こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
127話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 古い記憶
レリアは血で染まった母の服を脱がせ、彼女の頬や手、あちこちについた血を拭う。
剣で切られた傷は跡形もなくきれいに消えていた。
しかし、その衝撃による精神的な傷は依然として残っているようだった。
そのせいか、母が目を覚ます気配はない。
「私が見てるから、行って血を洗ってきなよ。」
オスカーの言葉に、レリアはようやく自分の姿を見下ろした。
全身が血まみれだった。
気が遠くなりそうだ。
目を覚ました母が見たら、かえって驚いてまた気絶してしまうかもしれない。
レリアはそっと扉を開けて浴室へ向かう。
何も言わずそばにいてくれるオスカーへの感謝の気持ちがこみ上げてきた。
目の前で死んだ人を蘇らせる姿を見ても、オスカーは何も聞かない。
それがありがたかった。
もしオスカーがそばにいなかったら、彼女はひとりで何もできなかっただろう。
身支度を整えて出てくると、ベッドのそばに座っていたオスカーのもとへ歩み寄った。
オスカーが視線を上げて彼女を見つめた。
その瞬間、レリアは不思議な感情に包まれた。
オスカーの眼差しが……どうしてあんなにもすべてを失った人のように自分を見つめているのか、理解できなかった。
「オスカー。」
「少し前に飲んだあの薬。あれって何?」
「え?」
「私が飲んだ、あの薬のことだよ。」
「ああ……」
レリアは、オスカーの言っていたことを思い出した。
少し前に、母に飲ませるために作っておいた記憶回復の薬のことだ。
「ただ、記憶を戻すための薬よ。とても昔の記憶まで。」
「……」
「お母さんにあげようと思って作ったの。」
オスカーは何も答えなかった。
レリアは気になって尋ねた。
「……忘れていた記憶が戻ってきたの?」
「………」
子どもの頃の記憶でも思い出したのだろうか?
オスカーは簡単には答えられなかった。
レリアは突然、不安と緊張に襲われた。
中立区域で友達に会う前の、もっと古いオスカーの記憶。
あの頃のオスカーにとっては、きっと嫌な記憶しかないはずだ。
レリアは心配そうにオスカーを見つめた。
「オスカー、大丈夫?」
オスカーは答えず、その場から立ち上がる。
レリアが一歩近づくと、彼は一歩後ずさった。
『…なに?』
レリアは疑わしげな目で彼を見た。
オスカーが自分を避けるはずがない。
彼は決して逃してはならない相手でもあるかのように、ぎこちなく後ずさった。
「オスカー、どうしたの?大丈夫?」
「…いや、ちょっと待って。」
かすれるような声が彼女を引き止めた。
オスカーの言葉に、これ以上近づくことができなかった。
オスカーはしばらくその場に立ち尽くしていたが、やがて外へ出ていってしまった。
レリアはその背中をぼんやりと見送る。
オスカーには少し時間が必要なのかもしれない。
レリアはそう思い、視線をそらして周囲を見回した。
ベッドには穏やかな表情で眠っている母の姿があった。
――そうだ、今いちばん大事なのはお母さんのことだ。
『とにかくお母さんを領地に連れて帰らないと……。でも、そもそもお母さんを殺した犯人は誰なの?』
レリアは唇をかみしめながら考えを巡らせた。
『個人的な恨みを持つ人だったのかな?それとも、神殿からの追跡者?』
いずれにしても、犯人を突き止めるには、母が目覚めて直接証言してくれるのがいちばん確実だ。
レリアはベッドのそばに腰を下ろし、母の手を握る。
かつてはシワひとつなく綺麗だったその手はごつごつしていた。
神殿にいた幼い頃、山から下りてきて震えながら自分に服をかけてくれた手が、まさにこの手だ。
『どうしてあのとき、気づけなかったんだろう。』
レリアはそっと母の手のひらを自分の頬に当てた。
手から伝わるぬくもりが、胸の奥までじんわりと染みてくるようだった。
この温もりを、家族にも分けてあげたかった。
おばあちゃん、おじいちゃん、母の弟、おばさん。
きっとみんな喜ぶはず。
そして——
『ペルセウス皇帝にも知らせなきゃ。』
彼は無愛想だけど、どれほど妻を想っていたか、レリアはよく知っていた。
レリアはしばらくの間、母の手を握ったまま、これからのことを想像していた。
しかし夜が明け、次の日の夜明けになっても、母は目を覚まさない。
母のそばで膝を抱えて丸くなり、うたた寝していたレリアが目を覚ましたのは、夜明けのことだった。
レリアは依然として眠ったままの母を見つめながら、不安を飲み込んだ。
まさか……このまま永遠に目覚めないのでは?
