こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は１５８話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた！
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ：本作の主人公。
シルビア・ペデリアン：小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン：シルビアの兄。
ラント・アグリチェ：ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ：ロクサナの４つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ：ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ：ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ：ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ：ロクサナの母親
マリア・アグリチェ：ラントの３番目の妻。デオンの母親。
エミリー：ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ：ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ：ラントの長男。
リュザーク・ガストロ：ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム：ベルティウム家の後継者
１５８話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 穏やかな温もり
「・・・ス！ニックス！」
ニックスが真っ黒な沼に落ち、今にも壊れそうになっているとき。
突然冷えるほど澄んだ空気が肌に乗って体の中の一番深いところまで流れ込んできた。
心臓に入口を巻いていたしつこく黒い霧が逃げていくように尻尾を巻いて下がり始める。
まもなく信じられないほど穏やかな温もりが、その空席を撫でていく。
虚空をあてもなく彷徨っていたニックスの目から、ついに揺れが収まった。
どうしようもなく震えていた体も徐々に安定を取り戻し始める。
「ニックス落ち着いて、もう大丈夫だから」
落ち着いた声が次々と鼓膜に食い込んでいく。
ニックスはゆっくりと瞼を持ち上げた。
ブルブル震えるまつ毛の下に水気のある青い瞳が姿を現す。
瞳の中に、先日地下牢で見たシルビアの顔が映る。
カシス・ペデリアンに似ているが、その中に入っている感情と温度は全く違う金色の瞳がニックスを盛り込んでいた。
彼女の手が大きく縮こまっていたニックスの肩と腕に触れる。
人の手が体に触れたのに不快ではなかったのは、彼がニックスとして存在して以来初めてのこと。
冷たく冷えた体に染み込む温もりが気まずくないのもそうだ。
その後、徐々に心の中の深い恐怖が消えていった。
「ゆっくり呼吸して。今ここには私しかいないわ」
シルビアは依然として不規則に息を切らしているニックスに向かって話しかける。
当然、今彼女のそばには他のペデリアンの腹心が立ち並んでいたが、それでも馬車の隅に置かれたニックスの視野には届いていない。
シルビアの言葉が役に立ったのか、荒れていたニックスの息が次第に落ち着いていった。
シルビアは焦点を取り戻したニックスの目を見て安堵する。
「もう大丈夫？」
カシスさえ席を外した今、ニックスに問題ができれば後続措置が難しくなるだろう。
その上、このように青ざめた顔で今にも息を切らす姿を見ると、シルビアは可哀想な気持ちになったりもした。
「ニックス、一体何を見たの？」
シルビアは顔を引き締めて尋ねる。
彼女が聞いたのはベルティウムのことだけだったが、どうやらカシスと一緒に消えた男も関係があるようだった。
状況がどうなっているのか、シルビアも知っておく必要があったのだ。
「あの男・・・」
ついにニックスの喉からひび割れた声が漏れた。
シルビアの質問に、彼は少し前に出会った男を思い出す。
確かにニックスとしては初めて見る人物だった。
しかし、魂に深く刻み込まれたかのように、彼を見た瞬間、一目で正体を悟ることができたのだ。
ニックスの唇が一度細かく震える。
「わ、私を殺した男だ」
キン！キン！
静かな夜の背景の中に鋭い騒音が散りばめられる。
その直後、闇を切り抜けた刃物に髪の毛が一部切られた。
刺さるような殺意と敵対感が、月明かりの中を思いっきり疾走する。
カシスとデオンは本当にこのままお互いを殺そうとしているかのように、少しも容赦なく猛烈な攻撃を浴びせた。
２人がこのように対決するのは３年前以来初めてのこと。
その時カシスはラント・アグリチェに捕らえられ、手足に拘束具をつけていた。
しかし、それを除いても当時のカシスはデオンの相手になるには物足りなさがあった。
しかし今、二人はほぼ同時にバランスを取って攻防を繰り広げている。
デオンは首を捻ってカシスの攻撃を回避した。
確かに３年という時間が短くはなかったのか、彼はカシスを相手にする上でかつてない厳しさを感じていた。
それに今デオンが感じているのは、カシスが全力を尽くしているわけではないということ。
まるで３年前にデオンがアグリチェの邸宅でカシスと接戦を繰り広げたかのように。
悟りの瞬間、デオンの目がひんやりと輝く。
すぐに彼の手に持った剣がカシスの心臓を貫くように深く食い込んだ。
しかし、カシスはそれを打ち返した後、なぜかデオンの武器を持っていない素手の方に伸ばす。
「・・・！」
その瞬間、心臓に流れ込んだ巨大な無形の力が荒々しくデオンの心をかき混ぜる。
思わず抑えられた呻き声が漏れた。
デオンは本能的に地面を蹴ってカシスと距離を広げる。
その後、恐ろしい激痛を感じた胸に手を当てた。
しかし、そこから滲み出るものは何もない。
確かに攻撃された感覚がハッキリと残っているのに、血一滴出さないのが不思議だった。
「・・・今、一体何をした？」
固く閉ざされていたデオンの唇から凍った声が吐き出される。
まるで割れた氷の棘が一気に心臓に降り注ぐ感じだった。
「まったく話が分からないね。デオン・アグリチェ、質問は君の役目ではないと言ったはずだが？」
しかし、カシスはデオンの疑問に答える代わりに、ゆっくりとデオンを冷笑する。
「そうだね・・・、ロクサナに会おうとする目的が何なのか聞いたはずだが？」
「それに答えたとしたら？」
「答え次第で、このまま二度とあなたが彼女の前に現れないように排除してしまうかもしれない」
シルビアの力で落ち着きを取り戻したニックス。
ニックスの心に変化はあるのでしょうか？
一方で、カシスとデオンの戦い。
３年前と違い、今のカシスはデオンと対等以上の実力を持っていますね。
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