こんにちは、ピッコです。
「夫を味方にする方法」を紹介させていただきます。
今回は166話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
死ぬ前に読んでいた本の中の悪女ルードべキアに憑依してしまう。
前世では養子となった家族から虐待を受けていたけど、ルードべキアも同じような境遇だった…。
しかも父によって政略結婚させられた北部最高の冷血な騎士イースケは原作で自分を殺すことになる夫だった!
小説の内容をすでに知っているルードべキアは、生き延びるために夫を愛する演技をするが…
ルードベキア:ルードベキア・デ・ボルヒア。本作の主人公。愛称はルビ。
イースケ:イースケ・バン・オメルタ。ルビの結婚相手。愛称はイース。
エレニア:エレニア・バン・オメルア。イースケの妹。愛称はエレン。
フレイヤ:フレイヤ・バン・ピュリアーナ。イースケの幼馴染。
ボルヒア:教皇。ルビの父親。
チェシアレ:チェシアレ・デ・ボルヒア。長男
エンツォ:エンツォ・デ・ボルヒア。次男。
ローニャ:ルビの専属メイド
166話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 許されぬ罪③
「悲鳴を上げたり、大声で助けを求めたりしても、何の役にも立たないでしょう。誰も聞けないでしょうから」
「何を・・・」
「公子妃もよくご存じじゃないですか、この国でアーリエンの立場がどうなのか。次の王位継承権を誰が引き継ぐ可能性が高いのかも。いいえ、可能性なんかじゃなくて、すでにあまりにも明白ですよね。北部はすべての生命体が日々生存を争わなければならない危険で強い土地です。この地にこそ、強い力と連帯は選択ではなく、生存手段です。ラン北部人がオメルタ公子夫婦を置いて、卑しい異教徒の血が混じった王女を君主として敬うわけがないということは、あまりにも明白ではないですか」
「そんなの・・・そんなの望んだことないです」
私も彼も一度も。
「公子妃様、公子妃様が当然そういう考えができる方じゃないということは知っています。でも、今すぐ望まないと言っても、いつまでもそういうことができるのでしょうか?時間が流れて状況が変われば、いつどうなるか分からないのが、人のことであり権力の版図です。すでに私のせいで国王に不満を抱いた方が多いということは知っています。どうにかしてオメルタ公子を擁立したがる勢力がうようよしているということも」
それでもイースケは、と割り込もうとする矢先に突然言葉がつまってしまった。
突然、先日ロムの洞窟の中での奇妙な会話が頭の中をかすめて通り過ぎたためだ。
あの時イースケが言った言葉と、ある決然たる決心によって燃え上がった目つきが・・・。
「まして、公爵様は誰よりも現王の糸を子供のようにする方です。公子の家族と友人が、同僚と戦友が皆前に出て背中を押すとどうなりますか?そんなに周りが煽っている中で、公子妃にもっと良いものをあげたいと思うと?私の目から見ると、公子はそれでも残る方です。そうなると私の娘は・・・私の娘の運命は明らかではありませんか?」
「たとえ、そんなとんでもないことが起こったしても、私たちは絶対に王女を・・・」
体がますます締め付けられる苦痛で鈍い感覚にかろうじて口を開けて吐き出すが、罪悪感と悲しみでごちゃごちゃに染まったレモン色の瞳に突然火が燃え上がった。
「公子妃様なら、そうおっしゃることができるでしょう。あの方たちが元々どんな人たちなのか分かるはずがないから、どれほと冷たくて怖い方々なのか分かるはずがないからです。オメルタ公爵は言うまでもありませんが、公子も公女もアーリエンに見向きもしませんでした。私は排斥されるのが当然だとしても、如何なる境遇になるか知っていながらこれ見よがしにあんな!そもそも彼らが少しでも違っていたら、今日のアーリエンの立場は今のようではなかったでしょう」
精神が混迷していく中でもイライラがこみ上げてきた。
あなたの夫がまともに対処できなかったその全ての責任を、今誰に転嫁しているの?
どうしてそれで彼らを責めるの?
家族の無惨で悲劇的な喪失を経験し、必死に淡々としたふりをして疲弊していた人々だが、各自のやり方で最大限病気にならないようにあがき、自らを武装させるのに忙しかった人々だが、その中であなたたちが犯したことまで責任を負うべきだったと?
いざあなたたちは傲慢な言い訳で何の努力もしない間に?
