こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は39話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
39話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 母親として④
木と花で満たされた皇太子宮の応接室。
丸いテーブルにはシアナとラシードが座っている。
護衛技師のソルは参加できなかった。
皇太子宮に入るやいなや、ラシードが命令したからだ。
『散歩をさせてから来なさい』
『え?』
ソルは泣きべそをかいたが、ラシードの目つきは柔らかくて断固としていた。
結局、ソルは白いフェレットと小さなリス、黄色い鳥を連れて宮殿を離れる。
悲しそうな後ろ姿を見て、シアナは思った。
(帝国最高の騎士も食べていくのが大変なんだね)
とにかく、そのようにソルが出てシアナが滝れてくれたお茶を飲む人はラシードだけだった。
お茶をすすったラシードはいつものように悦惚とした。
「おいしいよ。やっばり君のお茶は最高だね、シアナ」
「・・・」
シアナにとってラシードは負担になる相手だ。
彼は皇太子だったから。
(それも高い確率で正気ではない)
それでも・・・。
(あっ、という音がするほど美しい男が、精一杯幸せそうな笑みを浮かべながら私が乗ったお茶を飲む姿を見るのも悪くないね)
思わず微笑ましい顔でラシードを眺める時だった。
「レイシスの教育はうまくいっているの?」
ラシードの質問にシアナの目は丸くなる。
次期皇帝として地位を強固にした皇太子が幼い弟に関心を持つ理由がなかったためだ。
(それで数日前、私がレイシス皇子皇子について聞いた時も、知っていることが一つもなかったじゃないか)
そんな方がどうしてあんなことを聞くんだろう。
ラシドは不思議がるシアナに微笑み、言った。
「大きな意味があって聞いているのではない。ただ少し気になって」
「何がですか?」
「たった2週間でレイシスの状態がよくなるのかと思って」
シアナは目を大きく開けた。
まるでレイシスの状態をすべて知っているような言葉だった。
ラシードは優しい声で言った。
「私は皇太子だ。神も気づかないほど完璧に隠した秘密でなければ、私が宮で知らないことはない」
数日前までは知らなかったが、それはレイシスが皇居に戻ったばかりだ。
ラシードは今や私の目の前で見ているようにレイシスの状態をよく知っている。
「レイシスは人と目も合わせず、まともに会話もできない状態だそうだ。それだけじゃない。ある.時は、狂人のように大声を上げながら泣き叫ぶこともあるというが・・・」
シアナは息を吸い込んだ。
アンジェリーナ皇妃はレイシスについての言葉が出ないように最善を尽くした。
(そうだ、私にそんなに大きな秘密を隠すことは不可能だった)
見る目の多い皇居ではなおさら。
(大丈夫だよ。予想してたことじゃないか)
静かに息を吐いたシアナは落ち着いて言った。
「殿下が知っている事実を否定はしません。レイシス皇子殿下はまだ不安定な部分が多いです。しかし、だんだん良くなってきています。時間が経てば、きっと今よりずっと元気になった姿で笑うことになるでしょう」
「・・・」
小さな声には信頼があった。
きっとそうなるだろうという。
そこでラシードは不思議そうな顔で尋ねる。
「あなたは侍女じゃないか。その前はお姫様だった。そんな君がどうしてそれを確信できるの?」
ラシードはシアナが立派な女性だということを知っている。
しかし、そうでない者を教育することは全く別の問題だった。
それにレイシスの調子はどうか。
彼の母方の祖父ヴィルヘルム侯爵が状態を良くするために10年以上連れていたにもかかわらず、快方に向かっていないほど深刻だ。
シアナはためらいながら言った。
「私の目で見ましたから」
「・・・」
「あの子もレイシス皇子殿下と同じような状態でした。いや、もっと深刻でした。あの子は人の話を全く理解できなかったからです」
しかし、その子は日に日に調子がよくなった。
実母の手厚い愛情と世話のおかげで。
「あの子って誰?」
シアナはラシードの質問に答える。
「私の弟です」
「・・・」
意外な答えにラシードの目が少し大きくなった。
シアナは淡々と話し続ける。
