こんにちは、ピッコです。
「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

188話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 3人の候補者⑦
その時、扉が開き、侍従たちがサービングカートを押して料理を運び始めた。
「クレイグ様を見かけなかった?」
私は侍従たちが料理を運んでくる様子に気を取られている間に、そっとアイリスに尋ねる。
彼女は器用にナプキンを広げながら答えた。
壁際で待機していた私は彼女をちらりと見やった。
「見ていません。」
「では、あなた一人で国王夫妻に会ったの?」
「はい。」
これはどういうこと?
私が戸惑っていると、再び扉が開き、従者が入ってきて告げた。
「ロレナ・クレイグ嬢でございます。」
当然のことながら、視線は一斉に食堂の扉に注がれた。
ロレナは真っ赤に染まった顔で息を切らしながら立っていた。
ああ、彼女がロレナだったのか。
赤みがかった顔にも関わらず、ロレナは非常に美しかった。
金髪に青い瞳。
もしアシュリーが清純な雰囲気を漂わせているなら、ロレナは少し意地悪そうな印象を与える。
もちろん、今の状況ではその意地悪さも何の役にも立たないだろうが。
「すみません、申し訳ありません。」
掠れた声で謝罪を述べた後、ロレナは急いでクレイグ侯爵の席に着いた。
一体何が起こったのだろう?
私は給仕が差し出す前菜を口にしながら、候補者たちの様子を探って事の成り行きを探ろうと努めた。
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「ドレスがとても素敵ね。」
ふいに響いた食器が触れる音がかき消えた静かな食堂で、王妃が口を開いた。
ドレス。
その言葉を聞いて初めて、私はアイリスを含む他の候補者たちが黒い布地で作られたドレスを着ていることに気づく。
城で支給されるように指定されたものだったのだ。
もし何か不備があれば予備のドレスを用意していたかもしれないが、その必要がないことにほっとした。
幸運なことに、ロレナとプリシラのドレスを見ると内心で微笑みを浮かべた。
どちらも胸元がきつそうだったのだ。
大きな宝石を飾り付けている。
ロレナのドレスは少しまともだった。
彼女はネックラインに合わせて同じサイズの宝石を飾り付けていた。
しかし、王宮で配られた布がどこに使われているのか気になるほど、ドレスには黒い布がほとんど見当たらなかった。
『まさか、アンダースカートが黒い布で作られているの?』
そんなことを考えたのは私だけではない。
国王がナイフで肉を切りながら、冷静に口を開いた。
「しかし、黒い布を使っていない者が二人もいるとはな。」
王の一言にプリシラの顔に笑みが浮かんだ。
正直に言えば、黒い布をそのまま使っているのは彼女だけなので当然だった。
ロレナとアイリスの顔も同時に強張ったが、アイリスはすぐに元の落ち着きを取り戻した。
「陛下がお授けになった服ですから、当然使わなければいけません。」
待っていたかのような無駄話をするムーア伯爵の言葉に、王と王妃の視線が彼に向けられたかと思うと、次にロレナとアイリスに移った。
私は半ば無意識にプリシラに目を向けた。
デザイン的に言えば、プリシラのドレスが一番目立たなかった。
黒い布を正しく使い、ネックラインを中心に胸元に宝石を飾っていたからだ。
その宝石も手のひら半分程度のサイズで、ほんの少しだけ飾られていた。
…まさか、あの大きな宝石が本物の宝石ではなく、ガラスなのでは?
