こんにちは、ピッコです。
「ちびっ子リスは頑張り屋さん」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

95話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 奇妙な夢②
その日の午後。
アテルを訪ねたのは、明らかに公的な理由からだった。
『バム(吸血鬼)と敵国が怪しい動きをしている。アテルにも知らせておかないと。』
不審な神聖帝国の動向を探ることとは別に、国王と敵国の使節団の人物が密かに何かを企んでいることを共有しておけば、アテルも自身の安全に気を配るだろう。
過去に神聖帝国の暗殺とされていたアテルの事件を考えれば、どれほど警戒しても足りないくらいだった。
「お星さま?」
そんな考えでアテルに向かったベアティだったが、彼の顔に浮かんだ予想外の期待と喜びの感情を見て、一瞬戸惑った。
「え、何?」
「いや……まさか先に会いに来てくれるとは思わなくて。」
どこか感激したような表情を見て、ベアティはようやく一時的に忘れていた記憶を思い出した。
忘れようとするときは忘れられないのに、必要なときにはなぜ思い出せないのか。
何の心の準備もなく、戸惑いながらアテルに会いに行くことになるなんて!
「僕が言おうとしていることの意味、理解できた?」
その言葉の後、彼の唇が閉じた部位が火照るような錯覚を覚えた。
一瞬のうちに、過去の出会いの記憶が頭をよぎり、顔が一気に赤く染まった。
自分でも知らぬ間に言葉を発する代わりに、熱くなった顔を手で覆ったベアティの前で、もはや少年ではなくなった彼の声が響いた。
「久しぶりだね。」
そっと目を上げたアテルの瞳には、前回会ったときからそれほど時間は経っていないはずなのに、ほんの数日でも会えなかったことが切ないほど長い待ち時間だったような、揺れ動く寂しさが宿っていた。
「……。」
熱のこもった視線がなぜか気恥ずかしく、無意識に視線をそらしたその瞬間——
ふと肩が軽くなったかと思うと、まっすぐに金属不協和音のような音が聞こえた。
「あ。」
「雪嵐(ソルプン)!」
いつの間にか飛び出していたのか、カリトスがベアティに内緒で再訓練させた狼――ベアティに近づく前哨基地の兵士の男を攻撃しようとし、アテルがとっさに突き出した剣をくわえたまま、ぎりぎりと噛みしめている雪嵐の姿が見えた。
幸いにも、かなり優れた剣なのか、石材でも砕けるほどの雪嵐の牙にも耐えていたが、鋭く削られる音が響くにつれて、少しずつ刃が削られていく様子を見て、ベアティは歯がゆい表情を浮かべた。
「やめろと言ったでしょう!」
慌てて近づき、やっとのことで必死に噛みついているのを引き剥がそうとしたが――
「ぐぅ!」
力を入れても離れず、不満げにこちらを振り返る様子は、何か言いたいことがあるようだった。
「あっ、おやつ!」
ベアティは、父親がソルプン(雪風)を訓練するときに、何か成功すれば報酬として与えていたおやつのことを思い出し、そう言った。
そして、それが正解だったのかもしれない。
依然として剣の鞘に歯を食い込ませたままだったが、それ以上力を入れず、早くご褒美をよこせと言わんばかりにじっと見つめるソルプンの瞳が見えた。
「はぁ、わかったよ。すぐにあげるから、早く離して……え?」
鞄を探っていたベアティの口から、驚いた声が漏れた。
『しまった。今日は持ってくるのを忘れたか?』
普段、貴族のお嬢様の空腹を少しでも我慢させることなど許されない使用人たちの教育のせいで、毎日違うおやつの袋を持ち歩いていたのに——
今日は朝から忙しく指示を出して回っていたせいで、使用人が用意してくれた袋を持ってくるのを忘れてしまったのだ。
再び顎をしゃくったベアティは、とりあえず取引を試みた。
「さあ、いい子だろ? こっちにおいで。」
「………」
「雪嵐、今ここに来たら今日のおやつを3倍にしてやる!」
一瞬、ぴくっと耳が動いたように見えたが、長年ベアティのそばで育った雪嵐の狼は、「その3倍のおやつはどこにあるのか」と目で問いかけてきた。
「……部屋に戻ってすぐ持ってくるから。」
ぷいっ!
