こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は34話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
34話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 短期契約②
シアナが一番先にしたことは、レイシス皇子の状態を調べることだった。
レイシスは自分の部屋に閉じこもり、ぼんやりとオモチャを長蛇の列に並べている。
「・・・」
一歩離れた所でその姿を見守るシアナは首を回して尋ねた。
「皇子殿下はいつからあんな状態ですか?」
アンジェリーナはあまりにも直接的な質問に当惑する。
「それは・・・」
アンジェリーナは息子の状態を全く知らなかった。
彼女は今までレイシスの面倒をまともに見たことがなかったからだ。
レイシスを産んだ直後、疲れたアンジェリーナの元にヴィルヘルム侯爵がやってきた。
「息子を産んだんだって!よくやった、本当によくやった、アンジェリーナ!」
ヴィルヘルム侯爵は褒め言葉にけちな人だ。
馬鹿のように優しい末娘にはなおさらだ。
父のうれしそうな顔にアンジェリーナの青白い顔にかすかな笑みが浮かんだ。
「本当ですか?」
そんな娘を眺めながら、ヴィルヘルム侯爵は興奮した顔で話す。
「そうだ。皇子を産んだのだから、あなたは威風堂々とした皇妃だ。ヴィルヘルム侯爵家もかつてないほとの威勢を振るうだろう」
単に赤ちゃんを産んだのではない。
皇子、つまり次期皇帝になることもできる存在だ。
ヴィルヘルム侯爵は自分の野望を実現させてくれる孫への愛情がすごかった。
直接乳母まで選別して送るほどだ。
「4つの言語ができる貴族出身の乳母だ。これから皇子は利子が面倒を見るから、あなたは気にせずに体を大事にしなさい」
アンジェリーナは父親に逆らうことはなかった。
「・・・はい、ありがとうございます、お父さん」
それで彼女はおとなしくうなずいて、乳母に赤ちゃんを預ける。
しかし、数ヵ月後、乳母はアンジェリーナに衝撃的な言葉を伝えた。
「申し訳ございません、皇妃様。皇子殿下がおかしいです」
「どういうこと?」
驚いたアンジェリーナに乳母が言った。
「全然目を合わせません。いくら名前を呼んでも少しも反応がありませんし」
青天の露震のような言葉。
その知らせはすぐにアンジェリーナの実父であるヴィルヘルム侯爵に届いた。
「まだ幼いからだ。時間が経てば良くなる!」
その後、ヴィルヘルム侯爵は毎日のように皇居を訪れ、レイシスを観察し始めた。
しかし、母親と祖父の切実な願いとは違って、レイシスは少しも良くならなかった。
誰とも目を合わせることがなかったし、「ママ」のような簡単な話もできなかった。
ただ壊れた人形のようにぼうっと虚空を張っていたり、同じ行動をずっと繰り返すだけだ。
レイシスが1歳になったとき、ヴィルヘルム侯爵は決断を下した。
「レイシスを連れて皇居の外に出よう」
アンジェリーナは驚いて叫んだ。
「で、でもお父さん。レイシスは皇子です。皇居を離れてはいけません」
侯爵は神経質な顔でときっと音を立てた。
「誰がそれを知らないんだ!しかし、このままでは皇居のすべての者がレイシスが病身であることに気づくだろう!」
アンジェリーナは厳しい言葉に驚いて自分の口を塞いだ。
そんな娘の反応を無覗して侯爵が歯を食いしばる。
「絶対にこの事実が知られてはいけない。そうなれば、レイシスに皇帝になる未来はない!」
ただでさえ他の皇子たちと年の差があるのに、まともな状態ではないということが知られれば皇座に行く道は塞がるに違いなかった。
侯爵は険しい顔で言った。
「レイシスが体が弱くて城の外で療養をしなければならないと言えば、皇帝陛下も阻まないだろう。子供にあまり関心がない方だから」
「・・・」
「あの家に連れて行って、私がどんな手を使ってでも、あの子を直しておく」
黙って聞いていたアンジェリーナは勇気を出して言った。
「そ、それでは私も一緒に行きます」
「え?」
侯爵の顔はゆがんだが、アンジェリーナは勇気を出して言った。
「レイシスはまだ若いじゃないですか。だから私も一緒に行ったほうが・・・」
「この愚かな娘が!」
侯爵は気が冷たいという顔でアンジェリーナを見下ろす。
その瞬間、アンジェリーナは青ざめた顔で頭を下げた。
皇妃になった今までも父親はいつも恐ろしい存在だ。
侯爵は淡々とした目つきで娘を見下ろして言った。.
