夫を味方にする方法【１００話】ネタバレ

慌てた様子を全く隠せずにいる私に向かって、アルフォンソが了解を求めるように微笑んだ。

「ああ、驚いた表情ですね。オメルタ公爵に申し上げたいことが、どういうわけかこうなりました」

ああ、そうなのね。

どういうわけか私の兄と向かい合って座って一緒にお酒を飲んだということですか？

図々しいのか、ただ元々メチャクチャだったのか混乱するね。

「この大会を見るのは初めてだったと思いますが、感想はいかがでしょうか？」

みんな何かに取り憑かれたのかな？

アルフォンソだけでなく、お義父さんもまた、手強い息子を誇っているようだ。

チェシアレはもともと鉄仮面だからといっても、今この組み合わせがとても奇怪だと思うのは私だけなのだろうか？

「想像以上に凄いです。・・・ただ私は怖くてどうしたらいいか分からなかったんです」

「うちの息子は心配することはありません。水の抜けた試合で落ちるような奴だったら、猊下が貴重な娘さんを行かせるわけがありませんから」

「叔父の眼差しを疑うわけではありませんが、私も正直義弟のことがちょっと心配でしたね」

お義父さんが知っているような口調で冗談を言うと、同じく気さくに打ち返すチェシアレだった。

そして、アルフォンソまで一緒に笑うではないか。

この人たち、もしかして気が狂いそうなくらい酔ったんじゃないの？

何を企んでいるのか分からないが、生半可に巻き込まれる気はない。

最小限の返事だけして可能なことを言ってはいけない。

それで私は生半可に笑っているふりをしながら、温かいバターロールを一つ手に取った。

「ところで、こんな凄く大きい城の女主人だなんて、ルビ、毎日緊張するだろう？」

「・・・うん」

「・・・褒めすぎですよ。南部貴族城の雄大さに比べると見窄らしいというか。そういえば、レンブラントのビシェリエ城も独特の様式で有名ではないですか？」

口の中いっぱいにパンが入っていてまともに答えられない私の代わりに、養父が割り込んできた。

これいに対し、アルフォンソがにこやかな顔で謙遜に首を横に振る。

タヌキたちが楽しく騒ぐ間、熱心に噛んで飲み込んだ後、バターロールをもう一つ取って半分に破る。

私は大変だから、話しかけるな、話しかけるな。

「ところで今回の旅程にエンツォ様が同伴されると思っていたのですが、残念ながら忙しいようですね」

エンツォが神聖ロマーニャの席に座っているという事実にチェシアレがどれほど歯軋りしているのか、アルフォンソは見当がついているのだろうか？

もちろん、チェシアレは悠々自適に答えた。

「来ると駄々をこねるのを父が何とか引き止めました」

「どうしてですか？」

「ご存知じゃないですか。あいつがここに来たら、必ず四方八方醜波を飛ばして、早く競技場の真ん中に投げられたかもしれませんから」

「ははは、相変わらず血気盛んなようですね」

その主張に私もある程度は同意するところではあるが、少なくともエンツォはお前たちのように終始陰謀ばかり企てる多重人格者ではない。

静かな悪口を飲み込み、残りのバターロールの半分を噛んで飲み込んだ後、今度は真っ白なパンを手に取る。

「それでも来たら良かったかもしれない。そうじゃない、ルビ？」

「うん」

このような時だけは、この大量の食べ物が本当にありがたく感じられる。

私がワインを一口飲んですぐに新しいパンを噛んでいる間、3人の目は徐々にぼうっとしていく。

甚だしくはチェシアレさえ何か非常に不思議なものを見るように私を眺め始めるのだった。

「ルビ、お前・・・、すごくお腹が空いていたんだね」

「うん・・・」

「ああ、そうか。緊張してまともに食べられなかったのだろう」

「パンばかり食べずに他のものも食べなさい。私たちは手を出さないから」

それはとても優しい言葉ですね、お義父さん。

私はただ、あなたたちと話したくなくて口の中を空けないだけです。

再び笑いが爆発する中、私もまた照れくさそうに笑うふりをしながら、潰したジャガイモと肉で中身を詰めたパイ皿を引き寄せる。

包丁で切らずにスプーンだけで掬って食べる北部式パイ。

心の知れない養父は一瞬私に何か質問を投げかける勢いだったが、私が北部の気象が込められたパイを大きく食べる姿を見て、すぐに私の兄に矢を向けた。

「はは、北部の食べ物が口に合うか心配だね」

「心配しないでください。こう見えてもグルメが趣味なので。公爵は南部を訪れたことがありますか？」

「若い頃に何度か、運よくクリスマスシーズンに訪れた記憶が・・・」

私が狂ったのか、みんなが狂ってしまったのか分からないが、思う存分仲良く遊びなさい。

元々いつも私以外みんなそうだったから。