こんにちは、ピッコです。
「夫を味方にする方法」を紹介させていただきます。
今回は187話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
死ぬ前に読んでいた本の中の悪女ルードべキアに憑依してしまう。
前世では養子となった家族から虐待を受けていたけど、ルードべキアも同じような境遇だった…。
しかも父によって政略結婚させられた北部最高の冷血な騎士イースケは原作で自分を殺すことになる夫だった!
小説の内容をすでに知っているルードべキアは、生き延びるために夫を愛する演技をするが…
ルードベキア:ルードベキア・デ・ボルヒア。本作の主人公。愛称はルビ。
イースケ:イースケ・バン・オメルタ。ルビの結婚相手。愛称はイース。
エレニア:エレニア・バン・オメルア。イースケの妹。愛称はエレン。
フレイヤ:フレイヤ・バン・ピュリアーナ。イースケの幼馴染。
ボルヒア:教皇。ルビの父親。
チェシアレ:チェシアレ・デ・ボルヒア。長男
エンツォ:エンツォ・デ・ボルヒア。次男。
ローニャ:ルビの専属メイド
187話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 夏祭りの幻想⑤
ぼんやりと口を開けているアイバンの表情を勝手に誤解したルーブが、あーと素早く付け加えた。
「ああ、もちろん今は違うよ」
「・・・いや、終わったことだというのか?」
「そうしないと大変なことになる」
肩をすくめて照れくさそうに笑うルーブだった反面、アイバンの表情はさらに奇怪に歪んでいった。
なんでこんな子がいるの?
「いったいいつ?どうやって?なんで?」
「変な質問だね。惚れるのに適当な時期や理由が必要なの?」
「君の言うことにしては非常に常識的だが、これまでまったく気がつかなかったからだ」
「まあ、強いて言えば、最初は霜の森からだったはずだ」
「家出騒ぎの時?」
「うん、正確には王妃様がトカゲの子と殿下が戦うのを止めた時」
本当にこんな子がいるよね?
アイバンはかろうじてうめき声を上げる。
「好みが独特だ、あなた・・・よくも今まで気づかなかったね」
「そりゃ当たり前じゃないか、人の妻だもの」
「それにしても・・・それが思い通りになることではないじゃないか」
「そうかな?とにかく勝手に心の整理をしたから、もう誤解するな。君が正直に言えと言って答えただけだから」
本当に本当にこんな子がいるのか。
趣向独特なものも足りなくて誰も知らないうちに一人で好きで誰も知らないうちに一人で終わらせて無駄に正直にして・・・。
もちろんそれで良かったが、もしこいつが顔に出してイースケが気づいたとすれば、どんな事故が起きたのか、アイバンはどうしても想像するのも嫌だった。
二匹の変人が痴情争いを?
何てことだ、エレンディルが粉になっても残っているだろう。
「そう、そうだったんだ・・・そうなんだ・・・。辛い話を出させてすまない」
「別に辛い話ではないけど」
「じゃあ、あなた、最初から今まで私たちが言うとおりに全部文句なしに一緒にした理由が・・・」
「そういうわけだ。もちろん殿下が怖いからだ」
「そもそも君が何を怖がるというのが非現実的に感じられるが」
「おい、俺がどんなに怖がりなんだ?」
そうしてしばらく沈黙が流れる。
葉タバコを取り出してゆっくりとこそこそするルーブは、実にあきれた裏事情を打ち明けた者らしくなく、あまりすっきりした表情でも苦々しい表情でもなかった。
「じゃあ、今回のことに志願した理由も・・・」
「勝手に誤解するなと今言ったはずなのに」
「誤解するのではなく、すべて終わったことだとしても、十分にあり得るからだ」
「・・・」
やっと輪郭が大まかにまとまり、得体の知れないもどかしさが少し消える感じだった。
アイバンはしばらく躊躇った後、再び声をかける。
今回は一層慎重に。
「ところで、あなた、目はどうしてそうなったの?」
ついでに間いてみることにした理由は、今ならなんだか全部素直に答えてくれそうだからだ。
それでも万が一怒ることに備えて謝罪の言葉を準備しているアイバンを、ルーブが呆れたという目つきで振り返る。
「あ・・・ごめん。失礼だったら・・・」
「別に失礼ではないのに、それが急にどうして気になったの?」
「だから、ただ急に、今まであなたについてよく知っていることがあまりないように見えたというか?もちろん言いたくなければ言わなくてもいいし、誰でも言い出すのがつらい過去が・・・」
「別に嫌なわけではない。つらい過去があるわけでもなく、大げさな事情があるわけでもない。エスゲルのように申告式が間違っていてそういうわけでもないし」
「おい、だから覆面歌王の噂は本当だったのか?それが可能だったって?」
いくら荒れていると知られている北部のパラディン、それもロンギヌス騎士団だとしても、皆貴重に育った貴族家の子弟たちだ。
したがって、申告式を行う若い新人たちにとって大きな事故が起きないように先輩騎士たちが徹底的に鋭意注視するのが慣習だった。
「知らなかったの?あの時、あの子をいじめていた先輩のやつが、小憎らしいやつだったんだけど、出産したばかりのアラクたちのうじゃうじゃの穴に、あの子を一人で入れて、夢の国へ旅立ったので・・・」
「狂った奴じゃないか、それ?あいつ、そうしてどうなったんだ?」
「ああ、殺した」
「・・・殺した?誰が?」
「私が。その時、目に怪我をしてこの有様になっただけで」
いや、そんなドラマチックな事情が!
