メイドになったお姫様

メイドになったお姫様【58話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。

今回は58をまとめました。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【メイドになったお姫様】まとめ こんにちは、ピッコです。 「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となって...

 




 

58話 ネタバレ

メイドになったお姫様【57話】ネタバレ こんにちは、ピッコです。 「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。 今回は57話をまとめました。 ...

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 二日酔い

「・・・!」

シアナは目をこすった。

窓が一つだけある小さな部屋。

中級侍女の教育期間中に割り当てられたシアナの部屋だ。

小さな窓越しに昇ったばかりの太陽を眺め、シアナは飛び起きる。

「しまった! 遅刻だ!」

朝食前に作業を終えなければならないシアナにとって、遅刻は絶対に許されない。

もちろん、何か特別な事情が発生しない限り、シアナが来なくても下級侍女たちは問題なく作業を終わらせることができる。

長い間その場を守り続けてきた下級侍女たちには、それくらいの能力が備わっていた。

しかし、それとは別に、責任者はその場にいなければならないのだ。

シアナは急いで制服を手に取り、着始めた。

「やってしまった、やってしまった、本当に。」

昨日のことを思い返すと、一体どうなっていたのか分からない。

正確に言えば、お酒を飲みすぎたのだ。

何杯かビールをぐびぐび飲んで、酔いが回っていたことさえ気づかなかった。

自分の過ちだ。

シアナはひどく酔っていた。

昨晩の出来事が思い出せないほどで、こんな状況になったことが本当に恥ずかしかった。

服をすべて着終えたシアナは、そそくさと食材管理室へと向かう。

頭がずきずきして胃がむかむかする。

「これが噂に聞いていた二日酔いってやつね・・・。」

そう考えると想像していたよりもずっと苦しい。

ベッドに横たわって深く眠れば、世の中にこれ以上の幸せはないと思えるくらいだった。

しかし、侍女という身分にそんな贅沢は許されるはずもなかった。

 



 

食材管理室に到着したシアナは、ドアを勢いよく開けた。

「遅れてごめん!」

しかし、今すぐ働くべき侍女たちは、誰一人として仕事をしていなかった。

彼女たちは長いテーブルに座って、無心にお菓子をつまんでいる。

彼女たちはシアナを見ると、慌てて席から立ち上がり、90度のお辞儀をした。

「お越しですか、シアナ様。」

シアナは一体何が起こっているのか理解できず、目をパチパチさせながら尋ねた。

「みんな、何してるの? 仕事しないの?」

下級侍女の中にいたソフィアが答えた。

「今日は特別な休日です。だから、シアナ様も遅れていらしたんですね。もしかしてご存じなかったのですか?」

初めて聞く言葉に、シアナは目をしばたたかせた。

「特別な休日って何?」

「今朝、急いで命令が届きました。毎日休むことなく働いている宮殿の侍女たちがあまりにも大変そうなので、今日はみんな思い切り休むようにと。」

「・・・誰がそんな大胆な命令を下したの?」

ソフィアが答えた。

「ラシード皇太子殿下です。」

その言葉と同時に、ソフィアの後ろに座っていた侍女たちが涙をぽろぽろと流し始めた。

「彼の皇太子殿下は、厳しい命令を出すことで恐れられている方だと思っていたけれど、そんなことはありませんでした。私たちのような下っ端をこんなに気遣ってくださるなんて、なんてお優しい。」

「そうよね、本当にそう。」

「それに、顔も良いし、体格も良いし、戦いも強いし、お金も持ってる。」

「皇太子殿下、大好きです!」

突如与えられた休日に、侍女たちはラシードへの過剰な称賛モードに浸っていた。

「・・・。」

シアナはぽかんと口を開けて、侍女たちを見つめていた。

そんなシアナの元にソフィアが近づいてくる。

「お早うございます、シアナ様。朝食をお召し上がりください。」

ソフィアはシアナを空いている席に案内した。

すると間もなく朝食が運ばれてきた。

カリカリに焼かれたパンに、温かい蜂蜜茶、ほのかに湯気を立てるトマトスープ。

普段、侍女たちに支給されるパンと牛乳とは比べ物にならないほど高級感のある食事だ。

(これ、何なの?)

シアナは戸惑った表情で料理を見つめていると、ソフィアが口を開いた。

「皇太子殿下からこれらの料理も届けられました。侍女たちの朝食が貧相なので、しっかり食べるようにとのことです。」

隣にいた別の侍女が、唇を震わせながら言った。

「こんなに気を使ってくださるのはありがたいですが、ちょっともったいない気もしますね・・・。」

「これ、元気を出してもらうために送ってくれたのなら、お肉を送ればいいのに。これって栄養食じゃなくて、完全に二日酔い解消用の食事じゃない。」

侍女たちの言葉通り、用意された食事はどれも二日酔いを解消するのに役立つメニューばかりだ。

侍女たちは少し気まずそうな顔をして言った。

「もしかして昨晩、皇太子殿下がかなりお酒を召し上がったのではないでしょうか? 殿下が一杯飲んで、ずっと休む間もなく働いている私たちを哀れんでくださったんです。それでお休みもくださって、食事も送ってくださったんですよ。」

いや、昨晩大いに飲んだのは殿下ではなく、私だ。

(それにこの食事を送ってくれたのもそのせいだ。)

信じたくはなかったが、高い確率でシアナの考えが当たっていた。

シアナは目をぎゅっと閉じる。

(恥ずかしい!)

