こんにちは、ピッコです。
「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

121話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 大きな罪④
覚えている。
私の言葉を聞いて激怒していた、彼らの表情。
そして、ひどく冷ややかだった。
私が嘘をついていると、疑っていたその視線。
調査もせずに、私を罪人として、嘘つきとして仕立て上げた。
私を牢に閉じ込め、処刑台に立たせ、私に唾を吐いた。
私はゆっくりとイデンベレ皇族たちの顔を一人ひとり見つめた。
「……それだけが真実です。」
私が記憶していた姿より15歳も年を重ねた顔ではあったが、その顔からかつての面影を見つけるのは難しいことではなかった。
彼らは口を固く閉ざしていた。
まるで何かを言いたいのに、言えないような、そんな様子だった。
「嘘をつかないで!」
裂けるような声が私に向かって放たれた。
私は彼女に向かって顔を向けた。
私の正体を明かしたとき、真っ先に反応するだろうと思っていた人物だった。
彼女の緑色の目は、今にも私を噛み砕いて飲み込もうとするかのようにぎらぎらと光っていた。
さっきまでの彼女の本性が垣間見えたようだった。
時折落ち着いていた彼女だったのに、そう言った。
「あなたがアリサお姉さんだって? そんな馬鹿なこと……!!!」
「どうして嘘だと思うの?」
私は冷静に彼女の言葉を受け止めた。
「望むなら、何でも証明してみせられるよ。」
彼女の目に混乱が浮かび上がった。
私は指を折りながら一つ一つ話し始めた。
「マリアンヌ、私があなたに初めての誕生日プレゼントとしてあげた贈り物は、熊の人形のペアだったよね。そのうちの一つを持っていれば、昼の王宮でも簡単に見つけ出せるって言ったよね。」
「……!!」
「アドリンお姉さんは、子どもの頃の夢が検事で、エルシスお兄ちゃんはブルーミングの白い花を育てるのが好きだった。ラキアスお兄ちゃんが私に9歳の誕生日プレゼントとしてくれたのは、2つの贈り物で、一つは本、もう一つは――私は青いドレスを着ていた。そのドレスがとても気に入っていたけれど、背が伸びてしまって結局何度も着られなかったの。そしてルルスは……」
覚悟を決めると、すべての話が次々と口から出てきた。
指を握りしめた私は、彼らを見つめながら言った。
「もっと話した方がいい?」
マリアンヌは衝撃を受けた顔だった。
そう、死んだ人間が再び生まれ変わったという話を信じるのはそれほど難しいことだ。
そんなとき、アドリンが口を開いた。
「……で、皆さんはその話を信じるんですか?」
アドリンは顔が青ざめていた。
自分がずっと洗脳されていたという事実を信じるのも難しい話だ。
でも、今は死んだ人が再び現れたという。
彼女の混乱も理解できることだった。
しかし、相手を間違えたのだ。
イシスお兄様は口をつぐんだ。
ルーン様も驚いていた。
アドリンはさらに混乱した表情だった。
「でも……死んだ人が再び生まれ変わるなんて……」
それにルーン様が答えた。
「死んだ人は誰でもまた生まれ変わることができる。記憶を持っていることが特別なだけだ。」
その言葉に、皆が口を閉じてしまった。
この世界の秩序を司る精霊王の言葉なのだから、信じないわけにはいかなかった。
「……じゃあ、もしそれが本当なら……」
イデンベレ皇族たちは私を赦すことのできない表情で見つめていた。
そのとき、再び鋭く響く声が私たちの間に割って入った。
「嘘よ、嘘だってば!!!!!」
マリアンヌは怒りをあらわにしていた。
「記憶を全部読んで嘘をついてるんでしょ?!他の人は騙されても、私は騙されないわ!」
彼女の瞳には明らかに憤怒の気配があった。
私は思わず言ってしまった。
「どうして、あなたはそこまで……」
最初から、この事件の最初から、ずっと理解できないことがあった。
「……そんなにまで私が憎かったの?」
私の問いに、マリアンヌは口を閉ざした。
『どうしてマリアンヌは、そんなにも私を憎んでいたのか?』
どんな記憶の中を探しても、私がマリアンヌをいじめたり苦しめたりしたことは一度もなかった。
マリアンヌは私の妹だった。
ただ、大切にしてあげようとしただけだった。
「私があなたに何か悪いことをしたというの?どうしても分からないわ。」
私は襟を握りしめながら言った。
ありふれた悪意で姉の居場所を奪い、家族を欺いてその座を欲しがるなんてこと、ありえない。
私の言葉に、マリアンヌは目を細めて私を見つめた。
強ばった表情、輝く目が、私の根底から重大な意味を告げていた。
