こんにちは、ピッコです。
「悪党たちに育てられてます!」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

91話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 家族会議③
「ハタールはそのまま流通させます。」
「……何ですって?」
チャルニエルが信じられないという声で問い返した。
皆が説明を求めるような表情で私を見つめていた。
「正確には、帝国商人連合会を通じて入ってくるハタールをすべて買い取り、その後、偽物のハタールを作ってすり替えて売るんです。」
「……偽物のハタールを?」
ネルリア・ジャルダンの目がわずかに大きくなった。
「そんなことをする理由があるのか?」
私の言葉を静かに聞いていたクルノー・エタムが尋ねた。
私はにっこり笑いながら顎を軽くなでた。
「慎重に進めて……黒幕を……捕まえるの?」
最初に私の意図に気づいたのは、ハイエル・エタムだった。
彼は本当に頭が切れるようだ。
私は静かに顎を引いた。
「はい。」
「……なるほど、計画通りにいけば、尻尾を掴むのに時間はかからないということか。」
犯人を多くの人々に知らしめるためには、やつが動けば動くほど、より明確な証拠を残すことになる。
「本当に犯人を捕まえるつもり?しかも、こんな回りくどいやり方で?」
アクレア・サファイルが疑わしげな声で問いかけた。
「この犯人は、今帝国全体を危険にさらしながら、遊んでいるようなものですよ。」
「そうだな。」
「つまり、帝国が危機に陥る可能性があるということですが……単なる詐欺師にしては規模が大きすぎますね。」
「タ国の仕業かもしれない、ということか。」
ネルリア・ジャルダンの言葉に、円卓の空気が一気に重くなった。
ミルエル・エタムとデバン・エタムは、ただ黙って円卓の流れを見守るだけで、意見を言う様子はなかった。
「どこまでが仮説で、どこまでが確証なんだ?」
実際、タ国の関与はほぼ確実だが、これを決定的に証明することは難しい。
「言葉では簡単だけど、実際にできるかは別問題だね。」
「そうね、でも、末っ子の姪様。偽のハタールはどうやって作るつもり?」
「うーん……。」
彼女は肘掛けの端を指で軽くなぞりながら問いかけた。
私はクスッと笑った。
それはすでに考えていたことだ。
私はドラゴンだ。
もちろん、どう考えても冗談みたいで、自分でも信じがたい話だが。
私がドラゴンであるということは、つまり……。
『想像すればいいってこと!』
私は静かに心の中で願った。
『ハタールの材料を知りたい。』
その瞬間だった。
私の体から金色の魔力が流れ出すような感覚がしたかと思うと、目の前にあったペンが勝手に動き始め、紙の上に文字を書き連ねていった。
紙には、植物図鑑で見たことのある薬草や毒草の名前、そして初めて見る名前までが記されていた。
十種類を超える材料を見つめ、少しゾッとした表情を浮かべていると、大きな手が私の頭にぽんと置かれた。
「エイリン。」
「はい?」
「無理はしないで。」
「……はい。」
心配そうな声と、優しく頭を撫でる手の感触が心地よく、私は笑いながら答えた。
「これがドラゴンの能力なの?」
「今、何をしたんだ?」
「ただ、少し魔力が漏れただけで……。」
「なぜ……エルノアが、何かを掴んだような気がするのか……。」
シャルニエル、アクレア、ネリア、そして最後にハイエルが、順番に呆然としたように言葉を漏らした。
クルノー・エタムは難しい表情を浮かべたまま、言葉を失っていた。
彼は無表情で私を見つめていたが、目が合うとそっぽを向いて顎を引いた。
『強引に協力させられているからか?』
以前よりも敵意が増しているような気がする……。
『しばらく市場に行ってみようかな。』
クルノ・エタムの機嫌を取るために。
それに、どういうわけか私はクルノ・エタムを完全に嫌いにはなれなかった。
あんなに冷淡な態度を取るのに、不思議なことだ。
「これが材料ってこと?」
鋭い視線を向けながら、カルラン・エタムが紙を手に取り、中身を確認した。
「ハタールを少し手に入れてくれれば、私が作ることができる。見た目は最大限それらしく、でも中毒性はなし。そうでしょ?」
「うん、本当に飲み物みたいに。」
私の言葉を聞いたカラン・エタムが、クスッと笑った。
「こういうのは俺の得意分野だ。一週間、いや……一人でやれば十分さ。」
「頼んでもいい?」
「当たり前だろ。俺に頼めるのは、お前だけなんだから。」
カラン・エタムは私の袖を軽くつまみながら言った。
久しぶりにやるべきことができたことが嬉しいのか、彼の表情に活気が戻っていた。
その様子に、私は温かい気持ちになりながらも、そっと袖を握りしめた。
『本当に兄妹みたい。』
もちろん、本当に兄妹なのだけれど、私が夢見ていたそのままの姿だった。
呆れたようにため息をつき、口を開いたカルラン・エタムが真剣な表情で私を見つめて言った。
「エイリン。」
「うん?」
「俺のそばで一生暮らさないか?快適にしてやるよ……うわっ!」
カルランは両手で私の頭を押さえながら、顎をぐいっと押し上げた。
「なんで叩くの!」
「くだらないこと言ってないで、やるべきことがあるならさっさと行け。」
「父さんはいつもエイリンを抱えて歩き回って、俺とはろくに会話すらできなくて……。」
カラン・エタムがぶつぶつと不満を漏らしながら、そわそわと落ち着きなく動き始めた。
そんなに不満そうな顔をしているとは思わなかった。
私が彼を見つめると、カラン・エタムはふいに口をつぐみ、少し気まずそうにしながらも、ゆっくりと席を立った。
「当然のことだろ。」
「何がです?」
「エイリンは俺の娘だからな。」
彼はまるで誇らしいことでも話しているかのように、得意げな表情で答えた。
「うわ、本物の親バカじゃん。」
カラン・エタムが皮肉たっぷりの声で言うと、父の目が細められた。
「誰がそうじゃないと言った?お前たちは誰が何と言おうと、私の息子だ。」
「……」
バッと、唐突なその言葉にカルラン・エタムの顔が真っ赤に染まった。
まさかこんなことを言われるとは思ってもいなかったのか、カルラン・エタムは驚いた様子で空中に手をさまよわせ、ついには何も言えずに体をそむけた。
「な、なんだよ急に……」
「それに、娘は違うな。」
「……え?」
「息子と娘は、確かにまったく違う感じだ。」
澄んだ声でそう言う父の言葉に、私は思わず戸惑った。
カラン・エタムは感情が込み上げたのか、顔を少し歪めた。
「はぁ……俺がこの親バカに何を言おうとしてるんだか。」
カラン・エタムは頭をガシガシと掻きながら、会議室を出ようとした。
「カラン。」
「……はい。」
彼はやる気のない声で返事をした。
「無理はするな。」
「……。」
落ち着いた声に、カラン・エタムは目を大きく見開き、驚いたように立ち止まった。
そして、ゆっくりと振り向いて父を見つめた。
すると彼はふっと笑い、顎を引いて小さく笑みを浮かべながら、顎を撫でた。
「そう、俺が誰なのかって? 父さんの息子だろ。言うまでもない。」
「手伝うよ、兄さん。」
「いいね。」
カルラン・エタムとシリアン・エタムは会議室を出ていった。
私はパンをかじりながら、父の様子をうかがった。
『なんだか、少し変わった気がする?』
もともとこんなことを言う人じゃなかったからだ。








