こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は23話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
23話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 失敗
ルビ一宮での事件は皇居に広まった。
皇居の人々はショックを受ける。
彼女たちを驚かせたのは、側室と皇女が惨めに頭を下げたからではない。
「皇太后様が宮を出たというのですか?」
「そうですね。十数年間、皇居のことには一切関わらなかった方ですが、信じられませんね」
その上、皇太后が宮を出たのは、他の誰でもない皇女アリスのため。
たとえ皇帝と仲も良くなく、皇室の流れを変えるほどの力も残っていなかったが、皇太后は皇室の大御所だ。
そのような人の関心を受けるということは、些細なことであってもいいほど小さなことではなかった。
「・・・前のようにアリス皇女に接しては困りますね」
それが皇室の人々の結論だった。
「それは何?」
アリスは目を見開いてシアナを見る。
シアナが引っ張ってきた台車には、あらゆる物が山のように積まれていた。
「物品補給所から送ってもらった物です」
最高級の紙やペン、色とりどりの布、きらめく茶器、華やかな宝石がついたアクセサリーまで。
アリスが今まで見たことのない贅沢な品物だった。
「昔は紙一枚だけくれと言っても、頑なだったのに、なんでこんなものを急に送ってくれるの?」
シアナはにっこり笑う。
「皇女殿下をきちんと守らず、皇太后様に怒られるのではないかと顔色を伺うということです」
「わあ、おばあ様が怖いみたいだね」
変わったのはそれだけではない。
アリスはパンをもぐもぐさせながら言った。
「ルビー宮に侍女を送ってくれるって?」
「はい。ルビ一宮ほどの所に侍女一人は少なすぎると増員をしてくれるそうです。お姫様がご希望の人数を教えてほしいそうですよ」
アリスは苦虫をかんだ顔をした。
「私は他の侍女はいらない。私はあなたさえあればいい!」という熱烈な目つきだ。
シアナは眉をひそめる。
「それでも侍女はもう一人か二人補充した方がいいと思います」
「なんで?一人で宮殿を管理するのが大変なの?」
宮殿を管理することだけに集中すれば、何とかなるはず。
しかし、シアナがするのはそれだけではなかった。
アリスの世話までしなければならなかった。
それにアリスの教育まで。
「正直に言うと、体が二つ、いや十個でも足りないくらいです」
シアナの言葉にアリスは口をぎゅっと閉じる。
アリスはシアナと二人きりのほうがいい。
しかし、シアナを苦しめたくはない。
アリスが柔らかい声で言った。
「分かった。じゃあ、あなたが必要なだけ侍女をもっと充員して」
「分かりました」
アリスが丸い目を転がしながら言った。
「新しい侍女が入ってきても、私はあなたの面倒を見なければならないわよ」
「分かりました」
「他の侍女とあまり親しくもしないで」
「・・・お姫様、ロマンス小説に出てくる男性主人公みたいです」
「何それ?」
「そういうのがあるのです」
アリスはアヒルのように口を出して言った。
「とにかく約束して」
アリスが小指を突き出す。
2人がルビ一宮で仲良くしようという協定を結んだ後、アリスはこのようなやり方で指をかけて約束をしたりした。
明るい日差しが照りつける午後、シアナはアリスを飾っていた。
シアナの手に身を任せたアリスは、小さくぶつぶつ言っている。
帝国最高の詩人、レブラームスの詩だ。
「私の愛する人よ。君は僕の春の花。あなたは私の・・・うえっ」
アリスは我慢できず、いらいらした顔で話した。
「本当にやってられない。ただ目で読めばいいのに、ただでさえ恥ずかしい言葉をなんで歌うように読めって言うんだよ」
シアナはアリスの髪を編んで鼻先をくしゃくしゃにした。
「皇太后様がそういうのがお好きですから」
アリスは最近詩を覚えている。
詩の朗読が好きな皇太后の前で朗読をするためだ。
皇太后に可愛がられるための数多くの方法の一つだった。
アリスはため息をつく。
「とにかくお年寄りの好みは理解できない」
その言葉にシアナはくすくす笑う。
間もなくアリスの装いが終わった。
今日はリボンがいくつもついた青いドレスを着て、髪の毛をツインテールにした。
