こんにちは、ピッコです。
「愛され末っ子は初めてで」を紹介させていただきます。
今回は58話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
58話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 手放してはならない手②
首都で一番大きな温室は、やや外れた場所にあり、タウンハウスから行くには大神殿を通過しなければならなかった。
普段ならただ通り過ぎるだけの場所だったが、なぜか馬車が止まる。
「日を間違えたみたいだね。」
「え?」
その不可解な言葉の意味は、窓の外に視線を向けた瞬間に明らかになった。
大神殿の前で、国王夫妻と大神官が来訪するのを迎えるために、貴族たちが整列して頭を垂れていたのだ。
(これって、新年の舞踏会のときにやることじゃないの?)
その場をたださっと通り過ぎたいと思ったが、あの煩雑な王国の一団がどんな手を使ってくるかわからないものだった。
(騎士たちに命じて馬車を一台一台止めさせるなんて、ただ通り過ぎるだけで済むの?)
見るからに厳格な態度を取るつもりだと分かった。
そして大神官は・・・。
(最近神聖な宝物を見つけたらしいけど、やたらと騒がれているみたいね0
両親が首都行きを決めたのもそのためだった。
神殿で推薦された噂がこうして広まった後、しばらく疎遠になっていた王室との関係も回復していた。
大神官は、最近の2年近くを王室の信頼を再び築くためにあらゆる努力を尽くしてきたらしい。
もちろん、貴族たちからの権威を取り戻すための話でもある。
そうして下級神官と神殿騎士団を総動員して寄与し、神聖な宝物を見つけたようだ。
(今日は王室の定期的な大神殿訪問の日だったみたいだね)
それも最近2年の間にほとんど行われていなかったが、大神官が宮殿を訪問していた。
さらには国王夫妻が再び訪問するほど神殿の威信が高まったという噂だ。
「手を、つかんでくれる?」
馬車から降りる前に、ミハイルはまるで2年前のように私に頼んできた。
ただ普通にエスコートしてくれればいいのに。
全く、本人が私に恩を感じていることについては、やたら細かく説明してくる感じだった。
彼らの好意は素直に受け入れるしかない。
私はミハイルの手をしっかり握り、馬車から降りる。
(適当にほかの貴族たちの間に混ざって礼儀を示して通り抜ければいいよね)
彼らと深入りしたくはなかったが、それでも辺境国のセットや大神官もやはり一目置かれる存在だった。
大神殿の前には軍隊の行列に合わせて訪れた貴族たちも多く、かなりの人で溢れている。
私たちはその通りを通り抜けようとしたが、ミハイルは知らずに後ろの方で遅れ、彼らは素早くこちらに目を留めて注目した。
「おや、あそこにいるのは末っ子のお嬢様ではないか?」
先に口を開いたのは大神官だった。
国王はその馴れ馴れしさに初めはあまり気に入らなかったようだ。
しかし、大神官が何か囁き、その場の雰囲気をがらりと変えると、大げさに声を張り上げる。
「おお、わが可愛い姪よ!この喜ばしい日に、祝宴に駆けつけてくれたのだな!」
(いえ、通りがかりです。ただの道すがらに過ぎませんから)
しかし、私の気持ちとは無関係に。
「ほほほ、そんなことはあるまい。殿下、末の姫君もこの王国の臣民として敬意を示し続けていることでしょう。大神官殿への敬愛を含めて」
王妃は一瞬驚いた様子を見せたが、国王は満足げな表情でまるで子犬を褒めるように私に笑みを向けた。
「さあ、早くこちらに来なさい」
その手招きだけでも十分異様だ。
国王は私の手を握るミハイルを見て、誰が見ても嫉妬に満ちた表情を浮かべ、言わなくてもいいことを口にした。
「あの子供の手を放してくれ、姪の手が冷たくなっているのを見ると、私の心がとても痛む!
