こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は51話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
51話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 中級侍女③
食材管理室は早朝から騒然としていた。
「アンナ、小麦粉は?」
シアナの言葉に下級侍女アンナが答える。
「10kgずつ計20袋、無事に到着しました」
シアナはうなずいて反対側を見た。
「牛の皮のニンジンは?」
「無事に着きました」
「中まで見たの?昨夜雨が降って中のニンジンは傷んだかもしれない。腐ったニンジンがあれば、今すぐ確認して交換しなけれはならない。まだ商人が宮殿の中にいるから」
「今確認してみます!」
ソフィーは素早く答え、箱の中を見回し始める。
その後、シアナは長い間物を確認し、侍女たちに指示した。
(幸いにも今日入ってきた物はすべて問題ないね)
どれも新鮮できれいだった。
しかし、食材管理室の業務はここで終わりではない。
今日使う材料を整理して皇居の各厨房に送らなければならなかった。
作業は朝日が昇ってからようやく終わる。
「うわぁ。小麦粉の袋を20個も運んだら、腕が抜けそう」
「私も。ジャガイモの箱はどうしてこんなに重いの」
「私は卵。一つでも割れるかと思って、どれだけはらはらしていたか分かるか」
騒々しい雰囲気の中で,シアナは両手を合わせて拍手した。
パチン。
侍女たちの覗線を受けながら、シアナが凛々しく言った。
「みんなお疲れ様。まだ残っていることが多いけど・・・」
ジャムやチーズなど保管用食品を作るのも食材管理室の仕事だ。
下の女中たちはシアナがそれをやらせるのではないかと心配していた。
「まずはご飯を食べてからにしよう!」
シアナの言葉に死にかけていた下級侍女たちの目が光る。
「うわぁ」
下の侍女たちは上気した顔で嘆声を上げた。
木のテーブルの上に並べられた食べ物がすごかったからだ。
「わあ、これはリンゴだ。あの有名なアップルトンのリンゴ!」
「パンもすごく大きい!中にはバターがたっぷり入っていた」
「キャー!お肉もある。ベーコンとソーセージがいっぱいあるって」
調理がほとんどされていないごつい料理だったが、種類が多様だった。
何より量がすごかった。
きつい労働でお腹が空いていた下級侍女たちが、たくさん駆けつけても大丈夫なほどに。
口をもぐもぐさせる下男たちは幸せそうな顔をした。
「すごく美味しい」
下女たちの食事は少し前まで硬いパンと牛乳、少しの肉だけだ。
そんな彼女たちがこんなにたくさんの食事をするようになったのは驚くべきことに・・・。
「これは全部シアナさんのおかげだよ」
両手に肉を持ってかじっていた下女の一人が目を輝かせながら言った。
「そう、そう」
他の下級侍女たちもうなずく。
皇居は裕福だったので、食材管理室には常に必要なものより多くの食料品が送られた。
いろいろな理由で使わなくなった食料品も多い。
しかし、下級侍女たちがそれらを見ることはなかった。
それらはすべて管理者である中級侍女が処理したためだ。
それは何と言うか、慣例的に持つ管理者の特権であった。
中級の侍女は、残った食料品を自分で食べたり、城の外に売ったりして利盆を得た。
しかし、シアナは違う。
[思ったより、残った食料品が多いね。私たちで、これで料理を作って食べよう]
