こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は29話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
29話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 古い童話
シアナが10歳の時のことだった。
シアナは城を出て南部の有名なリゾート地に行っていた。
踏み込む全ての場所が美しいというところだったが、シアナはそこをまともに楽しんだことがない。
「シアナ王女は体調不良で別荘で休むそうです、殿下」
新しい王妃の言葉に王はいつものように無頓着な顔でうなずいたりしたからだ。
「一人でいるからといって問題を起こすつもりはなく、部屋でおとなしくしていなさい」
「はい」
王の言葉にシアナは両手を合わせて丁寧に答えた。
そんなシアナを眺めながら、新しい王妃と二人の弟はくすくす笑って華やかに飾った馬車に乗る。
すぐに馬車が別荘を離れ始めた。
おそらく今日、彼らはエメラルド色の海辺がすぐ見えるレストランで食事をし、高級店が並んでいる街で贅沢なショッピングをするだろう。
日が暮れる頃には誰かが開くパーティーに参加して楽しく笑って騒ぐだろう。
静かな別荘にシアナ一人残して。
「小さなお姫様がどれほど悲しいだろうか。枕に顔をうずめて、わんわん泣いているのかもしれない」
新しい王妃はそう思ってくすくす笑うだろうか知らないけど、シアナは全然悲しくなかった。
「一緒に出かけたところで、継母と二人の弟に虐められるだろうに。一人でいる方がずっといい」
その上、毎年ここに来たシアナは、それなりに休暇を楽しむ方法があった。
侍従と侍女の目を避けてこっそり別荘を抜け出したシアナが向かったところは別荘の裏側にある森の中。
遊歩道を離れて奥まった所にもう少し歩くと、すぐ小さな丸太小屋が現れた。
シアナがここを発見したのは3年前のこと。
別荘で初めての脱出を無事に終え、森の中を歩き回っているところを発見した捨てられた丸太小屋。
長い間きちんと管理ができず、あちこちクモの巣だらけで、ドアを開ける度にキーキー鳴る音がしたが、シアナはここが気に入っていた。
ここでは誰も私を煩わしくしない。
シアナは派手な王宮や贅沢に飾られた別荘より小さな丸太小屋がはるかに楽に感じられた。
「1年ぶりに行くのだから、ほこりがたくさん積もったから、とりあえず掃除をしよう。そして、綺麗に片付けたベッドに横になって本を読むよ」
シアナは小さなお姫様らしくない早熟な休暇を計画してドアを開ける。
ところが・・・。
がらんと空いているはずの小さな小屋の中に、小さな子供が体を丸めていた。
子供の姿は凄惨だった。
乱れた銀色の髪の毛、破れた服、全身には小さな傷がついている。
そこに今にも倒れそうな青白い顔に裸足で傷だらけ。
目を見開いた子供が何か言おうとした瞬間、シアナが先に口を開いた。
「あなた、大丈夫?」
「・・・」
「かなり具合が悪そうに見える。助けてくれる人を呼んでくる」
その瞬間、子供が必死に首を横に振る。
「あ、ダメ」
「何言ってるの!こんなに怪我をしておいて」
「あ、ダメ。私がここにいることを知ったら、きっと私を訪ねてくるよ。それでは今度こそ私は死ぬ」
「・・・」
ひどい言葉にシアナは口を塞いだ。
どういうことか分からないが、子供は誰かに追われているようだった。
シアナは混乱した顔で子供を見つめながら、決心したかのようにうなずいた。
「分かった。じゃあ、私があなたを手伝ってあげる」
シアナは素早く動き出す。
まず、丸太小屋にあるベッド(と呼ぶのも恥ずかしい水準の木の板だったが)の上をきれいにはたいて子供を寝かせた。
