こんにちは、ピッコです。
「夫を味方にする方法」を紹介させていただきます。
今回は202話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
死ぬ前に読んでいた本の中の悪女ルードべキアに憑依してしまう。
前世では養子となった家族から虐待を受けていたけど、ルードべキアも同じような境遇だった…。
しかも父によって政略結婚させられた北部最高の冷血な騎士イースケは原作で自分を殺すことになる夫だった!
小説の内容をすでに知っているルードべキアは、生き延びるために夫を愛する演技をするが…
ルードベキア:ルードベキア・デ・ボルヒア。本作の主人公。愛称はルビ。
イースケ:イースケ・バン・オメルタ。ルビの結婚相手。愛称はイース。
エレニア:エレニア・バン・オメルア。イースケの妹。愛称はエレン。
フレイヤ:フレイヤ・バン・ピュリアーナ。イースケの幼馴染。
ボルヒア:教皇。ルビの父親。
チェシアレ:チェシアレ・デ・ボルヒア。長男
エンツォ:エンツォ・デ・ボルヒア。次男。
ローニャ:ルビの専属メイド
202話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ちび王子様の夏⑪
その後、私たちをじっと見つめたまま静かに地面に横たわり、大きく息を吐き出した。
炎のような光が宿った二つの瞳の間に、赤い皺がうっすらと浮かんでいた。
何か心配そうな表情だ。
たくさん痛いのだろうか?
慎重に尋ねると、間抜けなやつが答えた。
「あ、足が痛すぎて本当に死んじゃいそうだよ・・・」
ダニルが大粒の涙を流している。
ずっと我慢していたようで、やっと緊張が解けた様子だ。
改めて見てみると、足首がさっきよりずっと腫れ上がっていて、見るからに痛々しい状態だった。
ユリが「ヒュッ」と音を立てた。
「ど、どうすればいいの?」
「助けてもらうようお願いしようか?何か力になれるかもしれない、だってドラゴンだし。」
「でも、あれも痛そうだよ。」
それもそうだ。
ドラゴンは今、私たちの目の前でしきりに鼻息を鳴らしながら、どうにも居心地が悪そうにしている。
あいつも万全な状態ではなさそうだ。
やっぱり早くネゴリを見つけに行かなければならないのだろう。
もしかしたらナグリはあのドラゴンと知り合いかもしれない。
そうすれば、ダニルだけでなくドラゴンも助けてくれるだろう。
「ユリ、ここでみんなと一緒に待ってて。私が行って豚ナグリを探してくるよ。」
「何だって?駄目!」
ユリは慌てて立ち上がり、私を一人で行かせるわけにはいかないと主張した。
でも、怪我をしている連中を放っておいて行くのも無理だろう?
それに、ユリより私が行った方がいいと思った。
なぜなら、さっきナグリが頭に乗せて運んでいたのは私だからだ。
そう説明すると、ユリは顔をしかめて考え込んだ。
ドラゴンがこいつらをどうするか聞いてみた。
空気が重たくなる。
そこでダニルまでが一言口を挟んだ。
「行かないで、アルリョサ!無茶なこと言わないで!」
「何が無茶なんだよ、怖いことなんてないさ。あいつらは王子の友達だし、それに、お前は私たちのせいで怪我をしたんだから。」
しかし、ダニルはその考えに反対した。
ユリがまた余計なことを言って、ドラゴンと戦う羽目になったらどうしようと不安になった。
怖がりながらも、無意味な平和主義の振る舞いを見せている。
ユリは当然それを拒否した。
私は二人がピクピクしている様子をそのままにして体を起こした。
慎重に足を踏み出すと、靴音が響いた。
その音に少し怯えた。
しかしドラゴンは、自分の尾のあたりを舐めながら通り過ぎた。
その間、目を一瞬だけ見開き、何も言わずに去って行く。
ドラゴンが向かった先はどこなのか?
