メイドになったお姫様

メイドになったお姫様【72話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【メイドになったお姫様】まとめ こんにちは、ピッコです。 「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となって...

 




 

72話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 苦い過去④

「……幸せだった、と?」

シアナとシュシュは目を丸くして聞き返した。

グレイスが小さく頷いて答えた。

「そうよ。」

「……。」

「幸せを超えて感動すら覚えたわ。アイザック様のために。他の人たちもみんな驚いて見ていた。ジュリアもそう。」

グレイスは、まだあのとき見たジュリアの表情を忘れることができなかった。

いつも目の前で笑っていたジュリアが、初めて本当の感情を見せた。

予想もしなかった相手に、自分を敗者として見せたその顔。

グレイスは話を続けた。

「それで、すべてがハッピーエンドだと思っていた。」

でも、そうではなかった。

幸せだったのはその夜だけだった。

王宮に戻ったグレイスは、ものすごい空虚感に襲われた。

宴会場で食べた料理のせいだ。

少しだけ食べようと思っていたのに、一度味わうと我を忘れて夢中で食べてしまったのだ。

ドキドキと心臓が高鳴った。

すぐにでも元の姿に戻ってしまいそうな気がした。

ふっくらしてぎこちなかったあの頃のまま。

その姿を思い出した瞬間、人々の様子が目に浮かんだ。

「公女様は美しい」と言いながら、嘘の言葉を口にする侍女たち。

くすくすと笑いながら私を嘲笑する少女たち。

……そして難しい顔をしているアイザック。

その瞬間、込み上げる嫌悪感が胸を突き上げた。

「うっ……!」

グレイスは嘔吐した。

豪華なカーペットの上に吐しゃ物がぶちまけられた。

グレイスはお腹を押さえた。

先ほどまでの膨満感がすっかり消え去っていた。

お腹にあったものをすべて吐き出したのだから、当然のことだった。

汚れた吐しゃ物を見つめながら、グレイスは笑った。

その時を思い出しながら、グレイスは言った。

「安心したわ。」

「……。」

「この方法なら食べても太らないんだなって。」

その後、グレイスは普段より少し多めに食べた日には、意図的に嘔吐をするようになった。

最初は嘔吐するのが大変だったが、やがて何もせずとも、食べるだけで吐き気を催すようになった。

我慢できないほどに。

その話を聞いたチュチュが困惑した表情で尋ねた。

「では、もしかして、公女様は食事の時間にほとんど食べないのも……?」

「……あなたたちの前で嘔吐するわけにはいかないでしょう?」

「……!」

「失敗したら困るもの。人々の前ではほとんど食べなかったけど、特に問題にはならなかったわ。」

人々はグレイスが食べる量が少ないことについて、特に疑問を持つことはなかった。

むしろ小鳥のように少量を食べる姿が上品だと褒められた。

しかし、グレイスは小鳥ではなかった。

人間だった。

ちゃんと食事をしないと空腹になる普通の人間。

「……今まではよく我慢してきたけど、数ヶ月前からもう限界がきてるみたい。」

それでも昼間、人々の視線がある間はなんとか耐えられたが、夜になって人々の視線が消える瞬間になると理性が飛んでしまった。

そしてグレイスは一人でまるで飢えたように食べ物を探した。

「目につくものを片っ端から口に入れては部屋に戻って吐いた。それでようやく眠れるの。」

「……。」

「時間が経つにつれて食べる量が増えてきた。このままいったらいつか人々にばれるだろう。見つかるかもしれない恐怖はあったけど、止めることができなかった……あまりにお腹が空いていて。」

「……。」

シアナとチュチュは何も言えず、ただグレイスを見つめていた。

グレイスは隠してきた罪を告白するように、申し訳なさそうに口を開いた。

「でも、もう限界なの。食べ物を口にする瞬間、まるで本能が消え去ったみたいになるし、食べた後に太るんじゃないかという恐怖から吐き出すこともやめられない。」

「……。」

「助けてほしいの。」

グレイスは皇女だった。

皇女は決して侍女に助けを求めたりはしない。

しかし、今この瞬間だけは、その体面すらも保てる余裕がなかった。

それほどまでに、グレイスは追い詰められていた。

「……。」

グレイスを見つめるシアナとチュチュの表情は、深い戸惑いと悲しみを浮かべていた。

チュチュが彼女をしっかりと抱きしめる。

普段なら侍女が勝手に皇女の体に触れるなど許されることはない。

しかし、不思議なことにグレイスはそれを咎める気など全く起きなかった。

それほどチュチュの腕があたたかかったからだ。

チュチュは震える声で優しく言った。

「これまで本当にお辛かったんですね。」

「……!」

「皇女様がこんなに苦しんでおられるのに、私は侍女として何も気づけませんでした。ごめんなさい。」

自分のことよりも、いや、自分の責任を超えて悲しむようなチュチュの言葉に、グレイスはそっと涙を流した。

『……本当に、この子はお人好しね。』

涙で赤くなったグレイスの目の前に、今度はシアナがやってきた。

シアナはチュチュのように涙を流すことはしなかった。

しかし、両手を組み、背筋をまっすぐ伸ばして立つその姿は、どこか毅然としていた。

他人の言葉を特に気にする必要はないようなタイミングだった。

しかし、グレイスはその状況に納得できなかった。

なぜなら、シアナが目を輝かせながら話したからだ。

「辛いお話を正直にお聞かせいただき、ありがとうございます、皇女様。私が持てる全ての力を尽くしてお助けします。皇女様は必ず、その苦しみから抜け出せます。」

確信に満ちた表情で。

 



 

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