こんにちは、ピッコです。
「愛され末っ子は初めてで」を紹介させていただきます。
今回は61話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
61話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 手放してはならない手⑤
大臣と国王は今回は少し慎重になり、朝に馬車まで送ってくれた。
私は子供のように馬車を興味津々で眺め、好奇心を見せていた。
父は結局、娘に逆らいきれず、大臣の前へと向かう。
「私の娘、怖いときは必ず『お父さん!』と駆け寄ってくるんですよね?」
「はい。」
怖がる予定はなかったが、父は少し心配した様子を見せた。
「それなら父さんは、うちの娘を必ず抱きしめて守るよ。」
「はい、私もお父さんが大好きです。」
「父さんも、うちの末娘を本当に愛しているよ。」
少し申し訳なさそうな表情をしながらも、愛情を示す父。
馬車はついに大臣の殿堂に到着した。
前回の儀式とは違い、多くの貴族たちが集まっている。
(これくらいの規模でなければ、劇を始めるには十分じゃないよね)
今日は、この騒ぎを引き起こした者たちが数人ここに集まっている。
劇が始まった。
私と父が到着した後、儀式がすぐに始まる。
ミハイルもレベンティス大公と共に出席しており、顔がやや暗く沈んで見えた。
だからこそ、そんな表情はしないようにと言ったのだ。
(むしろ毅然とした表情がいいのに。)
普段なら得意なアイコンタクトや挨拶すらもしなかった。
まあいい、ミハイル。
次に会うときには言葉を交わさないわけにはいかないだろう。
数々の儀式と会話が無事に終わり、ついに私の出番がやってきた。
「主の聖物で清めの香を撒く役割を担うのは、アナスタシア公女様です。こちらへどうぞ、公女様。」
大臣の合図を受けて、他の司祭の案内で私は前へ進み出た。
大臣が手を挙げ、私を迎える準備が整う。
香炉に手をかざした。
(あれ?)
彼が注ぎ込んだのは神聖な力ではなかった。
むしろ——。
(これは聖物じゃない。)
ずる賢い策士がいるのか?
ただ受け入れるつもりだったが、最後に幕を閉じる算段をしていたのに、これでは話が変わるじゃない!
私は急いで魔力を引き出した。
(いったいどの神官が黒魔法の道具を聖物と呼ぶのか!)
悪事を働いたのはお前だったのか!
眩しい青い光が私の体を包み込む。
「アナス——!」
驚いた父の声がだんだんと薄れていった。
「ここはどこ?」
周囲は一面の暗闇だった。
白々とした森の中に一人ポツンと取り残された私は、短く息を吐き出す。
最後に魔力を引き出したおかげで無事だ。
ただし、黒魔法というものは、一度発動されれば制御が効かず、破壊するのが容易ではない。
(むしろ一部をわざと受け入れて、一部だけ破壊する方が簡単だ。)
つい先ほど大司祭が使っていた道具のことが頭をよぎる。
問題なかった。
「チョコ。」
「お呼びですか、魔王様!」
私は忠実な手下である小型の精霊、チョコを召喚する。
右手には彼の小さな体を抱えるのにぴったりなサイズの小犬のような姿が現れた。
「ここがどこか調べてきて。」
「はい!チョコにお任せください!」
そうして私は、この森の住民たちと礼儀正しい挨拶を交わす時間を持つことにした。
利用したのは黒魔法だった。
(あの大神官、寿命を最低3年は削ったんじゃない?)
相手に血を吐かせた後、最も危険な場所に送るというのがこの黒魔法だったのだから。
(本当に執念深い奴だった。)
普通の4歳児なら、今頃この世とさよならしていたはずだ。
貴族の4歳児に何をそんなに深い恨みを持ったのか?
