もう一度、光の中へ

もう一度、光の中へ【3話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【もう一度、光の中へ】まとめ こんにちは、ピッコです。 「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となってお...

 




 

3話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 見慣れない光景

目の前には、モビールがくるくると回っていた。

幼い赤ん坊にふさわしい、鮮やかな色のモビール。

それを見て私はぼんやりと考え込んだ。

乳母が近づいてきて、にこやかに笑いかける。

「かわいらしい皇女様!」

今日も彼女は私がかわいくて仕方がないといった顔をしている。

「ご気分はいかがですか?」

私は乳母の目を避けた。

いつも通り、最悪だった。

生まれたばかりの頃は何が起きているのかすら分からなかった。

何が何だかわからず、非常に戸惑っていたが、ようやく自分の状況をはっきり理解した。

私はイデンベル帝国のライバル国「エルミール」帝国の第一皇女として生まれ変わったのだ。

もはやイデンベル帝国の人間ではなくなったが、エルミール帝国で生まれたこと、再び赤ん坊になったことなど、気に入らないことばかりだった。

それでも私はその言葉を口には出さず、心の中に押し込めた。

できることならはっきり言葉にして叫びたいところだが、今の私はまだ赤ん坊であり、声を発することすらできない体だったからだ。

「まあ、お気分が優れないのですか?」

幸いにも乳母は察する力があったようだ。

そう考えていると、彼女は突然、愛嬌たっぷりの顔を作って私を笑わせようとしてきた。

「……」

もちろん、私は笑わなかった。

しかし、赤ん坊としての本能なのか、思わずその視線を反射的に追ってしまう自分がいた。

乳母は満面の笑顔を浮かべて言った。

「今日は新しい人形を持ってきましたよ。かわいいでしょう?」

そう言って、彼女は新しい人形を私のそばに置いた。

ぴかぴか光るウサギの人形だった。

『……はあ。』

私は心の中でため息をついた。

この部屋にいる人たちは皆、私を歓迎し、何かと世話を焼こうとしてくるのだ。

『私がイデンベルの第4皇女だった時も、こんなふうに歓迎されたことなんて一度もなかったのに。』

人々が私に注ぐ関心は、正直言って重荷でしかなかった。

それでも、そんな私を乳母や侍女たちは微笑みながら見守っていた。

もちろん、それは私の母である「アイリス皇后」も同じ。

彼女は北方の権勢を握る人物でガイン・ルセル侯爵の庶子として、以前の皇后が体調を崩した後、新たに宮殿に迎え入れられ新しい皇后となった。

『親をうまく選んだおかげで出世するんだな。』

私は冷ややかに考えた。

何度も生まれ変わる中で今回も皇女になったという事実は、滑稽でしかなかった。

さらに後で知ったことだが、エルミール帝国の皇族の子供たちは無垢で高貴だと評されていた。

それは、この国の皇帝が一夫多妻制を取っていたことも関係しているだろう。

側室がいるという理由で、どんな女性でも受け入れられるイデンベル帝国とは大きく異なっていた。

さらに、なぜか女児は特に珍重されていたため、人々は私が生まれたことを「国の祝福」として前面に押し出していた。

私には、それが本当に祝福なのかどうか分からなかったが。

エルミール唯一の皇女、私。

まるで青い宝石が輝いているような二つの瞳と、雲のように柔らかい銀色の髪。

まだ生後10か月ほどの赤ん坊である私に向けられる過剰なほどの称賛のおかげで、自分の外見がどのようなものかを知ることができた。

以前の人生で私は黒髪に緑色の瞳を持っていた。

鏡を見たことがないため詳しくは分からないが、髪色や瞳の色だけでなく、顔つきそのものも全く変わってしまっただろう。

『ああ。』

私は心の中でため息をついた。

またしても前世の「私」と今世の「私」を比較している自分に嫌気がさした。

それなのに、過去の記憶は絶え間なく湧き上がってくるのだ。

