こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は22話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
22話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 復讐のティーパーティー
数日後、イベットはルビ一宮に向かう。
華やかなドレスを着たアリスがイベットを迎えた。
「招待に応じてくださってありがとうございます、イベットお姉様。アリスの初めてのティーパーティーにいらしたことを歓迎します」
「・・・」
アリスを見たイベットの顔が一気に険悪になった。
(見ない間にもっと綺麗になったんじゃないの!?)
最後に見たのがわずか3ヵ月前。
ところが、その間にアリスは目鼻立ちがさらに明確になり、背もぐんと伸びた。
(それに挨拶の仕方ももっと優雅になって)
癇癪を起こしそうになる。
しかし、ここですぐに意地悪をするほど、イベットはお粗末ではない。
イベットは片方の口角を上げて言った。
「妹が初めて開くティーパーティーだから、当然来ないと。それが姉妹の情ではないか」
もちろん本気ではなかった。
イベットがここに来たのは、アリスが二度とうごめくことができないように踏みにじるためだ。
そして、イベットはこの前のことでアリスを苦しめる最も効果的な方法を知っている。
アリスの一人だけの侍女に触れること。
イベットの視線が向けられたところは、アリスのそばにいるシアナだった。
イベットはシアナに向かって言った。
「早くお茶を注いでみなさい」
皇居で開かれるティーパーティーは主人が宴会を準備し、侍女が主人の代わりにお茶を注ぐのが一般的。
そのために各宮には高度の礼法を身につけたお茶の侍女がいるほどだった。
当然アリスなんかについている侍女に、それも下級侍女にそんな能力があるはずがない。
(いい加減にお茶を注ぐだろう)
イベットが狙うのがまさにそれだ。
イベットは獲物を見つけた猛獣のように不気味な目でシアナを見る。
少しでもずさんな動作を見せた瞬間、シアナをかみちぎるつもりだった。
「・・・」
しかし、しばらくして、イベットの顔は驚愕に満ちていた。
シアナのお茶を淹れる姿が非の打ち所がないほど完璧だったからだ。
それは一介の下女のレベルではない。
イベットは唇をかみしめた。
(あり得ない。どうしてあんなにお茶を注ぐのが上手なの?)
このままではお茶汲みを口実に本を取るのは間違っている。
しかし、侍女に言いがかりをつける方法はそのような定石的な方法だけではなかった。
イベットはティーカップにお茶を注ぐシアナに眉をひそめる。
「あなた、どうして私をそんなに見つめるの?」
「え?」
「私を睨んでいるじゃないか」
シアナは驚いて目を見開く。
シアナが口を開く前に、イベットが言い放つように話を続けた。
「そういえば、以前私に罰を受けた侍女ね。まさかあの時のことを気にしたりするの?」
「まさか。決してそんな不遜な考えをしたことがありません」
シアナは必死の顔で首を横に振る。
しかし、シアナを追い込もうと決心したイベットは、自分のそばにいた侍女に言った。
「何をしているんだ。あの侍女を叱るムチを持ってきてちょうだい」
「準備します」
侍女は素早く答えて消える。
アリスは驚いた顔で立ち上がった。
「お姉様、今何してるんですか?」
イベットは眉をひそめて冷たく言った。
「ずっと見ていたのに知らないの?あなたがまともに教育させられなくて、念願の侍女を私が教育してあげるつもりよ」
「やめてください!今回も私の侍女に手を出したら許しません!」
アリスの言葉にイベットの顔が歪む。
敢えて捨てられた王女などが自分に許しなどを論じるとは。容認できないことだった。
「アリス、あなた、まさかお婆様を信じて、こんな行動をするの?」
「・・・」
目を大きく見開いたアリスに向かって、イベットが口元を上げる。
「何を驚いたような顔をしているの?私が知らないと思ったの?こんな乞食のような宮に閉じこもっているあなたは知らないが、私は皇居で起こることはどんなに些細なことでも全部知っているのよ。もう一つ教えてあげようか?」
イベットはにこやかな目つきで話した。
「お父様の実の母親ではあるが、お婆様は何の力もない。なぜなら、お父様はお婆様に少しの愛情もないのだから!」
皇居で知らない人のいない話。
皇太后は愛ではなく野望で息子を育てた。
彼女の目標は息子の幸せではない、皇座に過ぎなかった。
そのため、皇帝は皇太后に何の情もなかった。
幾重にも憎しみがあるだけ。
皇帝に即位した直後、皇帝は皇太后に言った。
これ以上私を振り回すことを考えずに静かに暮らせと。
成人した息子に捨てられた年老いた母。
皇太后は抜け殻の権力を持つ腐った輩だった。
イベットは青白く固まったアリスの顔を眺めながら、意気揚々と笑みを浮かべる。
(やっばりあの女の子を踏みにじるのが世界で一番面白い)
しかし、まだ終わっていない。
イベットはアリスが信じるところを徹底的に壊すために言葉を続けた。
「分かった?お婆様はもう生きる日も残りわずかだよ。そんな方をお世辞の相手に選ぶなんて、あなたもバカだわ・・・」
「子供の口癖が悪いな」
怒りに満ちた声にイベットは首をかしげる。
自分の前に見える顔にイベットは「えっ」と息を吐くしかなかった。
そこには白い頭の老婦人が立っていた。
しわだらけの顔、やせ細った体。
衰弱した老人の姿だったが、羽織ったドレスと宝石は最高級。
何よりも漂う威圧感がものすごかった。
イベットは、初めて見る女性の正体を簡単に類推する。
ゴルドリア皇太后。
イベットは青ざめた顔で首を横に振った。
(あ、あり得ない!お婆様は絶対に皇太后宮を離れない方じゃないか!そんな方がどうしてこんなところにいるんだ!)