「……どうして私がアリサ姉さんを憎んでいたと思う?」
彼女は突然、くすくすと笑い始めた。
「どうして私が?私がなぜ?!」
静まり返ったホールに、彼女の声だけが響いた。
それはまるで、悪魔のようにさえ聞こえた。
「そんなの、当然でしょ。」
彼女は急に笑うのをやめて、私をじっと見つめた。
「私は一番じゃなければ、嫌なの。」
その瞬間、ホールの窓が割れた。
アルセンは驚愕した。
「……結界を張っていたのに!」
このホールに皇族たちを集めたとき、アルセンは自ら魔法で破れない結界を張ったと言っていた。
だから皇族であれば誰も外へ出られないはずだった。
しかしマリアンヌはその結界を破り、窓までも打ち破った。
そして皆が困惑している隙に、その窓の外へと素早く飛び出したのだった。
しかも一人で逃げたわけではなかった。
彼女が執着していたラキアスを一瞬の隙に抱えて逃げ出したのだ。
「……っ!!!」
人々が青ざめた顔で外を見たが、彼女の姿はすでに消えていた。
少なくとも、彼女は並外れた力を持っていたに違いない。
私はすぐに人々を見ながら——
「追いましょう。」
マリアンヌをこのまま放っておくわけにはいかなかった。
彼女を放っておいたら、いつかまた私の席を狙って戻ってくるに違いない。
マリアンヌの足が向かったのは、皇宮の東側にある時計塔だった。
どれほど急いだのか、彼女はすでに時計塔の最上階にたどり着いたようだった。
人々は絶え間なく階段を登り、さらに登っていった。
ぐるぐると回る階段の踊り場にさしかかると、遠くにマリアンヌの顔が見えた。
彼女の黒い髪はなびいており、緑色の瞳は暗闇の中で赤い光を放っていた。
ようやく私は、あの赤い瞳の正体を理解した。
誰も見間違えたわけではなかったし、勘違いでもなかった。
マリアンヌは力を使うたびに、目が赤く染まっていたのだ。
その証拠に、彼女の前には今、魔族がいる。
今まで気づかなかったのが不思議なくらい、圧倒的な存在感を放っている。
凶悪な風貌をしたその魔族からは、悪臭が漂っていた。
私は悟った。
『ルーン様が言っていた“におい”の正体はこれだったんだ。』
その時計塔の上から、マリアンヌは私たちを見下ろしていた。
「わかったの?!」
私は彼女を見つめながら、手をぎゅっと握りしめた。
『一番じゃないとイヤ。』
それはつまり、彼女が最初に愛されなかったなら、彼女は最初でなければ存在価値を見出せなかった、ということだった。
そういうことだったのか。
ようやく私は彼女の言葉を理解できた。
マリアンヌは狂ったようにケタケタ笑いながら、再び無表情に呟き続けた。
「私はお姉ちゃんみたいになりたかったの。こんな真っ黒なカラスみたいな髪じゃなくて、緑の瞳じゃなくて!」
私は自然に言葉を返した。
「私がお姉ちゃんみたいに生まれていたら、どれだけよかったか。私がお姉ちゃんみたいに、みんなから最初から愛されていたなら。もしみんなが私を愛してくれていたなら。もし、そうだったなら……」
彼女は狂ったようにうわごとのように呟いた。
「たった10歳でひとりで昼間の皇宮に捨てられたのよ。」
マリアンヌの高い声が時計塔の中に響き渡った。
「最初は天の国の子だと思ったの。伯母さまは私を捨てるつもりで、殴って苦しめたわ。でもそれは全部、私の勘違いだった……。」
マリアンヌは歪んだ顔で笑った。
彼女の赤い瞳はぎらぎらと光っていた。
「天国は天使たちのための場所よ。私みたいなカラスには居場所なんてなかった。私はお姉ちゃんみたいな天使に嫉妬してたの。そう、私はお姉ちゃんに嫉妬してたの。」
過去を告白する彼女の顔には、深い悪意が浮かんでいた。
やがて彼女が手を差し出すと、彼女の前にいた黒い魔族が体を起こした。
ルーン様が短く言った。
「……嫉妬と怒りを糧に生きる魔族、ベヒモスか。」
その言葉に、私は顔をこわばらせた。
普通、下級の魔物たちは名前を持たない。
名前を持つほどの者は、能力があるか、特別な存在だけだ。
名前を持つ者たちは、すなわち――
それだけでもこの魔族を相手にするのが簡単ではないと思わせた。
「でもね、知ってる? 私、お姉ちゃんからたった一つだけ奪われなかったものがあるの。」
マリアンヌは楽しそうに笑った。
「それは“聖女”という名前よ。」
「……!!」
「毎日セレナ女神様に祈ったわ。どうか私の願いを聞いてください。どうか私が、お姉ちゃんの代わりに愛されますように!」
マリアンヌは声を高くして笑った。
「そしたら、啓示が降りたのよ!セレナ様はなんと慈悲深い神様でしょう。ありとあらゆる方法を尽くしても抗おうとする私のために、魔族を召喚する方法を教えてくださったのよ……どれだけ慈悲深いお方なの!」
