こんにちは、ピッコです。
「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。
今回は162話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
162話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ムーア伯爵夫人のお茶会③
そのまま応接室の会話が再び始まった。
ティーパーティーの会話が途切れてはいけない。
ムーア伯爵夫人は少し高揚した声でミルドレッドに尋ねた。
「バーンス夫人、バーンス嬢のティーパーティーでは興味深い話題がたくさん出たそうですね。少しお話を伺ってもよろしいですか?」
すると応接室の雰囲気がまた盛り上がる。
客たちは再び目を輝かせてミルドレッドに視線を向け始めた。
皆、バーンス家のティーパーティーで出された新しいデザートや目新しい話題、太陽光の輝きのような特別なものに関心を持っていたのだ。
「もちろんです。」
ミルドレッドは微笑みながら伯爵夫人に答える。
アイリスがどのようなアイデアを出したのかを話し始めた。
そして同時に、ムーア伯爵夫人の客をもてなすスキルが見事であることを認めた。
人々の関心はミルドレッドが話すモギ場や日除けに向かって集中した。
皆、自宅に戻れば庭の東屋に日除けを取り付けたいと冗談交じりに本音を明かした。
その中でプリシラだけが感情を抑え込みながら座っていた。
「急に招待したのにご参加いただいてありがとうございます。」
ムーア伯爵家のティーパーティーが終わり、客たちが席を立ち始めた。
ムーア伯爵夫人はそれぞれのゲストに感謝の意を伝えながらミルドレッドの手を握り、感謝の意を表明した。
「いいえ、それよりも私が変なことを言ってご気分を害されていなければ良いのですが。」
ミルドレッドは、ムーア伯爵夫人の深い感謝に対して謝罪を申し出た。
これはアイリスを守るための一言だったが、そのおかげでムーア伯爵夫人のきゅうりサンドイッチは半分以上残ってしまった。
ムーア伯爵夫人は裕福であるため、この程度で経済的な打撃を受けることはないだろう。
しかし、精心して準備した料理をゲストに拒まれるのは胸が痛むものだ。
伯爵夫人は、あきれた様子を見せない表情を維持していた。
ゲストが出された料理を手を付けないのは珍しいことだ。
さらに、それが自分の娘から始まったことだと考えていた。
「何を言っているの?最初に始めたのはうちのプリシラだったのよ。無作法な娘を持って申し訳ありません。」
あら、ミルドレッドの目が見開かれた。
伯爵夫人は娘がそんな風に振る舞うとは思ってもいなかったのだ。
ミルドレッドの反応に伯爵夫人は満足げに頷き、手のひらで汗を拭いながら安堵の息をついた。
「私の娘だけど、とても特別な子なのよ。本当にあんなに野心的だなんて。実は今回の王妃候補にも私たちは反対だったの。プリシラがとても綺麗だけど、少し美しいだけで王妃になれるわけじゃないでしょう?」
少し美しいだけ?
ミルドレッドは今回も言葉を失う。
その間にも伯爵夫人が話すプリシラの姿を彼女は観察した。
プリシラは確かに美しかった。
誰が見ても美人と言えるほどの外見だ。
しかし、伯爵夫人はその娘の美しさが「少し綺麗」程度であり、王妃になるには至らないと述べているようだった。
まさか慎ましやかな謙遜?
ミルドレッドはどう反応すべきか分からず、混乱している間に伯爵夫人は声を低くして言った。
「私たちの考えとしては、王妃の座は既にクレイグ嬢に内定しているのではないかということです。だって、クレイグ侯爵夫人は王妃の侍女だったじゃないですか。」
「でも、内定しているなら候補者を選んで試験なんてしなかったでしょう。」
穏やかに反論するミルドレッドに、伯爵夫人はそうかしら、と言いながら微笑みを浮かべた。
「それに、クレイグ嬢は本当に美人なんですよ。話によると、幼い頃から王妃になるための教育を受けてきたそうです。分かりきったことですが、次の王妃はクレイグ嬢で決まりですよ。」
あたかも決定事項のような口調に、ミルドレッドは一瞬アイリスとプリシラを見た。
彼女の娘は王妃になるために努力している。
それをいかにして受け流すべきか、答えを見つける前にミルドレッドの頭の中は混乱していた。
「それは試験が終わってみないと分かりませんね。」
ミルドレッドの簡潔な答えに、ムーア伯爵夫人は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに納得した様子で息をつきながら言った。
「バーンス嬢を推薦した方がウィルフォード卿だとおっしゃるんですか?ウィルフォード卿でしたら王子の相談役でもあり、クレイグ嬢の対抗馬にもなり得るかもしれませんね。うちのプリシラも負けていられません。」
