こんにちは、ピッコです。
「愛され末っ子は初めてで」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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74話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 特別な誕生日④
ありがたいことに、私の困惑は両親に救われた。
「陛下、まず礼を交わすお時間をいただけますでしょうか?」
私はそっと教皇の後ろについてきた年配の信仰深い司祭たちを見たが、彼らは本当に穏やかで、落ち着いた表情を浮かべていた。
それはまるで揺るぎない信念そのもののようだった。
突然子ども相手に高貴な方が現れるなんて、どうしたら教皇の権威に繋がるんだ?
高貴な方という存在自体がどういったものか分からなかったが、それは私だけでなく他の人々も同様だったようだ。
特に国王の表情を見る限り、彼も今日の行事に参加するために、ドロリスとのデートを控えて震え上がっていたと聞いていたくらいだ。
それでも、今回の聖国使節団が訪れた後には、ふむふむ。ついに彼も国王としての威厳をしっかり示すことができるかもしれない。
「お母さま、陛下は常に威厳のある方です。世界に向けても常にそうであられます。」
決して欲深いわけではなかった。
父がやたらと野心的であるのが苛立たしく、そもそも何を求めるつもりなのか分からずに少し憂鬱な気分になっていたところ、無駄に期待していたら、むしろ困惑する事態になってしまった。
いずれにしても、そうした期待とは裏腹に、教皇は入場して私や公爵家を批判するのではなく、高貴な方の存在を称賛していたのだ。
どうなったのかは分からなかったが、その感情を全身で表現していた。
それでも、教皇の前に立つときの無駄に謙虚な姿勢を崩すことはなかった。
「おや、ようこそお越しくださいました、教皇陛下。」
「歓迎してくださり感謝します、パルサンの国王よ。」
それでも教皇はさすが教皇だった。
彼は非常に威厳ある態度で国王と挨拶を交わした後、ゆっくりと身体を回して貴族たちにも祝福を伝えた。
「パルサンのすべての方々に主の祝福があらんことを。」
「聖なる祝福があらんことを。」
そこまでして、形式的に大人たちの時間を過ごしてくれればよかったのだが、教皇はその時点で見せていた行動がまるで虚偽であったかのように、鋭く威厳に満ちた目つきで私を見つめた。
いかにも神妙な態度で近づいてくるかと思いきや、私は気付かぬうちにミハイルの背後に隠れていた。
だが教皇は本当に一歩を踏み出し、ミハイルは私の困惑を察知したのか、その場で行動を起こした。
しかし、本当に私を困惑させたのは教皇ではなく、彼を止めようとしていた私よりも一枚上手な信者たちの口から出た言葉だった。
「聖下、この場で私たちがさらにお手を煩わせるべきでしょうか?」
彼らは怒りながら教皇に訴えた。
「お願いです、お願いです。聖女様にきちんとした礼儀作法を守り、節度を持つよう何度も申し上げてきたではありませんか!」
いや、これがまた何の戯言だ?
私が聖女なんてものを再び演じるつもりは毛頭ない!
そう心の中で叫んだが、すでにその場は水を打ったように静まり返った。
そこにいる全員が、さらには両親までもが驚いた表情で私を見つめていたのだ。
ああ、私はただ公爵家の末娘として静かに生きていたいだけなのに。
どうやら私の願いは、4年すらも満たされずに叶わないまま終わりそうだった。
・
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周囲が驚きの渦中で固まっている中で、最初に冷静さを取り戻して口を開いたのは国王ルキウスだった。
「つまり……末娘が、つまり私の姪が聖女様だということですか?!」
本当に大した人物だ。
この混乱の中でも『私の姪』という言葉に力を込めて語る姿を見ると。
国王の問いかけに対し、教皇はまるでそれを待っていたかのようににこやかな笑みを浮かべながら返答を始めた。
「その通りです!実に十数年前、主が私にお告げをくださったのです。私は当時まだ新米の若い神官で、初めて神殿に足を踏み入れたばかりでしたが、その時の感動と真剣さは今でも鮮明に覚えています。当時、誰も私がこのような地位に昇るとは信じませんでしたが……」
彼の続く言葉を聞きながら、私は少し前に抱いていた考えを訂正せざるを得なかった。
チョコ菓子みたいな存在だと侮っていたが、彼はチョコ以上に注意が必要な人物だった。
自分の人生についてどれだけ深く考えたのだろうか。
隣に立っていた、経験豊かな老神官が何度か彼の脇腹をつついた後、ようやく話を切り上げる様子だった。
「ふむ、ふむ。数々の証拠を通じて、私が聞いた声が確かに神のお告げであると知り、聖国は神が掲示した聖女を見つけるべく全力を尽くしました。」
そう言いながら、彼は非常に慎重な表情を浮かべ、再びその大きな体をぺこりと折り曲げた。
「3年間探し続けましたが、どれだけ探しても見つからず、私たちが来るべき時ではなかったのだと悟りました。しかし、それは全て私たちの不甲斐なさのせいです。」
その後、無音の足音で私に接近してくる音が聞こえた。
「来ないで、来ないで!」と心の中で叫びたくなるほどの強烈な気配だった。
その勢いに圧倒されながら、私はミハイルの腕を掴み、後ろへ下がった。
ミハイルはそのまま私の盾の役割を果たしてくれた。
「5年前、聖女様が初めて声を届けてくださったその日になってやっと分かりました! 聖女様がどれほど偉大な方かということを、私が鼻先まで近寄らないとこの決定的な力をほんの少しでも感じ取れないということです!」
「ただそれを私に対して全然力がないと感じさせてくれれば済むのでは?」
「いや、聖女様。あの力を無駄に使わないよう、隠されていらしたのに、射抜かれた者を未然に防げなかったのは、全て私の不手際です。」
そう言って彼は本当に私に向かって深々と頭を下げた。
「どうかお許しいただけませんか、聖女様?」
許すから、ただ聖女にはしないでほしい。
頼むから…。
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