こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は53話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
53話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 中級侍女⑤
「すごい」
シアナは心から感心した。
シアナが割り込む暇もなく、下級侍女たちは速いスピードでネズミを捕まえたのだ。
まさに驚異的な狩りの実力。
「もうネズミを全部捕まえたようです」
しかし、状況が解決したわけではない。
ネズミがかき分けた食料品はすでにめちゃくちゃになっている。
一体これはどうしよう、と心配そうな顔をした侍女たちに向かってりんりんとした声が響き渡った。
「倉庫が騒々しいので来てみたら、これはどういうことだ!」
中級侍女のオウムだ。
突然のオウムの登場に驚いた下級侍女たちが、どうしても答えられずにぐずぐずする。
その時、ある侍女が前に出てきた。
いつの間にか来ていたジャンヌだった。
ジャンヌは大げさな声で言った。
「オーム様、大変なことになりました!夜の間に倉庫の中にネズミが入ってきて保管していたものがすべて傷みました」
オウムが呆れた顔をする。
皇居の中は高貴な人々が過ごす場所だ。
それで侍女たちはネズミや虫が出ないように徹底的に管理している。
食料品のあるところは言うまでもなかった。
ところで、ここに急にネズミが出てくる?
「いったい倉庫の管理をどうしたんだ!」
オームはそのように叫び、シアナを睨みつけた。
明らかな非難の目だ。
きちんと管理できなかったあなたの責任という。
「・・・」
シアナは両手を合わせて黙って立っていた。
そんなシアナを見下ろして、オームが言った。
「なんで何も言わないの?昨日までは堂々と言ったじゃないか。残った食料品を忘れようがしまいが、以前よりずっと仕事をよくしているから気にするなって」
「・・・」
「あんなに偉そうな顔をしていたのに、ほら。結局は私の言うことが正しいだろう?下級侍女たちを解放してくすくす笑うと、すぐにこの体たらくじゃないか!」
オウムは鋭く言い続けた。
「このことは中級侍女長に報告する」
中級侍女長は面倒な仕事を嫌がった。
彼女は大きな雑音なしに中級の侍女教育が終わることを望み、実際にも小さなミスくらいは見逃してくれたりする。
しかし、この程度のことなら、彼女も見過ごすことはできないだろう。
(私がこれまでの態度も問題が多かったとすれば、仕方なくシアナの中級侍女職を剥奪されるだろう)
それだけオームの発言は恐ろしいものだ。
近くでその姿を見ていたジャンヌは、口元をピクピクさせていた。
もうシアナに残された選択肢は、オウムにひざまずいて一度だけ見なかったふりをしてほしいと祈ることだけだ。
オームもそう思った。
しかし、シアナは2人の予想を完全に外れた言葉を言った。
「そうしてください」
「・・・え?」
「私が倉庫をきちんと管理できなかったのは事実ですから。しかし、その前にすべきことがあります」
それは各厨房に食料品を送ることだ。
今すぐ食料品を送らなければ、皇居全体の朝食準備に支障が生じるだろう。
そうなると本当に大変だった。
オームもそこまで状況がこじれることは望んでいなかったので、うなずいた。
「うん。ネズミが全部食べてしまったわけじゃないから、使える食料品を整理してみなさい」
きれいなものを選び、汚染された部分を切れば.食べることができるだろう。
量が少し少ないが。
しかし、シアナは断固とした声で話した。
「いいえ、倉庫の中の材料はもう使えません」
「え?」
シアナは真剣な顔で話し続けた。
「ネズミは全身に数多くの病気を持っています。そのため、ネズミが猛威を振るうところには伝染病が広がるのです。今倉庫にある食料品も同じです。目で見ると大丈夫だと思っていても大きな問題が生じることもあります」