「でも、ムーア嬢もとても美しく才能のあるお嬢様ですよ。」
少し緊張が和らいだが、ミルドレッドは心の中でそう思いつつも微笑みを浮かべた。
ムーア伯爵夫人は客席を見回し、再び自分の娘を一度見た後、再びミルドレッドに視線を戻して口を開いた。
「少しは美しいですけど、それが全てではありません。主張が強すぎるのも問題です。女性があまりにも欲深くなるのはよくありません。プリシラが目立ち過ぎないか心配です。今回のことで目を覚ましてくれるといいんですけど。」
思いがけないムーア伯爵夫人の言葉に、ミルドレッドはその場で呆然と立ち尽くしていた。
時にこういった親もいるものだ。
我が子のすべてを背負い込む人。
ミルドレッドは十分に美しく、才能のあるプリシラに目を向ける。
アイリスと同様に、プリシラだって王妃になりたいと思うかもしれない。
誰しも自分にないものを欲しがり、それを得るために努力する権利がある。
その努力が他人を傷つけるものでないなら、ミルドレッドはどれほどでも応援するつもりだった。
しかし、ムーア伯爵夫人はそうではないらしい。
「ムーア嬢はきっと上手くやるでしょう。」
かろうじてミルドレッドが発した言葉はそれだけだった。
彼女はそう言い残し、ムーア伯爵夫人を一度抱きしめた後、アイリスを連れて馬車に乗るために扉を出た。
アイリスは近づいてきて感謝の挨拶をし、ミルドレッドと伯爵邸を出ながら控えめに口を開いた。
「ムーア伯爵夫人は、ちょっと・・・特別な方ですね。」
「そうかしら?」
「他の人にとっては良い人なんですけど、ムーア嬢に対しては少し厳しい母親のような気がします。」
そういう人は少なくない。
歴史的にも、世界的にも偉大な人物なのに、自分の子供を手放した親もいる。
ミルドレッドはアイリスにその話をしようと考えたが、やめた。
そして、ただアイリスの手を握りながらこう言った。
「人は多面的な存在よ。全ての人に良くすることなんてできないもの。」
子どもに対しては優しい人が、弟子には厳しかったり、自分の子には冷たかったりする。
それでも、自分が育てる動物には愛情深かったりするものだ。
「でも、ムーア嬢は伯爵夫人の実の娘でしょう。他人に自分の娘の悪い話をするのはちょっと・・・。」
アイリスは理解ができず、不快そうに言った。
他人でもないのに自分の子供を非難するなんて、彼女には理解できなかった。
そういう人もいるのだ、とミルドレッドは言おうとする。
その時、挨拶を終えて出たところで、ダーグラスが2人の乗った馬車に近づいて扉を押さえながら言った。
「バーンス夫人。今日ここで私に会ったことをリリー嬢には内密にしていただけますか?」
しばらくプリシラとムーア伯爵夫人の話題で雰囲気が重かったミルドレッドとアイリスの表情は曇ったままだ。
ミルドレッドは静かにダグラスを見つめながら言った。
「とりあえず乗りますか? 行きたい場所で降ろしますよ。」
彼はしばらく黙って考え込んでいたが、御者に次の目的地まで進むよう指示を出し、その後ミルドレッドの馬車に乗り込んだ。
「リリーには内緒にしろと?」
ミルドレッドの質問にダーグラスはどう返事をすべきか一瞬悩んだ。
以前リリーと会話を交わしてから、彼は一人悩んでいた。
フィリップに助言を求めたり、自分の母親であるケイシー侯爵夫人に相談したりもした。
そしてその相談の結果がこれだ。
「以前リリー嬢と会ったとき、彼女は自分は結婚に向いていないと言いました。」
ダグラスが話し始めた。
その言葉を本当に言ったの?
ミルドレッドとアイリスの視線が彼に注がれる。
ふたりは黙ったまま、何も言葉を発しなかった。
「彼女が絵を描くことを妨げることは望まない、と。ならば、彼女が絵を描き続けられるように、私ができるすべてを行ったらどうだろう、と考えました。」
それはどういう意味?
アイリスは理解できずに首をかしげ、ミルドレッドは驚きに目を大きく見開いた。
彼女は深呼吸をして言った。
「それは、貴族の夫人がするべきことをあなたが代わりにするということなのですね。」
「はい。」
ダグラスは静かにうなずいた。
その言葉の真意を悟り、アイリスの目が大きく見開かれた。
貴族の夫人がするべきこと。
それは、家を整え、使用人たちに給料を払い、仕事を指示し、財政を管理し、行事を催すことだ。
その行事の中には、今日彼らが参加したティーパーティーも含まれている。
「人々の話題に上るでしょうね。」
ミルドレッドの冷静な言葉に、ダグラスは少し笑いながら彼女の顔を見つめた。
彼の母親と同じくらいミルドレッドも心配そうな表情で彼を見つめていた。
それは誤解だった。
ダグラスは真剣な表情で言った。
「私の人生に影響を与えるようなことは、二度の婚約破棄で十分経験しましたから。」