こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
113話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 欲情
怒った表情で私を見下ろすオスカーが見えた。
そして彼と目が合った瞬間。
まるで雷に打たれたかのように頭の中がパッと光り、震えた。
「愛の契約……」
レリアは心臓が激しく鼓動するのを感じながらも、その原因を理解した。
しかし、それが薬のせいだと認識していても、何も変わらなかった。
全身の細胞が反応した。
まるで爆発しそうな高鳴る思いを抑えることができなかった。
「オスカー……」
レリアは自分の口から出た声に自分でも驚いた。
まるで愛を告白するかのように、何かをまるで願うように、柔らかく甘い声。
瞬間、オスカーの体がビクッと震えるのが感じられた。
オスカーはグリピスを殺す勢いでにらみつけていたが、レリアの腰を片腕で抱き寄せた。
そして割れた窓を通って、一瞬で部屋を抜け出した。
レリアは突然オスカーが自分を抱えて走り出すと、目を固く閉じて彼の首にしがみついた。
心臓の音が激しくドキドキと響いた。
しっかり抱かれていたせいで、この音が触れ合う胸越しにオスカーにも伝わってしまいそうだった。
レリアは切ない感情を感じながらも、彼にもっとしがみつこうとした。
床に落ちてしまうかと怖かったからではない。
自分を支えてくれるオスカーのしっかりした腕と広い胸が心地よくて、思わずもっと近づきたくなり体が動いたのだ。
さらにオスカーからは、爽やかでありながらも温かい香りが漂ってきて、その香りがたまらなく好きだった。
しばらくして、オスカーがレリアを下ろした場所は、彼女の部屋の中だった。
正確に言うと寝室だった。
ぽすん。
オスカーはレリアをベッドに座らせた。
彼女は混乱した目でオスカーを見上げた。
「お前。」
オスカーの低い声が耳を打つ。
怒っているような赤い瞳と、激しく吐き出される息遣い。
レリアは、彼の胸が激しく上下するのをただ見つめ、目が離せなかった。
ドクンドクン、ドクンドクン。
心臓が狂ったように鼓動した。
『薬の効果が……やばい。』
錬金が現れて何か助けてくれればよかったのに、ブリーフィング中なのか音沙汰なしだった。
レリアは、今自分の中に湧き上がってくるこの大きな感情が怖くなった。
津波のように押し寄せ、ただただ彼女を飲み込もうとしていた。
オスカーが彼女の頬に手を上げて視線をそらした。
「ずっと我慢して待ってたんだ……」
「……」
「お前って、本当にずるいよ。」
オスカーの目つきはまるで火のようだった。
まるで警告するようにじっと見つめるその態度に、心がドキリとした。
普通なら何ともないはずなのに……。
『なんで顔が赤くなるのよ!』
レリアは思わず顔を覆った。
自分の顔と首、耳までが熱くなっているのが感じられた。
幸い部屋の中が暗くてよかった。
きっと真っ赤になっている顔色が見えにくいはずだから。
でも、恥ずかしさで顔を隠したのとは違って――再び顔を覆いたくなる衝動が湧き上がった。
正確には、オスカーから目を離したくなかった。
それだけではなかった。
警告するように話すオスカーの唇に自分の唇を重ねて、そのまま抱きしめられたかった。
レリアが普段と違うことに気づけなかったオスカーは、神経質そうに髪をかき上げたり、その場を行ったり来たりしていた。
何かを必死に我慢して耐えている人のようだった。
領地を離れて都に来る前から感じていたことだった。
レリアは、そんなオスカーから目を離せなかった。
その広い胸に、もう一度抱かれたかった。
手がぶるぶると震えた。
『…グリピス、お前は一体私に何をしようとしたんだ!』
グリピスが錬金をハッキングしたのは確実だ。
表向きはにこやかに笑いながら、裏ではこんなことを企んでいただなんて…!