今回は一介の侍女のために、これほどの手配をしてくれるなんて・・・。

ラシードがこんなにも面倒を見てくれるなんて、自分が飲んだ酒のせいで恥ずかしい思いをしていることを考えると、彼の行動が異常に思えるというより、自分の行動が情けなく思えた。

「シアナ様、食べないで何をしているんですか。温かいうちにどうぞ。」

ソフィの声に反応し、シアナはおそるおそるスプーンを手に取る。

恥ずかしいものは恥ずかしい。しかし、お腹が空いているのは事実だ。

(まず食べて、そのあとまた恥ずかしがろう。)

少し赤ら顔になりながら、シアナはスープをひと口すくい取った。

その瞬間、目を大きく見開いた。

「これは・・・!」

温かいトマトが胃の中で穏やかに染み渡り、残っていたアルコールをさっぱりと洗い流してくれる感覚がした。

重たかった胃がすっきりと軽くなっていく。

(なるほど、これが解酒が大切だと言われる理由か。)

アルコール初心者のシアナは、新しい真実を知ったのだった。

シアナは唇をかすかに噛み締めながら、侍女たちを見つめる。

食事を取る侍女たちは会話を交わしながら、ほほ笑んでいた。

「・・・」

シアナは昨日の出来事を思い出した。

侍女たちが見守る中で、シアナは鞭を振り回してしまった。

それも100回近く。

最後には、杯を振り上げる腕が痺れるほどの苦痛に耐えながらも、しっかりとそれを成し遂げたのだ。

その瞬間の下級侍女たちの表情は、今でも鮮明に覚えている。

彼女たちは、杯を恐る恐る握りしめ、シアナを見つめていた。

(これで今日から私に対する態度が完全に変わるだろうと思ったのに。)

初めは予想通りだった。

シアナが現れるや否や、下級侍女たちはすぐさま立ち上がり、深々と腰を90度折ってお辞儀をした。

以前とは違って、雰囲気が少し変わったように見えた。

しかし、それだけだった。

侍女たちは相変わらず明るく、ぺちゃくちゃとおしゃべりをしていた。

「・・・みんな、私が怖くないの?」

シアナの小さなつぶやきが侍女たちの間に静けさをもたらした。

侍女たちは話を止め、シアナを見つめる。

妙な緊張感の中で、ソフィが口を開いた。

「実は昨日、シアナ様が鞭を振り回している姿を見て少し驚きました。シアナ様はいつも私たちに優しくしてくださるので。」

「・・・」

「でも、それにはそれなりの理由があったんですよね。」

鞭を振り回すのは大きな過ちを犯した場合に対する厳罰だった。

そのまま見過ごすには重大な罪であった。

「シアナ様がなぜ監察部に通報せず、直接罰をお与えになったのかもわかっていますよ。」

問題が大きくなると、杯の罰だけでなく、彼女たち自身も・・・。

きちんと管理できなかったシアナ、そして彼女の罪を防ぐことができなかった罪で他の下級侍女たちまで巻き込まれて罰を受ける可能性があった。

「明確な理由があって、それ相応に厳しく叱ったのです。無意味に怖がらせたり、威圧したりするわけではありません。」

シアナは感心しながらソフィと下級侍女たちを見回しながら言った。

「みんな賢いね。」

シアナの褒め言葉にソフィと下級侍女たちは微笑んだ。

「これでも皇宮の侍女ですからね。どれだけつたない下級侍女だとしても。」

控えめな言葉に、シアナもつられて笑う。

しかし、この事件がそのままハッピーエンドで終わったわけではなかった。

「ジャンヌの状態はどう?」

「足の傷がひどいです。血は止まりましたが、完治するまでには少し時間がかかりそうです。」

ソフィは視線を落としながら続けた。

「とりあえず今日は休むことができて幸運です。そうしなければ、震える足で仕事に取り掛からなければならなかったでしょうね。」

シアナは目を伏せた。

鞭打ち100回を容赦なく下した。

(時間が経っても治らないほどの傷になるだろう。)

しかし、シアナはジャヌに安易に休みや慈悲を与えるつもりはなかった。

そう言った瞬間、ジャヌは誤解をすることになるだろう。

悪いことをしたのにすぐに許されるなら・・・またやってもいいのではないか?

