こんにちは、ピッコです。
「ちびっ子リスは頑張り屋さん」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

94話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 奇妙な夢
「うわっ、いきなり何、このにわか雨?」
突然の雨に、通りの人々は建物の中へ急いで駆け込んだ。
その様子を見て、ベアティも今日の視察を終えて宮殿へ戻ることにした。
雨に濡れ、髪の先までしっとり濡れた儚げな少女の姿に、使用人たちは慌てて彼女を浴室へ誘導し、暖かいお湯に体を沈めるよう促した。
そして、ベアティはふと、先ほど耳にした情報について考える。
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顔に皺を刻んだ老人は、毎年一度は訪れていた姪夫婦との音信が急に途絶えたことに、重い溜息をついた。
戦乱の影響で何年も混乱が続いたが、それでも彼らは途切れることなく手紙を送っていた。
それが突然、何の知らせもなくなったのは不自然だろう。
「そういえば、最後に送られてきた手紙に、変な話が書かれていたんだ。」
「変な話?」
「ああ。多くの人が亡くなった時期に、その混乱の中でまことしやかに広まった噂だったが……。」
老人は手にした盃をぎゅっと握りしめ、不安げな声で語り出した。
「“死の鳥が人々の魂を連れ去っていく” という話だ。」
「え? 死の鳥?」
「おかしいだろう?私も長く生きているが、そんな話は聞いたことがなかった。でも、姪はそう言っていたんだ。」
「ああ……。」
「遺体の間を飛び回る死の鳥を見たという証言があるらしい。」
姪への心配がまた頭をもたげ、老人の目が険しくなった。
「それが一件や二件ではなく、徐々に多くの目撃者が現れ、“自分の目で見た” と証言する者が続出したんだ。」
「直接見たというのですか?」
「ああ。目撃者によると、その死の鳥は赤い目を持ち、決してその目と視線を合わせてはいけないらしい。」
「なぜです?」
「その赤い光を見つめると、魂を吸い取られ、死んでしまうからだ。」
その噂について語る老人の表情は、どこまでも真剣だった。
姪夫婦が最後に送ってきた手紙の内容は、彼らの身に何かが起きたという確信を持たせるものだった。
「うちの子たちも、その赤い光を見たことがあると言っていた。」
「え?」
「幸い、直接目を合わせたわけではなく、遠く城の外に積まれた遺体の近くで、赤い光がちらつくのを見たことがあると。」
「……。」
「それくらいなら大丈夫だろう。あの鳥と直接目を合わせたわけではないから……。きっと無事なはずだ……。」
だが、老人の震える声は、まるで自分自身に言い聞かせるようだった。
その不安げな様子を見て、ベアティは彼の姪夫婦の行方を突き止めなければならないと考えた。
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「ストム領地の指定地点に人を送ったから、きっと答えを持ち帰るはず。」
それで情報交換は終わった。
「魂を奪う死の鳥……。なぜそんな噂が広がったのか?」
目撃者が多数いるとなれば、単なる流言蜚語として片付けるわけにはいかない。
「もしかして、王室直属の監察機関が調査していた、最近頻発している毒殺事件と関係があるのか?」
ストム領地の特性を考えれば、まずはその可能性を疑うべきだと考えた。
ブルブル……。
思考に沈んだベアティの口から漏れた水泡が、浴槽の表面でぷくぷくと弾けた。
雨に打たれて戻ってきた主を気遣い、用意された熱い湯で十分に体を温めた後、彼女は静かに自室へと戻った。
宮殿までついてきた公爵家の使用人が、髪の毛一本乱れることなく丁寧に仕上げてくれたおかげで、ぼんやりとした状態で寝台に向かっていたベアティの視線が、窓の外へと向かった。
まだ健在な黄金のどんぐりバッグから、ベアティは中の銅製の球体を取り出した。
「今夜だったわね。」
ふと窓の外を見た彼女の目は、夜空に輝く星を確認していた。
星座の星が最も輝く夜。
以前、聖者がプレゼントしてくれた宝珠を、星の光がよく届く場所に置き、ベアティは再び布団の中へと潜り込んだ。
「今夜は夢を見るだろう。」
しばし、回帰前の世界に関する聖者の記憶が伝えられていた方法を思い出したベアティの瞼が、すっと閉じられた。
ゆっくりと眠りにつき、夜空はさらに深まっていく。
十分な星の光を吸収した球体が、光を放った。
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懐かしい感覚だ。
聖者の記憶の中へ入り、過去を振り返る夢。
すでに何年も前から何度も見ていた夢だと認識すると、ベアティは周囲を見回し、状況を把握しようとした。
「ここは?」
いつも聖者の記憶の中に現れる場所は見慣れたものだったが、今日は特に異質な光景だった。
火の気配すら残っていない瓦礫の山が無数に積み上げられ、その中には誰も片付けようとしない放置された兵士の遺体が無限に広がっている。
「戦場? まだ大戦が終わっていない時の出来事……?」
今回はせめて「最初の撤退」事件を防ぎ、大戦を早く終わらせることができるかもしれない。
回帰前の人々は、長引く戦争にどれほど苦しんでいたことかと思いながら、ベアティは王国の軍服をまとい、冷たい地面に横たわる兵士の遺体を静かに見つめた。
そのとき。
バサッ!
