こんにちは、ピッコです。
「愛され末っ子は初めてで」を紹介させていただきます。
今回は59話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
59話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 手放してはならない手③
国王は言葉に詰まり、王妃は困惑しながらそっと助け船を出した。
「まだ何もわからない子供だからでしょう。末っ子のお姫様はちょっと変わった性格で、うちのシャルロッテとは違うようですね」
「そ、そうだね!」
2人でそんな風に私をからかうようにしていると、大臣が愛情深そうに優しく私に語りかけてきた。
「末っ子姫様、まだ幼くてよくわからないかもしれませんが、貴族の方々は貴族同士で交わりながら主に仕えるのが良いのですよ」
世の中、これが神官の言うことか?
そもそも神官は困窮している人々を温かく支えるべき存在ではないのか?
「これからはシャルロッテ王女様とよく接し、受けた恩恵を他の者たちに分け与えると良いでしょう」
「そうだ! 我がシャルロッテは主神に祝福された子だもの」
神官の言葉に王妃は疑わしげに微笑んだ。
本当にこの国は何か罪を犯して、こんな見るからに能力のない指導層を持つことになったのかしら?
(やっぱり、この国が滅びるのを止めるには、王室と神殿をひっくり返さなきゃいけないのかな?)
こんな簡単なクエストが私に与えられるわけがないと思いつつも、これまでの経験を頼りに、私は真剣に考え込んだ。
「おい! 末っ子姫!物語をする時は集中して聞くものだぞ」
私が大袈裟に振る舞わないと、国王はむしろ誤解したようで口を開いた。
(これを遠くから眺めてみるのも面白かっただろうに)
まだ三つか四つの子供相手に全力を尽くして取り繕うなんて。
私はここを早く離れようと、とっさに返事を考えた。
「お母さんが___」
一言目から効果的だった。
大臣は平静を保っていたが、亡国の取り巻きたちはざわつき始める。
「新しい友達がいるって聞いたんだが、それで?」
「ミハイル、私の友達だよ、お兄さん。ミハイルって名前だよ。良い子よ。悪い子じゃないわ」
私はあえて素直な表情で目をしっかり開けて言った。
「違う、違うぞ!どうして言葉を理解しない?」
「え?」
さらに内心を抑え、目をまん丸くして微笑みながら深々とお辞儀をした。
「シャルロッテの近くにいるだけじゃなくて、他の貴族の子供たちとも仲良くしてほしい!」
「そうだね、末娘よ。望むなら、新しい友達を紹介してもいい」
「その通りです。お嬢様、神殿にも幼い頃から一緒に過ごしてきた子供たちがいますので、仲良くできると思いますよ」
「ええ、仲良く過ごすのもいいでしょう。まだお嬢様は付き人も選ばれていないので・・・」
国王、王妃、大臣の三人は揃って慌てたように口を開いた。
このような状況で次々と発言しなければならないのが自分たちであることを忘れているのだろうか?
実際には私の耳にもかすかなため息が聞こえてきた。
(そこまでしてお嬢様を束縛する必要があるのでしょうか?)
(そうよ、シャルロッテ王女様と親しくさせるためにわざわざ家の子を送り出しても、大いに誇れることよね)
(王女様のそばに置く最初の駒が公女様でなければ、自分の立場が揺らぐとでも思っているのかしら、王妃は)
(まあ、本当に王妃殿が末っ子公女様をシャルロッテ王女様にふさわしい相手として見ているなら、それも話のネタにはなるでしょうね、ふふ)
(そうですね、テクラ公女様とはいろいろと良好な関係を保つ必要がありますから)
(誰が否定しますか、マタプの中枢も実際には公爵家でしか実現できないことですしね)
(とにかく、この茶番が早く終わればいいのに、末っ子公女様の顔があんなに赤くなるなんて)
(そうですね、公女様がこれを知ったらどれだけご立腹でしょう)
まあ、彼らも確かに善意から発しているわけではない。
そう言いながらも、この茶番劇を積極的に終わらせるつもりはなさそうだった。
それにしても、このような人々であれば、一部だけでも席を離れてほしいものだと思った。
探しにも来なかっただろうし、もちろん私もこの状況の解決を他人に任せるつもりはなかった。まず会話を終わらせて逃げればいい。
(お母さんが言ってた通りだ)
元々、両親の言うことをよく聞くのがいい子供というものだ。
(ずっと国王殿下や王妃殿下が何をしたらいいかって言ってたっけ?)