私は風に揺れて回るモビールを見つめながら、ゆっくりと思考をまとめていった。

生まれ変わった私には、二つの奇妙な現象が起きていた。

一つは前世の記憶——つまり「アリサ・デル・イデンベル」としての14年間の記憶が含まれていること。

もう一つは……。

私は心の中でそっとささやいた。

『みんな。』

私の意志に反応して、何かがぞろぞろと集まってきた。

それはかすかな光で構成された「光の精霊」たちだった。

私の目にしか見えないこれらの存在。

目が見えるようになる前から、これらの存在をかすかに感じることができていた。

そして視界が開けてからは、それらを目にするだけでなく、会話もできるようになった。

私はその希少だという「精霊士」として再び生まれたのだ。

それも、自然の一部として存在する精霊たちを目にできるという非常に優れた精霊士として。

エミール帝国は光の神を崇拝する国であり、私が光の精霊を巧みに操る姿を幼い頃から見せたとしたら、きっと私の価値は非常に高く評価されるだろう。

でも、それがどうだというのか。

私は苦笑いを浮かべた。

このような素晴らしい能力を持っていても、私には生きる意欲がなかった。

乳母が食べ物を与えてくれることさえ、ただ少しの気晴らしに過ぎなかった。

人々が近づいてくると、私は視線を避け、抱かれることも拒否した。

赤ん坊としての本能があるせいで、動くものに目が行くのは仕方がなかったが、その本能さえも極力抑えようとしていた。

もしも人々が私を放っておいてくれたら……そのほうがよっぽど私には楽だったと思う。

しかし、人々は非常に執拗だった。

彼らは私に興味深いものを次々と見せながら、少しでも私を楽しませようとしていた。

そんな彼らの様子を私は冷たく眺めていただけだった。

その誠意だけは認める。

『それでも数年間、ずっと無視し続ければ、いずれ彼らも私を諦めるだろう。』

私がこうしている理由は特にない。

私は疲れていた。

もう生きたいという意志がなかった。

生まれてしまったことは仕方がないので、死なない程度に食べて、死なない程度に呼吸するが、それ以上のことはしたくなかった。

静かに生きて、静かに死のう。

だが、その計画には一つの問題があった。

「元気にしてたか?!」

まただ。

彼が来た。

私は思わず眉をひそめてしまった。

部屋の扉を勢いよく開けて登場した彼を見て、乳母は気に留めることなく喜んで挨拶した。

「皇太子殿下!今日も皇女様に会いにいらっしゃいましたか?」

「うん!アイシャはどう?」

二人は楽しそうに会話を始める。

私は再び心の中でため息をついた。

そう、この人。

この人こそが問題の原因だ。

私の兄にあたる「イシス・ド・エルミール」。

彼は今年で9歳、この国で唯一の皇太子でもある。

先代皇后の子供であるため、私や母とは血の繋がりはないが、彼はまるで実の兄弟のように私に接してくる。

正直、私が乳母や母よりも彼の顔を見る時間のほうが長いだろう。

どれだけ無視しても、どれだけ避けようとしても、彼はしつこく私に近づいてくる。

その彼にはどうしようもなく困らされていた。

「アイシャ!」

彼が笑顔を浮かべながら、枕元に近づいてきた。

「元気にしてた?」

彼は私を見て、自分が持ってきたものを手渡した。

それは大きな薄紅色の花だった。

「今日は花を持ってきたんだ。たぶん宮殿で一番きれいで大きな花だよ。」

私はちらっとそれを見た。

彼が持ってきた花は、この国の国花である「エルミールの花」だ。

乳母が何度も話してくれたが、この季節になるとエルミールの花が庭いっぱいに咲き誇るのだという。

薄紅色の花びらが重なったその花は確かに美しかった。

しかし私はそれをそっと避けた。

皇太子とあまり話したくなかったからだ。

そのため、皇太子は少しがっかりした様子でつぶやいた。

「うちのアイシャは本当に人見知りがひどいみたいだな……。」

違う。私は心の中で否定した。

そうではなく、ただあなたたちと親しくなりたくないだけだ、と。

私を放っておいてくれ。

そんな気持ちで私はしっかりと目を閉じた。

まさか彼がずっとチラチラと私の様子を伺い続けるわけではないだろう?