それより気づいたのは、部屋にいたのが二人だけだったこと。
『オスカーはどこに行ったの?』
こんな時間になるまで戻っていないなんて。
レリアは「まさか」と思いながら、窓を開けて外を見た。
まだ日が昇らない早朝で、外は静かだった。
一瞬、窓を閉めようとしたそのとき――胸が締めつけられるような思いを抱えたまま、レリアは薬をしっかり握ってベッドへ向かう。
オスカーのことが心配で仕方なかった。
あの薬を飲んだことで、嫌な記憶が蘇ったのは明らかだった。
蒼白な顔、痛々しい目つきが思い出されて、胸が締めつけられるようだった。
『あっ、そうだ。』
レリアは何かを思いついたように、急いでゲーム画面を開いた。
そしてインベントリに入り、先ほど作ったアイテムを確認した。
さっきは気が動転していてちゃんと見なかったけれど……そこに、オスカーの特別なレシピで作った薬の名前が表示されていた。
経緯を見返すと、その薬はすべて重傷者のためのものだった。
カーリクスのは視力を治す薬、ロミオのは正体は分からないが……とにかくロミオは、それが自分に必要な薬だと言っていた。
グリフィスもまたハッキングを受けたが、それは必要だった薬で……オスカーも同様だろう。
『でも、どうして?』
レリアは「ビロソ 死に至る毒薬」という名前のアイテムをじっと見つめた。
アイテムの絵柄は他のものと変わらず、普通の薬のような見た目だったが、中身は黒い液体だった。
不気味だった。
こんな見た目で名前まで「毒薬」だなんて――それをオスカーに与えなければならないなんて?
あの子にこんなものが必要だなんて?
『まさか……オスカーが、悪いことを考えているんじゃ……?』
オスカーは魔剣を使って古代魔族の力を操っていた。
その力が彼を徐々に不死の存在に変えていったという。
そう考えると、彼に必要な薬が本当に合っているかどうか、疑問に感じた。
不死のまま永遠に生きることが、必ずしも幸せとは限らない。
愛する人々を皆見送って、自分だけが残るとしたら、それは苦しみでしかないだろう。
『でも……放っておくわけにはいかない。』
オスカーはもともと感情が豊かで繊細なところがあった。
だからこそ、衝動的に悪い選択をしてしまう可能性もあった。
『錬金……』
不安な気持ちを抱えながら、レリアは心の中で錬金に祈った。
誰かと話さなければ、心が落ち着かない気がした。
オスカーはそばにいないし、母も目を覚まさない状況なので、なんだか一人取り残された気分だった。
孤独で、寂しくて、怖かった。
【?】
*(必ず夜明けに…はぁ。)*
ぽつりと出た心の声のようなメッセージを見て、レリアは急に心が落ち着くのを感じた。
『オスカーがどこに行ったのか見当もつかない……』
【あっ!なるほどです!≡≡≡≡(๑• ω •́ ๑;) …それで…えっと?】※(なんというか、もうほとんど“ドラ”レベルで人を引きずり込んで食べちゃう感じ…)
レリアはぼんやりと画面を見ていて、ふと我に返った。
「ただ、ひとりでいたから心細くて、怖くて、呼んでみたの……」
【は、はい……;ふふっ、よくやりましたよ!>_<☆】
レリアはしばらく黙っていたが、慎重に尋ねた。
「それで、“記憶回復剤2”のことなんだけど。もしとても幼いころの、つまり本当に小さい頃の記憶も回復してくれるの?」
とにかくオスカーのことがずっと気になっていた。
どれほど嫌な記憶がよみがえったのか、その衝撃がどれだけ大きかったのか——何度見ても、オスカーの表情がよくなかったのは明らかだった。
