こんにちは、ピッコです。
「悪党たちに育てられてます!」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

87話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- おばあちゃん②
「ううん、これはおばあちゃんの言うことじゃない。家族はこんなこと言わないでしょ?ね、お父さん?」
「……そうだな。」
「うんうん、そうだよ、悪い人だよ。お父さん、私あの人嫌い。」
その言葉が終わると同時に、エイリンの瞳孔が恐ろしく縦に細くなった。
「お父さんを傷つけるのも嫌。悪いことを言うのも嫌。うん、あの人嫌い。」
何か小さく震える子どもの瞳が、いつもと違い、ぐっと色を増した。
自分自身に言い聞かせるように鋭く響く声が、少しぞっとするほどだ。
エイリンの怒りは、この世のものではないかのように輝いていた。
黄金色の魔力が、エイリンの周りにほとばしっていた。
エイリンが静かに笑う。
「……あの人がいなくなればいいのに。」
しかし、その言葉は純粋な子供の口から出たとは思えないほど冷酷だった。
「……そうだね?」
無邪気に目を細めたエイリンは、菓子を口に運びながら前公爵夫人を見つめた。
その瞬間、彼女の体が金色の魔力に包まれ始めた。
「……これは一体……?」
そして、彼女の指先が徐々に透き通っていった。
まるでこの世界から存在を消されるかのように、彼女の姿は次第にかき消されていった。
純粋な顔を見つめていたエルノー・エタムは、かつて神語(神話の言語)で記されていた文献の翻訳を思い出した。
「<ドラゴンとは、欲望そのものである。>」
幼竜は特に子供に似ている。
欲しいものを手に入れなければ気が済まないドラゴンの本能と、それを実現できる力を持っているが、それに比べて常識と自制心は極端に欠如していた。
ドラゴンに覚醒(悟り)が必要な理由もそこにあった。
遥か昔、神々はドラゴンと盟約を結んだ。
彼らは地上のどんな生物よりも強力であったため、その脅威を抑えようとしたのだった。
それが「刻印」が生まれた理由だ。
しかし、神はひとつの大きな誤解をしてしまった。
生きているものは、必ず欲望を持つものだ。
強くなりたいという欲望、他者よりも優れたいという欲望、特別になりたいという欲望。
ドラゴンは、それらの欲望を簡単に叶えることができる存在だった。
ゆえに、かつてドラゴンは畏れられる存在だった。
すべての者がドラゴンの意図を読み解き、卵を奪い、刻印を施した。
刻印は、ドラゴンが小さく弱い存在に愛情を持ち、共存するために生まれたものだった。
しかし、欲望が生命を支配し、すべてが誤った方向へと流れ始めた。
神々は覚醒を条件に、ドラゴンを強制し、命じ、抑え込んだ。
覚醒とは、ドラゴンを守るための手段であった。
暴走して無差別に力を振るう幼竜を抑え、大規模な混乱を未然に防ぐための措置だった。
幼竜は親を守るためなら、どんな行動でも取る。
彼らに常識を説いてはならない。
彼らは親の安眠のために、夜に活動する生物をすべて殺し、親が王になりたいと言えば王族を皆殺しにする邪竜となるだろう。
幼竜の欲望が溢れ出し、制御できなくなる前に、命令しなければならない。
強制的に抑え込み、明確に……
「主人として刻印しなければ、ドラゴンと共存することはできない。」
何度も目にして読んできた文章だった。
エルノー・エタムは、エイリンが激怒するとは思っていなかった。
彼女には十分な常識があると思っていたからだ。
「こういうことだったのか。」
常識よりも先に、ただ欲望に支配されるのが人間だ。
彼女は、家族の存在を否定する母の言葉に怒り、激しく憤っていた。
「エルノ、ーどうにかしろ!」
そう叫びながらも、結局まともな攻撃を一度も繰り出せないままのミルエルだった。
公爵は半透明になった妻に駆け寄った。
エルノー・エタムは、しっかりと首にしがみついている子供を見た。
目が合うと、くしゃくしゃに笑う。