この作戦がうまくいったのか、イシスは困惑したように戸惑った。

「アイシャ? 寝ちゃったの?」

『そうだよ。だから早くどこかに行って。』

私は目をぎゅっと閉じて心の中で数字を数えた。

それからしばらくして、彼がいた場所が静かになる。

『行った?』

静かになったのを確認し、ようやく彼は去ったらしい。

こういうフリをするのは思ったより効果がある。

今後もこの方法を使わなければ。

私はそっと目を開けた。

しかし、次の瞬間、思わず叫び声を上げてしまった。

「……きゃあ!」

彼の鼻先が届きそうなくらい近くにいたのだ。

私をじっと見つめていた彼のせいだ。

彼の大きな緑色の瞳が通常よりも数倍も大きく見えた。

私が跳ねるように後ずさりすると、イシスは逆に自分が驚いたように慌てた。

「ご、ごめん。驚かせようとしたわけじゃなかったんだけど……。」

私は唇をきつく閉じ、彼をじろりと睨んだ。

そしてくるりと背を向けた。

動揺した自分が情けなかった。

なるべく他人に感情を見せないようにしているのに。

そのため人々は、皇女殿下は感情表現が少なくて寂しがり屋なのではと心配する様子だが……。

それも私の計画通りだ。

どんな反応も見せず、他人の関心を薄れさせること。

『でも、あいつはどうしてこんなにしつこいんだろう。』

私は心の中でぼやいた。

「アイシャ、驚かせちゃったから怒った?」

しおらしい声で彼が言った。

「ごめん。謝るよ。」

皇太子ともあろう者が、こんなに簡単に謝罪の言葉を口にするなんて。

完全に皇太子失格だ。

『もういいから、さっさとどこか行ってくれ。』

でも私の願いとは裏腹に、彼は相変わらず私のそばに居続けた。

疲れる様子もなく。

小さく開けていた私の部屋の窓から風が吹き込み、そこに吊るされたモビールが舞い、色とりどりの光と美しい音を奏でていた。

彼が私の髪を軽く撫でながら囁いた。

「大切な妹。」

私は気付かぬうちに、体がわずかに震えてしまった。

またその声だ。

耳にぴったりと張り付くように何度も聞こえてくる声。

彼は9歳、私は10ヶ月。

彼はまるで私を洗脳しようとでもするかのように、以前からこの言葉を繰り返してきた。

「愛しい妹。」

「大切な妹。」

「たった一人の妹。」

私はその言葉を聞くたびに、不快感で落ち着かなくなってしまった。

彼がそう繰り返すたび、前世の記憶が蘇ってきてしまう。

私を見捨て、背を向け、石を投げつけ、沈黙を貫いたあの人たちのことが思い出されるからだ。

『……。』

もしかしたら私は無意識に顔をしかめていたのかもしれない。

彼が心配そうに私に尋ねた。

「大丈夫?」

私は返事をしなかった。

すると彼はゆりかごの前にうなだれるように座り込んだ。

どうやらすぐに立ち去る様子はなさそうだ。

「アイシャ。」

彼は再び私の名前を呼んだ。

その声にはほんのり悲しみが混じっていた。

ちらりと視線を動かしてみると、彼は私のゆりかごをそっと揺らしていた。

『うるさいな、本当に。』

そう心の中で思いながら、初めて彼の顔をじっくりと見た。

彼の目は鮮やかな緑色で、金髪がその輝きを引き立てていた。

そして、その幼い年齢にも関わらず、毅然とした端正な顔立ちをしていた。

まるで皇帝を彷彿とさせるほどの美しい容姿だ。

それだけでなく、彼はまだ9歳であるにもかかわらず、大人びた落ち着きと気品を持ち合わせていた。

私が彼を無視しても、諦めずに繰り返し訪ねてくるその姿には、忍耐力と無敵のような精神力が感じられた。

それにしても、なんて大層な子なのだろう。

「アイシャ!」

私が彼をぼんやりと見つめると、彼は感激したように私を呼んだ。

「私の妹……。」

彼の顔には満面の笑みが浮かんでいた。

それを見ても、私は彼がなぜそこまで喜んでいるのか理解できなかった。

『私ってそんなにいいものなのだろうか?』

そう思わず考えた。

しかし、どうしてだろう?

私たちは血が繋がった兄妹だとしても、ここまで彼が私を愛していることは理解に苦しんだ。

『それに……。』

私は視線を落とした。

血縁だからといって、兄妹だからといって、それが特別だというわけでもないはずだ。

それでも私は未だに「ラキアス」が処刑を宣告したときのあの声を忘れられない。

話すこともできない赤ん坊であることが少し楽だった。

もし尋ねることができるのなら、一度聞いてみればいいのに。

でも、どうして私の表情が暗くなったのだろう?

