こんにちは、ピッコです。
「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
141話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 白い鳥⑭
三日間も行方不明だった私を見つけ出した皇女宮の侍女たちは、ほとんど泣き出しそうな様子だった。
「お、お戻りになられました、殿下!!!」
「殿下!!!!」
侍女たちは一人残らず、青ざめた顔で私のもとへ駆け寄ってきた。
その勢いに少し気後れしながら、私はぎこちなく笑ってみせた。
「ちょっと……遅くなった?」
「一体どこにいらしたんですか!」
レナは私の手を握り、三日間にあった出来事を滔々と語ってくれた。
その間、皇宮では特に騒ぎもなかったらしい。
最初の日は人々も「そういうこともあるだろう」と思い、誰も私を探しに来なかったという。
私が成人であり、精霊王と契約を結んでいるのだから、「まさか何かあったわけではない、すぐ戻ってくるだろう」と考えていたそうだ。
遅くなって心配はしたものの、深刻に思うほどではなかったらしい。
しかし二日目になっても、私が戻る気配は全くなく、初日にリミエが侍女たちへ言伝をしたきり、全く音信が途絶えたため、そのとき初めて皇宮は異常事態だと判断したという。
皇宮の騎士たちは、私を捜すためにあちこちを駆け回ったばかりか、今では皇宮は封鎖令が出されるほどの事態になっていた。
どうやら私が他国の者たちに誘拐されたのではないかと疑われていたようだ。
しかし、日が経ち、半日が過ぎても、まるで空中に消えたかのように私の痕跡はまったく見つからなかった。
状況がこうなったことで、お兄様は戴冠式まで延期し、今もなお私を捜すことに全力を注いでいるという。
その話をすべて聞いた私は、全身が熱くなり、ぎゅっと拳を握った。
「アイシャ様、さあ早く殿下のもとへ参りましょう。皆、殿下がどれほどお待ちかと……。」
レナが私を急かす。
「う、うん。」
でもその前に、二人の精霊王にこれからどうするのかを聞かなくてはならなかった。
私は体をひねってルン様とハイネン様を見た。
ルン様は言った。
「私も一緒に行こう。」
彼が手を差し出すと、虚空から華やかな金色の鳥が舞い降り、皇女宮の庭園へと私たちを運んだ。
ハイネン様は、誰に頼まれるでもなく、自らルディオンの背にひょいと飛び乗った。
「じゃあ、私も見物に行くよ。」
「……」
ルン様はもともと継承式に祝福を授けるために同行してくれる予定だったのでまだ分かるとしても、ハイネン様のその言葉は、まるで散歩にでも出かけるかのような軽さだった。
とはいえ、止められるはずもなく、私は観念して頷いた。
「……はい。一緒に行きましょう。」
こうして私は、なんと二人の精霊王を後ろに乗せたまま皇帝宮へ向かうことになった。
皇帝宮へ向かう途中で出会った人々は、皆一様に驚き目を見開き、同時に私の護衛があまりにも堂々としている様子に深く感嘆していた。
だが、彼らと長々と話している暇はない。
私はただ、できる限りの速さで皇帝宮へ飛び去ることだけに集中した。
やがて宮殿の前に到着すると、皇室の近衛隊が見えた。
ルディオンの背から飛び降りた私は、彼らに尋ねた。
「父と母は?ここにいらっしゃるの?」
「皇女殿下!」
驚いたのは彼らも同じだったが、すぐに混乱を収めた近衛たちは深く頭を下げた。
「はい、もちろんです。お二方とも皇女殿下をお待ちです!」
「ありがとう!」
私は近衛たちが開けてくれた道をまっすぐ進み、広間の中へ入った。
近衛たちはルン様を見ると恭しく挨拶したが、ハイネン様を見るとどこか寂しげな表情を浮かべた。
おそらく、彼を見るのは初めてだからだろう。
ハイネン様はそんな近衛たちに微笑み、手を振って応えた。
「皇女様!」
「アイシャ皇女殿下!」
「殿下!」
北宮に入るや否や、すべての侍従や侍女たちが私に気づいた。
その中には侍従長もいた。
礼儀作法を何より重んじる彼が慌てて駆けつけてきたのだから、それほどまでに心配していたのだろう。
「皇女殿下、一体この間どちらにいらしたのですか。この老いぼれは殿下がご心配で……」
「わかっています。まずは父上のところへ行きましょう。戻ったことをお伝えしないといけませんから。」
「かしこまりました。エリック、ただちに走って陛下に皇女殿下がお戻りになったとお知らせせよ。」
侍従長はそばにいた侍従エリックにそう命じる。