塔の中には魔族の吐き気を催すような臭いが充満していた。
「ベヒモスを召喚するための条件は、何よりも激しい嫉妬心だった。私にとってそれは、息をするより簡単なことだった。そして初めて彼を召喚したとき、本当に、本当に嬉しかったの。」
だがマリアンヌはその匂いすら抑えきれなかった。
あまりに興奮した様子で、彼女の顔にはうっすらと傷跡が浮かんでいた。
「みんなが私がやったって信じていた毒も、実は私が自分で仕組んだのよ。ほんとに笑える話じゃない?」
全然笑えなかった。私は歯を食いしばった。
「……すべてを計画していたのか。」
「そうよ、お姉ちゃんの立場を奪うために。」
マリアンヌは白々しく笑った。
「でもさ、聞いてよ。私がお姉ちゃんの立場を奪ったとして、それのどこが悪いっていうの?」
彼女の手の動きに合わせて、時計塔の明かりがすべて消えた。
同時に、赤い眼光を持ったコウモリたちが闇に覆われた時計塔へと飛び込んできた。
私は思わず驚いて言った。
マリアンヌがなぜここにわざわざ来たのかが分かった。
たぶんこのコウモリたちは、彼女が直接導いたものだろう。
これは普通の動物ではなく、人間を餌にする吸血魔物だった。
私はコウモリに対抗するため、ルディオンを召喚した。
ルディオンは暗闇の中でも黄金の光を放っていた。
彼は飛び回るコウモリたちを一匹ずつ倒していったが、数があまりに多くて簡単ではなかった。
アルセンがルディオンを補助して魔法を放っているのが見えた。
私の魔力が以前よりもずっと強くなっていて、ルミナス様と同時にルディオンを召喚できたのは幸運だった。
同時に隙間もなく魔族たちが私に向かって襲いかかってきた。
その時、イシスお兄様の剣は、暗闇の中でもひときわ輝いていた。
私とルーン様は彼女を挟んで向き合っていた。
すぐにでも動きたかったが、狭い時計塔の中では誰も簡単に足を踏み出せなかった。
剣を振るうのも、魔法を使うのも同じだった。
戦いの中で時計塔の天井が崩れ、大きな音とともに地面へと落ちた。
石の破片と灰が肌を鋭く打ちつけた。
その戦いを後ろから操っていたマリアンヌが、鋭い声で叫んだ。
「私は絶望を忘れないために、毎日脚をナイフで切り裂き、裂き、祈っていた。たとえ地獄の魔族に魂を売ることになっても構わなかった。私は努力した。そう、心から努力したの……」
その時の出来事を思い出すかのように、彼女の瞳がかすかに震えた。
やがて彼女は静かに腕を広げて何かを取り出した。
それは赤い結晶でできたロザリオだった。
神の紋章が刻まれているはずの中央には、鋭い針のような装置がひとつあった。
「お姉ちゃんも何の努力もせずに生まれただけで愛されたんだよ。それ以上、お姉ちゃんが言えることなんてないじゃん。」
彼女の赤い眼光は、闇の中でも私を真っ直ぐに見据えていた。
「その証拠に、みんなが私の姿をお姉ちゃんのものだと思って愛してくれたでしょ。」
その声はどこか楽しげにさえ聞こえた。
マリアンヌは、自分が取り押さえたラキアスを見下ろしていた。
ラキアスはまるでさっきまで夢を見ていたかのように、ぼんやりとした表情でいたが、マリアンヌの隣では身動きひとつ取れなかった。
もしかすると、まだ洗脳が完全には解けていないのかもしれない。
マリアンヌは笑いながらこう言った。
「お姉ちゃんはただ運が良かっただけ。私は運が悪かったの。」
「……あ、あなた……」
「だからって、私が間違ってるわけじゃない。」
彼女の唇が不気味に歪んだ。
吸血鬼のように鋭い牙を剥き出しにしながら、私に襲いかかってきた。
服を破って腕にかみつき、血を吸おうとするのを必死に防いだ。
すると、私の隣にいたルーン様が私を守るために飛び出していった。
マリアンヌはそんな彼に正面から短剣を振りかざした。
ルーン様はその不器用な動きを軽やかにかわしたが、驚くべきことが起きた。
「……!」
明らかに避けたはずなのに、ルーン様の腕に傷ができていた。
彼女の短剣には闇の気配がまとわりついていたのだ。
マリアンヌは笑いながら言った。
「この子もセレナ様が愛した子。聖女である私が、まさか魔族以外には何の力も持っていないなんて思う?」
精神体である精霊たちは物理的な攻撃には弱いが、魔力やオーラのような気に対しては非常に強力だ。
月の女神セレナの力を持つ彼女にとって、ルーン様の力はまさに天敵だった。
おそらくこの時計塔は、彼女が以前から魔力を込めて整備していた場所なのだろう。
セレナ様の力に満ちたこの場所では、ルーン様の力を十分に発揮することができなかった。
意図していたわけではないにせよ、彼女は我々を閉じ込めるための最終兵器ともいえるような場を作り上げていたのだ。