ティーパーティーが開かれる数日前。
アリスはイベットに招待状を送った後、皇太后宮を訪れた。
皇太后はいつものように明るく笑って幼い孫娘を迎える。
ところが、アリスの顔がおかしかった。
いつも明るかった幼い少女の顔が悪夢でも見たように暗かったのだ。
好奇心を抑えきれなかった皇太后が尋ねる。
「何があったんだい?」
「それが・・・」
アリスはもじもじしながら悩みを打ち明けるように話した。
「実は私が数日後に初めてティーパーティーを開くんです。お姉様を招待したのにもしミスをしたらどうしようと心が重いです。ご存知のように、私の宮殿には私を教えてくれるような大人がいませんから」
まだ幼い少女がティーパーティーを開く時は、母親がそばで見守りながら助言をしてくれるものだ。
しかし、アリスには母親も、母親の代わりになるような人もいなかった。
アリスは眉をひそめて苦笑いする。
「お婆様がそばにいてくれたら、安心ですが。こんな時はお婆様と離れて暮らすのが残念です」
普段はきれいな花のように、明るい子供だった。
その一方で、一度も皇太后を困らせる言葉を吐き出さない大人びた子供だった。
そんな子があんな顔であんなことを言うと、いくら氷のような皇太后でも心が動揺せずにはいられなかった。
「私が助けてやる」
「本当ですか?」
皇太后の言葉にアリスが目を輝かせる。
そのようにイベットが来ることにした日、皇太后は朝早くルビ一宮を訪ねてきた。
皇太后はシアナとアリスが飾ったテーブルセッティングを几帳面に見る。
「皇居のティーパーティーというにはささやかだが、礼法に反したものはない。これくらいでいい」
皇太后の言葉にアリスは、「ああ、とよかった」とため息をつく。
皇太后は、そんなアリスが可愛いようにニヤリと笑った。
その後、皇太后はティーパーティーが開かれる応接室にある小さな部屋に向かう。
幼い娘がティーパーティーを開く時、子供たち同士で気楽に話を交わすように席を避けてあげようとする大人の配慮だった。
本来はお客さんに挨拶をして部屋に入らなければならなかったが、それは省略することに。
見知らぬ人と顔を合わせたくなかったからだ。
「何も言わずにお客さんの話を盗み聞きすることになるわけだが、大丈夫だろう。せいぜい幼い子供たちのおしゃべりの席だから」
皇后さまは厳かな声でアリスに言った。
「あなたがひょっとしてお客さんにミスでもしないか聞いているからよくしなさい」
「はい!」
アリスは両手を合わせて力強く答える。
しばらくして客が到着し、アリスが応接間に出た。
「いらっしゃいませ、イベットお姉様」
ドアの外から間こえるアリスの声に皇太后の口元が上がる。
自分の前では、ちょうど愛らしく中途半端で、ちょうど見やすく優雅だった孫娘が、他の人の前ではどうだろうかと期待された。
しかし今、皇太后の顔は怒りに満ちていた。
イベットという、名前も知らない孫娘が言い放った言葉に。
皇帝との間に愛情がないとか、余命いくばくもないだって、そんなことを騒ぐなんて・・・。
「この皇太后は本当に馬鹿げていたようだね。恥を知れ!」
大きな声にイベットは気絶しそうな顔でしりもちをつく。
(こ、怖い)
イベットが考えたように、皇太后は死ぬことだけが残った後の部屋の年寄りではなかった。
彼女は皇后だった。
死滅する皇居で最後まで生き延び、自分の息子を皇座に乗せた女性。
たとえ長い間、皇居の片隅に去ったために持っていた権力が色あせたとしても、恐ろしい気運は依然として残っている。
少なくとも、行儀の悪い孫娘一人に手を貸す気力は残っていた。
周りを見回していた皇太后の視線が届いたところは、ちょうと応接室に入った侍女だ。
先ほどイベットの命令を受けて出て行った侍女の手には革で作ったムチが持っていた。
「出しなさい」
勢いに押された侍女はまともな言葉も言えないまま皇太后に鞭を奪われる。
ムチを手にした皇后がイベットに向かって叫んだ。
「今すぐ私の前に来てスカートを上げなさい」
その意味を悟ったイベットの顔が恐怖に震えた。
(い、今あれで私を殴ろうとしてるの?)