その後、別荘に駆けつけて品物を持ってきた。
包帯と薬、毛布と柔らかいパンだ。
「まず傷から治療しよう」
シアナは子供に少し近づいて傷を調べる。
顔や足にできた傷は単なる擦り傷だった。
しかし、子供の細い首に生えた黒いあざの跡は、人の手の形をしていた。
子供は誰かに首を絞められたに違いない。
「いったい誰がこんなひどいことを・・・」
シアナはショックを受けた顔でつぶやき、正気に返る。
「幸い、膿んだ傷もないし、熱も出ない。薬を塗ればすぐよくなるだろう」
シアナは子供の傷口に薬を注意深く塗り、包帯を巻いた。
シアナをぼんやりと眺めていた子供が小さな声で話した。
「お上手そうだね」
「私もよく怪我をするんだ。継母がちょっと厳しくて」
「・・・」
目を丸くした子供の表情を軽くめくりながら、シアナは包帯の先をしっかりと結んだ。
その後、パンを細かくちぎって子どもの前に持っていく。
「あなた、お腹がほっそりしているのを見ると、食事もまともにできなかっただろう?あたふたと食べてお腹を壊したらダメだから、私が食べさせてあげる」
「・・・うん」
幸い、子供は食べ物をくれとねだることなく、シアナがくれるパンをおとなしく受け取って食べた。
私が与えるパンを食べながら口をもぐもぐさせる子供の顔を見ると、シアナは妙な感情が押し寄せてきた。
(うわぁ。だからみんな動物たちにエサをあげるんだね)
心臓の片側がくすぐった。
生まれて初めて感じる気分。
食事が終わった後、水まで一口飲んだ子供はうとうとし始めた。
それを見たシアナが言った。
「あなた、今すごく疲れて見える。一眠りして」
「・・・でも」
「もし誰かが追いかけてきたら、私がすぐに言ってあげる。だから安心してぐっすり寝てね」
シアナは優しい声で話し、子供の胸に毛布をかけた。
その上を小さな手で軽くたたいてあげると、仕方がなかった。
警戒心がこもっていた子供の目がするすると閉じ始める。
死んだように眠っていた子供は、数時間後に目を覚ました。
窓越しにオレンジ色の夕焼けの間にシアナが見えた。
「よく眠れた?」
シアナの優しい声に子供はまばたきをして言った。
「行ったと思った」
「さっき悪い奴らが来るかどうか見てやると言ったじゃない。私は約束は必ず守るわ」
幸いなことに、今日、王と新王妃は海辺で行われる花火を見て、夜遅く帰ってくると言った。
しかし、ただ余裕があるわけではない。
いくら幼いお姫様に徹底的に関心がない侍女たちだとしても、夕方の時間にはシアナを探すためだ。
急いで戻らなければならない。
「ここは特に主人がいないところだから、あなたが望むだけ休んでて。それじゃあ・・・」
挨拶をして行こうとするシアナのスカートの裾を子供が捕まえた。
目を丸くしたシアナに子供が言った。
「明日も来てくれるの?」
実際、シアナが耐えるには子供の事情がひどく複雑に見える。
外見から尋常でない上に、誰かに追われているまで。
訳もなく絡むと何か困ったことが起こるかもしれない。
それでも私を見る紫色の瞳がとても切実でシアナはうなずいた。
「うん、もちろん」
その後、シアナは暇さえあれば別荘をこっそり出て丸太小屋に行った。
両手には食べ物をいっぱい持って。
シアナは子供といるのが楽しかった。
なぜなら、シアナがいくらくだらないことを言っても、子供は目を輝かせながら集中したからだ。
自分の話を聞いてくれない家族とは全く違う。
シアナは興奮して言いたいことを言い終えた。
中には自分が作った話もある。
「小鳥はついにお日様の一片を切ってくることに成功した。小鳥にお日様をプレゼントされたお姫様は大喜びだった。外に出てももう寒くなかったから。それでお姫様は幸せに暮らしました」
シアナの言葉に熱心に耳を傾けていた子供がにこっと笑う。
