こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

60話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 潜入④
カーリクスが心配してくれたおかげか、レリアは無事に暗い場所へ到着し、材料を探していた。
【95%】
ゲージが上がっていくのを慎重に見守りながら、レリアは窓の外を慎重に覗いた。
「よかった。」
[100%]
レリアナは宙に浮かび上がった画面を見ながら、両手を動かした。
『お願い、出てきて。』
ここで材料が見つからなければ、それで終わりだ。
そのとき、ピロンという音とともに、笑っている錬金道具と吹き出しが現れた。
[特別な素材 <記憶の結晶> を発見しました!o(‘▽’)/☆° ]
[特別素材の採集クリア!]
[特別報酬として 10万クリスタルを20%割引の価格でお届けします!(´꒳`)و]
続く門の前で安堵の気持ちが湧き上がった。
どれほど幸いなことか、足に力が抜けるような気がした。
『ここで見つけられなかったら、おばあちゃんを治せなかった…』
レリアは隣に置かれた古びた椅子にそっと腰を下ろした。
すぐに拠点に戻らないといけないが少しの時間くらいなら大丈夫そうだ。
『ここは昔のままだな…。』
ペルセウス皇帝に動揺していた昨日とは違い、今日は物置の中を探る余裕があった。
レリアナは懐かしさを込めた視線で素早く全てを確認した。
幼い頃の出来事がまるで昨日のことのように鮮明に思い出された。
自分には母との思い出は全くないと思っていたが、今思えばこの空間に滞在していたこと自体が全て懐かしい記憶だ。
レリアはしばらくの間、ぼんやりと宙を見つめた後、屋敷の物置から抜け出した。
初めて来たときのようにドアの鍵を閉めるのも忘れなかった。
少しだけと思っていたが、思ったより時間が経っていた。
空がいつの間にか夜明けの色に変わっていた。
レリアはそそくさと拠点へ向かって歩いていた。
しかし拠点の近くに着いた時、思いがけず人影に出くわし、足を止めた。
レリアが目にしたのはカーリクスだった。
だが、その隣にはもう一人がいた。
レリアはすぐに物陰に身を潜めた。
『まさかカーリクスがユリアナと散歩を?』
隠れながら様子をうかがうと、カーリクスとユリアナが徐々に近づいていくのが見えた。
二人の後ろには、ユリアナの侍女と思われる何人かの令嬢たちが距離を置いてついてきていた。
レリアナは想像もできなかった二人が一緒に歩く姿にぎくりとした。
ユリアナはまるで女神のような愛らしい顔で、微笑むように軽くうなずいていた。
優雅な表情が実に愛らしかった。
対して、カーリクスは全く聞いていないかのように無表情で無愛想だった。
その様子にレリアは感嘆した。
レリアも礼儀作法に精通しているとはいえないが、それでも祖父がつけてくれた礼儀作法の先生のおかげで基本は心得ていた。
しかし、カーリクスは全くそうではなかった。
幼い頃に皇城を飛び出したからだろうか。
正直に言って、カーリクスは「マナー」や「エスコート」という言葉を全く知らない人みたいだった。
『ひどいな…。』
一緒に歩いているレディをあんなに無視する男がいるなんて。
レリアは思わず感嘆しながら、二人を見つめた。
ユリアナは疲れていないのか、必死に周りを気にしながら、時折キョロキョロと視線を動かしていた。
『カーリクスは…今この場でユリアナの名前を消し去ったとしても、全く罪悪感を抱かないだろうな。』
そんな風に見えるほどだ。
それほど、何も気にせず、自由にユリアナを無視していた。
二人は回廊を過ぎ、視界から徐々に遠ざかっていった。
レリアは安堵のため息をつきながら水たまりの外に出た。
「……!」
しかし水たまりから出た途端、誰かと鉢合わせした。
反対側の水たまりから同じように出てきたルートだった。
レリアは彼を見ないふりをして無視しようとしたが、ルートはなぜか怒った表情で彼女に近づき、こう尋ねた。
「どちら様ですか?」
「……」
これは何の質問?