シアナが解雇をするという脅迫に腐った表情で仕事をしていた下級侍女たちは、ニンジンで後頭部を殴られたような表情をした。
驚くべきことだ。
初日だから下級侍女たちに点数を取ろうとあんなことをするのだろう。
さすがに抜け目のない人だね。
そう思ったが、違った。
シアナは毎日残った食料品を集め、下女たちと料理をした。
それでも残った食料品があれば、その日一番熱心に働いた下級侍女にあげた。
紙できれいに包装までして。
「ソフィー、昨日はあなたがプレゼントをもらったでしょ?」
「うん」
ソフィーは照れくさそうな顔でうなずく。
ソフィーは一番早く来て仕事をするという理由でドライフルーツをプレゼントされた。
そんな褒め言葉やプレゼントをソフィーは初めて貰った。
そこで終わりではない。
シアナはよくやった。
早朝に出てきてすべての食料品を几帳面に確認し、下級侍女たちをくまなく見て公正に仕事を分配した。
それに目下の人を思いやるセンスまで。
[私が一緒にいたら、楽に食事ができないじゃん。私は別々に食べるようにするわ]
シアナは食事のたびに席を外してくれた。
いろいろな面で理想的な管理者だ。
初日、卑劣な手を使う悪い中級侍女だと非難したことが申し訳なくなるほどに。
下級の侍女たちがもぐもぐと言った。
「どうやら私たちがシアナ様を誤解したようだ」
「そうですね。仕事も頑張っていて、親切ですし」
「顔も可愛いしね」
下の侍女たちは、パンパンになった頬をしてうなずいた。
「シアナ様が引き続きここを担当してほしい」
「そうだね。それではこのうんざりする所でも仕事ができそうだが」
しかし、その可能性はなかった。
ここは中級の侍女の教育期間中に臨時にいるだけだから。
教育期間が終われば、シアナはもともと働いていた宮に戻るはずだ。
ソフィーは恥ずかしそうな顔で言った。
「私はシアナさんに聞いてみようと思って。嫌なことをしてもいいから、シアナ様のいる宮に行けないかって」
「えっ、そんなことがあったんだ。私も聞いてみないと」
私も私も。
下級の女中はみんなシアナについて行く勢いだった。
隅で腕を組んで両目をぎょろぎょろさせていたジャンヌが我慢できずに叫んだ。
「みんなしっかりしなさい!」
ジャンヌの叫びに侍女たちが目を丸くして彼女を見る。
ジャンヌは叫んだ。
「あれを全部演技だよ。シアナがどんなに賢くて悪辣なのか。お前たちも騒されているんだよ」
わずか数日前までは、下級侍女たちはジャンヌと一緒にシアナを罵った。
私たちを解雇すると脅迫するなんて本当に悪いと、やむを得ず命令は聞くが絶対に素直に従うことはないと。
しかし、それはいつの間にか過去の話だった。
ソフィーは最後に残ったパンをかじりながら言った。
「騙されても構わない。こんなによくしてくださるんですから」
ジャンヌの顔がゆがんだ。
まただよ。
シアナがまた人を魅了した!
ジャンヌが考えた絵はこのようなものではなかった。
シアナは途方に暮れる。
下級侍女たちが皆自分の言うことに従わないからだ。
結局、シアナはジャンヌのところにやってきて、頭を下げる。
自分を助けてくれと。
ジャンヌは鼻で笑いながらその言葉を断る。
シアナは結局自分の仕事がまともにできないし、中級侍女として不適格判断を受けることになる。
ジャンヌはくすくす笑って床に倒れ、すすり泣くシアナに言う。
[シアナのくせに私より先に中級の侍女になろうとするなんて。とんでもない!]
