こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は31話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
31話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 皇妃アンジェリーナ
帝国皇居には数多くの皇帝の女性がいる。
一番高い場所にある女性は皇后であり、その下に4人の皇妃がいる。
たとえ皇后ではなくても、彼女たちは何一つ抜けるものがなかった。
家柄、容姿、気品。
それに皇帝の血筋を引く子まで。
次期皇帝の母、つまり皇太后になることもできる女性だということだ。
(そんな偉い方が私に頼むのは一体何だろう?)
そう思いながら、シアナは連れ去られるように皇妃宮に到着する。
確かに皇妃は皇妃だ。
(この前行った皇太子殿下の宮よりは小さいけど、ここもすごく華やかだね)
壁にかかっている絵から天井にかかっているシャンデリア、いたるところに置かれている彫像まで。
どれ一つ最高級品でないものはなかった。
シアナを連れてきた上級侍女が言った。
「皇妃様がもうすぐ来るから待っていなさい」
応接間に座ったシアナの顔はこわばっていた。
(「言葉はお願い」と言ったが、脅迫だろう)
威勢等々の皇妃と、何も持ち合わせのない下級侍女。
そもそも同等の取引になるはずがない。
皇妃の言葉を断った途端、怒嗚りつけるのは間違いないはず。
部下の侍女が「皇妃の命を断るのか」と言って殴られるかもしれない。
(うう、そんな状況は大嫌いなんだけど)
落ち着かない顔でスカートの裾をぎゅっとつかむと、頭の上から優しい声が聞こえてきた。
「お会いできて嬉しいわ。あなたがシアナなの?」
シアナは稲妻のように頭を上げる。
シアナの前に水色のドレスを着た女性が立っていた。
皇妃アンジェリーナ。
「・・・」
シアナは驚いた。
皇妃がとても幼くてか弱く見えるから。
色の薄いレモン色の髪の毛と淡い緑色の瞳を持つアンジェリーナは、一人の子供の母親というよりはまだ世の中の垢がついていない少女のようだった。
(・・・皇帝陛下と歳の差が大きいと聞いたことはある。とても若い皇妃様だと。それでもこれほどとは・・・)
アンジェリーナも似たような考えをしたのか、眉をひそめる。
「あのアリス姫を教育させた侍女なので、どんなに厳しいだろうと思っていたのに、とても幼く見えるわね。何歳なの?」
「18歳です」
「あら。年よりもっと若く見えるわ」
アンジェリーナは他人事ではないかのように笑った。
彼女には皇妃としての息詰まる威厳も、すり減った皇室の女性としての巧妙さも見られない。
春風のようにか弱く、春の花のように暖かいだけ。
それでシアナは少しリラックスした。
「挨拶が遅くなりました。高貴な方にお会いできて光栄です、皇妃様。アリス皇女殿下を祀っている侍女、シアナと申します」
スカートの裾をつかんで腰を下げたシアナを見たアンジェリーナが口を丸くする。
「下級侍女がこんなに優雅に挨拶できるなんてすごいわね」
「恐縮です」
「偉そうなふりもしないで。やっばり噂通りだよ」
噂?
アンジェリーナは首をかしげるシアナに微笑みかけた。
「ええ。情報網が速い人たちは知っているのよ。アリス姫が短期間で変わったのは、ある下級侍女のおかげだと。その侍女がお姫様の面倒を見て教えてくれて、雷のようだったお姫様が優雅なレディーになったんだって。皇太后様に可愛がられるほどにね」
「・・・」
驚くことではない。
王妃のような女性なら、皇居で起きるほとんどのことが分かるはずだから。
シアナが気になるのは、皇妃が「どうやって」それを知っているかではなく、「なぜ」そのようなことを知っているかだった。
アンジェリーナは目を伏せて話し続ける。
「だから君を呼んだんだ」
「・・・?」
「私には今年12歳になる息子がいる。君にその子の教育をお願いしたの」
シアナは彼女の言葉を理解できずに瞬きをした。
アンジェリーナは皇妃だ。
それに家柄もすごいと聞いている。
そんな彼女なら、帝国で指折りの家庭教師を求めるのは少しも難しくないはずだ。
まともに知らない侍女にそんなお願いをするのが理解できなかった。
アンジェリーナはシアナの気持ちを知っているかのように言った。
「見せるものがあるからついて来て。代わりに今から見たことは絶対秘密にしてちょうだい」
シアナはアンジェリーナについて宮殿の奥深くにある部屋に向かう。
皇子の部屋だった。
特殊な処理をしておいた部屋のドアは開いた瞬間、少しも音がしなかった。
(皇子殿下が音に敏感だから気をつけろと言ってたわ)
シアナは唾をごくりと飲み込み、慎重に部屋に入る。
間もなくシアナは目を見開いた。
ろうそく一つも灯していない暗い部屋の中に、ある少年が見えたからだ。
少年は床に寝そべったまま、おもちゃの馬二つを両手に持ってぶつかり合っていた。
タッ、タッ、タッ、タッ。
静かな部屋の中におもちゃのぶつかる音だけが響く。
ずっと、ずっと。
永遠に終わらないかのように。
故障したぜんまい人形のように同じ行動を繰り返す少年の上に月明かりがあふれた。
色素の薄い真っ白な髪と青白い顔。
開いた口では何の意味か分からない言葉を絶えず呟いている。
その時、少年が顔を上げた。
少年と目が合った瞬間、シアナは口を塞いだ。
確かに目が合ったのに、少年の瞳には何の変化もなかった。
まるで感情を知らない昆虫の目のように。
しばらくして、シアナは部屋を出た。
門の前にはアンジェリーナ皇妃が両手を合わせて立っている。
「皇子を見た?」
「・・・はい」
短い返事だったが、アンジェリーナはそれでシアナの感想に気づく。
アンジェリーナは苦々しい顔で言った。
「皇子をアリス姫のようにばっと変えてほしいのではない。ただ少しでも・・・本当に少しでも良くなるように手伝ってくれれば望むことがないわ」
「・・・」
「急にこんな頼みをするようになってごめんなさい。だけど、助けを求める人があなたしか思い浮かばなかった。よく考えてから答えてちょうだい」
「そうします」
シアナは気まずい顔をして皇妃宮を出る。
シアナは帝国の皇室についていろいろ知っていた。
小さな王国の王女だった時、そして帝国の侍女になった後、かき集めた情報。
しかし、その情報にアンジェリーナ皇妃の息子に関するものはなかった。
それでおかしかった。
(しばらく見ただけだが、皇子は正常ではなかった。その程度の状態なら、いくら皇妃が隠したとしても、隠されることはなかったはず)
噂が広まるのが普通だ。
それなのにシアナが彼に関して何も聞いたことがないというのはとても不思議なことだった。
「見る目が多い宮で、そんなことができるはずがないのに・・・」
ルビ一宮に向かっていたシアナは、決心したようにぐるりと方向を変えた。
皇妃からの願い。
皇太子は明らかに普通ではありませんでした。
何か事情があるのでしょうか?
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