レリアは呆然とした。
もちろん、初めて見る顔なので、ルートも戸惑ったが…。
「皇城が俺のものじゃないし、こんな無礼な態度がどこにあるんだ?」
ルートもまた、自分の質問に何かおかしな点があることに気づいたのか、眉をひそめて再び問いただした。
「すみません。驚きすぎて…。さっき通り過ぎた人々を、まさか見間違えていたんでしょうか?」
「…そっちも同じような気がしますが?」
レリアは少し声を低め、落ち着いた態度で答えた。
本当に男かどうか疑われないように。
ルートはレリアを上から下までじっと見た。
幸いにも、レリアの心配とは裏腹に、ルートは彼女をまったく疑う様子を見せなかった。
むしろ。
「…ユリアナ姫に会うために、こっそり皇宮に侵入したわけではないでしょうね?」
「……」
ルートの質問に、レリアは答えを失う。
そう、彼は元から片思いの男だった。
ユリアナに夢中で、この世のすべてがユリアナ中心に回っている男。
「お答えください。」
レリアが答えないので、肯定と受け取ったのか、彼は低い声で再度促した。
結局レリアは、慌てて偽の身分証を取り出した。
「私はローズベリー王国から来たロミオ皇子の遠い親戚です。皇帝陛下の配慮で皇城に滞在することになりました。」
「……!」
「問題になりますか?」
「…失礼しました。申し訳ありません。」
レリアの落ち着いた返答に、ルートは顔が赤くなった。
恥ずかしさに耐えられない様子だった。
そもそも、初めて会った相手に「ユリアナ姫が好きだ」と言うのはおかしなことだが、そう言ってしまったのは事実だったのだから。
誤解も解けただろうと、再び通り過ぎようとしたとき、ルートが道を塞いだ。
「初めまして。ルート・カストルです。」
「…レイモンド・ルベスターです。」
「無礼をお許しください。」
「構いません。」
妙に無表情だったルートの表情が少し緩んだように見えたが、気のせいかもしれなかった。
ルートは軽く首を傾けて挨拶し、肩を軽く落としたまま、さっきまで隠れていた場所の近くにあるベンチに行って座った。
レリアは彼をぼんやりと見つめた後、振り返った。
そのとき、一歩、二歩、三歩と歩き出したときだった。
ピロン。
突然聞こえてきた効果音に、レリアの眉間がぴくりと動いた。
目の前に四角形のウィンドウが表示された。
<サブクエスト進行中〜>
【あら!=(°▽°) 深い思いに沈んだ青年を発見しました!彼の悩みを解決してあげませんか?もしかしたら特別なプレゼントがもらえるかも…!(ง •̀_•́)ง✧】
【受諾】【拒否】
<報酬アイテム>
・青年の「宝物」
・スペシャル商店システム開放
『いや….』
レリアは驚いて口を開けたまま、慌てた気持ちで後ろを振り返った。
すると、ベンチに無表情に座っているルートの姿が見えた。
問題は、彼の頭の上に赤い色の [!] マークが浮かんでいることだった。
どう見ても、こいつがクエスト対象者ということだ。
『いや、なんでよりによって….』
原作の男主人公と絡むなんて考えたこともなかった。
レリアが欲しいのは、彼が持っている宝物ひとつだけ。
呆然とクエスト画面を見つめた。
再びゆっくりと文字を読み進めていくと、報酬リストの中にある「青年の宝物」という文章で視線が止まった。
「まさか宝物…?」
「青年の宝物」と書かれた文の横に、水色の宝箱アイコンが描かれているのを見つけてクリックすると、案内ウィンドウが小さく表示された。
【青年が手に入れた秘密の宝物!神殿でとても欲しがっているらしいよ。✧(。•̀ᴗ-)✧】
『確かだ。』
だけど….