「皇妃になってわずか2年だ。皇子を産んだばかりの皇妃として、皇妃としての地位を維持しなければならない時期に城を出てどうするつもりだ!」
「でも・・・」
「皇居と社交界にずっと言葉を流せ。皇居を出たレイシス皇子にますます元気で明敏になっていると。皇居に戻る頃には皇子として不足のない子になっているはずだと!それが君のやることだ。分かったか?」
「・・・」
しばらくしてアンジェリーナは泣きそうな声で「分かりました」と答える。
しかし侯爵はそれを聞かなかった。
彼にとって娘の返事など大切なものではないから。
数日後、ヴィルヘルム侯爵はレイシスを連れて城を出た。
アンジェリーナは2週間に1度、城を出て屋敷に立ち寄るときだけレイシスを見ることができるようになった
ヴィルヘルム侯爵は秘密裏に人々を集めレイシスを教育し始める。
しかし、期待とは裏腹にレイシスの状態は改善されなかった。
アンジェリーナは心の片隅が不安だったが、父親を信じた。
「お父さんは私より賢いし、孫への愛もすごいじゃないか。きっと私よりレイシスをよく育ててくれるよ」
そうして歳月が流れたある日・・・アンジェリーナは真実を知ってしまう。
父がレイシスにしている教育の実態を。
数々の料理が豪華に並べられた長いテーブル。
その中にレイシスがいた。
同年代より小さい方なので、もっと弱そうな子供の体が椅子に縛られていた。
両手にもフォークとナイフが縛られていた。
その状態でレイシスは食べ物を口に入れていた。
ひどい光景だった。
アンジェリーナは驚いて口をふさぎ、床に倒れる。
ヴィルヘルム侯爵が彼女の後ろに近づいた。
「ちっ。だからどうして許可も得ずに屋敷に来たのか。訳もなく見たら気になることを・・・」
アンジェリーナは穏やかな侯爵とは違ってまともに呼吸することができなかった。
彼女は息を切らしながらやっと口を開く。
「ああ、お父さん。い、今レイシスが何をしているんですか?」
「見て分からないのか?教育を受けているではないか」
「・・・教育ですか?」
「そうだ。いくら目で見せてあげて、話をして、お菓子で釣らせても通じなかった。ああやってすると、それでもちょっとした行動が矯正されたんだ」
「・・・」
ようやくアンジェリーナは自分の前で食事をしていたレイシスを思い出す。
レイシスは何も言わずに手を動かして皿の中の食べ物を口に入れる行為を繰り返した。
まるで縄に縛られて操られる人形のように。
(それがあんな訓練で出た行動だったなんて・・・!)
そんなことも知らずにレイシスがおとなしく食事をするようになったことを喜んだ私がとてもバカみたいだった。
お父さん、これは厳しすぎます。レイシスを解いてください。
アンジェリーナはそう言いたかった。
しかし、彼女はそれを言うことができなかった。
ヴィルヘルム侯爵が不気味な目でレイシスを眺めていたためだ。
「レイシスの12歳の誕生日パーティーがもうすぐだよ。このままではレイシスが病身という事実は天下に暴かれる。そうなってしまってはヴィルヘルム侯爵家は終わりだ」
「・・・」
「方法を探さないと。方法を・・・」
アンジェリーナは狂気じみた父親の顔にぶるぶる震えた。
到底口が開かなかったのだ。
レイシスに何か異変があるのは確かですが、それを増長させたのは間違いなくヴィルヘルム侯爵でしょう。
彼はシアナが教育担当になることを知っているのでしょうか?
https://recommended.tsubasa-cham.com/matome/