いや、それとも私ではなく、正確にはエンデブラン公爵か。
それでもなければ、国王を狙ったのだろうか。
(両親と国王の仲が悪くなっても、大神官にはそれほど大きな損害はないからね。)
もし彼が帝国の密使だと考えれば、なかなか悪くない計画だった。
普通、子どもは両親にとって弱点になるものだから。
(私じゃない場合はね)
はは。
(帝国の密使ではなく、過去の野心が原因かもしれないな。)
元々、腐敗した連中は国が安定しているよりも揺さぶられている方が好きだ。
そうすることで自分たちが入り込む隙が増えるから。
「ふう。」
まあ、それはそれとして。
まずは今、自分がどこにいるのかを突き止めなければならない。そうだ。
『アナス___!』
心配性の父が泣くはずもない。
いや、もう気付いていたのだ。
私はその場で立ち上がり、ドレスについた汚れを手で払い、魔法で吹き飛ばそうとしたが、発動しなかった。
「やっぱり魔力が封じられているのか。」
黒魔法違反に対するペナルティで、12時間ほど魔力の大半を使うことができなかった。
「こういうことがあるから、他の人生で寿命を削ってまで使う連中もいるわけだ。」
正直に言えば、私も寿命が大した価値がないと思ったことがあり、使ったことがある。
退屈で無駄が多く、すぐにやめたが。
まあ、魔力がなくても召喚はできるし、能力や内面の実力は抜きん出ているからな。
「我々の娘に何をしたのだ。」
ロガート・エンデブランは、ここ十数年で最も怒りに満ちた顔で大神官の襟を掴んだ。
「ぶ、無礼です!こ、この手を離してください!」
「すぐにその壁に叩きつけられたいのか?」
「ひ、ひいっ。へ、陛下!」
事態をなんとか収めようと、大神官は焦りながら国王ルキウスを呼んだ。
しかし、彼の頼みの綱はすでに役立たずであることが明白だった。
ロガートが激怒し、殺気を放つと、最初にその場から大きく距離を取ったのはルキウスだった。
いや、ルキウスだけではない。
ただ無表情で立っているだけでも圧倒的な威圧感を放つエンデブラン公爵の前で、怒りも殺気も適わないと見抜いた貴族たちもまた距離を取っていた。
全員が息を呑み、後ろへと下がっていく。
大神官は、自力で切り抜けるしかないと悟ったのか、声を張り上げた。
「しゅ、主神が怒りをお示しになったのです!」
「3つ数える。その間に正確に答えなければ___」
「公爵様!そ、それはあなたの娘様が主神の気に触れ・・・しゅ、主神が罰を下されたということです!それについて、何度も警告をしたではありませんか!」
「・・・何?」
「恐れながら!国王陛下と私は、公爵家の地位をお守りするために尽力したのです!この恩をどうして・・・くっ!」
大神官はそれ以上言葉を続けることができなかった。
ロガート公爵は大神官を壁に激しく叩きつけ、その肩口に剣を押し当てて固定してしまった。
「そんな戯言を私が信じるとでも思ったのか。大神官。」
ロガートは冷たい表情で彼に警告する。
「その汚らしい息、あと1秒でも吸いたいなら、黙って娘がどこにいるのか言え。」
大神官はロガートの冷ややかな緑の瞳を見て、全身が震え、恐怖で金縛りにされたような気分になった。
もし冷静さを保てなければ、自分の命運が尽きることになるのを悟ったほどだ。
あの春の草原のように美しい緑色の瞳が、これほど鋭く自分を貫いてくるとは思いもしなかった。
多くの思考が頭の中を駆け巡ったが、そのすべてを生存本能が打ち消す。
大神官は震える声で、かすれた言葉を絞り出した。
「北の・・・魔物の森・・・」
それを最後に、大神官の記憶は途切れる。
押し寄せる殺気の中で、そのまま意識を失ったのだ。
ロガートはその姿を見て眉をひそめ、国王に向かって堂々と歩み寄った。
「こ、公爵・・・」
「陛下。」
ロガートは冷静に理性を保ちながら身を低くし、ルキウスと視線を合わせた。
「お、お話しください。」
「ご決断を。」
ロガートは固く唇を引き結んだ。
「首都とその周辺地域に騎士団を密かに動員する必要があります。当然のことです。」
そして国王の鼻先に通信球を差し出す。
神秘的な青い光が渦巻いていた。
そして国王は誰よりも、その通信球が誰と繋がっているのかを知る人物だった。
通信球の上には、あまりにも見慣れたこの地の紋章――毒蛇を描いた盾の模様が刻まれていた。
「ご承認いただけますか?」