こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は54話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
54話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 中級侍女⑥
「うわぁ、ついに終わった!」
下級侍女たちは安堵のため息をついて座り込んだ。
1秒も休まずに動いたおかげで、額には汗がだらだらと滲んでいる。
それでも一生懸命働いた甲斐があった。
各厨房に必要な食料品をすべて納品したのだ。
「わあ、本当に遅いと思ってビビったね」
台所の侍女たちは任務を果たせなかった侍女たちを叱っていただろう。
「仕事をちゃんとできないのか」と平手打ちを食らったのかもしれない。
「そこで終わりだと思う?減給されたり運が悪ければ解雇されることもあったわ」
それほど大変だった。
ある侍女が胸をなでおろして言った。
「シアナさんが上手く解決してくださって幸いね」
「うんうん、まったく」
他の侍女たちはうなずいてシアナを見る。
侍女たちの視線に気づいたシアナがにっこり笑う。
「みんなお疲れ様」
「・・・」
侍女たちは改めて驚いた。
いや、不思議だった。
シアナの外見は平凡だ。
いや、丸い目をした柔順な顔は、有能さとは程遠い。
しかし、そうではなかった。
シアナは並外れた能力を持っている。
ある侍女が好奇心を抑えきれずに尋ねた。
「シアナさん、いったいどうやって食料品を手に入れてきたんですか?」
シアナは少し悩んだ後、眉をひそめながら言った。
「貴重な方に助けてもらったの」
「・・・」
その言葉に侍女たちは大騒ぎになった。
広々とした皇居にこれだけの食料品をすぐに送ることができるような個人倉庫を持っている人は多くない。
皇帝、皇后、皇太子、皇太后、皇妃といった名前を聞いただけでもぶるぶる震える存在ばかりだ。
誰だか分からないけど、シアナの後ろにはすごい後ろ盾があるのは明らかだった!
予想していたよりもはるかに遠い。
「それに、快く手伝ってくださるのを見ると、シアナ様をとても可愛がっているようだ」
「そうだよ!」
上気した顔の侍女たちの間に一人だけが青白い顔をしていた。
ジャンヌだ。
シアナを導いてくれる人がいることは知っていた。
しかし、ジャンヌはそれを大したことではないと思った。
敗戦国出身の侍女なんかに本当の愛情を与える皇族はいない。
シアナに与えるのは中級の侍女の職級までだろう。
しかし、そうではなかった。
誰だか分からないが、シアナを心から大事にしていた。
それに気づいた瞬間、指先が冷たく冷め、背中から冷や汗が出る。
ジャンヌは唇をかんだ。
(この状態で私がシアナを苦しめるためにネズミを放した事実がバレたらどうなるの?)
それをシアナが私のことを可愛がる方に至ることでもしたら・・・。
考えただけでも息がぐっと詰まってきた。
ジャンヌは必死に首を横に振る。
(いや、絶対にバレるはずがない!)
昨夜、ジャンヌがしたことを誰かが見ていたら、とっくに話が出ていただろう。
今まで静かなのを見ると、誰も見た人がいないということだ。
だから、このまま口を閉じて過ごせばいい。
(そうすれば誰も私がそんな酷いことをしたという事実を知らないだろう!)
しかし、それはジャンヌの願いに過ぎなかった。
いつの間にかジャンヌの前に近づいたシアナが確信に満ちた声で話す。
「ジャンヌ、あなたがやったのでしょう?」
「・・・」
ジャンヌの心臓ががくんとした。
「何言ってるの!わ、私は昨夜早く寝た!倉庫の近くにも来たことがない・・・」
ワンテンポ後、ジャンヌは息を切らした。
あまりにも驚いてしくじりをしてしまった。
しかし、すでに覆水盆に返らずだ。
シアナがやっぱり、という目つきでジャンヌを眺めながら言った。
「私は『倉庸』の『そ』の字も言ったことがないのに・・・」
「・・・」
「やっばり君が昨夜倉庫にネズミを放したんだね、ジャンヌ」
ジャンヌの顔が青ざめた。
実際、シアナはこのすべてがジャンヌが行ったことだということを知っていた。
証拠や証人がいるわけではない。
様々な状況がそう教えてくれたのだ。
(突然私を呼んで、夜遅くまで小言を言ったのは)
急になぜかと思ったが、今はその理由が明確だった。
シアナをつかまえておいたのだ。
ジャンヌが事を起こせるように。
もしそのタイミングでシアナが倉庫を見に行ったら、ジャンヌの計画は失敗するだろうから。
それだけではなかった。
「今朝、侍女たちが倉庫に集まった時・・・」
侍女たちは、突然登場したネズミの群れを見て、呆れて驚いた顔をした。
でも、ただ一人。
ジャンヌだけが平穏だった。