「正確には腹違いの弟です。新しい王妃様が生んだ子でしたから」
新しい王妃は魔女のような女性だった。
彼女は気に入らないと大声を上げ、鞭打ちをした。
少しでも自分を煩わしくさせる者たちは許さなかった。
そんな彼女が子供を産んだ。
誰もが彼女が子供を面倒くさがると思った。
多くの貴婦人がそうであるように、乳母に任せてたまに顔だけ見ると。
しかし、皆の予想とは裏腹に、新しい王妃は子供に夢中になった。
彼女は自分で赤ん坊のうんちを片づけ、乳を飲ませ、胸の中で赤ん坊を寝かせた。
大変な慕情だった。
しかし、人々に限りなく残酷だった彼女に対する罰だったのだろうか。
子供は正常ではなかった。
子供は人と目を合わせず、毎日のように大声を出して泣いてばかりいた。
3歳を過ぎても一言も言えなかった。
王子を見に来た医師や学者たちが言った。
『恐縮です、王妃様。王子様は時間が経っても決して調子がよくならないでしょう。むしろ
ますます悪くなるでしょう』
彼らは王妃に王子を静かな修道院に送った方がいいと言った。
新しい王妃は激怒する。
『あなたたち、私の息子を捨てろというのか!』
『そ、そうではなくて・・・』
新しい王妃は息子を抱いて叫んだ。
『この子は私の子だよ。私のそばで誰よりも幸せで豊かに育つだろう!』
煽々たる瞳はぞっとするほと決然とした意志を抱いていた。
その後、新しい王妃は自分の言葉を守った。
彼女は息子を心から愛していた。
毎年盛大な誕生日宴会を開き、重要な行事の時には腕を組んで一緒に参加したりもした。
人々は王子の状態を見て驚愕したが、気づかなかったフリをする。
王子に対して何か一言でも言っては王妃が首を切ってしまったためだ。
その時を思い出してシアナが言った。
「なんだかんだと雰囲気が険悪ではありましたが、とにかくあの子は安らかに見えました。笑う日も多かったですし」
母親の無限の愛のおかげだったはずだ。
そこでシアナは、そこで感じたことをアンジェリーナ皇妃とレイシス皇子に適用した。
幸い成果があった。
アンジェリーナが息子に注ぐ愛情と同じくらい、レイシスの顔には平穏さが漂い始めた。
(私をあれほど苦しめた継母が役に立ったわけだ)
複雑な気持ちに頭をもたげたシアナはびっくりする。
先ほどまではうろうろしていたラシードの顔がひどくこわばっていたからだ。
(どうしてまたあんな表情をするの?)
わけが分からず眉をひそめるシアナに向かってラシードが低い声で話した。
「でも、その弟は今この世にいないんだな」
「・・・」
やっとシアナはラシードがなぜあんな表情をしたのか気づいた。
シアナの家族はみんな死んでしまった。
ラシードの手によって。
シアナはまだラシードが彼らを殺したした瞬間を思い出した。
(今考えてもゾッとするけど・・・)
シアナはラシードを見る。
無表情な顔で彼らを殺した男と同一人物なのか、と思うほとラシードはしょんぼりした顔で頭を下げていた。
罪悪感ではなさそうだ。
それよりはむしろ・・・。
(私に怒られるんじゃないかと思って、顔色を伺っているみたい)
話にならない考えだが。
シアナは心の中で首を振りながら言った。
「以前にも申し上げましたが、弟の死については何の感情もありません」
そのため、弟はあまりにも暴悪だった。
ともすると侍従たちをひどく苦しめた。
正常ではなく、見過ごすにはその罪があまりにも大きかった。
「そんな者を同情したり、哀悼したりするほど、私は慈悲深くありません」
目を伏せたシアナを見つめながら、ラシードは思わず唾を飲み込んだ。
(普段は小さくてかわいい動物みたいだけど)
時々彼女はまるで別人のようだった。
ラシードでさえぎくりとした威圧的な雰囲気だった。
しかし、いつものように一瞬だけ。
シアナはすぐにいつもの晴れやかな顔に戻って言った。
「とにかく今大事なのは、レイシス皇子殿下の状態が早く良くなっているということですね」
「もうすぐ行われる皇子の誕生日の宴会の時、堂々とした姿を見せることもできるほど?」
「・・・」
シアナは眉をひそめる。
その言葉にはどうしてもそうだとうなずくことができなかったから。
「あの子」とはシアナの弟のことだったのですね。
誕生日パーティーまでにレイシスを参加させることはできるのでしょうか?
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