そんな考えを抱かせるつもりはなかった。

(罰を与えるときは確実にしなければならない。)

シアナは冷たく言い放った。

「傷が癒えるまでの間、しっかり反省しなさい。そうしなければさらに罰を受けることになるから。」

可愛らしい顔立ちに似合わない厳しい言葉に、ソフィは唾を飲み込んだ。

シアナはトマトスープの一杯を全部飲み干した。

一緒に出された揚げパンと蜂蜜茶には手が伸びず、口にしなかった。

(二日酔い解消用の食べ物にも好みがあるのね。)

シアナは一つの事実を再認識しながら席を立った。

シアナはテーブルを囲みおしゃべりを楽しむ下級侍女たちに言った。

「私は先に行くから。みんなもゆっくり休んでね。皇太子殿下がくださった特別な休日なんだから。」

「はい!」

元気な侍女たちの声にシアナは少し微笑んだ。

『はあ、頭が痛い。』

トマトスープを飲んでむかついていた胃は多少楽になったものの、頭痛はまだ治らなかった。

(二日酔いって思ってたよりも辛いものなんだ。早く部屋に戻って横にならなきゃ。

 



 

力なく歩くシアナの前に誰かが現れた。

厨房の侍女、オムだった。

シアナは目を細めた。

(一昨日の夜、ジャンヌが倉庫で一袋の米をばらまいていたとき、オムが私を呼んだ。まるで私が倉庫にいるのを見計らって注意するために呼び出したかのように。)

昨日の朝にはタイミングよく現れ、シアナに向かって怒鳴りつけた。

「シアナが倉庫管理をきちんとしなかったからこんなことが起きたんだ」と、中級侍女長に告げるようにと。

シアナは今や理解していた。

(オムはジャンヌの共犯だ。つまり、共犯者ってわけね。)

しかし、罪が明らかなジャンヌとは異なり、オムには罪を裏付ける確固たる証拠がなかった。

結果的に、彼女の行動がシアナを困らせる以外の目的を持っていなかったことを証明するものは何もなかった。

(だからジャンヌが事件の犯人であることが明らかになったのよ。)

シアナの行動は、侍女たちが事件を解決するために密かに選んだ方法だったが、厳密に言えば、宮中の規律を破るものでもあった。

そんな中、オムが現れたのは疑いを晴らすためなのかと考えていると、オムがシアナの両手をぎゅっと掴んだ。

「昨日のこと、本当にごめんなさい!」

「・・・え?」

予想外の態度に、シアナは目を丸くした。

オムは真っ白な顔で続けた。

「昨日、下級侍女たちから事件の全貌を聞いたの。ジャンヌがあなたを困らせるために起こした事件だったなんて。なんて卑怯なやり方なの!」

「・・・」

「私は愚かにもそれさえ知らずにあなたに近づいてしまった。もっとちゃんと調べるべきだったのに。」

シアナは当惑した。

(急にどういうこと?)

やがてシアナは、彼女の行動が一日で変わった理由に気づいた。

「こうやって謝罪するから、だから君の背後にいる方々には私について何も言わないで。お願いだから。」

これだったのだ。

(私の背後にいるという噂の権力者のせいで。)

その方に走っていって「オムが私をいじめていました!」と訴えられるのを恐れたのだ。

(実際、その話は少し誇張されていたけど。)

もちろん、シアナは一介の中級侍女でありながらも親しい間柄にある王族が多かった。

常に自分のそばにいようと追いかけてくるアリス公女、親しいとはいえないが、どういうわけか縁のある皇太后といった人物たちが毎回彼女と会うときには感謝の笑みを浮かべるアンジェリーナ皇后。

そしてまた・・・。

(決定的に、この皇宮で最も影響力のある人物の一人である皇太子ラシードは、私を可愛がっている。まるで自分が飼っている小動物のように。)

しかし、シアナは侍女生活の中で、彼らの権力を積極的に利用して自分の利益を得ようとは考えていなかった。

シアナは、権力者の寵愛を当てにして傲慢になる人々がどれほど愚かなのか知っていたからだ。

だが・・・。

(私を利用しようとした人々に対して厳しくするのは構わない。)

シアナが腕を組み、目を伏せる。

純粋だった少女の顔が一変し、冷ややかな女性の顔つきへと変わった。

その変化を感じたオムは肩をびくりと震わせた。

しかし、オムは諦めずに両手を組み、問いかけた。

「ゆ、許してくれるの?」

「そうですよ。私の気持ちを察してみれば、私を大切にしてくださる方が無駄に心配しないように、ということです。私の表情を見て『誰があなたをいじめているの?』と聞かれるかもしれません。まあ、それでどうします? 素直に答えるべきでしょう。」

「・・・!」

オムの顔は一気に青ざめた。

オムはシアナの手を握り、叫んだ。

「シ、シアナ、私が本当に悪かったわ!」

シアナは呆れた表情でオムの手を振り払い、言った。

「分かりましたから。」

「で、本当に私のことを話すつもりじゃないですよね? ね? シアナ様!」

オムは泣きそうな顔でシアナにすがりついてきた。

シアナはそれを無視するように無関心な表情で歩き去った。

胸がすっきりした。

 



 

 

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