『礼儀正しく両親によろしく伝えて挨拶するようにって言ってましたよ』
『そうだね』
その時、お兄さんの一言に母の顔はひどく満足そうだった。
前回の首都訪問の際に疲労を感じられたのか、何度も毅然と対応されていた。
「友達、いいね」
「そうだろ!」
「お母さんに何て言わなきゃいけない?」
「何て?」
「お母さんに何て言えばいいの?」
そう言ってから私は、良い返事をしたように、少しぶっきらぼうな表情を浮かべながらも丁寧にお辞儀をした。
「さようなら!」
そして私はくるりと体を回して階段を駆け下りた。
私が駆け下りると、慌てた貴族たちは即座に道を空ける。
「ちょ、ちょ・・・あの坊主頭の・・・!おい!おい!」
背後から国王の怒鳴り声が聞こえた。
しかし私はその声をまるで聞こえないかのように無視して、軽い足取りでミハイルに向かって走る。
少年の目元には私を心配する表情が浮かんでいた。
「どうしたんだい、坊や。君が友達じゃないとしても、別に大丈夫だよ」
「大丈夫?そうやってちょろちょろ走り回って、今度はどうしたの?」
私はぷっとした顔でミハイルの手をぎゅっと掴んだ。
「ミハイル、手を繋いでほしいって言ったんだよ」
そう言うと、ミハイルはさらに申し訳なさそうな顔をして固まった。
「僕のせいで公爵様も公爵夫人も困ったらどうしよう・・・」
そんなくだらないことを言うなんて。
初めからこんなことで大きく困るような両親ではない。
むしろ両親がいなければ困るのは国王夫妻の方だ。
さらに。
(今日、私が彼らの望む行動をしたって思っているのかな?)
いや、絶対にそんなことはない。
私が2000年も生きてきて学んだことだが、嫌味たっぷりな奴らは、私が何をしてもケチをつける。
それが普通だ。
(いっそ早く爆弾を落としてしまったほうがマシだよ)
しかも、私を罠にかけようとする連中の間でさえ爆笑が起きるなら、むしろ愉快だ。
そうすれば慌てて逃げ出して、権力争いもすぐに収束するだろう。
(そのほうが、失敗する可能性が減って簡単だ)
常識のない相手には、優しい言葉や態度を100回見せるよりも、実際に行動を1回見せたほうがずっと効果的だ。
私はミハイルの手を握り、馬車へと向かう。
「私はミハイルと一緒に温室へ行くつもりだから」
だから、無駄に自分が悪いわけでもないのに、そんな顔をしないで。
せいぜい8歳くらいのくせに。
(私が全部大丈夫にするから)
ミハイルはさらに、私が離れないようしっかりと手を握ってくれた。
もちろん、私は素直な子どもに戻った後、父に今日あったことを説明した。
もっとも、私が話し始める前に、彼はすでに全てを知っていたようだ。
それでも父は、予想通り怒ることも困ることもなく、落ち着いた顔で私を膝の上に座らせ、話を聞いてくれた。
「それで、挨拶をしに行ったんだね?」
「はい、母がそうおっしゃいました。」
「そうだね、母が私たちの子どもたちがよく分からないことは両親に聞いて確認してきなさいと言ったんだよ。我が家の末っ子は賢いね」
父はそう言いながら私の額にキスをする。
そしてとても小さな声でささやいた。
「子どもたちのように怯えないようにと奥様がそうおっしゃったんだ」
それから私が何か言ったように、父はうなずき、何事もなかったかのように穏やかな顔に戻った。
「怖くなかった?」
「怖くはなかったよ。でもね」
「うん?」
「ミハイル、手を離して、それは冷たいから」
私は少し拗ねた顔をしてみせた。
「ミハイルは悪い子?」
「そんなはずないよ!ミハイルは悪い子じゃないんだから」
父はそう言いながら私をぎゅっと抱きしめる。
「これからも私たちの末っ子は遊びたい友達と楽しく遊べばいいんだよ」
その温かい言葉としっかりとした抱擁に安心感を覚えた。
このようなことがあっても、他の子どもたちを責めることのない人が両親であることが、本当に嬉しかった。