「まして公子妃はロマーニャのお姫様です。それもボルヒア家の。法王は、娘と婿が北部を治めることに何の異見もないでしょう。私は、私は本当にどうすればいいのかわかりませんでした。陛下はいつも心配するなとおっしゃるが、このままでは、うちの娘はいつか・・・。ところが、他でもない公子妃の実家が私に解決策を提示してくれたのです」
立ち上がった彼女はテーブルから退いて、行ったり来たりしてうろつき始めた。
その間、私の周りに正体不明の陰惨な黒い煙がもくもくと立ち上る。
正確には私の体に巻きついて私をぎゅっと握ったカの正体が姿を現していた。
「先ほども申し上げたように、私は過去のような儀式を勝手に行うことができない身です。洗礼を受けた者として悪魔の権能を借りた異教徒の詐術は許されない。それで本当に驚きました。あのバレンティーノ枢機卿がそのような提案を、異教徒の意識に目をつぶると言うとは・・・」
「何ですって?」
「今回一度だけ備式を行うなら、神聖ローマニャはこれからもずっとアーリエン王女に力を与える約束しました。私はどうしても断ることができませんでした。神が認めてくれるならアーリエンはこれから心配することがないから・・・。ただいくら私だとしても誰かをそんなに遠くに一気に送るのは難しいと言いました。すべての儀式には、それに相応する供え物が必要なんです」
「・・・」
「一人を動かすのに必要な供え物は、やはりもう一人ですね。誰かをそんなに置けないと言ったけど、その部分も解決してくれました。理由は私にはわからないことですが、むしろおかげさまで手間を省けるようになったと言いながら・・・」
首筋にひんやりとした感覚が伝わって、頭の中が真っ白に染まる。
さっきここに来る途中で出くわしたエンツォの姿が、最後に振り返りながら次々と手を振っていた晴れやかな姿が目の前でぐるぐる回った。
「あなたいったい何を・・・」
「少し前、ゴンパロニエがその場にいらっしゃいました」
「・・・」
「あの方に私物用のお茶をあげました。すみません。私も自分自身が酷いです。いつか地獄で死ぬ覚悟は終わりました。何も知らない陛下にも誠に申し訳ございません」
生贄用のお茶。
そして踊り。
ああ、エンツォが、エンツォが・・・。
「神が認める?法王が今これを・・・知っていると信じているのですか?」
「・・・」
王妃は答えなかった。
年老いた法王でなくても、その後を継ぐことが明らかに見えるバレンティーノ枢機卿の約束で十分だということか?
現在、法王の身辺に何かが起こったに違いない。
たぶんエンツォがここに着いてから、まだ外に出ていないくらいつい最近に・・・。
そうでなければ、チェシアレがこのような想像外の狂った仕業を敢行することができなかった。
地獄のつるのように私を縛り付けた黒い煙がますます濃く膨らんでいく。
窒息しそうな力が私を締め付け、徐々にどこかに吸い込まれていくような気がした。
地団駄を踏んでも、悲嗚を上げても無駄。
これがむしろ神聖だったら、あるいは魔物だったら抜け出す方法があったはず。
いきなり聞いたことも見たこともない異教徒の詐術だなんて、これがなんというどんでん返しなんだ!
「どうか・・・やめてください。これがばれたらあなただけじゃなくてアーリエンまで・・・」
「本当にごめんなさい。二度とお会いすることはないと思いますが、一生償いながら生きていきます」
明るいレモン色の目から涙が流れていた。
今本気で泣いてるのか!
涙が出るのかよ、この馬鹿げた王妃は!
どうしよう、うちの夫どうしよう!
うちの子たち、どうしよう!
私が悲嗚をあげているという事実さえまともに認知されなかった。
頭が容赦なくぐるぐる回って、何か渦の真ん中に落ちるような感覚が私を襲ってくる。
目の前の風景もまた、時空間が渦巻くようにくるくる回りながらぼやけていた。
四方が完全な暗黒になる直前に最後に感じられたのは、手首から燃えるような熱い痛み。
今までそこで黙々と着用者を守ってくれた何かが、自分に匹敵する邪悪な力に抵抗しようと努力して溶けてしまったような・・・いや、それは溶けてしまったのではなかった。
果てしなくどこか下に、下にくるくる回りながら墜落する間に、何かが手首の血筋に沿って流れてくるような奇怪な感覚だけが感じられる。
ついにドン、と天地が揺れるのか私が揺れるのか分からない衝撃音と共に暗黒の渦が止まった。
全身の感覚がゆっくり、とてもゆっくりと戻ってくる。
そして私が視野を回復した時、一番最初に私の目に入ったのは悪魔の濃い青い瞳だった。
「おかえり、ルビ」
チェシアレの甘い罠に加担した王妃。
生贄にエンツォが選ばれましたが、彼は大丈夫なのでしょうか?
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