こんにちは、ピッコです。
「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

193話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 試験の結果④
「それでは、そろそろ出発しましょうか?」
フィリップが立ち上がり、リリーもそれに続いた。
私は彼女のドレスの裾を整えてあげながら、耳元でささやいた。
「楽しんできてね。でも、くれぐれも気をつけて。」
「はい、お母さん。心配しないで。」
リリーは明るく答え、フィリップと共に部屋を出て行った。
その背中を見送りながら、私は少しだけ胸の奥に不安を覚えたが、彼女の成長を信じて見守ることにした。
これに怒るべきか、それとも笑って流すべきか迷った。
私は目を閉じてから彼に向かってこう言った。
「リリーが困ったことにならないよう願っています。」
「もちろんです。そんなことは決してありません。私はリリーを…」
リリーを?
フィリップが言葉を発しかけたが、途中で言葉を止めた。
横に座っていたリリーが急に立ち上がり、尋ねた。
「時間は大丈夫ですか?遅れてしまうのでは?」
「うん?ああ、そうだね。」
フィリップは慌ててポケットから時計を取り出し、時間を確認した。
そして私に小声で言った。
「ちょっと、リリーの気持ちをどう思うか教えていただけますか?」
だが、質問する間もなかった。
フィリップはリリーに腕を差し出し、彼女がその腕に手を置くと、二人は一緒にその場を去っていく。
もしかしてリリーはケイシー家の男性たちに人気があるのだろうか?
私は少し戸惑いながら、ケイシー警部が立ち去る様子をじっと見守った。
そしてふと気づき、背後にいたジムに声をかけた。
「もしかしてケイシー卿とリリーの間に何かあったりしましたか?」
「ダグラス・ケイシー卿のことですか?」
「いいえ、フィリップ・ケイシー卿です。」
ジムの顔に一瞬、不思議そうな表情が浮かんだが、すぐにそれは消えた。
彼は軽く笑って答えた。
「いえいえ、お二人は年齢差もありますし、意見交換が時々激しくなることはありますが、全て絵に関する話でしたよ。」
どうやら私は余計な心配をしていたらしい。
私は書類を手に取りながら、自分の思考を切り替える。
そして、手元の手紙に返事をしつつ、ビヌ工房をどうするか計画を立てるべきだと思った。
「リリーはもう行ったの?」
書斎に入ると、アイリスが私に近寄って聞いてきた。
先ほど行ったと答えようとしたが、彼女の手にクッキーが握られているのに気づいた。
甘い香りが漂っていた。
「さっき、ケイシー卿に渡すために焼いたの?」
「はい、カフェに行くんですって。」
カフェでもクッキーを売っているだろう。
でも、アイリスがカフェに行ったことがないと気づいた。
そして私も。
別の世界では、私はそちらのカフェに行ったことがある。
しかし、この世界のカフェには行ったことがない。
どうだろう。
私の記憶の中のカフェは、雰囲気の良い照明と快適な椅子、そして種類豊富な飲み物を特徴としていた。
この世界のカフェもコーヒーを売っているだろう。
いつかダニエルと一緒に行ってみるべきだと思いながら、私は机の前に腰を下ろした。
「いや、ブイさんのギャラリーに場所を変えたんだ。そのクッキーは私にくれると言って行ってくれればいいわ。」
「召し上がりますか?」
「うん。あの子にお茶を一杯持っていくように伝えてくれる?」
「手紙を書くんですか?」
アイリスがトレイに入ったクッキーを机の上に置きながら尋ねた。
それを見て、私は食べるには量が多すぎると感じた。
2枚だけ残して持って行こうと思ったが、彼女の視線を感じて言葉を飲み込んだ。
「うん、おばさんに手紙を書く必要がありそうだ。」
人脈の広い人がいるというのはありがたいことだ。
そして、サンドラは確かに広い人脈を持っている。
このことを話すと、アイリスは興味深そうに聞いてきた。
「おばさん?何を作れるんですか?」
サンドラに最近連絡を取った理由が何かを想像すると、アイリスの推測はかなり的を射ている。
しかも今回は依頼しようとしているのは確かだ。
私は手紙と一緒にカステラも一つ送るべきだと考え、こう言った。
「慈善活動のためだよ。君も慈善活動をしなくちゃいけないだろう?」
今回の試験が慈善活動に関係していることを忘れたのだろうか?
そう思いながらアイリスを見つめると、彼女の表情がどこかぎこちないものになっているのに気づいた。
なぜそんな表情をしているのだろう?
私はサンドラから受け取った手紙を取り出してもう一度読み返した。
以前、城から戻ったアイリスについて、試験問題が慈善活動に関連していること、そして彼女がどのような慈善活動に参加するべきかについて話し合うための手紙が送られてきた。
その答えがこれだ。
サンドラの手紙によると、未婚の貴族の娘たちは主に必要な物資を購入して配る活動をしているということだ。
結婚した夫人や母親がいない家の令嬢であれば、簡単なパーティを開いてオークション形式で寄付金を集めることもあるらしい。
サンドラはオークションは私が主催するのが良いだろうと提案してきた。
その代わり、アイリスには親しい令嬢たちを集めてティーパーティを開き、慈善活動を一緒に行うよう勧めるべきだという。
うん、ティーパーティも悪くない。
でも問題は、それをこの家で開かなければならないということだ。
庭でやるには少し手狭だし、この際にレストランでもリモデリングするのはどうだろうか。
「なぜですか?」
アイリスが私の言葉に反応しながら、机の上に置かれた椅子に腰掛け、茶を持ってきたアナに目をやった。
私は気軽な気持ちでこう言った。
「うーん、どんな慈善活動をするべきか考えているところなんだ。」
「ああ。」
「何かあるんですか?」
「サンドラの慈善活動に参加するという選択肢と、令嬢たちと一緒に直接慈善活動を行うという選択肢がある。」
他にどんな選択肢があるだろう。
考えてみたが、正直なところ貴族の令嬢ができる慈善活動はそれほど多くない。
それにお金がなければさらに限られてしまう。
私はアイリスが何を考えているのか知りたくなって、彼女をじっと見つめた。
その時ちょうどアナが紅茶を持ってきたため、アイリスはアナからお茶受けを受け取り、私に一杯の紅茶を差し出してくれた。
「令嬢たちと一緒にするというのは具体的にどうやるんですか?」
「サンドラがやっているのと同じよ。友人たちを集めて慈善活動をしようと話し合い、どういう形でやるか相談するの。」
「それは私が一から十まで全部準備しなければいけないということですか?」
その通りだ。
私は扇を軽く動かしながら深く息をついた。
貧しい家の令嬢が裕福な家に嫁ぐときの苦労を思い出した。
貧しい家では経験したことのないことが裕福な家では当然のように求められる場合が多いのだ。
今のような慈善活動だけでも、私は若い頃に母に付き添って何度も経験した。
そして結婚前にはサンドラとともに他の令嬢たちと慈善活動を主催したこともある。
しかし、リベラ侯爵と結婚してからはそのような機会はなかった。
侯爵には余裕があったが、私はすぐにアイリスを妊娠したからだ。
もしリベラ侯爵が亡くならなかったら、アイリスも今頃は大人たちの慈善活動に何度か参加していたことだろう。
サンドラが見守りながら自分自身で親しく付き合える若い令嬢たちと慈善活動を計画しているのだろう。
私がアイリスのために逃した数多くの機会が胸を痛めさせた。







