こんにちは、ピッコです。
「夫を味方にする方法」を紹介させていただきます。
今回は199話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
死ぬ前に読んでいた本の中の悪女ルードべキアに憑依してしまう。
前世では養子となった家族から虐待を受けていたけど、ルードべキアも同じような境遇だった…。
しかも父によって政略結婚させられた北部最高の冷血な騎士イースケは原作で自分を殺すことになる夫だった!
小説の内容をすでに知っているルードべキアは、生き延びるために夫を愛する演技をするが…
ルードベキア:ルードベキア・デ・ボルヒア。本作の主人公。愛称はルビ。
イースケ:イースケ・バン・オメルタ。ルビの結婚相手。愛称はイース。
エレニア:エレニア・バン・オメルア。イースケの妹。愛称はエレン。
フレイヤ:フレイヤ・バン・ピュリアーナ。イースケの幼馴染。
ボルヒア:教皇。ルビの父親。
チェシアレ:チェシアレ・デ・ボルヒア。長男
エンツォ:エンツォ・デ・ボルヒア。次男。
ローニャ:ルビの専属メイド
199話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ちび王子様の夏⑧
目の前がぐるぐる回るような感覚だった。
みんな急に何かを間違えたのだろうか?
ふと、以前雨の日に校長先生が窓のそばで口ずさんでいた歌のフレーズが頭に浮かんだ。
『雨の降る森の中で飛び回る狂った者たち~雨さえ降れば皆仲良く狂い回る〜』
私は校長先生に狂った者たちが何かと尋ねたことがある。
しかし、校長先生は曖昧な微笑みを浮かべるだけで教えてくれなかった。
代わりに、私がそんな歌を口ずさむと背中を思い切り叩かれたが・・・。
待て、これは何の音?
「ポ、ポ、ポ、ポ・・・。」
「分かった、死んじゃダメだよ、アリョシャ!君がいなかったら私たちは・・・」
「もううるさいよ、君たち二人とも!」
私は大声を上げると、やっと二人は泣くのをやめて目をぐるぐる回した。
私は静かにするようにと「シーッ」という合図を送った。
「ポ、ポ、ポ、ポ・・・。」
「聞こえる・・・?」
「あれ、一体何の音?」
「私にもわからない。」
「ポ、ポ、ポ、ポ・・・ポ!」
激しい雨音の間に聞こえてくる奇妙な声。
誰かが鼻歌を歌っているようにも聞こえたし、小さな動物が鳴いているようにも聞こえて、曖昧な感じがする。
息を潜めて耳を澄ませていると、その音は少しずつ近づいてくるようだったが、突然、音がピタリと止まった。
消えたのか?一体何だったんだろう?
「ポ?」
「うわあっ!」
洞窟の前に突然誰かが現れたことで、私たちは驚いて思わず叫んでしまい、恥ずかしさも忘れてお互いにしがみつく。
突然現れた妙に大きなやつは、そんな私たちを面白がるかのようにじっと見下ろしていた。
私たちもまた、そのやつをぼんやりと見つめた。
「おお、大王のたぬきだ・・・。」
「いやいや、大王のウサギだ・・・。」
私が見た限り、ダニルもユリも意見が一致しなかった。
たぬきにも少し似ているような気がしたし、ウサギにも少し似ているようだった。
ただし毛がないという点ではどちらとも言えなかった。
とにかく非常に堂々としている。
胴体はアンコウよりはるかに大きく膨れ上がり、片腕には異常に大きな木の枝で作られた傘を持っていたが、頭の先だけを除いてほとんど破れていた。
正直、さっきの大きな鳥たちと比べると、全然恐ろしくは見えなかった。
私はダニルが私の服をつかむのを払いのけ、ぎこちなく這い出て洞窟の外に少し身体を乗り出した。
これだけ近くで見ると、口がとても大きかった。
歯も大きいのだろうか? なんとなく歯があるようには見えなかったのだが。
「ポ、ポ?」
そのやつは木の枝で作られた傘を揺らしながら大きな口で微笑んだ。
すると、もう片方の腕を大きく振り回して私に向かって近づいてきた。
何か言いたいことがあるのかもしれないが、ただじっと見つめるだけだった。
ところが、そいつが突然後ろを向いて、私の額を軽く叩いたのではないか?
「うわっ!」
「アルリョサ!」
正直言って、全然痛くなかったけれど、驚いてしまった。
少し離れたところで叫んでいたユリが、私の顔を見た後、突然自分の頭をかきむしり始めた。
何だろう? 私は恐る恐る手を動かして額に触れてみた。
「ここ、何かついてるの?」
「いや、木の葉が・・・。何か特別な木の葉かもしれないけど、血が出ないように気をつけてくれたみたい。」
本当に特別な木の葉かどうかはわからないけれど、とにかく丁寧な行動だった。
やはりさっきはかなり怯えていたみたいだ。
私はできるだけ申し訳なさそうに振る舞おうとしながら、太ったタヌキとウサギの方を見つめる。
私たちの言葉を理解しているのかどうかは分からなかったけれど。
「ありがとう。」
「ポ、ポ、ポ!」
「でも君は誰?もしかしてこの洞窟の主人なの?」
「ポ、ポ!」
その子は体を横に左右に揺らし始めた。
それが「そうだ」という意味なのか、「違う」という意味なのか?