雪嵐の狼はまったく迷うことなく鼻を鳴らした。
「世の中に例外はない」と教えた張本人である自分に、どうすることもできず、ベアティは困ったようにため息をついた。
「大丈夫?」
「え? うん。おやつを持ってくるのを忘れた……。」
今、目の前にある剣の鞘を適当に掴んでいる自分を見て、「大丈夫?」と尋ねるアテルの言葉に、一瞬心が少しざわついたベアティは、言葉を濁した。
依然として「早くおやつをよこせ」と言わんばかりの反抗的な目でじっと見つめるソルプンを、この状況を興味深そうに見つめるベアティに対して、アテルは思いもよらない方法で問題を解決しようと提案した。
・
・
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「うわぁ。」
ベアティの口から小さな感嘆の声が漏れた。
それほど予想もしなかった景色が、第一王子の宮殿の庭園に広がっていた。
普通の宮殿の庭園は、訪れる人々の目を楽しませるために、綿密に計算された美しさを誇っているものだが、アテルの宮殿の庭園は、かなり独特な様相を誇っていた。
いくつかの種類の松の木、アーモンドの木、カシューナッツの木、さらには畑のように植えられた落花生など。
あらゆるナッツ類の植物が、堂々と庭園を埋め尽くしていた。
いつの間にかアテルの剣から飛び降りた雪嵐の狼は、満足げな目で地面に転がっているドングリを探し、口の中に次々と詰め込んでいた。
『まるで天国だな、天国そのものだ。』
楽しそうに庭を駆け回る雪嵐の狼を見て、喉を鳴らしたベアティは、自分もかなり似たような表情をしていることに気づかなかった。
『ああ、それに花もあるんだな。』
さすがに宮殿の庭園らしく、唯一咲いている花壇には、深紅または黄金色の花が美しく咲き誇っていた。
どこか見覚えのある色に、顎をしゃくるような仕草をする者がいた。
庭園を見渡していたベアティの隣にぴったりと座っていたアテルが、黙ったまま、少し照れくさそうな様子で口を開いた。
「こんなふうに見せるつもりはなかったんだけど……。」
「ん?」
「どう?」
戸惑ったように目を瞬かせるベアティの視線の先で、そっと目をそらしながら、静かに言葉を紡ぐアテルの姿が見えた。
「君に見せるために作った庭なんだ。」
「私に?」
「うん。君が気に入ってくれるものだけを選んで植えてみたんだけど……気に入った?」
自分の庭を背にして言葉を続けるアテルの言葉に、ベアティは新鮮な目で周囲の風景を見回した。
『ああ、だからか。』
どこか不格好で不自然に見えた果樹類の植物が突然、胸がざわつく理由にようやく気づいたベアティは、なぜか喉の奥がむずがゆく感じた。
さっきから心をくすぐっていた違和感が、今度は喉元まで込み上げてきたかのように、思わず口を開いたベアティは、予想外の言葉を口にしてしまった。
「いいね。」
「え?」
「い、いいね!ここ……。」
今度はベアティが恥ずかしそうに目をそらすのを見て、嬉しそうに満面の笑みを浮かべたアテルが口を開いた。
「よかった。お星さまが気に入って。」
「……アテル、あなたの宮殿なんだから、あなたが気に入るべきでしょ?私が気に入ってどうするの?」
自分でもふと投げかけた問いに、アテルはまるで待っていたかのように穏やかな微笑みを浮かべて答えた。
「僕のお星さまの心に入らなきゃ。そうじゃないと、一緒に散歩にでも誘えないだろ?」
ベアティは、知らず知らずのうちに間抜けのように緩んでいた唇を、ぎゅっと引き結んだ。
すでに赤く染まってしまった頬のせいで、気持ちを隠しきれないのは明らかだったが、恥ずかしさに思わず背を向けた少女の赤くなった耳の先に、低く響く彼の笑い声が降り注いだ。
『声まで……。』
笑い声が心地よく聞こえることは、悔しいことではないだろうか。
内心、そんな疑問を自問しながら、そよ風が吹く中で火照った頬を冷やしていたベアティは、散策路の途中にある果樹棚を見て、最初にアテルの宮殿を訪れた目的を思い出した。
『あっ!』
「足、痛い? あそこに座ろうか?」
「アテル。」
「うん?」
「ちょっと話があるの。」
真剣な表情になったベアティを見て、驚いたアテルの顔にも、慎重な色が浮かんだ。
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「そうか、父王がそんなことを……。」
ベアティから国王が敵国と手を組み、陰で密かに陰謀を企んでいるという情報を聞いたアテルは、考え込んだ。
