こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は35話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
35話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 短期契約③
アンジェリーナは死体のように青白い顔でシアナに向かって言った。
「情けないでしょ?この年になっても父に一言も言えないなんて」
「いいえ。理解します」
本気だった。
シアナも無情な親がどれほど恐ろしい存在なのか知っていたからだ。
アンジェリーナは罪を口ずさむように言い続ける。
「そうして父の機嫌を伺いながら過ごして、7日前にレイシスを連れて皇居に入ってきたわ。お父さんが誕生日の宴会の時までレイシスを変える確実な方法を探すと言って邸宅を離れたの」
自分を阻む屋敷の使用人たちには嘘をついた。
誕生日の宴会の前にレイシスが皇居に慣れる時間が必要だと。
お父さんも許可したことだと。
使用人たちはアンジェリーナが嘘をつくとは夢にも思わずドアを開けてくれた。
シアナは尋ねる。
「それでは侯爵様はレイシス皇子殿下が皇居に帰って来たことを知らない状態ですか?」
「今は首都を離れているので、ご存じないわ。レイシスの誕生日パーティーに合わせてぎりぎりでお帰りになるということですから、その時になってようやくお分かりでしょう」
そして、自分勝手な行動をした娘に大きな怒りをぶちまけるだろう。
.
アンジェリーナは恐怖に怯えた顔でシアナを見つめながら言った。
「だから急いであなたを呼んだんだ。あなたがレイシスをよく教育すれば、それで少しでも成果が出れば、お父さんも私を許してくれるから」
アンジェリーナはシアナの手を取り合う。
「私にはあなただけなの、シアナ」
シアナは息が詰まるような気がする。
思ったより状況がもっと良くなかった。
アンジェリーナ皇妃は切迫し、レイシス皇子の状態は深刻で、ヴィルヘルム侯爵という変数まであった。
(どうしようもない。すでにすると話をして契約書まで書いたことを、できる限りまではやってみなければならない)
その日、シアナはレイシスを注意深く観察した。
レイシスの現状をよりしっかり知るためだ。
「レイシス皇太子殿下はすべてのことにすごく敏感だ」
少しだけ大きな音がしてもぶるぶる震えたりする。
それに反して見えることには鈍感だった。
「いや、鈍感というより視野が狭いというか」
レイシスは私が見たいものだけを見た。
おもちゃならおもちゃ、蝶なら蝶。
それ以外には何も見えないようだった。
敏感すぎる耳、鈍い目。
(それも問題だが、もっと大きな問題は別にある)
シアナはレイシスに近づき、にっこりと笑いながら言った。
「今日は本当にいい天気ですね、皇子殿」
普通の人なら慌てたり、不快になったり、感情的な反応をしなければならない。
しかし、レイシスの反応は驚くほど無反応だ。
レイシスはシアナの声にしばらくびくびくしただけで、空中を眺めながら聞き取れない言葉を絶えずつぶやき始める。
幼い皇子は他人と交感が全くできなかった。
(まるで、あの子のように・・・)
・
・
・
シアナは病名を診断する医者のように落ち着いた声で話した。
「レイシス皇子殿下がああするのは病気ではありません」
「・・・何だって?」
シアナは驚いたアンジェリーナにためらいながら言った。
「ただ、もともとああやって生まれただけです。生まれた時から足が一つなかったり、目が見えなくなったりする人たちのように」
アンジェリーナは息を止め、スカートの裾をぎゅっと掴んだ。
シアナの言葉はレイシスが病身だと言って、一日も早く直さなければならないと叫んだ父親の言葉よりはるかに残忍だった。
残酷な言葉に全身が血まみれになったような感覚に。
アンジェリーナは細い声で言った。
「・・・直せないってこと?」
「私の知る限りではそうです」
病気ではないので薬もない。
治療方法もない。
シアナは続けた。
「しかし、良くなることはできます。皇妃様が私に頼んだ教育を通じてですね」
「・・・」
漆黒のようだった皇妃の顔に一瞬、顔色が変わる。
シアナは眉をひそめた。
(期待しすぎたら困るんだけど)
もちろん、シアナは医者ではなく、専門教育者でもなかった。
それでもシアナはそう言える。
それは彼女がレイシスにそっくりな人を見たことがあるからだ。
(「あの子」はレイシスより調子が悪かった)
それでも、「あの子」は速いスピードでよくなった。
この方法を通じて。
シアナの言葉にアンジェリーナは飛び跳ねる。
「召使いたちを全員退出させて、私一人でレイシスの世話をしろって?」
「はい」
アンジェリーナは泣きべそをかいて叫んだ。
「私にはできないわ!」
恥ずかしいが、アンジェリーナは一度も幼い息子の面倒を直接見たことがなかった。
面倒で嫌ではない。
ただ怖いからだった。
以前はレイシスが小さすぎて、今はレイシスが普通じゃないから。
アンジェリーナはレイシスの世話をする自信がなかった。
アンジェリーナは泣きそうな顔でシアナを見つめながら言った。
「どうして私にそんな話をするの?教育をお願いしたのはあなたじゃなくて私じゃないか。だから、あなたが・・・」
「私はもうすぐ去る者ですから」
「・・・」
「皇子殿下を変えるには、とても長い時間が必要です。しかし、私が皇子殿下のそばにいる時間はわずか一ヶ月です。曖昧に途切れる教育はしない方がましです」
「・・・」
「それで私は長い間、皇子殿下のそばで教えてくれる方に私が知っている方法を教えようと思います」
「じゃあ、今レイシスの世話をする召使いたちでもいいじゃない」
レイシスは現在2人の侍女と1人の侍従の世話をしている。
みんなアンジェリーナが信頼する人たちだ。
シアナは目を伏せて言った。
「彼らも他人じゃないですか」
「・・・」
「いくら今皇子殿下によくやったとしても、後はどうなるか分かりません。助けは受けますが、一番大切なものを丸ごと渡してはいけません。皇妃様が直接面倒を見なければなりません」
「・・・」
「皇妃様は皇子殿下のお母さんじゃないですか」
「・・・」
アンジェリーナの青い瞳が揺れる。
まるで知らなかった事実を知ったように。
アンジェリーナは震える目でシアナを見つめ、口を開いた。
「・・・やってみるわ」
目を輝かせるシアナに向かってアンジェリーナが喋った。
「でも、ちゃんとやり遂げられないかもしれない。レイシスが嫌がるかもしれないし。私は・・・」
シアナはにっこり笑って言った。
「それでも諦めずにやってください。そうすればきっと良い結果を得ることができるでしょう」
アンジェリーナは肩をすくめた。
(確かに笑っているのに。相変わらず私のように小さくて)
ところが急にどうしてこんなに彼女が厳格に見えるのだろうか。
まるで私を教えてくれたお父さんのように。
「あの子」とは誰のことでしょうか?
そしてシアナの方法はレイシスに効果があるのでしょうか?
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