いや、わざと笑いをこらえるように唇をびくぴくさせていた。
その顔からは計画したことがうまく進んでいるという謀略者の感じがした。
しかし、シアナはそれを問い質すことも、非難することもできなかった。
すぐに起こったことを収拾することが先だったからだ。
幸いなことに、すべての作業が順調に解決した。
(じゃあ、もう犯人を探す番だよ)
シアナは目を伏せる。
普段は子犬のようにおとなしい顔が傲慢な王妃のように威圧的だった。
ジャンヌは思わず後ずさりした。
「ち、違う!私は本当に違う。証拠もないじゃん!」
しかし、シアナはその言葉に巻き込まれる代わりに、別の言葉を切り出した。
「証拠は見つければそれでいい」
「え?」
「監察部に通報して、この事件をきちんと調べてほしいと言うよ」
「な・・・」
ジャンヌは目を大きく開けた。
監察部は宮殿で起こる大小のことを調査する部署。
彼らが決心して調査すれば、皇居の侍女1人が特定の時間に何をしたのか調べることは造作でもない。
「そうすれば、すぐに明らかになるだろう。昨夜倉庫の鍵を持っていた人たちの中に、確実なアリバイがなく、人知れずネズミを救った履歴がある侍女が誰なのか」
ジャンヌは唇をぶるぶる震わせた。
しかし、すぐにジャンヌは拳をぎゅっと握る。
(ふぅ、揺れることはない。シアナの言葉はほらだよ)
皇居は侍女に厳しかった。
侍女が大きな過ちを犯せば、それは侍女一人の過ちで終わらなかった。
その侍女をまともに管理できなかった管理侍女まで懲罰を避けることができなかった。
「だから君は絶対に監察部に通報できない。いたずらに仕事を育てて、一緒に罪を被りたくないから!」
ジャンヌは目を見開いた。
自分が心の中で考えていた言葉が耳元に聞こえてきたためだ。
ジャンヌは、先ほどの言葉を吐き出した人が自分ではなく、シアナだということを知った。
シアナはジャンヌを見下ろして言った。
「と思っているの、ジャンヌ?」
「・・・」
シアナは優しい声で話した。
「でもジャンヌ、それはあなたの勘違いだよ。何度も忘れてしまうようですが、私の後ろには高貴な方がいらっしゃるのよ」
「・・・」
「あの方は、私がこのような淫らな状況に巻き込まれるのを、しばらく見ていないだろう。だから・・・」
シアナはジャンヌの耳元でささやいた。
「食料品にあらゆる瓶を持ったネズミを解き、皇族の体を害そうとした天人空怒な罪の償いを受けるのはお前だけだ」
ジャンヌは大声で叫んだ。
「わ、私がいつ皇族の体を害そうとしたと言うの!私はただあなたを懲らしめようと・・・!」
「・・・」
シアナはジャンヌを冷たい目で見る。
周りでジャンヌとシアナの話を聞いていた下級侍女たちも同じだった。
彼女たちの目には明らかな軽蔑と敵意がこもっている。
やっとジャンヌはすべてが終わったことを悟った。
ジャンヌは床にひざまずく。
彼女は涙ぐんだ目でシアナを見つめながら言った。
「わ、私をどうするつもりなの?あの、本当に通報するんじゃないよね?」
「・・・」
シアナの返事のない姿がジャンヌの不安を高める。
ジャンヌには残っていた一抹の自尊心も得る余裕がなくなった。
ジャンヌは両手をささやきながら言った。
「やめてよ、シアナ。私が悪かった。わ、私たち同期じゃん。一度は許してあげられるじゃない」
ジャンヌには一抹の期待感があった。
シアナはいい人だ。
だから自分がこんなに手が足になるように祈るなら、きっと許してくれるよ。
予想通り、シアナはうなずいた。
「ええ」
「・・・!」
その瞬間、ジャンヌの顔が明るくなる。
(ほら!この子はやっばり・・・)
しかし、シアナの言葉はそれで終わりではなかった。
シアナは2人を見ていた別の侍女たちに向かって言った。
「ムチを持ってきて」
「・・・え?」
その言葉にジャンヌの目が大きくなる。
「な、何で。ゆ、許してくれると言ったじゃないか」
「申告をしないと言っただけよ」
実際、シアナは最初から通報するつもりはなかった。
ジャンヌの言葉通り、事が大きくなれば色々な面で状況が複雑になるためだ。
ジャンヌだけでなく、シアナ、そしてもしかしたらここで働く下級侍女たち皆が懲戒を受けるかもしれない。
「ややもすれは皆一緒に解雇される恐ろしい状態が起こるかも」、それが皇居という場所だ。
それで侍女たちはこのようなことが起きればできるだけ仕事を育てずに静かに解決したりした。
まさに今のように。
ある侍女が持ってきた長い鞭を手に持ったシアナがジャンヌに向かって言った。
「自分の義務を果たせなかった下級侍女に厳罰を下す」
棘のあるバラのように尖った冷たい声だ。
シアナも王族の人間。
優しいだけではないですよね。
ジャンヌを罰しましたが、オウムに対してはどうするのでしょうか?