今すぐグリピスを見つけて髪を掴んで振り回したい。
しかし、それ以上の衝動が彼女を苦しめた。
怒りに息を荒くするオスカーのシャツのボタンを外してみたいという衝動だった。
『ダメ、ダメよ… 落ち着いて!後のことを考えて!』
そのときだった。
レリアの熱い視線を感じたのか、オスカーが顔を向けて彼女を見つめた。
「……!!」
レリアは「ハッ」と息を呑んだ。
目が合った瞬間、何かがビリッと通り抜けたような感覚だった。
目が合っただけなのに、全身に電流が走った。
「……」
オスカーはようやくレリアの様子がいつもと違うことに気づいた。
彼は目を細めながら、近づいてきた。
「レリア。」
「…う、うん。」
かすかに答えながら、レリアは目をぎゅっと閉じた。
オスカーがあまりにも魅力的に感じられて、このまま引き込まれてしまいそうだった。
いっそ見ないほうが自分のためだと思ったのだ。
だが、オスカーはそのままにしてはおかなかった。
レリアは瞬間的に自分の顎を動かすその力に驚いて、ぱっと目を見開いた。
「俺の目をそらすな。」
「……」
何も知らないオスカーは、ただまたレリアが自分を避けているのだと思った。
彼は、筋肉がぴくりと動くほど感情をぐっとこらえた。
いつも自分から逃げようとするレリアの態度に、じわじわと怒りがこみ上げてきた。
俺が与えるものは、何一つ避けるな。
そう言いたかった言葉を飲み込みながら、オスカーはレリアを飲み込むように見つめた。
ぼんやりとしたレリアの視線が彼にしっかりと向けられると、ようやく嵐のようだった心が静まり始めた。
「いつまで我慢して待てばいい?このくらいなら、もう十分我慢したと思うけど。」
「……」
レリアは彼の言葉が理解できないように目をぱちくりさせた。
壁際にいるオスカーの手の感触がとても熱くて、それがまた心地よくて、何も考えられなかった。
だが、そのとき――レリアは内心「あっ!」と叫びながら記憶を思い出した。
…私ははっきり言ったはずよ。レオの代わりに、あなたを選ぶって。
あなたの口で直接言って。私のものになるって…。やろうとしていたことが終わったら、私についてきて、ずっとそばにいるって。
私のやるべきことが全部終わるまで、オスカー様にしっかりとお答えできるようにします。
オスカーは、あの時の約束を今でも守ってくれていたのだ。
何かを必死に耐えているように見えた彼の行動や表情の意味が、今になってようやく分かった。
あまりにも多くの出来事があって、彼に返事をすると約束したことさえ、しばらく忘れていたのだ。
オスカーに対して申し訳ない気持ちがこみ上げてきた。
まるで家でずっと自分を待っていた子犬を忘れて、一人で外に遊びに行ってしまったような……そんな妙な罪悪感を。
「君を自分のものにするって言ったの、忘れるな。」
「………」
「これだけ我慢したんだ……そんな約束なんてしてないなんて言わないよな?」
「………」
「答えてくれ。いつまでも君が話してくれるその時まで……もっと静かに待つから。」
耳を打つような低く響く声が心地よく響いた。
恐ろしげな表情で警告しているように見えたけれど、その声はまるで愛を囁いているかのように甘く感じられた。
その間にオスカーは、答えを催促するかのようにさらに近づき、レリアを見つめた。
もう少し近づけば唇が触れそうだった。
唇の内側がそわそわと乾いていく。
「…わ、わかった。だから……」
レリアは小さくうなずいた。
正直、どんな意識で答えたのか記憶にない。
薬の効果がどれほど強いのか、もう薬のせいとは思えないほどだった。
こみ上げてくる衝動を抑えることはできなかった。
レリアは全身の力を振り絞って唇を噛んだ。
言いたくてたまらないその言葉を、なんとかこらえた。
「ダメ、これだけは言っちゃ……」
しかし、どうしても口が開いてしまった。
「わかった、わかってるからオスカー……ごめんね……」
「………」
『わかった、だなんて。こんなに素直に?』
予想外の返事にオスカーは驚いたが、それも束の間。
彼は壁に手をついていた手をそっと離した。
それを「離れてほしい」という意味だと受け取って、まったく力を入れていなかったにもかかわらず、レリアにはそれが重荷だったかもしれないと、遅れて気づいた。
自分がしようとすること、与えようとすることを、レリアはいつも拒んできた。
何であれ、だ。
――その事実を思い出した瞬間、視界が急に暗くなったようで、絶壁から突き落とされたような気分だった。
虚しかった。
一度も手に入れたことがないのに、こんな喪失感を覚えなければならないという事実が切なかった。
そのときだった。
レリアが目をぎゅっと閉じ、唇まできつく引き結んでいる姿が見えた。
目と唇が小刻みに震えていた。
なぜなんだ?
