こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
115話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 欲情③
グリピスよりもさらに向き合いたくなく、以前のように接する自信がない相手がもう一人いた。
オスカーだった。
レリアはしばらく庭園を歩きながら頭を整理していた。
すると、かなり時間が経ったことに気づき、足を向け直した。
すると、遠くからオスカーが近づいてくるのが見えた。
『…あっ。』
レリアはオスカーを見つけた瞬間に背を向けた。
すると、気づかないうちに逃げるように森の奥へ向かう小道を早足で歩き始めた。
『いや、私なんで逃げてるの?』
薬の効果がまだ残っているのだろうか。
頭の中では二つの感情が入り乱れていた。
一方ではオスカーに会いたくて逃げないでと引き留めており、もう一方では恥ずかしいから早く逃げろと叫んでいた。
薬の効果は朝には消えたと思っていた。だが、それは証拠のない自分だけの思い込みだったと気づいた。
レリアはそわそわしながら歩きつつ、制作画面を開いて「解毒剤」を探した。
毒薬ではないが、それでも解毒剤を飲めば少しは効果があるかもしれないと思った。
「逃げ出したと思われたくなかった。」
【「解毒剤」製作完了!(。•̀‿-)✧°】
完成画面が表示されたのを確認し、すぐにインベントリから薬を取り出した。
そして立ち止まって薬を服用するが……。
「まさか、俺を見て逃げたんじゃないよな。」
背後から聞こえてきた落ち着いた声。
「ケホッ…ケホケホ!」
薬瓶を持って振り向いたレリアは驚き、ゴホゴホと咳き込みながら喉を押さえた。
すると──冷たい手が首の後ろに触れるのを感じた。
レリアはゆっくりと咳を止め、振り返った。
「……」
オスカーは微笑んだまま彼女を見下ろしていた。
レリアはそんな彼を見て、静かに深呼吸をした。
「もう薬の効果は残っていないはず…」
「レリア。」
「……」
しかし、少し待ってみても薬の効果はまだ残っているようだった。
それとも、オスカーの声だけで心臓が狂ったように跳ねているのだろうか。
自分の名前を呼ぶ彼の声が、あまりにも甘く感じられた。
「グリピスが君に何を飲ませたんだ?」
「……」
「グリピスは腕を切られても口を割らないだろうけどな。」
レリアはその言葉に眉をひそめた。
つい先ほどグリピスに会ったとき、彼は傷一つなくぼんやりとしていた。
だが、それ以前にオスカーが彼に会っていたのだろうか?
それともその後?
「どうせ神力で自ら治せるのだから、拷問されても口を割らないだろう。」
「……」
それが違うのなら、その場で腕を切って苦しめたんじゃないかと思った。
レリアはわずかな不快感を覚えながら口を開いた。
「…ただの薬じゃない。もう大丈夫だから気にしないで。」
「…幻覚剤を飲んだ?それとも興奮剤?」
「な、何言って…!」
「それ以外に、お前があんなことをするはずがないじゃないか。」
「……」
「キスしてくれって頼むなんて、君がそんなこと言うはずない。」
「な、何を……」
「君は……僕のこと嫌いなんだから。」
「……」
思いがけない言葉に、レリアは戸惑った。
「私があなたを嫌いだって?どうしてそんな考えを…」
レリアはそれが馬鹿げた話だと思った。
しかし、オスカーの表情を見ると、彼は何の嘘もなく本気でそう感じているようだった。
傷ついたような表情が自然に見えて、胸が締めつけられた。
「……」
レリアは拳を握りしめた。
まだ残っている薬の効果が、彼女を衝動的にさせていた。
『すごく寂しくて苦しい。早く抱きしめて。キスして慰めてよ。』
それほどまでに、オスカーの表情は切なく、孤独に見えた。
まるで誰にも見つけてもらえない深い森の中の、湖の妖精のように。
「私はオスカーのこと、嫌いじゃないよ。」
「……」
「どうして、君がそんなふうに思っているのか分からない。」
「じゃあ?」
「ん?」
「私のことを嫌いじゃないなら……好きなの?」
思わず飛び出したその問いに、心臓がドキリとした。
切なげな声だった。
オスカーが尋ねた「好き」という言葉の意味が何を指すのか、混乱してしまった。
でも、当然男女の関係としての意味を問うているのだろう。
レリアは彼の目を避けて、視線をそらした。
「ごめん。正直に言うと、わからない……」
「……じゃあ、他のやつらは?」
「え?」
「その中の誰かを好きだったりするの?」
見下ろすように質問するオスカーの目つきは穏やかではなかった。
誰かの名前を出したら、その場で刺し殺す勢い…そんな気迫のこもった目だった。
「いや、私は……」
一度たりとも、友達をそういう意味で考えたことはなかった。
その中の誰かを異性として愛し、結婚することになるなんて、まったく考えたこともなかった。