イシスが心配そうな顔で私の顔をもう一度覗き込んだ。

「アイシャ、どこか具合が悪いの?」

「……」

私は黙っていた。

彼が私に向ける関心も、人々が私に示す愛情も、どれも心地よいものではなかった。

むしろ、そうだ。

いっそのこと、死ぬ間際のように私を非難し、罵倒してくれる方がよかった。

あるいは完全に無関心であれば……。

でもその時だった。

まるで私の心を読んだかのように、彼が口を開いた。

「アイシャ。」

穏やかなその声は太陽のように暖かかった。

「僕が秘密をひとつ教えてあげる。」

秘密?

私が目を丸くすると、彼はまるで愛らしいものを見つけたように微笑んだ。

「僕は長い間、君を待っていたんだ。」

そして続けられたその言葉に、私は一瞬で固まってしまった。

彼の言葉はまるで、私が生まれることを知っていたかのように聞こえた。

どうして彼が私が生まれることを知っていたというのだろう?

もしかして、彼と私の転生に何か関係があるのだろうか……そんなことはないよね?

恐る恐る彼を見つめたが、彼は私の疑念に答えるように続けた。

「弟や妹が欲しくて、長い間お母さんにお願いしてたんだよ。」

ああ、私は思わず力が抜けてしまった。

『私を待っていたというのは、そういう意味だったのか。』

毎日同じ天井を見上げながら、動きのない退屈な生活を続けていたせいで、私は一瞬彼の言葉を違う意味に捉えてしまったようだった。

どこか物思いにふけたような様子だった。

イシスは続けて話し始めた。

「でも、お母様は体が弱かったから、弟妹を持つことを躊躇されてたんだ。そして、だんだん体調が悪くなって……」

それは私が初めて聞く彼の話だった。

彼は一呼吸つきながら私を見下ろした。

「2年前に亡くなられたんだ。」

「……」

私は目をぱちぱちと瞬かせた。

森の中の緑の木々のように美しいイシスの翡翠色の瞳が、どこか物悲しげに揺れていた。

「最初はすごく辛かったよ。お母様の代わりに宮廷に来られたアイリス様も。世の中も、お父様も。でも……」

彼はかすかな笑みを浮かべた。

「今では、アイリス様が来てくださって、本当に良かったと思ってる。僕にとって新しい家族になってくれたんだ。あの方がいらっしゃるから、私は本当に幸せなんだ。」

彼は私の指を大切に握った。

私の手とは違って大きな手だった。私はぼんやりと彼を見つめた。

『新しい家族……』

「そしてアイシャ、君の存在も。」

イシスは静かな声で続けた。

「君が見つかったのはまるで奇跡のようだった。本当に嬉しくてたまらなかったよ。」

「……」

「君は覚えていないだろうけど、君が生まれる前からとても楽しみにしていて、毎日アイリス様の元に通っていたんだ。」

彼は明るく笑った。私は心の中で小さくため息をついた。

『知っているよ。』

母の声と同じくらい何度も耳にしてきた話だから。

子どもの声。

それが王太子のものであることを知ったのは、太陽が沈みかける頃だった。

それでも毎日、同じように聞くことができた。

けれども、聞くのに気づかないことがあるだろうか。

「前にも言っただろう。アイシャ。」

アイシャは穏やかな声で私に近づいてきた。

その優しい愛情が私にひとひらの温もりを与えた。

「全世界の人々が君を愛している。」

歌のようにその言葉を続けた。

私はその言葉を見つめた。

理解できなくても、それがどこかに感じ取れるものだとわかった。

それには、私が非常に特別な存在であることを感じた。

いいえ、それだけではない。

毎日私を見守ってくれる優しさ、夜に私を誇りに思わせてくれる母の愛がある。

父である皇帝や、さらには宮殿内の侍従たちにとっても。

私は皆にとって特別な存在だった。

「アイシャ、僕がいつまでも君を守るよ。」

彼は優しく笑みを浮かべた。

その穏やかな声の中で、私は少しだけ心を動かされた。

それは春だった。

新芽が顔を出し、花茎を作り上げる、美しい春。

 



 

 

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