「・・・」
オウムは目を大きく開ける。
思いもよらない言葉だったからだ。
オームは当惑した顔で言った。
「大げさに言うな。平民ではよくあることよ」
きれいな皇居とは違って、平民の家ではネズミが多かった。
しかし、ネズミが少しかじって食べても大きな問題はなかった。
少なくとも平民出身のオウムの経験ではそうだ。
シアナは彼女の言葉を否定しなかった。
しかし、納得したわけではない。
「オウムさんのおっしゃるとおりです。この食料品で作った食べ物を食べても大変なことになる場合はごく一部でしょう。しかし、その一部が皇族だとしたら?」
「・・・」
やっとシアナが言う言葉の意味に気づいたオウムの顔が固まる。
この食料品で作った料理を食べた皇族がお腹を壊したら事が大きくなった。
きちんと食料品を管理できなかったシアナの責任だけで終わらないほどだ。
「私はそんなふうに仕事を育てたくありません」
シアナの言葉にオウムは当惑した顔で叫んだ。
「君の言うことは理解した。でも、このまま食料品を一つも送らないと問題が深刻になるのは同じじゃないか!」
シアナはそれに答える代わりに振り向いて言った。
「心配しないでください。食料品は滞りなく送るようにしますから」
「え?」
オウムはとんでもない顔をしたが、シアナはもう彼女のことは気にせず倉庫を出ていく。
一刻も早くこのことを収拾しなければならなかったから。
「殿下」
ラシードは徹底的に無視した。
ラシードはよく朝寝坊をする。
体が望むまで寝てから起きなければならなかった。
「殿下」
もう一度自分を呼ぶ声が聞こえたとき、ラシードは殺意を感じた。
「まさか私の熟睡を起こすなんて正気じゃないね」
しかし、考えばかりだった。
相変わらず体は重かったし、睡眠は逃げていかない。
それでラシードは布団をぐるぐると巻いて、蚕の繭のように体を丸めた。
絶対に起きるつもりはないように。
でも・・・。
「殿下、シアナ様が参りました」
すっくと、ラシードが立ち上がる。
脱皮したばかりの蝶のように輝く顔に。
護衛騎士のソルはその姿を呆れた顔で眺めた。
「シアナ様が殿下に至急お願いしたいことがあるそうです」
ラシードはそれが何なのか聞かずにソルが渡したガウンを羽織った。
まだ日が昇ってもいない早い時間だ。
こんな時間にシアナが自分を訪ねてくるなんて。
何か深刻なことが起こったに違いない。
「中級侍女の教育を受けているところだったよね」
何か問題が起きたのだろうか?
よく分からないが、侍女たちの間で神経戦がすごいと聞いた。
もしかしたら、シアナはそのような戦いに巻き込まれて困難な状況に置かれているのかもしれない。
「傷ついた姿で涙ぐんでいるかも」
そこまで考えると、ラシードの足取りが早まった。
いつも余裕があった彼には見られなかった姿だ。
しかし、シアナの顔を見た瞬間、ラシードは自分が途方もない錯覚をしたことに気づいた。
シアナは全く泣いていなかった。
それどころか・・・。
「怒っているね」
ラシードの言葉にシアナは目を見開いた。
しかし、それだけだ。
シアナはその言葉に答える代わりに腰を下げる。
「あまりにも早い時間に勝手に訪ねてきて申し訳ありません、殿下」
ラシードは首を横に振りながら言った。
「大丈夫だから、私を訪ねてきた理由を言ってみなさい」
この時間にこのように急いで訪ねてきたほどなら、あれこれ話す余裕がないことは明らかだ。
シアナはためらわずに状況を語った。
「私が管理していた倉庫にネズミが入ってきて、今朝必要な食料品が台無しになってしまいました」
それでシアナはここを訪れた。
食料品保管所はシアナの管理下にあるだけではなかった。
序列の高い皇族はそれぞれ個人宮の倉庫に食料品を集めている。
そこまで思い付いたラシードは目を輝かせた。
だから私のところに来たんだ。
