もう一度、光の中へ

もう一度、光の中へ【107話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【もう一度、光の中へ】まとめ こんにちは、ピッコです。 「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となってお...

 




 

107話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 精霊王③

「お願いしたいことがあります。」

「……お願い?」

「はい。」

「……どんなお願いでしょうか?」

ビオンの穏やかな目は、依然として私を静かに見つめていた。

私はその瞳の中に、これから語られる言葉がとても重大なことだという確信を読み取った。

彼は私の言葉に答える前に、私の前でひざまずいた。

私にはそれを止める暇さえなかった。

月明かりが彼の背中をぼんやりと照らしていた。

私が動揺している間に、彼が口を開いた。

「どんなことがあっても、あきらめるつもりはありません。」

「……ビ、ビオン公子?」

「どうか私をお使いください。」

彼の瞳は依然として揺らぎがなかった。

むしろ彼の言葉に目をそらしたのは私の方だった。

「……それは一体……」

「心から、お願いいたします。」

彼が私に告白した。

「戦争で勝ちたくないのかと聞かれました。はい、勝ちたいです。」

「……それなら……?」

「ですが、殿下が犠牲になるくらいなら意味がありません。幸いにも私は魔力が十分にあります。いっそ私から魔力を取って、殿下はそのままでいてください。」

私は自分の顔が真っ青に変わるのを感じた。

「……そうなると。」

私は慎重に言葉を続けた。

「ビオン公子、あなたは今後、永遠に魔法が使えなくなるでしょう。」

告白した彼の表情は見えなかった。

いくら彼が優れた魔法使いでも、精霊王を召喚するのに必要な魔力は並大抵ではない。

彼が私に魔力を譲ってしまえば、今後決して魔法を使えなくなる。

それでもビオンの声は変わらず落ち着いていた。

「覚悟はできています。」

私は言葉を返せなかった。

魔法使いにとって魔力を失うとはどんな気持ちなのだろうか。

私は魔法使いではないため、その心を完全に理解することはできなかったが、なんとなく推し量ることはできた。

もし私が精霊を使えなくなったら?

考えたくもなかったが、もしそうなったら胸の中にぽっかり穴が空いたような気持ちになるだろう。

精霊は幼い頃から私のそばを守ってくれた友であり、私のアイデンティティを構成するあまりにも大切な一部だ。

それを失うことは、足を失うよりもずっと心が痛み、苦しいことだろう。

それは、魔剣士として名高いビオンにとっても同じ。

高位魔法使いであればあるほど、自身の魔法の力を失うことは致命的だ。

それなのに、どうしてあなたは自分の魔力を私に譲れと言うのですか?

「……どうして?」

私はか細い声で彼に尋ねた。

「魔法を失うのは怖くないんですか?」

彼の心をどうしても推し量ることができなかった。

ただ単に私を哀れに思っているからではなく、それ以上に深い理由があるような気がした。

私の言葉にビオンは微笑んでみせた。

月の光が彼の顔を照らした。

暗い中でも彼の瞳はきらめいているようだった。

「殿下のおっしゃった通りです。私も戦争でどうしても勝ちたいのです。」

「……そう……ですか……。」

「もし殿下が精霊王を召喚なさるのなら、私が魔法を使うよりもはるかに戦力に貢献できると思います。」

たとえそうだとしても、私は彼の言葉をまったく理解できなかった。

そのとき、彼が言った。

「それに……」

私は彼の言葉に耳を傾けた。

世界のすべてのものが彼の言葉を聞くために息をひそめているかのようだった。

「……殿下がそれほどまでに切実に精霊王を召喚なさりたいというのなら。私は殿下の願いが叶うことを望みます。」

「……なぜ?」

どれほど彼が私を気にかけてくれていても、魔法まで失ってまで私を助ける理由はどこにもない。

私は彼に問いかけた。

彼は悲しげな顔で私を見つめた。

「殿下を長い間見守ってきたからです。」

「……はい?」

私は混乱した。

それは彼が私に情を抱いたからなのだろうか?

私と長い間一緒に過ごしてきたから?