一介の側室の娘だったが、イベットは王女だ。
実母が「金だよ、玉だよ」と可愛がったおかげで、生まれて一度も殴られたことがなかった。
そんなイベットにはこの状況が地獄のように感じられた。
(やだ。殴られたくない!)
ぶるぶる震えていたイベットは、自分の身を守る方法を奇跡のように思い出す。
イベットはかろうじて勇気を出して言った。
「わ、私は皇帝陛下の血筋です。そのような私に手をつけるためには、皇帝陛下の許可を受けなければなりません」
この間、シアナがアリスを守るために言い放った言葉だ。
この皇居で皇帝は絶対的。
それは皇太后であっても、いや皇帝と仲が良くない皇太后だから、なおさら無視できないだろう。
しかし、イベットの予想は間違っていた。
皇太后がびくびくするところか、さらに怒りに満ちた顔をしたためだ。
「今、私の息子をけしかけて私を脅しているのか?」
「・・・」
「一度皇帝に言ってみなさい。彼がどんな反応を見せるか!」
いくら人より劣る間柄になって久しいとしても、皇太后は皇帝の母親だった。
彼女は誰よりも皇帝のことをよく知っている。
「あの冷血な奴がお前の関心もない娘の話を聞いてくれると思うか」
皇太后の目からイベットは冷酷な真実に気づいた。
この状況から抜け出す方法がないということも。
イベットはもう文句も言えず、皇太后の前に立ってスカートを上げる。
ぶるぶる震える細い足に向かってむちが激しく飛んでいった。
びしゃん!
その瞬間、イベットは思わずつぶやいた。
「・・・どうして私が」
皇太后は耳ざとい。
彼女は皇女が口にしてはならない低俗な言葉を吐いたイベットを呆れた顔で眺め、ムチを持った手にもう少し力を入れた。
一人だけの息子を皇帝にするためにムチを持った時よりも、もっと強く。
びしゃん!
2回目のむちを打たれた時、イベットは結局泣き出してしまった。
「フアアン!」
しかし、皇太后はそのような泣き声一つで怒りを晴らすほと慈悲深くない。
皇太后はさらに数回ムチを振りかざした。
ぴしゃん!
悲しそうに涙を流しながらも、イベットは希望を捨てずにいた。
(ああ、この事実をお母さんが知っているなら、私のために怒ってくれるはず!)
しかし、イベットの望みはどれほど荒唐無稽なものだったのか。
イベットの実母がルビ一宮に駆けつけてやったことは、額に血が出るほど床に頭を下げたことだ。
「足りない子を教えてくださるなんて、ありがたい限りです、皇太后さま!」
そして、血のついた足をしたまま、ぽんやりと立っているイベットの頭を乱暴に押さえつける。
彼女が急き立てるように言った。
「何をしているんだ、イベット。あなたも早く感謝の挨拶をしないと」
「・・・」
その時になってようやく、イベットははっきりと悟った。
皇太后と自分の母親の格差を。
いくら皇帝とふりをしたとしても、十数年を自分の宮殿に閉じこもったとしても、皇太后は皇太后だった。
一介の側室1人と皇女1人ぐらいは、死んだように消すことができる。
イベットは絶望した顔で床に身を沈めた。
「あ・・・ありがとうございます、皇太后様」
その瞬間、イベットは見た。
皇太后のそばで自分を見下ろしているアリスの顔を。
大きな紫色の瞳に幼いのは、望むことを成し遂げた勝利者の目つきだった。
イベットは確かに気づいた。
(運が悪くて起きたことではなかったんだ。すべてがあの女が計画したことだった)
正確に言えば、この全ては一歩後ろにいるアリスの侍女、シアナが計画したこと。
しかし、イベットが一生それに気づくことはないだろう。
アリスの復讐が成功しました!
この知らせを受けた皇居の反応が気になりますね。
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