シアナはアリスを見つめながら両手を合わせる。
「今日もきれいです、お姫様」
「知ってる」
「それでは行きましょうか?」
ルビ一宮を出た二人は目を大きく開けた。
宮殿の前に皇女イベットが立っていたからだ。
久しぶりに会うイベットの顔は見違えるほど醜くなっていた。
目の下は黒ずんでいて、頬の肉も痩せている。
(皇太后に大きく体罰を受けたうえに、宮殿中に皇太后にしっかりと目をつけられたという話が出回ったのだから、それも当然だ)
宮殿のみんながイベットをあざ笑い、避けていた。
以前のアリスにそうだったように。
そのため、シアナはイベットの前に立ちはだかる。
もしやイベットがアリスにひどいことをするのではないかと心配したためだった。
イベットはシアナをにらみつけてうなり声を上げた。
気持ちとしては、今すぐシアナをひどく懲らしめたかったが、そうすることはできなかった。
アリスがとんなにこの侍女をこよなく思っているか知っていたから。
(そんなことをしたら、アリスが皇太后のところへ走っていって、告げ口するだろう)
イベットは今や皇太后がどれほと恐ろしい老人なのか知っている。
これ以上そのように絡むのは遠慮だった。
そのため、イベットは怒りを飲み込み、歯を食いしばった。
「あなたの主人に言いたいことがあるから、どいて」
シアナは彼女の手に危険な物がないことを確認し、一歩後退する。
「着飾ったのを見ると、またおばあ様のところへ行くのね?」
アリスはイベットを見上げながらにっこりと笑った。
「はい、おばあ様が毎日のように私を訪ねるので」
その言葉にイベットの唇がびくびくした。
「そうだよ。おばあ様も味方になってくれて、あなたを塵ほとも扱わなかった皇居の人々の待遇が変わったから、最近は生きがいがあるでしょうね。ところで、あなた知ってる?」
イベットは目を見開いて話し続けた。
「おばあ様があなたのお母さんの死に関与したという事実を」
予期せぬ言葉にアリスの顔が青ざめる。
「・・・それはどういうこと? 」
アリスの母ローズマリーは、アリスを産んだ日に死んだ。
予定より早く生まれたアリスのためだ。
それでアリスはいつも自分のせいで母親が死んだとし、自責しなければならなかった。
固まったアリスを眺めながら、イベットが口角を上げる。
「もちろん、あなたのお母さんが死んだのはあなたのせいよ。でも、運も悪かったわ。よりによってその時、皇居の医者たちが皆席を外していたから」
その話も知っている。
しかし、その後の言葉はアリスの全身を冷たくするのに十分だった。
「しかし、その日、たった一人だけ助けてくれる医者がいた。まさに皇太后宮にいるおばあ様の主治医よ。でも、おばあ様は医者を行かせなかった。卑しい踊り子などが死んでも、どうでもいいじゃないってさ!」
イベットはアリスをにらみつけて言った。
「分かった?おばあ様が医者を行かせなかったから、あなたのお母さんが死んだのよ!」
アリスが震える声で言った。
「嘘つくな」
「嘘じゃない。お母様から聞いた確かな事実よ。もし信じられなかったら、今すぐあなたのことが大好きなおばあ様のところに行って聞いてみなさい」
もちろん、アリスはそうはいかないだろう。
自分の命綱を握っている年寄りにしっぽをご振っておべっかを使わなければならないから。
「自分の母を殺した者にへらへら笑って機嫌を取るなんて。嫌な女だよ」
イベットの軽蔑した声がアリスの心臓に食い込んだ。
イベットが消えた後もアリスの表情は良くならない。
真っ青になったアリスを見つめながら、シアナは言った。
「お姫様、このままルビー宮に帰った方がいいです」
アリスは首を横に振る。
「だめだよ。おばあ様が私を待っているじゃないか。ここまで来て引き返したことを知ったらきっと怒るだろう」
「ですが・・・」
「大丈夫。私はイベットの言うことなんて気にしない。行こう。」
シアナは不安だったが、「分かりました」とうなずいた。
そうして二人は皇太后宮に到着する。
「いらっしゃい、アリス」
アリスに夢中になった皇太后の顔には穏やかな笑みが浮かんでいた。
少しの敵意も、疑いもない顔だ。
しかし、アリスは知っていた。
(絶対に安心してはいけない)
シアナはアリスに何度も話してくれた。
『皇太后様がアリス様を大切にするようになりましたが、ご機嫌を損ねないように気をつけてくださいね。まだまだ老人の気まぐれな愛情に過ぎませんから』
