上、ちょうど魔物の生息地の近くを通る道でもあるので、ロクサナは久しぶりに毒蝶を取り出して餌を与えることができた。
ところが、ふと動いていた馬車が止まる。
しばらくしてロクサナの元を訪れたのはカシスだった。
「体を酷使する趣味があったのか」
向かい合う表情を見て、ロクサナは彼が毒蝶の存在に気づいたことに気づく。
「休めと言っても聞かないようだ」
カシスは中に入って扉を閉めた。
彼は昨日のことがあっても平然とロクサナに接してくる。
もちろん、ロクサナもカシスに対する態度にこれといった変化があるわけではないのだが・・・。
アグリチェを去った後、病気になった自分を彼が面倒を見たことを思い出した後だからだろうか。
こうして彼と顔を合わせると、心の中で何かがうごめく。
それが何か分からないが、まるで棘を飲み込んだような気分だった。
「顔色がまた青ざめてきたじゃないか」
カシスは眉をひそめる。
こうなると知っていたら、「一人でいたい」という彼女の言葉に従わなければよかったと考えて。
カシスの口からため息が漏れる。
彼はロクサナを回復させるために腕を伸ばす。
しかし、突然前に突き出した彼女の手が、カシスの襟を握った。
避けることもできたが、彼はロクサナが望むように上半身を前に傾ける。
しかし、後に続く彼女の行動はカシスも予想できなかった。
接している唇は、外の冷たい空気に触れてきたカシスより低い温度を持っている。
ロクサナはカシスの唇を噛んで開かせて、彼にキスをした。
短くて浅いが、確かに唇だけが重なったのではなく、舌を絡める口づけで。
「知ってはいたけれど、やっぱりあなたは私の毒にまったく影響を受けていないようね」
しばらくして唇を外したロクサナが、カシスの肩を押す。
だが彼女はカシスとの距離を広げるのではなく、むしろ次の瞬間彼に寄り添った。
「じゃあ、私に望むことはこういうことなの?」
ほとんど額が接するほどロクサナの頭が前に下がる。
カシスの視界に金色のカーテンが揺れた。
「それなら私も悪くないわ」
小さく囁く声が砂糖を塗ったように甘い。
ロクサナはカシスに微笑みながら、手で彼の胸を撫で下ろす。
その手振りには明らかな誘惑の意図が含まれていた。
「あなたくらいなら、なかなか好い相手でもあるし」
カーテンが完全に閉まらなかったせいで、そこから太陽の光が漏れている。
光り輝いたロクサナの髪と、下に半分垂れ下がったまつ毛がキラリと光っていた。
彼を見下ろす赤い瞳には否めない魅惑がこもっている。
オルカが観察していた魔物が食べられたのはこのタイミングでしょう。
ロクサナが目覚めた後だったのですね。
そして、すぐに気づいたカシス。
ロクサナのことなら何でも把握してそうです。
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