しかし薬の効果のせいだろうか、突然オスカーと結婚する未来が想像され始めた。
想像の中のオスカーは優しくて愛らしかった。
温かい眼差しで彼女への愛情を注いでいた。
レリアは幸せで穏やかだった。
ただ… 想像の中の彼女は世間と断絶されたままだった。
愛する家族たちも、シュペリオン領地も、二度と見ることはできなかった。
なぜかその不吉な想像に胸が痛んだ。
オスカーは本当に… こんなにも自分を悩ませる存在なんだと思った。
今こそ、ちゃんと伝えなければならない気がした。
『君の口から直接言って。私のものになるって……君がしようとしていることが終わったら、私についてきて一生そばにいるって。』
レリアは、彼が言った言葉を思い出して話した。
「私は、あなたにした約束を守れない。」
「……」
「今さらこんなことを言ってごめん。でも……私はあなたについて行けない。」
彼女には家族が必要だった。
友達が大切なように、シュペリオン領地の家族もまたレリアにとって大切な存在だった。
今後、彼女が生きていくための原動力だった。
しばしの沈黙が流れた。
レリアはなぜか申し訳ない気持ちに包まれ、視線をそっと下げた。
そのとき、頭上から優しい声が聞こえてきた。
「じゃあ……」
不思議なことにその声を聞いた瞬間、背筋がぞくりとした。
レリアは反射的に顔を上げ、鋭い目つきと目が合った。
まるで蛇のようにぎらついた、どこか狂気を帯びたような瞳が彼女をじっと見つめ返していた。
「つまり、今の私にはおとなしくしてる理由なんて、何もないってことね?」
「……え?」
さっきまでの未練がましい調子とはまったく違う、冷たい口調と声だった。
レリアは思考が止まったように、しばらく何も言えなかった。
オスカーは、仮面――いや、内側を隠していた偽りの眼差しを脱ぎ捨てたようだった。
ようやくレリアは気づいた。
オスカーの目は元々あのように濁っていたのだと。
城から逃げ出した彼女を追ってきたとき、あの目つきによって感じた恐怖が再び甦った。
領地で過ごしていた間、オスカーは穏やかな目をしていた。
どこか温かさすら感じられるような、そんな目をしていたからこそ、彼女はすっかり忘れていたのだ。
「……」
今や何の感情も感じさせないガラス玉のような瞳が彼女を見つめていた。
その口元がゆっくりと、微かに持ち上がる。
「お前の返事を待つという条件で、じっとしていてやったのに。そう約束したよね、忘れたの?」
「……」
レリアはまばたきをした。
そうだ、確かにそうだった。
“自分に従って一生そばにいると約束しろ” と彼が言った時…“仕事が終わるまで黙って従ってくれれば返事する” と、そう答えたのだった。
レリアは今、その返事をしたのだ。
「断られるとは思っていたよ。」
「……」
「でも、もう少し悩むと思ってた。」
「…それは……」
「君って、本当に……」
「……」
「僕のこと好きじゃないんだね、レオ?」
その言葉を聞いた瞬間、何かが間違っているという気がした。
レリアはそのままぎゅっとオスカーを見つめた。
オスカーはなぜか楽しげな声で言った。
まるで何も気にしていないかのように。
「じゃあ、もう自分の好きにしよう。」
どうせ何をしても君は僕のことを好きにはならないだろうから。
その言葉を小さくつぶやくと、オスカーはそのままレリアの視界から姿を消した。
その日以降、毎朝目を覚ますたびに胸の奥がズキズキと痛んだ。
レリアは今日も感じる痛みに顔をしかめながら目を覚ました。
オスカーと会話を交わしたあの日から数日が経った。
その間、オスカーはまるで嘘のように姿を消していた。
痕跡すらも残さずに。
最初はカーリクスのように、彼女を避けているのかと思った。
しかし誰もオスカーを見ていないという話を聞いてからは……オスカーのことを思い出すたびに心臓の奥が締めつけられるように痛んだ。
薬の効果が残っているのか、それとも混乱しているのかさえわからなかった。
吸血鬼のような瞳を思い出せば恐怖が蘇ったが、愛情を求めるような声を思い出せば、胸が張り裂けそうに痛んだ。
『一体どうしてこんなことに……』
レリアは大きくため息をついた。
ここ数日間、レリアもまた部屋に閉じこもっていた。
仲間たちが訪ねてきて誰かに会いたいと何度も声をかけてくれたが、「体調がよくない」という理由で全て断った。
しかし、いつまでもこのままではいられないことはわかっていた。
『ずっとここにいるわけにもいかないし……』
いっそ早く領地に戻った方がいいのではないかと思った。
オスカーもまた気持ちを整理して、平穏を取り戻せばまた自分を訪ねてくるかもしれない。
「……」
しかし、いつまでも答えを得られないままオスカーに会えないのではないかと思った瞬間、気分が一気に沈んだ。
レリアはこの重苦しい気分を切り替えようと、ぱっと立ち上がり浴室へ向かった。