エリックは深く頭を下げると、素早く駆け出していった。
私は侍従長の案内に従い——そして、父と母がいるという広間へ入った。
「お父さま、お母さま!」
二人は腰を下ろすこともできず、広間で立ち尽くしていた。
心配と混乱に満ちたその瞳が、私を見ると大きく揺れた。
「アイシャ!」
母が真っ先に駆け寄り、私をぎゅっと抱きしめた。
「まあ、この間どこにいたの!」
母の目には涙が浮かんでいた。
「けがはないのか?」
父は落ち着かぬ様子で私を見つめた。
私は小さく答えた。
「ご心配をおかけして申し訳ありません。私はただ……」
どうなったのか説明しようとしたその時、広間の扉が勢いよく開いた。
「アイシャ!」
ドアを蹴破って入ってきたのは、イシス兄様だった。
普段なら驚いたり慌てたりすることのない彼が、今は息まで乱れていた。
私を見た彼は大きく口を開き、
「……アイシャ!」
そう叫ぶと駆け寄って私を抱きしめた。
気づけば私は、母と兄の両方にしっかりと抱きすくめられていた。
兄を慕う妹たちであれば夢にも見たい状況だろうが、実際に挟まれている私は——
(息が……詰まる……)
そんなことを考えていた。
しかし文句を言う気にはなれなかった。
こうなったのは、長く宮廷を留守にしていた私のせいなのだから。
「無事でよかった、アイシャ。私は、私はどれほど心配を……」
どれだけ心を痛めていたのか、イシスお兄様の顔はわずか半日でやつれていた。
翡翠色の瞳には涙がにじんでいる。
幼い頃から一度も見たことのない姿に、私は少し戸惑った。
「す、すみません。事情があったんです……」
「事情だと?」
三人とも、説明を求めるように私を見つめた。
家族の視線が一斉に私に注がれ、私は内心冷や汗をかいた。
(あ、そうだ)
そのときになって、まだハイネン様を紹介していなかったことに気づいた。
私はハイネン様の目を見て言った。
「えっと、それから……ご紹介したい方がいるんです……」
家族たちはその時になってようやく、ハイネン様の存在に気づいたようだ。
なんと、そのすぐ隣にいたルミナス様でさえも、今まで気づかなかったらしい。
二人の精霊王は、隠そうと思っても隠しきれる存在ではない。
それなのに今まで気づかなかったということは、私を見つけたことで後ろにまで注意を払う余裕がなかったのだろう。
「そ、そういえばルミナス様も一緒に……!」
母が言葉を切った。
家族たちは何も言わなかったが、ハイネン様が一体誰なのか気になっている顔をしていた。
彼は一目で只者ではないとわかる人物だったから、それも無理はない。
ハイネン様が軽くうなずき、紹介してよいという合図をくれたので、私は口を開いた。
「水の精霊王、ハイネン様です。」
「……!!」
「……えっ?!」
私の言葉に、家族は本当に心底驚いたようだった。
それも当然だ。
精霊王だなんて——生きていて精霊王の顔を一度でも見られたら、一生の栄誉と言える存在だ。
それに加えて、ルミナス様だけでなくハイネン様にまで会うことになるのだから、驚くのも無理はない。
家族は慌てて二人の精霊王に挨拶を捧げた。
「この帝国を代表してご挨拶申し上げます。ティリオン・ド・エルミルと申します。」
父がそう挨拶すると、ハイネン様はにっこりと笑った。
「会えて嬉しいよ!」
あまりにも気軽な挨拶に、家族は少し戸惑った様子だった。
(まあ、そうなるよね。)
私は心の中で苦笑した。
ルン様に会った時までは、私もまた精霊王様たちは皆、優雅で品のある存在だと思っていた。
私と精霊王たちを慎重に観察していたイシス兄さんが尋ねた。
「……お前がいなくなっていたことと、この方々は関係があるのか?」
私はうなずいた。
「少しの間、この方々について精霊界へ行ってきたんです。」
「……?!」
「説明すると長くなるんですが……その……そこで精霊神様にお会いして……」
私は目を泳がせながら言葉を濁した。
以前、私が寿命を代価にルン様と契約したという話を聞けば、きっと皆驚くだろう……。
内心ドキドキしながらどう説明しようか迷っていたとき、ハイネン様が笑みを浮かべ、爆弾発言をした。
「人間で言うなら“結婚の挨拶”を済ませてきた、ってところかな。」
その一言で、周囲は一瞬にして静まり返った。
「……え?」
イシス兄さんの声がわずかに上ずって聞こえた。
「け、結婚の挨拶……?」
父は私と精霊王を交互に見比べていた。
「…………」
母は黙ったままだった。
(……結婚の挨拶?)