そのため、アリスは今日も笑わなければならなかった。
人形のようにきれいな姿だけを見せなければならなかった。
でも・・・。
「おばあ様、もしかして私の母を覚えていますか?」
思わずその言葉が飛び出してしまった。
隣に立っていたシアナの目が大きくなっているのが見えた。
アリスは「しまった」と思ったが、すでに水はこぼれた後。
皇太后が眉をひそめる。
急になぜそんなことを聞くのかという顔だ。
しばらくして、皇太后が沈んだ声で答えた。
「ここで療養をした後、皇居に一切関心を持っていなかったのでよく分からない」
「・・・」
「でも、それは知っている。お前の母は卑しい踊り子だったんだって?皇帝がそのような女性にはまったのは初めてなので、皇居があまりにもうるさかったことを覚えているわ」
アリスの心臓がドキっとした。
皇太后はゆがんだアリスの顔を見て、「ああ、ああ」とつぶやきながら眉をひそめる。
彼女は孫娘のふっくらとした頬を撫でながら言った。
「心配するな。今さらそんなことであなたに対する愛情をなくすつもりはないから。それに君はこんなに綺麗に大きくなかった。あなたの母親の浅はかさは少しも似ていない」
・・・それは皇太后なりの慰労であり称賛。
しかし、アリスは三寸の舌で作られたまま、叩かれたようだった。
すぐに叫びたかった。
うちのお母さんをそんな風に言わないで!
そして、肩をつかんで問い詰めるように聞いてみたかった。
うちの母に医者を行かせてくれなかったのは本当ですか?
いや、聞かなくても分かる。
イベットの言葉は事実だろう。
面と向かって、自分のお母さんをこうやって虫のようにけなす人が、助けてくれたはずがない。
死んでも気にもせず投げ捨てたに違いない。
生まれたことも知らなかった幼い孫娘にそうしたように。
改めて、皇太后に対する怒りが沸き上がった。
(やっばり私はこの人が嫌い)
あのしわの寄った顔にお茶を注ぎたい。
私が知っている世界で一番悪い呪いの言葉を言いたい。
アリスの目を読んだシアナは、唇をかんだ。
(ここまでか)
アリスはこれまで信じられないほどうまくやってきた。
だが、彼女があれほど大切にする「お母さん」に触れた以上、これ以上仮面をかぶることができるはずがない。
でも・・・。
シアナの予想とは違って、アリスの顔は怒りで歪んでいない。
アリスは皇太后に向かって花のような笑みを浮かべた。
「おばあ様が私のことを可愛がってくれて本当に嬉しいです」
「・・・」
シアナは信じられないという目でアリスを見た。
アリスは笑いながら続ける。
「今日はおばあ様のために、レブラームスの詩を一編覚えてきました。朗読してもいいですか?」
「あらまあ、レブラームスなんて。私と好みが同じなのね」
皇太后は期待に満ちた顔でアリスを眺めた。
アリスは両手を合わせて美しい詩を詠み始める。
春の日差しを、さわやかな夏の花を、寒い冬の日に飲む熱いお茶一杯を愛するという・・・
世の中のすべての愛を歌う美しい詩。
しかし、シアナにはアリスの澄んだ声があまりにも悲しく間こえた。
アリスとシアナは皇太后宮を出る。
何歩歩いたのだろうか。
足を止めたアリスがシアナを眺めながら言った。
「実はさっきおばあ様にうちのお母さんになぜそうしたのかと問い詰めたかったの。私をそんなにほったらかして今になってかわいがるのが憎いと言いたかったの。でも我慢した」
そんなことを言っては、やっと手に握った力が消えて、昔に戻ってしまうから。
何の力もない、侍女一人も守ってあげられない不格好なお姫様に。
それは嫌だった。
アリスが震える声で言った。
「私、よくやったでしょ?」
「・・・」
シアナはどうしても答えられず、アリスを見つめる。
シアナは「はい」と答える代わりに、アリスの小さな体を抱きしめた。
そして、小さな丸い耳にささやいた。
「もう泣いても大丈夫です」
「・・・」
その瞬間、アリスの大きな瞳から涙があふれ出る。
アリスはシアナの腰に抱きついて叫んだ。
「うわぁん!むかつく!憎い!みんな死んでしまってほしい!」
シアナはアリスの小さな背中を軽くたたいた。
シアナは苦しそうな顔で考える。
(この計画は失敗だ)
順調だと思っていた矢先の出来事。
このまま続けるには非常に辛いですよね・・・。
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