自分に助けを求めようと。
もしそういうことなら、皇太子宮の倉庫にある物を全部はたいてでもシアナにあげるつもりだった。
しかし、シアナはラシドの期待とは全く違うことを言った。
「殿下、皇太子殿下の食料品を私に売ってください」
ラシードは目を大きく見開く。
「売れって?」
「はい」
ラシードはシアナが必要な食料品の量を知らなかった。
しかし、その量が少なくないということには気づいた。
それに皇居の食料品はすべて最高級だ。
それを買うなんて。
ラシードは呆れた顔で尋ねる。
「品物の値段がいくらなのか知ってそんなことを言うのか?」
「高いでしょう」
シアナが中級の侍女として働いてもらった給料を一銭も使わず、数年を貯めてやっとお金を払うことができるほど。
「よろしけれは後払いでゆっくりさせていただきます。少し時間がかかりますが」
唐突きわまりない言葉だ。
ラシードはシアナを見下ろした。
シアナは濃い緑色の制服を着ていた。
中級侍女の服。
しかし、それでも彼女は小さくてか細い。
丸い顔は女性よりは少女という言葉がよく似合うほど幼かった。
それでも彼女は強かった。
(助けてくれと言えばいいのに。そうすれば蹟躇なく助けてあげるつもりだった)
ラシードはそれだけシアナに好意的だ。
シアナもそれを知っているから、こんな早い時間に自分を訪ねてきたのだろう。
それでもシアナがラシードに寄りかかるのはそこまでだった。
そんな点が我慢できないほど愛らしくて・・・寂しい。
ラシードは、こんな感情は初めて感じた。
いや、自分の手を拒否する小さな動物たちには感じたことがあるが、人に感じたことは初めてだった。
ラシードは自分の心が呆気にとられて、「はあ・・・」と笑う。
シアナは肩を動かした。
(何だろう、あの意味の分からない笑顔は?)
食料品をあげたくないってことかな?やっばり私があまりにも無理をしたのかな。
今からでも「大きな失礼をして申し訳ありません」と述べ、皇太子宮を離れるべきか。
しかし、シアナの心配は杞憂だった。
しばらくしてラシードは喜んでうなずいた。
「持って行け。君が望むだけ」
シアナの顔が明るくなる。
「ありがとうございます!」
その後は一潟千里だった。
シアナはラシードが呼んだ侍女たちの助けを借りて必要な物を持って行った。
大きな荷車がいくつかいっぱいになるほどの量を。
シアナがそれを持って帰ってきた時、食材管理室の侍女たちは口を大きく開けた。
特に、シアナがこのまま逃げてしまったのではないかと大騒ぎしていたジャンヌは、さらに呆然とした表情を浮かべている。
ジャンヌが車を指差して聞いた。
「そ、それは何だ?」
「今日使う食料品だよ」
「それを知らないから聞くのではないじゃないか!それを全部どこで手に入れたんだ!」
シアナはその言葉に親切に答える代わりに侍女たちを呼んだ。
「みんな早く荷物を下ろすようにしなさい。一刻も早く整理して各厨房に送らなければならないから」
シアナの力強い声に呆然とした表情で立っていた下級侍女たちは「はい!」と答えながら慌ただしく動き始めた。
ジャンヌはとてもこの光景が信じられなかった。
一介の中級侍女一人が最高級食料品を、それもあれだけの量を一気に手に入れてくることは不可能なことだ。
(まさかシアナは魔法使いなんじゃないの?それとも・・・)
その時、ある侍女が近づいてきた。
同じ下級侍女のソフィーだった。
「何してるの、ジャンヌ。早く動いてちょうだい」
彼女はいらだたしい目つきでジャンヌを睨みつけ、すぐにジャンヌの手の上に小麦粉が入った袋をのせた。
息が詰まるほどおびただしい重さだった。
「これをどうやって一人で持つんだよ!」
ジャンヌは叫んだが、彼女を助けてくれる人は誰もいなかった。
ラシードにお金を返すあてはあるのでしょうか?
食料問題は解決しましたが、ネズミを放った犯人を捕まえることはできるのでしょうか?