そのようにジャンヌはシアナの昇給をなかったことにしたかった。
見習いの侍女だった時代に感じた悔しさを返したかった。
ジャンヌは爪をかんだ。
(しかし、このままでは、シアナは問題なく中級の侍女になるだろう)
下の女中たちは数日でシアナに洗脳されてしまった。
あんなパンと肉が何だ。
「とにかくないものは仕方ないんだから」
ジャンヌは険しい顔でつぶやいた。
幸いにも自分の味方になってくれる人がもう一人残っている。
それも権力などない下級侍女たちと違って、シアナに中級侍女になる資格がないと言える人。
厨房の総管理を担当している中級侍女、オームだった。
「オーム様なら私の言うことを間いてくださるだろう」
ジャンヌはオウムを訪ねた。
もちろん、きらめく宝石がちりばめられたヘアピンを一つ持って行って。
予想通り、オームは明るく笑ってジャンヌを迎えた。
「あなたもまったく。なんでこんなものを何度も持ってくるの」
「父が送ってくれたものです。私の面倒を見てくれる方によくしなさいと」
「とにかく、売れっ子商人の娘は違うんだから」
オームは笑いながらジャンヌがくれたヘアピンを持って懐に入れた。
彼女の顔がめっきり上気していた。
さあ、雰囲気は作ったし・・・。
そろそろ本題を述べる番だ。
ジャンヌは暗い顔で言った。
「オームさん、私は最近とても大変なんです」
「なんで?」
「何を聞くんですか。当然、シアナのせいです」
「・・・」
オームもジャンヌの言葉のせいでシアナが好きではなかった。
それでシアナが来た日から注意深く見ていた。
少しでも間違えることがあれば、叱るために。
しかし・・・。
「シアナという子、心配していたのとは違って、仕事をかなり頑張っていたよ?キッチンに到着する食料品の状態がずっと良くなった。数量を間違えることもないし」
ジャンヌは一瞬、「何を言ってるんだ」と大声で叫びたかったが、我慢する。
(ここでうまくやらないと。この人を動かしてこそ、シアナを踏みにじることができる)
ジャンヌはやっと表情を整えながら言った。
「オームさんが勘違いしていらっしゃるんです。シアナがどれだけ仕事を適当にしますか。するなりしないなりです」
「そうなの?」
「はい。作業をきちんと終えなければ大きな問題になるのではないかと思って、私と他の下級侍女たちが絶えず苦労して、問題が出ないだけです」
ジャンヌは涙ぐんだ。
世の中で一番悔しそうな表情で。
オームはジャンヌをじっと見つめながらあごを掻いた。
「それにしては、他の下級侍女たちの評判もよかったよ?一様にシアナが仕事が上手だと言っていたし」
「ああ、それはシアナが下級の侍女たちの機嫌を取るからです」
「機嫌を取るなんて」
オウムの顔がこわばった。
ジャンヌはこの隙を狙って楽しそうに騒いだ。
シアナが残りの食料品を利用して下級侍女たちに食事を提供するという話だった。
もちろん、それ自体が間違っているわけではない。
使わなくなった残りの食料品をどうするかは、そこを管理する侍女の権限だった。
しかし、オームは不快感を覚えた。
中級の侍女は下級の侍女に線を引いて厳しくする必要がある。
(ところが、そんなに下級侍女の機嫌を取ったら、位階秩序がめちゃくちゃになってしまうのが目に見えているじゃないか!)
それだけではなかった。
シアナの行動は他の部署にいる侍女たちにも良くない影響を及ぼすことは明らかだ。
その話を伝え聞いた他の下級侍女たちが罪のないことを願うことになるだろうから。
私たちを管理する侍女さんもあんなものを施してくれないのかな、という。
「中級の侍女になったばかりの子がそんなことをするなんて」
オームのつぶやきにジャンヌはうなずいた。
「その通りです!」
「・・・」
「実力はないし、仕事をしたくないし、できることは、人の機嫌を取ることしかないからでしょう」
オームはもうシアナの肩を持っていなかった。
オームの顔はひどく荒くなった。
「もういいよ。全部、こっちに任せなさい」
ジャンヌは心の中できゃっきゃっと笑いながら言った。
「オーム様が日を決めてシアナに文句を言います。うまくいけば、シアナの中級侍女の昇級が取り消されることもあるじゃないですか」
もっともらしい言葉だ。
シアナは中級の女中教育を受けている。
何事もなく無難に過ごせば構わないが、大きなミスでも犯し問題が大きくなれば中級侍女資格が剥奪されたりもした。
オームが言った。
「・・・しかし、シアナは大きな過ちを犯していない」
下級侍女をよく食べさせるのは腹立たしいことだったが、シアナを叱る理由にはならなかった。
予想したかのようにジャンヌが言った。
「それが何の関係があるんですか?」
過ちを言わせればそれでいいものを。
ジャンヌの瞳はハイエナのように輝いていた。
オームを味方にしたジャンヌ。
一体何を企んでいるのでしょうか?