「私も寒がりなんだけど。お姫様が羨ましい」
その顔がとてもきれいで、シアナは顔が少し赤くなった。
しかし、2人の子供の和やかな時間は長く続かなかった。
予定より早く帰ってきた王と新しい王妃が、シアナが密かに外出していた事実に気づいたためだ。
新しい王妃が毒々しい顔で叫んだ。
「陛下と私に許可も得ずに、ねずみ小僧のようにこっそり別荘に出て遊ぶなんて、それが王女としての行動か!」
「すみません」
ぶるぶる震えるシアナに向かって、新しい王妃が鋭い声で話した。
「休暇に来たからといって、私があなたをあまりにも解放したようだね。今すぐスカートを捲りなさい」
続く恐怖にシアナは気が遠く日が暮れるような気がした。
しかし、シアナには逃げ場がない。
王は新しい王妃のそばで情けない目でシアナを眺めており、二人の弟は面白い見物でもできたように目を輝かせていた。
味方は誰もいなかった。
シアナは唇をかみしめながら新しい王妃の前に立つ。
いつの間にか新しい王妃の手には革で作ったムチが握られていた。
新しい王妃が目を見開いてムチを振り回す。
びしゃり。
シアナはひどい苦痛に小さな悲鳴を上げた。
スカートの裾をつかんだ手がぶるぶる震えた。
完全に痛みを和らげる前に、もう一度ムチが飛んできた。
その日以来、シアナは別荘を出ることができなかった。
鞭打ちを受けた足が動きにくいほど痛いうえに、新しい王妃の怒りを見た侍女たちが監視を強化したためだ。
そのように数日が過ぎて王宮に戻る日、シアナは侍女たちの監覗を避けて別荘を抜け出す。
シアナがまだ治っていない足を引きずりながら向かったところは、子供のいる丸太小屋。
「私がいない間、食事はどうしたのだろうか。薬を塗れなくて傷が悪化したらどうしよう・・・」
・・・ずっと私を待っていたのでは。
しかし、古いドアを開けたシアナは、呆然とした表情をするしかなかった。
子供は見えなかった。
18歳のシアナは目を伏せる。
ひょっとして子供を追っていた人に見つかって、間違っているのではないかと思うと、心が痛くてまともに眠ることもできなかった。
しかし、シアナにできることは何もなかった。
シアナは名前もちゃんと知らない子を探すことも、たとえその子供を探すとしても助ける力がない無能な姫だったためだ。
シアナはそのことに腹を立てて、子供のことを意識的に考えなくなった。
今では記憶がぼやけるほどだ。
ところが、今思えば変な点が一つや二つではなかった。
「あの子は銀色の髪の毛に紫色の瞳を持っている上に顔も目に見えて美しかった。まるで皇太子殿下のように」
その瞬間、心臓がドキッとした。
何よりもシアナが作った冬の国のお姫様の話を聞かせてくれたのは、その子が唯ーだった。
ラシードはその話を知っていたし。
「まさかあの子が皇太子殿下だったって?」
とんでもない仮定にシアナの胸がドキドキし、血が熱くなる。
高まった心が火山のように爆発しそうだった。
しかし、シアナはあっという間に針で刺さった風が抜けた風船のような顔になる。
「いや、そんなはずないじゃないか」
ラシードは皇帝と皇后の息子として生まれ、誰よりも高貴に育った。
そんな彼がそんな風に誰かに追われたという話は聞いたことがない。
むしろシアナと偶然同じ話を作った誰かがラシードにその話をしたのがはるかに現実的だ。
シアナは本来理解できないことを暴く性格ではなかった。
そんな時間に積もっていることをした方が良かった。
(皇太子殿下もこれ以上聞いていないので、気にするのはやめよう)
こうしてシアナは今日の出来事を覆い隠した。
シアナの過去が辛すぎる・・・。
メイドになった今の人生の方が幸せそうですよね。
過去の子供の正体は本当にラシードではないのでしょうか?
ラシードの過去も気になりますね!