そんな姿がこれほど愛らしいものか。
彼は一瞬呆然とし、気がつけば書斎の机に寄りかかっていた。
「エイリン。」
「はい、お父さん。」
「どうして怒っているのか、教えてくれる?」
彼は、自分にとって慣れないことをしていると感じつつも、身をかがめて子供と視線を合わせた。
「うん。パパと私が家族じゃないみたいに言われるのが嫌だったの。」
「そうか。でも、私はお前が犯罪者になるのがもっと嫌だ。」
「どうして?」
「犯罪者になれば、君は刑務所に行くことになって、一緒にいることができなくなるじゃないか。」
母が死ぬことが問題ではなく、娘が刑務所に行くことを心配する弟たちの言葉に、彼女はまるで蛇がとぐろを巻くように静かになった。
「お前は、この母親が死にかけているのに、そんなことを言うのか? 私の人生、無駄に生きてきたみたいだな。」
「お母様が望まれたことです。それとも、そのまま消えてなくなりますか?」
エルノー・エタムは、エイリンを刺激しないように、笑みを浮かべながらも柔らかい声でそう言った。
笑っているのに、それが余計にぞっとした。
先代公爵夫人は、はっと息を呑んだ。
その表情には恐怖は浮かんでいなかった。
「でも、お父さん。」
「うん?」
「じゃあ、私が監獄もなくしてあげるね。」
「おお、我が娘はついに騎士団に目をつけたか。今回は国をなくしてくれるのか?」
エルノー・エタムの言葉に、エイリンは口をとがらせた。
国をなくすことは、今の自分の力では不可能であることを本能的に悟ったようだ。
「でも……。」
「お嬢様、誰かを殺したいなら私に言ってください。あなたがそんなことをする必要はありません。」
エルノー・エタムの言葉に、エイリンは唇を引き結んだ。
しかし、声を出すことはできなかった。
少女はまるで呆然としたように静かになり、こぶしをぎゅっと握りしめた。
この状況が彼女にとっても難しいものだと、ようやく気付いたようだ。
「…ごめんなさい。」
黄金色の魔力がその姿を消すと、今まで半透明だった先代公爵夫人の体も元の状態へと戻っていった。
「私のお嬢様、ありがとう。」
「…はい。」
エイリンはそう答えながら、先代公爵夫人を見つめるよりも、軽くほぐれたこぶしをきゅっと握りしめた。
「赤ちゃん、ごめんね……。」
「ふん。」
「赤ちゃん?」
彼女は少し戸惑った表情で子供を見つめた。
エイリンは、断固として怒りを示しながら、エルノー・エタムの胸に顔をうずめていたようだった。
しばらく考え込んでいた先代公爵夫人は、冗談や軽さを捨て、再び口を開いた。
「ごめんなさい、エイリン。私はあなたを子供のように扱ってしまったのね。あなたの反応が可愛くて、つい度を越したことをしてしまった。でも、あなたとエルノーは私にとって、もう十分に家族なのよ。」
エイリンは目を細めながら、先代公爵夫人を見つめた。
「私はデバンヌと呼ばれています。」
「……。」
エイリンはエルノー・エタムの胸元に飛び込んだまま、何が起こったのかも分からず、ぽかんと口を開いた。
「私、一体今、何をしたの?」
自分で制御できなかった行動に、羞恥心が押し寄せてきた。
まるで子どもみたいな行動だったのではないかと。
困惑と恥ずかしさで、エイリンの目が真っ赤に染まっていった。
「エイリン。」
「はい。」
「この辺で失礼しようか?」
エイリンがスプーンを置くと、エルノー・エタムは何の迷いもなく立ち上がった。
「しばらく近づかないでください。」
彼がそう言い終えるや否や、エイリンを抱えたまま静かにその場を去った。
「そうやって守るなら、最後まで守ればいい。ところで、お前は一体何を考えてるんだ?!子供を泣かせて追い出すのが得意なのか!本当に……。」
「私が悪かったのは分かる。でも、あなたは何を偉そうにしてるんだ?ミルエル・エタム。」
「な、何だ……!一体何が言いたい!」
「みっともなく私の息子に後ろ蹴りを食らって、家門の権威すら失ったくせに、おとなしくしていなさい。」
デバンヌの辛辣な言葉に、ミルエル・エタムは口をへの字に結んだ。