しかし、その後の彼の言葉に私は目を大きく見開いてしまった。

「ずっと……見てきましたから。」

彼は深海のように青い瞳で私を見つめていた。

そのとき初めて、私は彼の言葉を理解することができた。

「……あ……。」

私はふと、彼の心の深さに沈んでしまいそうな気がした。

それほどまでに彼の想いは深かった。

今までその気持ちに気づけなかったのが不思議なほどだった。

「……私は……。」

彼がそんな気持ちを抱いていたなんて本当に知らなかった。

彼の心は全くわかっていなかったのだ。

「……」

私が口を閉じると、彼は寂しげに微笑んだ。

「大丈夫です。」

「……ビオン公子。」

「私は本当に大丈夫です。」

彼は私にもう一度懇願した。

「お願いです。殿下がすべてを犠牲にする必要はありません。どうか、私の魔力を代わりに持っていってください。そして殿下は……」

彼の言葉は続いていたが、私はゆっくりと目を閉じてしまった。

頭がくらくらする。

今になってわかった彼の思いも重く、私の心の中も複雑だった。

彼の言うとおり、だからといって犠牲になりたいわけではなかった。

「だけど……」

私は静かに微笑んだ。

ビオンが私を見守っているのを感じた。

「私はもう選択しました。」

私は自分の手を胸の上にそっと当てる。

ドクドクと脈打つ心臓の音とともに、以前とは異なる感触を感じた。

それは、私の心臓の上に刻まれた魔法陣の感触だった。

私は再び目を開けた。

ハイネン様との契約以降、私の体にはすでに生命力と引き換えに精霊王を召喚する魔力が作られている状態だった。

絶え間なく心臓あたりがじくじくと痛んでいたのはそのせいだ。

今となってはもう戻れない。

生命力を魔力に変えることはできるが、魔力を生命力に変えることは不可能だ。

もしそれが可能なら、魔力を持つ魔法使いたちは何百年も平然と生き延びているはずだから。

「ここにはすでに魔法陣が刻まれています。」

私はビオンに向かって微笑んだ。

私の言葉を聞いたビオンの顔は、悲しげにゆがんだ。

「……殿下……」

どうやら彼の顔がとても痛ましく見えたのか、私は慌てて彼をなだめた。

「ビオン公子、私は大丈夫です。」

彼の言うことは正しい。

国だからといってすべてを犠牲にする必要はないし、犠牲になりたいわけでもない。

しかし、世の中には個人に与えられた役目というものがあるのだ。

もしかすると、私がここで命を捧げて精霊王を召喚することが、私の運命なのかもしれない。

そうであるなら、私は悲しみや苦しみではなく、むしろ微笑んで受け入れたかった。

前向きに考えれば、どんな生命力を犠牲にしてでも精霊王を召喚できる人は、本当に本当に稀有な存在だ。

私にその幸運があったということを、ただありがたく思うばかりだ。

感謝したかった。

そして、ずっと願っていた通りに、自分の復讐を自分の力で終わらせたかった。

もうこれ以上、時間を引き延ばすことはできなかった。

ビオン公子の気持ちはありがたかったが、彼が私にしてくれることはもうなかった。

私はビオンに背を向けて、精霊王召喚陣の前に立った。

ビオンは黙って、私を止めなかった。

私は深く息を吸った。

地に描かれた精霊陣が私を呼んでいるように感じた。

私は手を上げた。

「……この大地と空と風と火と水を司る精霊たちよ。」

召喚の呪文を唱えると、胸の奥に刻まれた魔法陣が燃えるように熱くなってきた。

私は歯を食いしばり、その熱さに耐える。

「そしてその頂点に立つ偉大なる存在よ。」

体の中で私の生命力と混ざり合った魔力が徐々に外側へと放出され始めた。

血が一滴ずつ外に流れ出ていくような感覚に、意識がぼんやりしそうだったが、必死に正気を保った。

ここで倒れてしまっては、何も成し遂げられない。

「ここに、あなたを切実に呼ぶ私がいます……。」

地上の精霊陣が連動して白い光を放ちながら作動した。

私は大きな声で叫んだ。

「この地に降り立ち、私の力になってください!」

その瞬間、空から光が炸裂した。

確かに深い夜だったのに、昼のように辺りが明るくなった。

光の中心は直視できないほど眩しかった。

しかし私は分かった。

あのまばゆい光の中に、「彼」がいることを。

『……あっ。』

私は歓喜した。

ついに私が、精霊王を召喚したのだ。

心臓があまりにも速く脈打っていた。

それで私はこのまま死んでしまうかもしれないと思った。

すると、そのまばゆい光の中から彼が手を差し伸べてきた。

まるで、初めて彼が私に出会った時のように。

明るくなった周囲のせいか、あちこちから人々が現れ始めていたが、今はその人たちに気を向ける余裕すらなかった。

私は光の中に立つ彼の姿をじっと見つめた。

彼の白銀の髪は腰のあたりで揺れ、彼の金色の瞳はまっすぐに私を見つめていた。

—私の名前はルミナス。この世界のすべての光を司る、光の精霊王だ。

その声に、私は胸がいっぱいになった。

—私を召喚したあなたの名前は何ですか?

涙がこぼれそうになったが、私はなんとか明るく、力強く名乗った。

「私の名前はアイシャ・ド・エルミールです。」

私は彼に向かってかすかに笑ってみせた。

「あなたと契約したいのです。」

彼が私に向かって一歩一歩近づいてきた。

神の化身とは、まさにこういう感じだろうか。

存在感を全く隠していない彼は、光に満ちあふれていた。

目を背けたくなるほど神聖な光だった。

―あなたはこの世で初めて私を呼んだ唯一の人間。

彼の手のひらが私の頬に触れた。

―精霊と人間の古の律法に従い、私ルミナスはあなたと喜んで契約を結ぼう。

同時に、彼が私の額にそっと口づけた。

その契約の瞬間、私は胸が高鳴るのを感じた。予感していたことだった。

私の寿命は、長くともあと10年も残されていないということを。

それはまるで、動物が自分の死を悟ったかのような、本能的な気づきだった。

生命力を失った私の魂は、私を許容してくれた。

しかしその許容の中には、契約の喜びが満ちていた。

『……これでいいの。』

私は心の中でそっと呟いた。

ルミナスとの契約により、私の体からは気配が立ちのぼっていた。

これまで一度も感じたことのない、新しい力。

—契約者の願いを叶えるために最善を尽くし、君を守ろう。

私を見つめるルミナス様に、私は微笑み返した。

その言葉を聞くと、すべてが安心に変わった。

だが、緊張の糸がすっかり解けたせいか、あるいは生命力が完全に失われたことへの反動か、それともまだ幼い私の肉体ゆえか—

その瞬間、私は闇の中へと沈んでいく。

 



 

 

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