こんにちは、ピッコです。
「悪党たちに育てられてます!」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

88話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- おばあちゃん③
先代公爵夫人との騒動が落ち着いた後、お父さんの腕の中で食事を終え、お父さんが読んでくれた童話の最後まで聞いたころには、部屋はすっかり静かになっていた。
なかなか眠れず、お父さんの胸の温もりを感じながら寝たふりをしていたこともあった。
お父さんは私が眠ったと思って部屋を出ていったが、結局、眠れないままだった。
それでも、一度は眠りに落ちようと目を閉じ、羊を数えていたときだった。
「久しぶりだな、エイリン。」
月の光が降り注ぐ窓の下に、突如として現れた銀色の甲冑をまとった騎士を見て、私は思わず飛び起きた。
「院長先生?」
「そうだ、お前が体調を崩していると聞いたが……もう大丈夫なのか?」
「……はい、あ……申し訳ありません。きちんと連絡もできず、約束も……。」
果たせなかった。
何度も機会があったのに、きちんと言葉にすることさえできなかった。
「リヒャルトが、お前に会えなくて、ほとんど目が回っていたぞ。」
「……あ。」
そういえば、リヒャルトも毎日手紙を書くと言っていたのに、途中で途絶えてしまっていた。
思いもよらぬ成長期の眠りに落ちていたせいで、問題になってしまったのだ。
特に苦しんでいたわけではないが、意識を取り戻してからも、色々なことに気を取られて連絡できずにいた。
「私は愚かだったのかな。」
私は短く息を吐いた。
約束をちゃんと守れなかった人が何人いるのだろう。
「今度こそ、約束を守れるかな?」
「はい、すみません。」
私はこみ上げる感情を抑えながら、急いでペンと紙に何かを書きつけ、それを差し出した。
そこには村の名前と、向かうべき修道院の名が記されていた。
そして、その地で通用するアルビオンの娘の名前も。
「……ありがとう。」
「いえ、私が……遅くなってしまって、ごめんなさい。」
私は申し訳なさそうに微笑んだ。
言い訳の余地はなかった。
彼は大きな手でそっと私の頭を撫でた。
「大丈夫だ、お前の状況は聞いている。」
「修道院には、どんな用件で?」
「遅まきながら、若い貴族の子供たちが各家の門を出て行ったって話を聞いて、来てみた。」
「……貴族、ですか?」
アルビオンに貴族なんていたっけ?
小説ではそんな内容は見た覚えがないのに。不審な目で彼を見ると、彼は軽く笑った。
「俺の父はもともと貴族だった。視察に出ていた父が、村で一番美しい母と密会を楽しんでいたらしい。よくある話さ、当然捨てられた。」
「え……どの家門なんですか?」
「ローズモント。」
えっ、今名前を聞き間違えた?
思いもしなかった名前に、こぶしを驚いて握りしめてしまった。
その言葉を聞いた途端、アルビオンは壁にもたれかかり、窓の外を眺めていた。
「ローズモント?」
「そうだ。俺の父はずいぶん前に亡くなったが、それだけでなく、異母兄弟もすでに不可解な事故で命を落としていた。」
それは……おそらくダグネ家の甥が仕組んだことだろうな……。
「貴族たちとは完全に縁を断って生きてきたからな……。子供たちしか残っていないと気づいたのは、ほんの数ヶ月前だった。」
背筋が凍るほどの真実に、一瞬呆然とした。
『確かに似ている……。』
目の色と髪の色は、まるでそっくりだった。
ただ、この実直で頑固な男と、あの二重人格のヒル・ローズモントを同じ線上で考えたことはなかった。
「でも、子供たちはずいぶんしっかり育ったみたいで安心したよ。俺が手助けすることもなさそうだし、お前に会ったら帰ろうと思ってた。」
「……あ。」
そう話すアルビオンの表情には、どこか虚ろな影が落ちていた。
ヒル・ローズモントが誰かの助けを必要とする人物じゃないことは明らかだった。
「孤児院は……?」
「いつも通りだ。自立した子供もいれば、新しく入ってきた子供もいる。」
私は彼の視線を避けながら、壁に背をもたせかけた。
「ところで、どうやってここに入ったんですか?」
「……どうやって入ったかって?さあね、自分で入ってきたのか、入れてもらったのか、俺にもわからないな。」
「え?」
「俺が余計なことを言えば、首が飛ぶかもしれないって話さ。」
アルビオンは何もない天井を見つめながら、ぼそりと呟いた。
「随分と長く引きこもっていたな。そろそろ行く、元気でな。」
「何か問題が起きたわけじゃないですよね?」
「……ああ。」
「いつ出発するんですか?」
「今日、すぐに。」
彼は、私が書いたメモ用紙を軽く振りながら答えた。
私は一瞬ためらった後、魚をつまんだ。
すると彼は、瞬く間に窓の外へと飛び降り、その姿を消した。
彼の姿を見た私は、しゃがみ込んで考え込んだ。
アルビオンの表情はとても沈んでいるように見えた。
理由は分かっていた。
おそらく、ヒル・ローズモントを見て罪悪感を覚えたのだろう。
子供たちを何より大切に思っている彼が、十分に手を差し伸べられなかったことを悔いているのかもしれない。
彼は自尊心が極端に低く、ほとんど鬱状態と言ってもいいほどだ。
『ヒル・ローズモントがあの性格で、どれほど罪悪感を感じていたことか……。』
悪ふざけのつもりが、どこかで本気で傷ついていたのかもしれない。
『それにしても、あの二人が叔父と甥の関係だったとは……。』
どうしても信じられなかった。
ごちゃごちゃと考えながら、私は無意識に手元の小刀を握りしめた。
「テレム。」
「……はい。」
小さく呼びかけると、誰かが上からぱさりと落ちてきて、その姿を露わにした。
一瞬の出来事だった。
「本当に現れたじゃない?」
少し驚いた。
流浪の傭兵団を支援しているとは聞いていたが、本当だったようだ。
私は先ほど使ったペンで、紙に何かを書いて彼に渡した。
「この住所に行くと倉庫があるの。そこで卵を一つ持ってきてもらえる?」
「……卵、ですか?」
「うん。」
「分かりました。距離を考えると、明日の朝までには戻れると思います。」
無骨な男は、私から紙を両手で受け取り、席を立った。
『本当に何も聞かないんだな。』
自分が家主なのだから文句の一つも言われるべきなのに、これは不思議なことだった。
テレムの一人が腰を下げた。
「行ってまいります。」
彼は瞬く間に姿を消した。
眠れずにしばらく寝返りを打ちながら夜を過ごしていたが、夜明けが近づいた頃、ようやく眠りについた。
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「エイリン・エタム!すぐに私の解雇を取り消せと命令できないのか?」
「うわっ、やめてください!」
クルノー・エタムの声に驚いた私は、急いで部屋に駆け込み、ドアを閉めて鍵をかけた。
「もう、やめて!おじさん、降参だよ!降参!ただ降参して!」
私は無理やり神殿へ連れて行こうとする彼に向かって、全力で叫んだ。
こうして、立派な降参者となったクルノー・エタムのヒーリングタイムは、今始まったのだった。









