こんにちは、ピッコです。
「夫を味方にする方法」を紹介させていただきます。
今回は194話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
死ぬ前に読んでいた本の中の悪女ルードべキアに憑依してしまう。
前世では養子となった家族から虐待を受けていたけど、ルードべキアも同じような境遇だった…。
しかも父によって政略結婚させられた北部最高の冷血な騎士イースケは原作で自分を殺すことになる夫だった!
小説の内容をすでに知っているルードべキアは、生き延びるために夫を愛する演技をするが…
ルードベキア:ルードベキア・デ・ボルヒア。本作の主人公。愛称はルビ。
イースケ:イースケ・バン・オメルタ。ルビの結婚相手。愛称はイース。
エレニア:エレニア・バン・オメルア。イースケの妹。愛称はエレン。
フレイヤ:フレイヤ・バン・ピュリアーナ。イースケの幼馴染。
ボルヒア:教皇。ルビの父親。
チェシアレ:チェシアレ・デ・ボルヒア。長男
エンツォ:エンツォ・デ・ボルヒア。次男。
ローニャ:ルビの専属メイド
194話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ちび王子様の夏③
ユリが言うには、私たちの宮殿にはいつも見張っている耳と目があるとのことだった。
カーテンで覆われたバルコニーや庭園さえも安心できない。
だから私たちのアジトは毎回場所を変えていた。
大人たちですら迷子になる迷宮のような離宮の秘密の庭園、暗い回廊のカーテンの裏、階段の隅、特定の時間だけ使える図書館の本棚の中、道具入れの奥、木の上などなど。
今日は階段の隅だった。
「一体どうやったの?」
「簡単だよ。ただその棚の中にあっただけ」
ユリは特に騒ぎ立てることもなく、胸に隠していた紙を取り出す。
ユリは本当に控えめな性格だ。
普段は私のライバルとして張り合うときもあるけれど、助けてくれることも多かった。
ユリは叔父様より叔母様に似ているから幸運だと思う。
でもよく見てみると、それはただの普通の紙で、正しい地図を持ってきたのかどうか疑わしくなってきた。
そんな大切な地図をこんなに簡単に子供に託すなんて本当に信じられない。
本当に見つけられるのだろうか?
普通、こういうのは壮大な冒険の末に簡単に発見されるものではないのか?
私とダニルの疑わしそうな視線を察したユリが、ため息をつく。
「見てみて。ここに誰かの顔がはっきりと書かれてる」
「うわ、本当だ。でも文字がすごく下手だね」
「うん、私よりも下手」
少し汚れた地図の上に、誰かが雑に書いた文字で「地下通路方面」と書かれている。
文字だけでなく、絵もかなり雑で、ぼやけた線がたくさんあり、判読するのが難しい状況だった。
それでも目を凝らして注意深く見てみると、「森の中」と「アジト」という単語を何とか読み取ることができた。
「アジト」だって? 大人たちにも私たちのようなアジトがあるのだろうか?
私たちは一瞬顔を見合わせ、少し驚いた表情を浮かべる。
それは秘密の軍事施設のことを言っているのか?
それともお父様やお母様だけの秘密の場所だというのだろうか?
ここがその場所なのだろうか?
「ところでダニル、君は最初にどうやってここについて知ったの?」
地図をじっと見つめていたユリが、突然何かを思いついたように尋ねた。
するとダニルは唇を尖らせながら答えた。
「話したくない」
「そんな言い方をすると怪しいじゃない」
「何が怪しいって?」
「だって君は秘密を話すのが苦手なタイプでしょ」
「僕は秘密主義者じゃない!話したくないのには、辛い思い出があるからなんだよ!」
「それが何だっていうんだよ、その辛い思い出って!」
ダニルは憤然としながら、自分が秘密主義者ではないことを証明しようと、自分の弟の命に誓って否定した。
しかし、ダニルが普段から弟に対して厳しく接しているのを見てきたため、その誓いにはあまり信憑性がない。
そこで彼は今度は、自分が赤ん坊の頃に世話をしてくれた孤児院の院長先生の墓に誓って主張を続けた。
そして、以前に彼のお父さんが森の中に行った時、彼が弁当箱の中に隠れてついて行こうとして、結果として大目玉を食らったことを話してくれた。
私はその理由がよく分からなかったので聞いてみた。
「なんでわざわざそんなところに隠れたの?」
「他に隠れる場所がなかったんだよ・・・。それに、その時の大人たちの話を聞くと、何かものすごい秘密の武器でもあるような感じだったんだ。しかも僕たちが生まれる前には、特に君の両親にとって、そこが思い出深い場所だったみたいなんだ」
「だから秘密の軍事基地でありながら、君のお父さんとお母さんの秘密のデート場所にもなっていたってわけ?」
「ちっ、全部ぶち壊してやるよ!」
さらに地図をじっくりと確認した。
地図の上にはあまりに雑で無秩序な字や絵が描かれており、それが何を意味しているのかはっきりと理解するのが難しかった。
それでも私たちの意志が折れることはない。
冒険には困難がつきもの。
それがなければ、本当の冒険とは言えないのだから。
「宮殿の下に隠された通路はいくつあるんだろう?」
私たちは登っていたポプラの木の下に降りて、どうにか地面に座り込み、果てしなく広がるような殺風景な周囲の景色をぼんやりと眺めた。
私の気分を察するかのように、茂みから蝉の声が騒々しく聞こえ始めた。
説教じみた様子でダニルが、新しいズボンが汚れたと言って不満を言い始める。
「ただ僕と遊んでいただけだって言えばいいだろ」
「でも、授業をさぼったってバレたらどうするんだ?」
「どうするんだって?ただ全部ぶちまけろよ、この秘密主義者め!」
もう知らない。どうにでもなれ!