プリシラの胸元に飾られた宝石のうち、大きいものはすべてガラスだった。
小さいものは本物の宝石だったが、驚くことに思ったほどそれほど不自然ではなかったのだ。
ロレナとアイリスのドレスと比べれば目立たなかったものの、それでもプリシラのドレスにあしらわれた色付きガラスの装飾は、ドレス全体の調和を損なうほどではなかった。
「ムーア伯爵はそう話しているのか。クレイク侯爵はどう考えるのか?」
好奇心旺盛な私は、興味津々になりながら目の前の料理を忘れてクレイク侯爵に向かってグラスを傾けた。
隣でダニエルがクスッと笑い声を小さく漏らしているのが聞こえた。
「もちろん、陛下が下賜された貴重な衣装ですから使用しなければなりません。娘は陛下の恩恵を最も身近に感じたいと思い、深い感謝の念を込めて安感に使わせていただきました。」
どういうわけかロレナの赤い顔色は時間が経っても薄れることがなかった。
夏用のドレスなのに安感をその布で作ったとしたら、夏に着るにはかなり暑いものになりそうだった。
おかげでロレナは目の前に置かれた冷たい飲み物をぐびぐびと飲み干していた。
「バンス家も安感として使ったのか?」
今度はアイリスに向けられた王の質問に、周囲の視線が一斉に彼女に集中した。
ロレナの心配そうな視線とは対照的に、クレイクの反応は少し異なっているように見えた。
侯爵の視線は、まるでアイリスが叱責を受けるべきだと期待しているようだった。
しかし幸運なことに、アイリスはクレイク侯爵の辛辣な指摘にあまり動じなかった。
彼女は背筋を伸ばし、落ち着いた態度で答えた。
「いいえ、陛下。陛下から授けていただいた布をそのまま使用しました。」
「でも、ドレスの色が……」
青色だった。
アイリスのドレスは見る角度によって青色に見えた。
青い生地に小さな宝石やガラスビーズが飾られていた。
ロレナやプリシラと比べると、明らかに少ない量だ。
さらにサイズも小さく、アイリスが動いているときに光の加減で反射するか、よほど注意深く見ないと宝石があるかどうかわからない程度のものだった。
「控えめですね。」
控えめな言葉で感想を述べたのは王妃だった。
王妃は王の腕を軽く握りながら、興味深そうな表情を浮かべていた。
王が私を一度見つめてから再び笑顔で問いかけてきた。
「控えめだと?」
驚いたような王の質問に、私は微笑みながら返答した。
食事中なので座ったままで、他の人々にはアイリスの上半身しか見えないだろう。
控えめという言葉にアイリスは身を少し縮めた。
彼女が先ほど入場した際、ドレス全体を目にする機会があったかもしれないが、彼女は王と王妃の後ろにいたため、誰もじっくりとドレスを見ることはできなかっただろう。
「アイリスが立ってお見せしてもよろしいでしょうか?」
私の提案に、王は軽くうなずきながらナプキンを置いた。
当然、そばにいた使用人が素早くアイリスの椅子を後ろに引き、彼女は優雅に礼をしながら立ち上がった。
「おお。」
国王が不思議そうに興味を示し、王妃が面白いと言わんばかりに微笑みながら拍手した。
アイリスのドレスは青からグラデーションになった色合いを見せていた。
首回りに近い部分は鮮やかな青だったが、裾の方に向かうにつれて黒に近い色が徐々に混ざり合っていた。
全体的に見ると見事だった。
首元の側には青い刺繍が細かく施され、裾の方には黒い刺繍が花を撒いたような模様を描いていた。
「美しい。」
王妃はアイリスのドレスを見つめながら感嘆の声を漏らした。
その言葉にアイリスの頬が少し赤らんだ。
「まるで花のようでもあり、夜そのもののようでもありますね。」
王の感想に王妃もうなずき、扇をそっと閉じた。
その時、クレイグ侯爵が興味を持ったように尋ねた。
「美しいですが、この宝石はどこで使われているのでしょうか?気になりますね。」
それが指摘されると思っていた。
私は穏やかに笑う。
ロレナとプリシラは城で受け取った宝石を首飾りにしたり、衣装の胸元を飾る装飾に使っていた。
しかし、アイリスの衣装には胸元に小さな宝石が装飾されている以外、城で渡された豪華な宝石は見当たらなかった。
他の人々もアイリスの衣装のどこに宝石が使われているのか探し始めた。
するとムーア伯爵が指をさして言った。
「まさか、バンス家では宝石を紛失してしまったのでしょうか?」
「そんなことがあるはずがありません。バンス夫人のセンスは皆が期待しているものですから。」
ここで、本当に宝石を失くしていたなら、非常に気まずい空気になるところだった。
幸い、何かしらの解決策があると感じられる表情だった。