ドラゴンが目を閉じると、周囲は再び暗くなった。
私は壁に手を添えながら、さっき私たちが落ちたトンネルの入口の反対側へと歩いていった。
案の定、想像していたよりもはるかに広く複雑な構造だった。
どれほど壁に沿って一人で歩いたか分からない。
しばらくして、何かの動物が飛び立つような音が聞こえ、ドラゴンの咆哮が遠ざかっていくようだった。
何の音も聞こえなかった。
後ろをちらりと振り返ると、薄暗い中でゴツゴツした岩壁がぼんやりと見えるだけだった。
私は怖くて震えたが、勇気を振り絞ろうとした。
どうにかしてダニルとユリをここまで連れてきたのは私だったのだから。
すべては私の愚かな冒険計画のせいだった。
だからダニルが怪我をしたことも、ドラゴンが苦しんでいることも、突き詰めれば全部私の責任だった。
そして、王者たる者は責任を取らなければならない。
どんなことがあろうとも。
私は心を奮い立たせて再び一生懸命に歩みを進めた。
その途中、どこからともなく「ヒュー」という音が聞こえてきた。
その音はまるで風のようでもあり、遠くから聞こえる笛の音のようでもあった。
「・・・ヒュー、ピュー・・・」
その音はすぐ前方から聞こえてきていた。
それがなぜか、だんだん近づいてくる気がする・・・。
突然、背筋がゾッとする感覚に襲われた。
私は転ばないように足を慎重に下ろしながら前を見たが、何があるのかは見えなかった。
声を出してみようかとも思ったが、正直怖くてできなかった。
「あれはいったい何なんだ? 幽霊? 悪霊? 魔物? それともただの悪人?」
次々と想像が頭に浮かび、心臓がバクバクしながらも足を止めるわけにはいかなかった。
ここで振り返って逃げたら、前にいるそれが私を追いかけて、あの子たちのいるところまで来てしまうのではないか?
だから私は目をぎゅっと閉じて、心の中で祈りながら歩き続けた。
「慈悲深き聖母様、これからは絶対に悪いことはしません、冒険もしません、お母さんとお父さんを困らせることも二度としませんから、どうか一度だけ助けてください・・・!」
「うっ・・・!」
聖母様が私の祈りを聞き届けてくださったのだろうか?
周囲が突然明るくなる。
反射的に顔を上げて目を開けると、遠くの出口を通して差し込む日の光と青空が見えた。
そして、私のすぐ目の前には大きな鳥がいた。
ぼんやりとしたカナリアのような普通の大きな鳥ではなく、堂々とした鷹のようなもっと大きな鳥だ。
その鳥は洞窟の天井を飛び回りながら、なぜか私に近づき、意味深な表情でこちらを見つめていた。
私は一瞬呆然としていたが、なぜか突然怒りが込み上げてきて思わず叫んだ。
「どうしてまた面倒なことになったの!? どうしてこんな目に遭わなきゃいけないんだ、くそったれ!」
「面倒だと分かって良かったな。」
「・・・鳥が喋った? それも私が知っている誰かの声で?」
「アルヨサ。」
鳥が喋るはずがない。
突然喉がカラカラになり、私はぎこちなく唾を飲み込んだ。
目をパチパチさせながら、再び視線を下に戻すと・・・。
その時、ようやく私はそっと足を踏み出し、立っている壁際に視線を向けると、その近くに立ち、こちらを見上げている人が目に入った。
父と母だった。
父と母が一体ここで何をしているのだろう?という考えが一瞬頭をよぎったが、私は静かに喉を鳴らして心を決めた。
どうせ私の計画は失敗したのだから、秘密にしておけば済む話だ。
水の庭園で遊んでいたら偶然洞窟の入り口を見つけ、ここまで来てしまったと言えば大人たちには分かりっこない。
しかし、口を開くと同時に抑えられない声が溢れ出る。
「ふ、ふわああああ!」
溢れた涙と共に体の力が抜け、その場に崩れ落ちそうになった。
飛びつくように私を抱き上げた父と母が何かを叫んでいたが、よく聞き取れなかった。
周囲には他のおじさんたちもいたようだったが、誰も何を言っているのか全く理解できなかった。
大声で泣いていたせいで正気を保つことすらできなかった。
ユリと一緒にここまでたどり着けたのは本当に奇跡だったと思う。
私は父と母に抱きつきながら、ただ呆然としたままどうしてこうなったのか理解もできずにぼんやりしていた。
言葉を発する余裕すらなく、ただ罪悪感だけが押し寄せてきた。
父と母の秘密のデート場所を台無しにしようとしたことや、秘密の倉庫から地図を盗んだこと、全部だ。
今までの出来事が次々と思い出され、無理やり心に押し寄せてきた。