こんにちは、ピッコです。
「悪党たちに育てられてます!」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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7話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- プロローグ⑦
2人が本格的に言い争いを始めると、周囲からくすくすと笑う声がはっきりと聞こえてきた。
そっと顔を向けると、話し込んでいる人々が見えた。
『この体でくぐり抜けて、後は変に清らかに振る舞うしかないな……。なんだか強くなった気がする。』
現代の文明機器と距離を置いたおかげだろうか?少し感覚が研ぎ澄まされた気がした。
しかし、こういうことは一日や二日の話ではなかったようだ。
『はあ、小説の描写を見ても……。』
エルノーは天才的な狂ったサイコパスとして描かれているので、まともであるわけがない。
小説では、エルノー・エタムがヒロインをどうにかして養女に迎え入れるが、どこか特別に優しい養父というわけでもなかった。
むしろ周りの人々がヒロインを余計に気にかけている感じだった。
何と言うべきか。
ただ必要に応じて互いを利用し合うビジネス関係のように思えた。
「半年? 冗談でしょう、せいぜい3か月見てくださいよ。昨年はエルノー様が男性の美貌に惹かれたとかで、新年会にその男性を連れてきて、家主様が激怒して会議場が騒然となりましたよ。あれから1か月経ちましたっけ?」
「本当に、家主様も災難ですね。」
「それでも、あの時エルノー様がその男性に渡したお金って、島一つを買えるくらいの額だったんですって?」
そんな話を黙って聞いていた私の耳がピンと立った。
『ああ、これってつまり公爵を困らせるための行動だったのか。』
ようやく、彼の突飛な行動の裏に隠れた真意が少しだけ理解できた気がした。
胸がどきっとする気持ちに、私は深く息をついた。
『もし私が彼の欲望に乗って、偽の娘として利用されることになったら、すぐに捨てられることもなく、後にはお金をもらって出て行くことができるのか?』
「半年だって? 長すぎる。」
これはあまりにも……。
「夢物語じゃないか!」
条件さえ揃えば、島一つを買えるくらいの金額を手にできると聞いていた。
『私はまだ子供だから、その半分くらいでいいけれど……。』
一生のんびりと怠けながら暮らすには不満はないだろう。
私は目を少し輝かせながら、見慣れたような状況を見守っている人々の会話に耳を傾けた。
「まあ、それでいいんじゃない?あの時はお金なんて必要なくて、ただ隣にいてくれるだけでいいと言って、どれだけ家門が大騒ぎしたか……。」
「でも実際、私は理解できますよ。その時エルノー様がどれだけ情熱的だったか。必要なものを全て揃えたいって、その季節には絶対にない果物まで欲しいと言って、全部用意したじゃないですか。正直、その時に気を引かれなかった人なんていますか?少なくとも私は違いました。」
なんだかロマンチックだな、と感じた。
でも、小説でも彼はいつも必要な時に人を利用し、あっさりと手放してしまうのだった。
サイコの素質はどこにも消えていなかった。
「ふん、その間に起きた事件に比べれば最高の詐欺師だったよね。」
「実際、あの顔で私にだけ優しく接してくれるなら、性格が全部わかっていても騙されないはずがないですよね。」
私はカップをぎゅっと握りしめる。
どう考えても、こんな狂ったサイコパスが私にだけ優しいなら、惹かれずにはいられない。
『まあ、私は長年の崩壊した兄弟のおかげで、そんな嘘のような優しさには免疫ができたけど。』
彼らも時には優しくしてくれるが、大事な瞬間に私を裏切り笑っていたからだ。
そのおかげで人間不信にもなった。
「それで、私の計画は聞いていただけないということですか。」
私が後ろで興味深い会話に耳を傾けている間も、前ではずっと苛立った様子だった。
「俺がいつお前らに発言権を与えたと思ってるんだ!」
「公平と平等が家主様のお求めになっている方向ではないですか? さっきも申し上げましたが、逐一メモを取る習慣は……。」
彼は本当に人を苛立たせる才能を持つ人物だ。
これも才能だとしたらの話だけど。
「少し黙れ!」
「私の今年の計画は、遅れて参加する私の娘様にあります。」
エルノー・エタムは頑なで、表情に少しの変化もなく、私の計画を冷ややかに聞き流していた。
「良い子供になってみろ、この出来損ないめ!」
「やれやれ、子供作りに失敗されたようですね。」
にっこりと笑うその微笑みは、弾けるレモンよりもさらに酸っぱく感じられた。
そして、それがミレル公爵の怒りをさらに増幅させることとなった。
「お前たちは一体何が不満なんだ!」
ウメキ声のようなその音に、私も思わず体が震えた。
震える私を見たエルノー・エタムが私をしっかりと抱きしめた。
「私の娘様が怖がっていますから、声を少し落としていただけますか。」
ああ、無理だ。
ここで揉め事を起こさないでくれ!
私は慌てて肩をぐいっと揺らし、腰をひねりながら後ろに両手を伸ばした。
「おい!エイリン、おじいさんは怖くない! おじいさんは……!」
「……何だって?」
「おじいさん、怖くない……。」
いや、本当はとても怖い。
殺気がみなぎる筋肉質の百戦錬磨の老人だった。
狂ったサイコパスの胸の中に抱かれてみろ。
汗がじっとり流れ、手先から冷たくなっていく感じだ。
しかし、私は誰か。
感情を隠すことにおいては右に出る者はいない、“はい”、“はいはい”、“はい!”、“はい!”と応えるビジネスマン精神を持っている。
彼の気迫に圧倒されて震える足に力を込め、明るく笑った。
普段の社会生活ではこうやって心にもない言葉を口にするものだ。
「おじいさん……、やめてください……。」
私の表情を見たミレル公爵の唇がわずかに震え、やがて彼は短く息をついて言葉を飲み込んだ。
「……もうこれ以上は耐えられない。新年会はここまでとする。残りはすべて報告書として提出するように。解散だ。お前はあとで来い。」
ミレル公爵がエルノー・エタムにそう言うと、一瞬こちらを向いて視線を合わせた。
私は何とか目をそらさず、彼の視線を受け止め続けた。すると彼の眉がわずかに持ち上がった。
私は目もそらせず、じっと汗がじわじわと流れるのを感じていた。
『なぜ、そらさないんだろう?私が先にそらしてもいいの?』
視線をそらす瞬間、叩かれそうな予感がしたけれど……。
こんなことを考えている間だった。
突然視界が暗くなり、何かが目の前を覆った。
「見ないでください、家主様。私の娘に似ていますので。」
「……何だって?」
「ご高齢なのは承知していますが、耳も悪くなったのですか?」
私の目を覆ったのはエルノー・エタムの手のひらだったようだ。
エルノー・エタムはそれだけを言い残し、主人であるミレル公爵がまだ去らない会場を出るために身を翻した。
「行きましょう、我が娘。」
「ええ、さようなら、おじいさん!」
私は前が見えずに手探りで進んでいると、彼がいるだろう場所に偶然たどり着き、ぶつかった。
もちろん私が挨拶をする間にもエルノー・エタムは動いていたが。
エルノー・エタムは毎年恒例の「新年の奇行」を無事に終えたせいか、やけに落ち着いた声で慎重に言葉を選びながら静かに歩みを進めていた。
私、何かを聞かずに無事に生き延びたのかしら……?
その瞬間、不意に心に響く警告のような小説の一節が頭に浮かんだ。
<エルノー・エタムは四つ足で動く生物が嫌いだった。その中でも特に湿っぽくて地面を這い回る、蛙のような両生類を。>
あれ? いや、確かだ。 終わった気がする。
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