こんにちは、ピッコです。
「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

110話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 過去の記憶②
私はゆっくりと眠りから目を覚ました。
目の前には昼の天井が見えた。
『これは何だろう。』
ぼんやりと天井の模様を眺めた。
目覚めてからまだ時間があまり経っていなかったので、意識がぼんやりしていて、現実と夢の境界がはっきりしなかった。
しばらくして私は、それが天幕の模様だと気づいた。
「……ああ……」
少し頭が痛んだ。
マリアンヌに関する夢を見たからだろうか?
私も知らないうちに神妙な気持ちになっていた。
その時、誰かが私の額を撫でてくれた。
かなり控えめな動作だ。
「どこか痛むのか?」
そして目の前で光がまばゆく輝き、痛んでいた頭がうそのように治った。
「……?」
これは一体なに?
再び湧いた疑問に、私は思わず目を見開いた。
この治療方法は、私がとてもよく知っているものだった。
私が患者たちを治療する時に使っていた光の力――。
『神官が来てたの?』
そう思った私は、顎を動かして周囲を見回した。
けれど、そこにいたのは神官ではなく、他の誰かだった。
いや、正確には「人」とは呼べない存在だった。
それは――ルーン様だった。
「……え?」
最初はこの状況がまったく理解できなかった。
けれど次の瞬間、私は思わず立ち上がって言った。
『これ何!!!!』
突然飛び起きたからか、それともルーン様を見たからか、心臓が激しく脈打った。
ドクンドクンと鳴る心臓の音がルン様に聞こえるかもしれないほどだった。
「ル、ル……ルーン様?!」
「そうだ。」
私はあまりに驚いて心臓が止まりそうだったが、ルーン様は私の言葉にあっさりと肯定した。
私は完全に言葉を失ってしまった。
まるで言葉が通じない人のようだった。
自分がバカに見えるとわかっていても、口をぽかんと開けていた。
「……まだ夢なの?」
いや、夢じゃない。
私は自分の頬を強くつねってみた。
頬がヒリヒリと痛んだ。
この感覚を見るに、自分が夢を見ているわけではないというのは間違いなさそうだった。
『いや、幻覚なの?』
あまりにもうれしくて、彼の姿が恋しかった私だけど、こんなにリアルな幻覚を見ることがあるだろうか?
『まさか……本当に?』
ルーン様は、私が戸惑っている様子をただじっと見つめていた。
私は思わず恥ずかしくなって、頬が熱くなり、思わず顔を覆った。
――そういえば、以前もこんなことがあった気がする……。
とにかく、これが現実だとしたら、すごく気まずい状況だ。
私はひとまず彼に謝った。
「す、すみませんでした……」
「大丈夫だよ。」
「……」
私はそっと目を上げて彼の顔を見た。
一分の揺るぎもない、あの穏やかな目つきだった。
感じられる温もりも、私を見つめるその瞳も、すべて――ルーン様のものだ。
目元が少し赤くなっていた。
本当に久しぶりに会うからだろう。
けれど……。
「えっ、どうしていらしたんですか?」
私は彼に向かって尋ねた。
明らかに霊界へ戻っていたはずの彼だった。
『まさか、私のせいでルーン様が再び霊界から戻ってきたの?』
私は唇をきゅっと結び、じっと黙った。
彼が私のせいで罰を受けたというのに、また私のもとへ来てしまったせいで、再び罰を受けることになるのではと心配になった。
『ルーン様が来てくださって本当に嬉しいけれど……。』
私が心の中でそわそわしていると、彼が微笑を浮かべながら私を見つめた。
「……な、なんでそんな顔してるんですか?」
彼の瞳はまったく読み取れなかった。
到底、読めそうにない眼差しだ。
「君が僕を召喚したんじゃないか?」
「……え?」
「体の調子はどうだい?」
私はまた呆然として、目をぱちくりさせた。
「私が……ルーン様を?」
私はその言葉をゆっくり反芻した。
『そういえば。』
昨日の夜、ハイネ様と契約した。
生命力を魔力に変える魔法陣が私の心臓に刻まれて……。
『……』
体の気配を感じてみると、魔法陣はすでに消えていた。
どうやらルーン様を召喚するための魔力をすべて作り出した後、自動的に消滅したようだった。
よかった。
もしもその魔法陣が残っていたら、契約のときにルーン様がきっと気づいていたはずだからだ。
『……じゃあ………』
それも夢じゃなかったってこと?
彼を召喚して、光の中で彼に向かって歩いていったあの記憶……。
『全部、本当だったの?』
ようやく記憶が少しずつ戻ってきた気がした。
あのときの私は、混乱した魔力と生命力の不足による空虚、精霊王を召喚するという緊張で、ほとんど正気ではなかった。
『私がルーン様を召喚したって?私がこの世にたった一人の精霊王召喚者?』
私は本当に信じられなくて、また唇を噛もうとしたが、ルーン様が目の前にいることに気づいて、かろうじて正気を保った。
嬉しかった。
『……私が本当にやったんだ。』
自然と微笑みがこぼれてきた気がした。
体中が喜びに包まれた。
そして喜びだけではなかった。
ルーン様が私に少し微笑みかけてくれたのだ。
「長い間、よく頑張ったな。」
「……あっ。」
「直接は見ていなかったが、わかる。私を召喚するには相当な努力が必要だっただろう。」
私は口を引き結んで何も言えなかった。
喜びも束の間、やはりルーン様にとっては、私がどんな魔法を使ったのかはまったく伝わっていないのだと、はっきりわかった。
それは安心でもあり、同時にどこか心の奥にぽっかりと穴が空いたような寂しさもあった。
魔力で満たされた代わりに、身体のどこかの穴が不自然に空いたような気がした。
「……本当に切望していたんです。」
でも、自分の行動に後悔はなかった。
『……大丈夫。』
私は無理やり雑念を振り払い、ルーン様を見つめた。
そうしてみると、彼に聞いてみたいことがあった。
「……精霊界で受けた代償というのは、どんなものだったのですか?」
私はそれが何よりも気になった。
彼が私を守ってくれて、精霊界に戻ってしまったほどだから、私は彼にとても申し訳なく感じていた。
彼がどう過ごしていたのか分からなかったが、人間界を見守ることができなかったのか?
もしかしてどこかに閉じ込められていたのか……。
私の問いを受けた彼は、じっと私を見つめた。
「……あとで話すよ。」
彼が答えてくれることを望んでいたが、彼はそう言って言葉をはぐらかしただけだった。
少し残念だったが、それ以上は突っ込めず、私はそっとカップを口に運んだ。
彼が話したくなさそうだったからだ。
それを尊重しようと思う。