最近、私が無責任な噂話を多く耳にしている気がする。
夢に現れたあの馴れ馴れしい男もそうだし。
もちろん、私はミハイルの手を離し、国王夫妻に挨拶をするつもりは全くなかった。
何も知らないふりをして、ただ困惑する幼い子供の特権を利用しようと考えていた。
だが、それでも・・・。
(ミハイル・・・)
手を握ってほしいと言ったのはあなたでしょう?
ミハイルが先に私の手をぽんと放した。
彼はまるで何事もなかったかのように、寂しげな表情を一生懸命隠しながら。
「おいで、末の姫君」
「私、ミハイルと一緒に行く。」
「大丈夫だよ、末の姫君は国王陛下の家族だから、もっと見たいに違いないんだ」
そうやって弟を気遣うように言ったミハイル・レベンティスは、一体どこへ行ってしまったのだろう?
あなたの祖父も私に好意的だったではないか?
(私だけが傷つくはずがない)
無意味な自己弁護だとわかっていても、ミハイルに申し訳なかった。
今日温室に行こうとしたのも、ミハイルが私のために準備したことだったのだから。
(他の日でもよかったのに、ミハイルがこんな経験をしなくても済んだのに)
私が心を痛めている間、国王は再び声を荒げてこう言った。
「おや、ジョスカよ。大人をずっと待たせるものではないぞ! こうして来いと言われたら、すぐに来なければならない!」
私が来いと言われたらすぐ来なければならないのか?
両親は知らない人にはついて行くなと言っていたのに!
そう考えてみても、もし私が耐えられずその場に立ち尽くしたら、大神官や国王夫妻がミハイルに害を与えるのではないかと心配していた。
彼らのしつこさをよく知っていたから。
私はとぼとぼと歩いて近づいていくと、国王夫妻は不愉快な気持ちを隠せていなかった。
「ふん。ジョスカよ。陛下はこの国の王だ」
「え?」
私は何も知らない幼い子どもを装った。
彼らに礼儀をわきまえさせたいとは思わなかった。
母が言ったのだ。
誰に対しても卑屈である必要はないと。
そしてそれは、この没落した王国の人々にも当てはまることだった。
『私たちの子どもたち、もし今回首都に行ったときに国王陛下が何かおかしなことを強要したらどうするの?』
『「『お母さん!』って叫んで逃げるようにしなさい!」
お姉さんがしっかりと答えていたことを、私はとてもよく覚えている。
私の母は責任感を持たない発言をする方ではなかった。
それに、他の大人たちと比べても小柄な人だった。
一言でいえば、少し幼い子どものように振る舞ってもよいという感じだった。
(もちろん、今は母がいないので、呼ぶことはできないけど)
おかしな態度で、顔をつくろうとする国王。
いったい何が目的なのだろう?
ジョカが礼儀を守らなかったとしても、大きな罰を受けることはないだろうというのは明らかだった。
「おい、礼儀を守る方法も学んでいないのか!明らかに公女という子が」
「礼儀? お辞儀をすればいいの?」
「そうだ!」
そこで私は国王の望むとおりにした。
両親に教わったとおり、お腹の前で手を組み、そのまま腰を深く下げてお辞儀をする。
「こんにちは〜」
そしてすぐに顔を上げると、その瞬間、国王夫妻の顔ときたら!
人間の眉間と口元が同時に震えるような、面白い表情を見せたのだ。
「い、いったい何なんだ、この子は!」
「どんな教育を受けさせたんだ!」
とてもよく教育してくださったのです。
ふん。そして、上位の者は自分の役割をしっかり果たさねばならない。
(どうして両親が国王夫妻を怖がらずにいられるのかしら)
それは権力がすべて公爵家にあったからだ。
内政を任されたのは、国王本人だったが神殿との関係が悪化してから、威厳を失ったのか、実権を両親に委ねてしまっていた。
それゆえに貴族たちは両親の顔色を伺いながら過ごす王国だった。
(両親はそれでも平和に過ごすのが良いと思っているみたいで、ある程度の礼儀だけは守るようにしているのよね)
今のような理不尽な状況で礼儀を守るのは難しいものだが。
せっかくのミハイルとのお出かけを邪魔されてしまいました。
国王たちに一泡吹かせてほしいですね!