私は心の中でぎょっとした。
そんな表現していいの?
私たちに祝福をくれたハイネン様は、あえて「結婚の挨拶」という言葉を優しく解説してくれた。
「結婚の挨拶のことさ。両親に会って許しをもらうやつ、みんな知ってるだろ?」
何も言わずにいた母が、私とルン様を交互に見ながら尋ねた。
「じゃあ、アイシャはルミナス様と……?」
「そ、その……」
私はどう答えたらいいかわからず、ただ汗をダラダラ流していた。
それを肯定と受け取ったのか、母は震える声でこう言った。
「……継承式が終わったら、すぐに結婚式の準備をしないとね。」
「……お母さん!!!」
私は顔を真っ赤にして叫んだ。
すべての事態を引き起こした張本人であるハイネン様は、ただ笑っているだけだった。
さらにルン様が一言加え、父の前に歩み寄ってこう言った。
「……これからよろしく頼む。」
父はまさに、言葉では表せない複雑な表情を浮かべていた。
「…………」
イシス兄さんは、なぜか気まずそうな顔をしていた。
まるで「こうなる予感はしていた」とでも言いたげな表情だろうか。
もしかすると、私とルン様が同じ馬車に乗っているのを見つけたあの日、イシス兄さんはすでにこうなることを予想していたのかもしれない。
あの時、兄はあれほどルン様を警戒しろと言っていた。
その時点では、私がルン様に心をほんの少しでも許すことはないと思っていたのに。
兄は私に「光の神の名にかけて誓え」とまで言ったのだ。
あの時、誓わなかったのは幸運だった。
なぜなら、私はすでにルン様に心のすべてを預けてしまっていたからだ。
私はそっとルン様を見上げた。
「…………」
そうこうしているうちに、私はまたしても顔を真っ赤にしてしまった。
『な、何か別の話題を出さなきゃ』
必死にそう考えた私は、ようやく無難そうな話題を見つけた。
「そ、そういえば継承式は?今日が継承式の日ですよね!」
「ああ。」
家族たちは困ったような顔をして、互いに視線を交わした。
「お前を探すことしか頭になかったよ。」
「も、もしかして、私のせいで延期になったんですか?!」
そうしてずっと待たれていた継承式だった。
「大丈夫だ。一日や二日延びたところで、大したことじゃない。」
「でも……!」
私は足をバタバタさせた。口ではそう言ってくれたけれど――
それに、今日は日取りを選び、数か月間準備してきた日だ。
加えて、タク国からの訪問の知らせを受けた後に継承式の日程を急に延期すれば、間違いなく後から噂が立つだろう。
帝国民たちも今日を心待ちにしていたのだから。
私はきっぱりと言った。
「いいえ!今日でなければなりません!今すぐ準備できますか?」
私の言葉に、執事長はわずかに震える声で答えた。
「そ、その……皇女殿下。準備はほとんど整っておりますが……仕上げの準備がまだ少し残っておりまして……」
「では今からその仕上げを始めればいいですね!」
私は侍従長にすぐ命じた。
宴会の音楽や楽団、会場の装飾、そして人々に予定通り継承式を行う旨を伝えることを。
式のこと、それ以外にも色々と……。
私が矢継ぎ早に言葉をまくしたてるのを見て、父は無表情のままだった。
「アイシャが、いつの間にかこんなに大きくなったんだな。」
「そうなんです。」
「アイシャ……。」
感慨に浸る家族たちの背中を、私は軽く押した。
「お父さん、お母さん、それにお兄さまも、早く準備しないと!」
「ああ、そうだな。」
「今すぐ行こう。」
一番忙しいのは、何といっても継承式の主役である兄だ。
兄が準備しなければならないことは、山のように積み上がっていたのだ。
私の頭の中にも、やるべきことが次々と浮かび始める。
私は連絡役として走り回った。
本来なら2〜3日かけて余裕をもって準備するはずが——準備が足りなかったうえに、半年ぶりに準備しようとしたら目が回るほど忙しかった。
それでも皇宮の人々は不器用ながらも有能で、幸い状況は順調に進んだ。
その結果、日が沈む前に継承式の準備をすべて終えることができた。