そういえば、さっきからちょっと様子がおかしかった。
自分を見つめるその目が、どこか変にうるんでいて…やたらと人を惑わせた。
そんなはずがないのに。
レリアがあんな目で自分を見るなんて、あるはずがないのに。
『わかった』なんて、あんなに素直に答えるはずがないのに…。
「う…オスカー…」
ついにレリアは衝動に耐えきれず、目を開けた。
目には涙がいっぱい浮かんでいた。
……。
オスカーは茫然とした表情で、彼女の目にたまった涙を見つめていた。
一体なぜ――
「ごめんね、あの…オスカー。」
「…君、今、何を……」
「私に…キス、一度だけしてくれる?」
「………」
「ねえ、一度だけでいいの…お願い…ね?」
麻薬の効果に抗えなかったレリアは、涙をぽろぽろと流しながら切実に懇願した。
意識を取り戻したとき、外はすっかり明るくなっていた。
チュンチュンチュン。
窓の外からは平和な鳥のさえずりが聞こえてきた。
レリアは思わず体を起こした。
『あ…朝か。』
あ…あ?
あああっ!!!
レリアは昨夜の出来事を思い出して、「きゃああっ!!」と叫んだ。
ベッドを転げ回りながら、しばらく苦しんでいたレリアは唇をぎゅっと噛みしめた。
『グリピス、ひどいやつ。絶対に許さない。』
グリピスが錬金をハッキングしたのは明らかだ。
それだけでなく、妙なミッションまで作って押しつけ、さらには「愛の媚薬」なんていう怪しい薬まで飲ませて――
『おかしくなる……』
レリアの目の前が真っ暗になった。
『オスカーの顔、どうやって見ればいいの?』
もう…逃げちゃおうかな?
昨夜、衝動に勝てずにオスカーに懇願していたことが思い出された。
――「全部わかってる。君の言うこと、全部聞くから」
とにかくキスを一度だけしてほしいと…キスしてって…。
ほとんどひざまずく勢いで泣きながら懇願していた。
正直、強引にしてしまいたい衝動をなんとか押し殺して、それでもあれだけ懇願したのだ。
オスカーは一瞬呆れたような顔をしながらも、何かに気づいたように尋ねてきた。
「話して。グリピスが君に何をしたんだ?」
その言葉に、どう答えたんだっけ?
「ああ、ただキスしてって…お願いだからして!一度だけしてほしいってば!」
そうして泣きながら懇願したようだ。
これ以上みっともないことがあるだろうか?
結局オスカーは「後悔しないように」と言いながら、彼女の顔を両手で包み込んでキスをした。
「………」
錬金がこの前「それがキス?」と苛立っていた理由が今ならわかる気がした。
昨日のキスと比べると、これまでのキスはすべてままごとのようだった。
それほどオスカーは情熱的に、執拗に彼女の唇を貪った。
あまりにも熱くて甘くて、何も考えられないほどに。
そしてその後は…だんだん意識がぼやけてきて、ついには途切れてしまった。
オスカーとのキスがあまりに陶酔的だったために。
そして、ついに気絶してしまったのだ。
言葉にするのも恥ずかしいが、思い出してみても本当に気絶するほど素晴らしいキスだった。
でも……
『最悪だ、本当に……』
気絶だなんて。
息が詰まってでもなく、あまりにも気持ちよくて気絶だなんて?
あまりにも恥ずかしすぎて、自分が情けなくなった。
そのときだった。
〔再ブーティングが完了しました。(◡‿◡✿)〕*(…)*
「え?」
レリアは錬金が戻ってきたという事実に、目をぱちぱちさせながらも眉間にしわを寄せた。
まさか、まだハッキングされた状態なんじゃない?
〔錬金は正常に戻りました。自由意志を取り戻しましたよ。(◡‿◡✿)〕*(⌒∇⌒)( ̄︶ ̄)(⌒∇⌒)*
「…………」
何?
以前のように心の中で悪口を言う錬金を見て、ちゃんと戻ってきたのかと思ったけど……
「なんで私に悪口を言うの?」
今悪口を言いたい相手は誰だっていうの?
〔錬金は大丈夫です。ご主人様のことを理解できますよ。(◡‿◡✿)〕*(ハッキングに気づかなかったあなた!セキュリティを確認しなかったあなた!凸(╬▔皿▔)凸 資格なし!)*
「何の資格よ!ハッキングされたのは全部あんたのせいじゃない!弱っちいくせに!」
レリアがまるで怒鳴るように叫ぶと、数秒後、錬金の怒りが込められたメッセージが現れた。
〔は・じ・ま・て。《錬金復権》システムのセキュリティは、“保有者”であるご主人様の精神を基盤にしています。(◡‿◡✿)〕*(弱いのは誰?凸(ಠ‿ಠ)凸)*
「………」
レリアは言葉を失った。
ただ、泣きたかった。