「ポ、ポ、ポ、ポ、ポ、ポオ!」
太ったタヌキウサギはなぜか興奮しているように見えた。
短い腕をぐるぐる回しながら、私と自分を指差したり隠したりした。
そして突然、踊るように両腕を広げてぐるぐる回り始める。
その身体でそんな動きができることが不思議だった。
私たちは呆然と見つめていたが、今度は片方の腕を空中でぶんぶん回しながら、何かが周囲を散らばるような動作をした。
その動きが、生き物には似合わない妙に奇妙なものだったので、ちょっと笑ってしまった。
その時、ユリが突然声を上げた。
「私、あの子が何をしているのか分かった気がする!」
「な、何なの?」
「これだよ、これ!」
ユリは明らかに怪訝そうな表情を浮かべ、突然両手を肩の上で振り回しながら何かを真似ようとした。
まるで長い髪の毛がある誰かが髪を大きく振り回しているような動きに見えた。
「でも、あの子には髪の毛がないじゃない?」
「だから、あの子も今誰かの真似をしているんじゃない?もしかしたら、私たちが知っている誰かかもしれないし。」
聞いてみると、何となく納得できた。
しかし、誰の真似をしているのか全く見当がつかない。
なので、太ったタヌキウサギに謝ろうとしたところ、ダニルがふいに口を挟んだ。
「もしかして、王妃様なんじゃない?」
「何?おい、ふざけないでよ。お前、本当に冗談ばっかり!」
だが、ユリが声を張り上げると、ダニルは顔をしかめながらも続けて口を開いた。
「だってさ、僕のお母さんがそんな風に踊っているのを見たことがないんだよ。」
彼の言葉は少し寂しそうで、みんな少し気まずい沈黙に包まれた。
すると突然、ウサギみたいなあの奇妙な生き物がまた動き始めた。
今度はまるで何かを指差すように腕を上げた。
「それって、何かを教えようとしてるの?」
ユリがそう言うと、みんなもその指差しの先に目を向けた。
しかし、そこにはただ暗がりが広がっているだけだった。
ユリも自分のお母さんもそうだったと、まるで意地になって言い張り始めた。
だが、私が冷静にユリをじっと見つめると、彼は口を閉ざす。
もちろん、私たちが知る大人たちの中で、そんな見事にぐるぐると回れる人といえば、お母さんくらいしかいなかった。
しかし、それが本当にこの状況とどう結びつくのだろうか?
それに、私はお母さんがそんな風に髪を振り回す姿など見たことがなかった。
実際、レアお姉さんや、他の大人たちが同じことをしているのも見たことがない。
私はもどかしさを感じつつ、誤解を解こうとダニルに謝罪した。
「もしかして自分が悪かったかもしれない」と、彼は反省の意を込めて言った。
そのうち、通り雨のような小雨が上がる。
私たちは冷たい洞窟の外へ出ることにした。
その瞬間、ウサギのような奇妙な生き物が楽しそうに後ろへ飛び跳ねながら、大きな葉っぱでできた傘を手にして現れた。
「ポ、ポ!」
「うわあ・・・!」
見上げると、高い木々の上に巨大で不思議な模様が浮かび上がっているのが見えた。
とても近くに見えて、本当に綺麗で不思議だ。
大きなネズミのような生物が虹を眺めている様子を見ていると、さっきまでなんとなく気味悪く感じていた森が突然親しみ深く感じられた。
相変わらずお腹からグーッという音が鳴っていたけれど、大きなネズミはその音を聞くや私の方をじっと見つめた。
「ええっと、昼ごはんをちょっとしか食べてないから、それで・・・」
「うわっ!」
突然びっくりした。
大きなネズミが私を掴んで引き寄せたかと思うと、何の前触れもなく自分の頭の上にポンと私を放り投げた。
その勢いで、私は反射的にこの大きなネズミなのか、耳の尖ったウサギのような生物なのか分からないその耳をぎゅっと掴んでしまった。
それでも、大きなネズミは怒るどころか、むしろもっと楽しんでいる様子だった。
「ポ、ポ、ポ!」
「ちょっと、このネズミがアルヨシャをさらおうとしてるの!」
前方へ駆け出したユリとダニルが、互いに相手を乗せようとマグを振り回していた。
力持ちな大きなネズミは、彼らが自分にしがみついても何事もないかのように、二人を宙に浮かせて振り回していた。
「ポ、ポ!」
「うわあああ!」
私は両手に力を込め、目をぎゅっと閉じる。
一瞬、何も考えられなくなった。
風が勢いよく顔に当たり、足元では大きなネズミの両腕にぶら下がった二人が、まるで狂ったように悲鳴を上げていた。
しかし、しばらくして勇気を出して目を開けてみると、予想外にもとても楽しい気分になった。
「ヤッホー!」
よく見てみると、大きなネズミはさっきまでゆっくり回っていたが、今は何も恐れずに自由に空を飛んでいるようだった。
周りの景色がものすごいスピードで後ろに飛び去っていき、大人たちと一緒に汽車に乗ったときよりも速く感じられた。
どれだけ進んだのかはわからなかったが、とにかくすごいスピードだ。
真っ白な木々が消えていくと、広大な絶壁とごつごつした岩の地形が広がった。
大きなネズミが蜘蛛のように岩の上を軽々と跳び越えるたび、私たちの体が宙に浮かび、少しだけ怖くなって目を閉じてしまった。
「うわあああああっ!」
「ポ、ポ、ポオ!」
くるくる回転しているような感覚がしたが、どこかに到着したかと思うと、またまっすぐ駆け出し、最終的にようやく止まった。
大きなネズミは私たちを地面に下ろすと、一人でどこかへ飛び跳ねて行った。
私たちは呆然と地面に座り込み、その動きを見送った後、ようやく周囲を見回し始めた。
どうやらものすごく大きな洞窟のような場所に来たようだ。