いくらあの国王とはいえ、生物学的な父親が敵国と結託し、自分の息子を暗殺しようと画策しているかもしれないという事実を知らされ、ベアティの表情も曇った。
『アテル、あまり傷つかないでほしい……。』
そう心配しながらも、かえってアテルがさらに傷つかないようにと、わざと淡々とした声でベアティは話し始めた。
「だから、たとえ何も知らなかったとしても、しばらくは慎重に、慎重を重ねないとダメだから!」
「え?」
ベアティの言葉にまったく別のことを考えていたかのような反応を見せたアテルが、顎を軽く上げた。
黒い瞳に隠しきれなかった心配そうな視線を読み取った彼は、明るい笑顔を浮かべながら言った。
「僕のこと、心配してた?」
「当然でしょ!」
「ありがとう。」
笑みを含んだ声で、アテルは少し視線を伏せながら再び口を開いた。
「こう言えば、怒られることもないかもしれないけど……。」
「?」
深刻な陰謀を伝えたことに対する反応としては、予想外すぎるものだったため、どう受け止めていいか分からず、ベアティは困惑した。
まるで蜂蜜を溶かしたかのような甘い目を向けるアテルが、続けて言った。
「君からもらえるものって、心配まであるんだね。」
さっきまでようやく落ち着きを取り戻していた頬が、またもや熱くなるのを感じた。
ベアティは慌てて手を動かし、手のひらで冷たく肌を刺すような空気を鎮めながら、ベアティは口を開いた。
「こ、これは大変なことになるかもしれない!しっかりしろ!」
赤くなった彼女が口を大きく開けて叫ぶのを見て、アテルはくすっと楽しそうに笑った。
その笑みが思わず目に入ったベアティは、思わず少し不機嫌そうに言った。
「心配させないでね。」
「わかった。」
「本当に気をつけてね。……ちゃんと理解してる?」
「うん。」
自然体で答えるアテルは、身内に死刑宣告を受けて命の危機に瀕している人物とはとても思えないほど穏やかな表情だった。
信じがたいというような目で、もう一度アテルの顔を見直したベアティ。
しかし、今度はアテルの方が先に口を開いた。
「話を聞いて、すごく心配した?」
「何?当然でしょ! どれだけ気を使ったと思ってるのよ……。」
「僕もだよ。」
「え?」
「僕も心配だった。」
淡々とした声とは裏腹に、まっすぐに向けられたアテルの瞳には、真剣な不安の色があふれていた。
その心配の対象がまるで自分だけを指しているように感じられ、戸惑ったベアティは、思わず口を開いた。
「『別の主人』を狙ってるって?」
「ん? ああ、そう。確かにそう言ってた。『星の資格』を求めているって。」
言葉を慎重に選んでいたが、彼らが何らかの取引の代価として、主人だけが持つ「特権」を狙っているのは明白だ。
「バム(吸血鬼)の主人じゃなくてもいい。でも、最終的に狙っているのは——」
『アテルじゃなければ、うちの家族だろう。』
当然のように他の貴族たちのことを思い浮かべるベアティとは異なり、アテルは彼女をまっすぐ見つめながら口を開いた。
「僕のお星さま。」
「え?」
「君こそが、その“もう一人の主人”じゃないか。」
「え?私?」
思いがけない指摘に、ベアティは一瞬驚いて目を見開いた。
「うん、僕にとってもう一人の主人……それは君だよ。」
しかし、国王があれほど徹底的に敵国と手を組み、捕まえようとしている“重要な”対象に、自分も含まれるだろうか?
『可能性は低いな。』
危険に対して得られる利益が少ないと考えながら、顎に手を当てていたベアティとは違い、アテルは真剣な表情をしながら静かに口を開いた。
「お星さま。君が危険にさらされる可能性がある以上、それが最優先事項だ。」
「ん?」
「君が俺を心配してくれるように、俺も君のことが心配なんだ。」
そう言いながら、まっすぐに向けられた黄金色の瞳があまりにも真剣だったため、ベアティは軽々しく冗談めいた言葉を返すことができなかった。
「だから、必ず気をつけるって約束して。」
心からの気遣いが込められた声に、特に気をつけると誓わざるを得ず、彼女は小さくうなずいた。
結局その日、アテルを心配して「気をつけるように」と警告しに行ったベアティだったが、むしろ逆に心配されて戻ることになったのだった。
ただ、第一王子宮の庭園でダラムジュィ(風鼠)専用に設えられた場所で幸運にもソルプン・ダラムジュィ(雪風鼠)を捕まえられたのは、良かった一日だった。









