こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

48話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 姉の面影⑤
レリアはとてもゆっくり話し始めた。
急いで話したら、子供のようにわんわん泣き出してしまいそうだったから、とてもゆっくり、感情を落ち着かせながら話した。
――初めてペルセウス皇帝に呼ばれた日のこと。
セドリックとデミアン、そしてユリアナに会った日のこと。
そして宴会が開かれていたあの日に起きた出来事。
その時、胸に広がった痛み。
ユリアナの前でひざまずき、謝ったとき、どれほど脚が痛かったか、喉がどれだけ枯れたか。
自分たちを見下ろしていたセドリックとデミアンの目がどれほど厳しかったか。
どうしても止めることができなかったユリアナが、ほんの少しだけ憎らしく思えたこと。
立ち去る場所もなく、母の温もりを求めて駆け出した、その一部始終。
だが、心の奥深くに抱え込んでいたその苦しみを、レリアはすべて吐き出した。
しかし、むしろそれを聞いているカリウスのほうが、感情を抑えきれなかった。
ガン!
カリウスが拳でテーブルを叩く音に、レリアはびくっと驚いた。
「このとんでもない奴らめ!どこでそんなことを学んだんだ……。跪かせて謝罪させるだと?本当に皇女か誰かだと思ってるのか!」
カリウスの固く結んだ唇が震えていた。
セドリックとデミアンは、彼にとって姉に代わる大切な従兄弟たちだった。
なのにそんな彼らにレリアがいじめられていたなんて。
『まさか、閉じ込められていた塔から無理やり連れ出したりもしていたのか?』
もちろん、セドリックとデミアンの気持ち自体は理解できる。
彼らはレリアを母親の仇だと認識しているのだから、怒るのも無理はない。
だからといって、従兄弟たちだけを責めるわけにもいかない。
問題は、彼自身にもあった。
レリアを誤解して、あんなに怒ってしまったのか。
「……ごめんな。俺がちゃんと分かってたら……」
「私は大丈夫です。どうせ誤解されても仕方ない状況でしたから……。でも、それでも……お伝えしたかったんです。」
カリウスがこうして代わりに怒ってくれるだけでも、心の傷に薬を塗ってもらったような気持ちになったから。
レリアは胸の奥が少しすっきりした気がして、軽くため息をついた。
目には涙がいっぱいに溜まっていた。
泣かないように言葉を紡ぐために、どれだけ必死に堪えたか分からなかった。
むしろ、話を聞きながら泣いたのはカリウスだ。
「どれだけ傷ついただろう。どれだけ心細かったか、なぁ?」
「……大丈夫です。代わりに無事に逃げられたじゃないですか。」
「……あぁ、よく来た。こうして無事に来てくれて、本当にありがとう。」
「……はい。でも、お祖父様、お祖母様には内緒にしてください。きっと心を痛めてしまいます。体に障りますから。」
その言葉に、カリウスは両手で顔を覆い、さらに大きな声で泣き出した。
こんなに小さな子が、皇城から逃げ出すあいだ、どれほど怖くて、寂しかったことか。
自分を奮い立たせながら必死に逃げた、その姿を思うと胸が締めつけられた。
でも、祖父母を心配する気持ちは特別で切なかった。
レリアの年頃のとき、自分は何もできない子どもだった。
ただ姉の背中を追いかけ、少しでも叱られると泣いていた。
そんな状況で、こうしてしっかりと気丈に育ったのだと思うと胸が詰まった。
「……わかった。秘密にしておこう。」
カリウスはぎこちなく答えた。
胸が千切れるようだった。
叔父の自分でさえこうなのに、親たちはどれほどだろうか。
カリウスは、亡くなった姉への罪悪感で心臓が締めつけられる思いだった。
そしてもう一人──フェルセウス皇帝のことを思い出し、さらに胸が苦しくなった。
「……」
常識的に考えれば、この事実を知らせるべきだった。
けれど――
『ペルセウス皇帝が怖くて逃げた子どもを、再びあそこへ送るわけにはいかない……』
そのうえ、カリウスの脳裏には別の人物の顔が浮かんできた。
皇位を取り戻すためにペルセウス皇帝が再婚してできた新しい家族たち。
すなわち、皇后とユリアナ。
特にペルセウス皇帝は、ユリアナとその子どもたちを実の娘のようにかわいがっていた。
彼がセドリックとデミアンを見る目は、まるで本当の実子を見るかのようだった。
哀しく、切なかった。
『……俺もだが、あいつも、本当にひどい奴だな。実の子を見分けられなかったなんて……。』
カリウスは拳を強く握りしめた。
シュペリオン家の人間たちはほとんどがそうだが、カリウスもまたフェルセウス皇帝を好いてはいなかった。
一生幸せにしてやると言いながら、結局姉を見捨てて一人寂しく死なせたのだから。
復讐のためでなければ、フェルセウスのために皇位を取り戻そうとはしなかっただろう。
堪えきれず、涙がまたこぼれ落ちた。
「……泣かないでください。」
レリアは拳を握ったまま、涙を流すカリウスをじっと見つめた。
そしてハンカチを持ってきて、そっとその頬を拭った。
とてもぎこちない手つきだった。
道は違えど、その温かな心はしっかりと伝わってきた。
カリウスはぎこちなく微笑みながらハンカチを取り出し、自ら涙を拭った。
「すまなかったな。こんなみっともないところを見せて……これからはこの叔父が、お前を守ってやるから。」
『大丈夫。守るのはたぶん、私の方になる気がするけど……』
レリアはそんなことを思いながらも、「はい」とうなずいて、そっとカリウスの手を握った。
シュペリオン家に押し寄せるであろう非難の嵐は、すべてレリアが大人になった後のことだった。
レリアはその時に備えて、できる限り『年金復権』を通じて力をつけようと心に決めた。
『だったら、現金化しなきゃ。』
レリアは、カリウスが何か言う前に、彼がくれたお金をバスケットに一生懸命詰め込んだ。
カリウスは、そんなレリアの様子をまるで記憶に刻むかのように静かに見つめていた。
レリアの部屋を出たカリウスは、赤くなった目を落ち着かせながら公爵の執務室へ向かった。
出入りの許可を得て中へ入ると、公爵は無言でカリウスをじっと見つめた。
「一体何があったら、いい年をして泣いたりするんだ?」
「……」
公爵の言葉に、カリウスは気まずそうに喉元をさすった。
「いい年して、結婚もしてないくせに……今度は子どもの前で泣くとはな。……どう受け止めればいいんだ?」
「私には何も言わないでください。レリアに全部賭けますから。」
「……」
その言葉に、公爵の目がさらに柔らかくなった。
毎日呪詛の言葉ばかり浴びせられていたレリアに向かって、今では親しげに名前を呼ぶ姿を見ると、ようやく心からこの子を受け入れたのだと感じた。
「…レリアに謝りました。あの子は間違いなく姉上の娘です。」
「言ったところで理解もできなかったくせに。」
「今それが重要なことではありません。父上は本当に陛下にこの事実を知らせるおつもりですか?」
「お前なら、知りたいと思うか?」
「………」
正直、そうではなかった。
特にカリウスは、ペルセウス皇帝が養女のユリアナをどれほど大切に思っているか、この目で見て知っている人物だった。
その事実を知ったとき、その事実がとても愛おしく感じられた。