【はい!もし『記憶回復剤』では不十分でしたら、『記憶回復剤2』を使ってみてください!(。・ω・。)✧゜ ただし、忘れたかった記憶が一気に蘇ってくる可能性もあり、かなり昔の記憶までもが戻ることがありますので、ご注意ください!≡(๑´ㅂ`๑;)≡ときには、知らないほうがよかった、なんてこともあるかもしれません!】
※(アルツハイマー病の治療薬と混同してはいけません。○_○)※
以前見たのと全く同じメッセージが表示されると、レリアは額にしわを寄せた。
こんなにも誠意がないなんて…。
【記憶回復剤2はとてもとても昔の記憶も取り戻せますよ!٩(•᎑•)۶】
「だから、どれくらい昔なの?」
【本当に本当に昔ですよ。ㅇ_ㅇ….】
「つまり…どれくらい昔なのよ。赤ちゃん?1歳?」
【本当に本当に昔のことです。. ;]※(にこにこ)※】
レリアはもどかしさに額にしわを寄せた。
それにしても、どれだけ昔の話なのか、下手したら幼少期を越えて前世まで遡るのではと問いただそうとしたその時だった。
バタン!
しっかり閉じていたはずの窓からバタバタと何かが揺れる音が聞こえた。
一瞬びくっとして全身がこわばった。
風の音ではなかった。
風の音がこんなにも人工的で強いはずがない…。
ガシャーン!!!
一瞬にして窓が丸ごと吹き飛んだ。
出窓のガラスが割れる音とともに、誰かが内側へ軽やかに入ってきた。
黒いローブをまとった大柄な人影だった。
レリアはあまりにも驚いて手で口を塞ぎ、目をぱちくりさせた。
最初はオスカーかと思ったが…彼があんなふうに窓を壊して入ってくるはずがなかった。
「……っ!!」
暗闇の中に現れた大柄な影を持つ人物が近づいてきた。
全身を押さえつける恐怖で微動だにできなかったが、とっさの思いつきで体を動かした。
母を守らなければと思ったのだ。
突然現れた怪物が、母を殺した犯人かもしれないという考えがよぎったからだ。
しかしそのとき、黒いローブを着た人物がフードを軽く取り、顔を見せた。
同時に彼女の腕を掴んだ。
腕を握られたまま顔を上げると、見覚えのある顔が彼女を見てにっこり笑った。
まるで、かくれんぼでやっと鬼を見つけた幼い少年のように。
低く落ち着いた声が耳を打った。
「ようやく見つけた。」
「…カ、カーリクス?」
「悪党にさらわれたお姫様を、夫が助けに来たよ。どう?うれしい?」
レリアは震える声でどうにか答えた。
「カ、カーリクスでしょ?どうしてここに…」
「どうやってかって?動物的な勘で見つけたのさ。」
「……」
「ふぅ、本当に失くしてしまったかと思ったよ。」
カーリクスはようやく息が整ったのか、柔らかな表情でレリアの髪を撫でた。
そして周囲をキョロキョロと見回した。
「オスカーは?どこ行ったの?」
「…わ、わからない。突然消えちゃって……」
「で、この人は誰?」
カーリクスはまるで友達の家に遊びに来た人のように、くつろいだ様子だった。
ベッドの横の椅子にどかっと座り、横たわっている人をじっと観察していた。
何かに驚いたようにぱっと立ち上がり、眠っている人物の顔をじっくり見つめた。
「え?すごく君に似てるよ。」
「………」
レリアはまだこの状況に戸惑っていた。
突然窓が割れ……いや、開かれてカーリクスが現れたのだ。
『首都にいるはずのカーリクスが、どうしてここに…?』
母を殺した怪物かと思って、その瞬間足に力が抜けるほど怖かった。
レリアは開いた窓の外を震えながら見つめ、カーリクスを見つけた。
カーリクスでよかった。
本当に…怪物だと思って…また母を失うのではと、とても怖かった。