生命の気配がないこの荒れ果てた場所で、何かが羽ばたく音がした。
音のする方向に視線を向けたベアティは、すぐにその原因を突き止めた。
「アイツは!」
ベアティの黒い瞳が大きく見開かれた。
王国の首都で時折目撃される、大きな黒い鷲。
ベアティが以前、国王の宮殿に潜入した際、怪しく出入りしていた敵国の使節団の男だった。
「アイツがここに?いや、それより今何をしているの……?」
そっと剣の角度を下げ、王国兵の遺体に近づいている黒鷲を見たベアティの目が細くなった。
敵国の男が戦死した王国兵に善意で近づいているようには見えない。
もちろん記憶の中で行われる動作は、実際の状況に影響を与えるわけではないが、敵国の男が我が軍の戦士に何をするのかをただ見過ごすわけにはいかなかった。
お前、行け!シッシッ!」
ベアティは黒鷲が降り立った場所へ駆け寄り、戦士の前を塞いで腕を振った。
そして、その近くに留まったおかげで、黒鷲の鋭い爪が地面の瓦礫に隠れていた何かをかすめたのを、はっきりと目にすることができた。
「ん? 足元に何か隠しているの?」
そして次の瞬間。
視界を覆う光に、一瞬、目の前が赤く染まった。
ドクン、ドクン!
心臓が激しく鼓動した。
背後で微かな音が鳴り響く、不吉な気配。
自分でも気づかないうちに震える体に疑念を抱いたベアティは、反射的に距離を取った。
危険、あるいは何か異常な気配を少しでも感じたら、その場から即座に離れ、周囲を確認して仲間を呼ぶこと。
これは、師匠たちが彼女に徹底的に叩き込んだ護身術の一つだった。
全身の毛が逆立つような不吉な雰囲気からどうにか脱したおかげで、再び冷静さを取り戻したベアティは、慎重な目で赤い光を振り返った。
「あれは……」
奇妙な光景だった。
大きな鳥。
それが戦場の死体のすぐ上を飛びながら、通り過ぎる場所ごとに赤い光がついて回った。
いや、正確には、 『何かが人々から赤い光を吸い取っている。』
ベアティは、それが移動する何かに光が吸い込まれていることを察知した。
あちこちに横たわる戦死者たちからほのかな光が浮かび上がり、不吉な気運を吸い取る何かへと吸い込まれていた。
『あれは何だ?』
疑念を抱き、視線を固定した瞬間、まだかなりの距離があったにもかかわらず、不快感が湧き上がった。
『それにしても、なぜこんなにも不吉な感じがするんだ?』
初めて触れる嫌悪感が体を覆った。
ただ見ているだけで背筋が凍る深い沼に足を踏み入れたような気分だ。
まるで生きている沼が今にも足を這い上がり、飲み込もうとしているかのような不吉さだった。
『……確認しないと。』
すぐにでも逃げ出したい気持ちの中で、奇妙な確信が湧き上がった。
唾を飲み込んだベアティは、本能的な拒否感を抑え、毒霧が漂う「それ」へと向かった。
夢の中では、意識だけで移動速度を上げることができた。
瞬く間に死体の上をうごめく毒霧を捕えたベアティは、鳥のくちばしのように鋭い隙間に視線を集中させた。
『見える!』
それは完全な形というよりも、何かの物体の断片のように見えた。
不完全に刻まれた模様が、はっきりとした物体の側面にくっきりと描かれているのが目に入った。
『多面体の……光を具現化したようなもの……』
砕けた物体の中で読み取れる紋様は一部だけだったが、敵に関する古代の歴史を徹底的に把握していたベアティは、その金属の彫刻が完全な状態であればどのような紋様になるかを思い浮かべることができた。
「四方に放たれる四つの翼の光! 神聖帝国の元の紋様じゃないか!」
今では使われていない古代の紋様だったが、それは明らかだった。
現在の神聖帝国の紋様から儀式的な装飾をすべて取り除けば、残るのは古代から続いてきた神聖な紋様の原型だったのだ。
頭の中にざわめきが走る中、ベアティはもう一度、その金属の破片を茫然と握りしめた。
そして次の瞬間、ベアティは夢から目を覚ました。
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夢の中で見た不吉な光景を目に焼き付けていたベアティは、目覚めるとすぐに部下を呼び集め、指示を下した。
「今回、神聖帝国から来た使節団が滞在している場所はどこ?」
「王宮で貴賓として迎えられ、本宮近くの建物の一階を割り当てられたとのことです。」
「そこに、潜伏している情報員はいるの?」
「ご希望であれば、調査が可能です。」
朝から主人の口から発せられた鋭い視線と指示を受け、報告していた部下の目が慎重になった。
指示が下されればすぐに情報網を動かそうと考えていた部下に、顎を軽くしゃくって合図を送ったベアティは、再び口を開いた。
「使節団の中でも最も背の高い、長靴を履いた男。彼を中心に調査して。」
ベアティは、猛獣のような目をした毒霧の主人である男の外見を説明した。
『帰還前に、我々の兵士たちから何かを奪っていった毒霧の主。この男が今回も何かを企んでいる気がする。』
そして、それはおそらく先代の国王や属国だったことに関係しているのではないかという直感が働いた。
ベアティの黒い瞳孔が鋭い光を放つ。