アイパンは今まで口にした言葉をすべて拾い上げると心に決めては実に切ない目つきでルーブの革製の眼帯を見る。
「すまない、さっき私が言ったことは全部取り消そう。お前がそんなに義理の男だとは知らなかった」
「どういたしまして、私はその時エスゲルが誰なのかも知らなかった。誰かが私にバカな新参者一人が怪我をしたから診療所に連れて行って来いと言って行ってみたら、本当にバカなやつ一人がぼ一っとして座っていたよ」
「それじゃあ、あなたは一体どうして・・・」
「ただ、あの先輩の子が、そばで酷く申し訳ないふりをする顔が気になったというか」
「ああ、わかった。同族嫌悪だったということだよね?」
「そうかもしれない」
ルーブはにっこりと微笑んだ。
アイバンも同様ににっこり笑ってしまう。
なんでこんな子がいるの。
「顧問官のニックネームがついたのもその時から?理由は何であれ覆面歌王のやつが惚れるに値するね」
「気持ち悪いことはいい加減にしろ」
「気持ち悪いなんて、それなりに賛辞中なんだが?」
「賛辞って何の賛美・・・」
「ばーばー!」
ちょうど出発の準備を終えた問題の子供が職員たちに連れられて登場した。
すぐに分からない音を出しながら、近づいてきた子供を二人の北部人はしばらくぼんやりと見下ろす。
「どうしてしきりに私にくっつくんだ?」
「惚れたみたいだね」
渋い表情のルーブと違って、アイバンはなぜか笑いをこらえることができなかった。
しかし、ルーブが自分の足にしがみついた子供の襟首を片手でしっかりつかんで持ち上げたせいで、またもやはらはらした。
「えへへへ!」
宙ぶらりんにぶら下がった子供が四肢をバタバタさせながら笑い出す。
明るいみかん色の髪の毛が飛び散って青い目が輝いた。
ルーブは顔をそむけてアイバンを見た。
「こいつ、なんで笑うんだ?」
「お前がおかしいんじゃないか」
「生意気な奴だね」
「ただ好みが独特なようだから、あなたが我慢して」
ルーブはまだ首をかしげてそれを見ていた。
結局、父子2代にわたって臨終を見守ることはできないと判断したアイバンが出てきて子供をひったくる。
「この子息ができないじゃないか!」
「ああ、ごめん。ちょっと不思議で」
「また何がそんなに不思議だったんだ?」
「ただ、そうしてよく笑うのが不思議というか・・・」
真っ黒な片目になかなか見られない奇妙な表情が瞬く間に消える。
まるで誰かを思い出すような、もちろん刹那に過ぎなかったが。
アイバンは一瞬戸惑ったが、そのまま話題を変えてしまった。
「とにかく、こいつ、新しい家に連れて行ってくれれば、私たちの任務も終わりだと思う。この子も本当に苦労が多いね、親を間違えて」
「移したら誰も知らないだろうから、大丈夫だろう」
「そうだね、他の修道会といっても、そっちの底があまりにも狭くないとね。後見人が誰であれ、どこに住んでいようが知られるのは避けられないだろう。そこまでは私たちがどうしようもないので、言ってみても意味がない」
「そうなの?それは面倒になったね」
子供がルーブに懐くのも、彼の優しさに気づいたから?