しばらくして私たちは、ユリの温室の入り口にたどり着いた。
古い伝説を聞かされたせいで少し怖かったけれど、陽の光を浴びて虹色の輝きを放つ庭園はやはり美しかった。
もしかすると母上が誰かとティーパーティーをしているかもしれないと思いながらも、そこには庭師の叔父さん以外、誰もいなかった。
「こんにちは、ハルさん」
「ごきげんよう、王子様」
梯子に登った庭師のハルさんは、何か忙しそうに見えた。
どうしてそんなに枝を切るのだろう?
それに、なんだか物悲しくもあるように見える。
私たちは梯子の下にそっと近づき、彼が作業する様子をじっと見上げた。
「王子様、そんなところに立たれると・・・」
「邪魔してないよ」
「・・・ですが、念のためにそちらを離れていただいたほうが良いかと」
「なんで危ないの?」
「枝が落ちるかもしれませんし、私が作業を続けられませんので。」
「なんで枝を切るの?もったいないじゃない!」
ハルさんはしばらく言葉を詰まらせ、鼻をすすりながら再び作業に戻る。
ダニルが私の腕を引っ張ったおかげで、不満に思っていた枝のことは忘れることにした。
「ねえ、この下に地下通路ってあるの?」
「もちろんですよ。この噴水の多さを見れば当然です」
やっぱりそうだった!
私はダニルの想像力に感心した。
あとはその場所に通じる入り口を見つけるだけだ。
私たちは梯子から少し離れ、庭の隅に座り込んで地図をもう一度広げてみた。
「絵が本当に下手だね」
「うん」
でもそこから先は驚くほど簡単だった。
地図に描かれた階段の絵に似たものを見つけるだけだったからだ。
噴水とバラの茂みの間にある小さな階段を見つけ、その階段を降りていくと、黄色いフリージアの花畑の奥に、秘密めいた大きな扉が現れた!
心臓が激しく鼓動し始める。
私たちは喉の渇きを感じながらも、視線を交わした。
本当だろうか?
慎重に身をかがめて、冷たい鉄の取っ手をそっと掴み、音を立てないように少しだけ開けてみた。
すると、そこから下へと続く階段と、かすかに光る不思議な明かりが私たちを出迎えた。
「階段がある・・・!」
なんと、庭園から秘密の場所へと繋がる通路だなんて、それこそ父上らしい!
子供じみたアイデアでもあるけど。
ともかく、ついに秘密の通路を見つけたのだ!
私たちは感極まり、どうしようもなく笑い出してしまった。
笑い転げながら庭園のあちこちを走り回った後、庭師のハルさんのそばを通り過ぎて外に飛び出した。
背後で「ガタン!」という大きな音が聞こえ、その後、ハルさんが何か叫んでいたようだったが、はっきりとは聞き取れなかった。
しばらくの間、私たちは狂ったように騒いだが、ようやく疲れ果てて落ち着き、重大な瞬間に向けて真剣に準備をすることにした。
これまでの観察によると、父上と母上が秘密のデートをする日は決まっておらず、だが必ず宴会の前夜には消えていたようだ。
だから、それより前に行動を起こさなければならない。
そうすれば、私の誕生日に母上を一人占めすることができるかもしれない。
「夜中に抜け出すのは大変じゃない?むしろ私の誕生日の前日にこっそり行ってみるのはどう?その時なら大人たちもきっと気が散っているはずだし・・・」
「素晴らしい!それ良い考えだよ!」
私がわくわくしながら作戦を提案すると、ユリも目を輝かせて賛同した。
全てが順調に進んでいたが、ダニルが突然心配し始め、もぞもぞし始めなければ、もっと良かったのに。
「でも、もし誰かに見られたらどうするの?」
「王の秘密の場所だよ?誰が僕たちを見つけるっていうんだよ、心配しすぎ!」
「でも、その近くには秘密の軍事基地もあるって聞いたことがあるよ・・・」
「でもさ、地図にはただ『アジト』って書いてあるだけで、正確にどこなのかどうやって分かるの?」
私とユリは一瞬、お互いの顔を見合わせた。
ダニルは相変わらず不安そうな顔をしている。
ユリが苛立ったように叫んだ。
「おい、そんなに怖いなら、もう抜ければいいじゃん!私がどうするか分かってるだろ、分かってるよね?最初からこの子は巻き込むなって言ったじゃん!」
それでもダニルがいなかったら、この通路を見つけることはできなかっただろう。
だから私は怒らないことにした。
「怖いなら抜けてもいいよ。それでも絶対に告げ口なんかしないでね」
「本当だな?」
「うん」
「じゃあ、お母さんに誓う?」
「お前、これでチクったら本当に絶交だからな、この小心者め!」