『ただルートがいなくなったときに悲しむ方が、もっと楽なんじゃないか…?』
そしてこのクエストを拒否したら、他のサーバークエストでスペシャルショップを開放できるかもしれない。
レリアはもしかしたらという気持ちで『拒否する』と言った。
しかしシステムは彼女の希望を軽々と砕いた。
[クエストを拒否しますか?(◕‿◕✿)]
※注意事項
このクエストを拒否するとスペシャルショップ開放が永久に遮断されます。」
「……」
それなら仕方がない。考えを変えなければ。
「むしろ良い機会かもしれない。」
クエストを完了すれば、聖物を手に入れてスペシャルショップも開放できる。
もちろん、宝物が必ずしも聖物とは限らないが、それでも可能性は高い。
さらに、スペシャルショップが開放されれば、福券システムも利用できるようになるだろう。
福券が当たれば何がもらえるのか分からないが、ゲームの最終目標である『賢者の石』と大きく関係している可能性がある。
『皇城で全部きれいに片付けてから出ていけるかもしれない。』
レリアは決心してすぐに体をルートの方へ向けて歩いていった。
「ところで、何かお悩みですか?」
あえて平然とした顔で尋ねながら。
・
・
・
意外にもルートはすらすらと悩みを打ち明けた。
原作を見ていたときも単純な性格だと感じてはいたが…. いずれにせよ警戒心を抱かせないのは彼女にとっては良いことだった。
すでにロミオを見ていて、彼が王子の親戚だと知っているため、警戒を解いたようだ。
「それで…私はどうすればいいのか分かりません。」
「……。」
ただし、ルートの悩みはとても個人的な内容だった。
『ユリアナにどうやって告白するかが人生最大の悩みだなんて…。』
レリアはなぜか気が抜けたようにベンチの背もたれに体を預けた。
「なんてこった。」という思いがよぎったが、すぐにその考えを打ち消した。
ルートは数年間、戦場で苦労しながら帰還した人だ。
彼を前にこんなことを考えるのは失礼だった。
しかし、イライラするのは仕方なかった。
『そもそもなんで私が原作の男主人公と女主人公の仲介役をしなきゃいけないのよ。』
レリアは視界の隅に見えるクエストリストの小さな文字を見つめた。
進行中のクエストは二つ。
一つはカーリクスのもので、もう一つはサブクエストだった。
【サブクエスト〜】
・詩に酔いしれた青年の愛の告白を手助けする
レリアはルートに気づかれないようにそっとため息をついた。
ルートは自分の悩みをすべて打ち明け、今は少し恥ずかしそうに後頭部をかいていた。
「レイモンド卿にはなぜか悩みを話してしまうんですよね。やはり卿は女性のことをよく知っているからだと思います。」
「……どういう意味ですか?」
レリアは驚いて聞き返した。
自分が女性だと気づかれたのではと焦ったが、ルートは手をひらひらと振りながら言った。
「いや、卿は女性たちに結構人気があるタイプみたいなので。自分も最近都に来たばかりで…最近の都の貴族たちの間では、氷のように美しい外見の男性が人気だそうですね。」
「あ。」
「僕は冷たい感じは全然ないですけど……あ、もしかしてユリアナが騎士のようなタイプが好きなんですか?」
優しい目をしていたルートは、すぐに表情を引き締めて尋ねた。
しかしそのまま、しゅんとした様子で自分の質問に自分で答えた。
「あ、それはないでしょう。さっきカーリクスと一緒にいたのを見ると……」
レリアは、彼が一人で問いかけ一人で答えている姿を黙って見守りながら質問した。
「……それにしても、二人はなぜ急に・・・彼が本当にユリアナに気があるのか?ただの好奇心かもしれないじゃないか。」
レリアは一人でそんな考えを巡らせていたが、ルートの言葉に一瞬、驚いてしまった。
「……私もよく分かりません。宴が終わった後、ユリアナがカーリクスに近づいて……食事中も、時々カーリクスを見ていたので。まさか、カーリクスに惹かれているんじゃ……?」
「……まあ、惹かれるかもしれませんね。」
カーリクスは何度見ても堂々としていて、見る人を惹きつける雰囲気があった。
正直、ルートも密かに思っていたが、カーリクスの魅力は間違いなく一級品だ。
背が高く、ハンサムで、女性たちが好むようなセクシーな濃いめの顔立ち、引き締まりながらも厚みのある筋肉質の体型。
性格は少し……といったところだが、それもまたカーリクスの一部だろう。
そのとき、ルートが風が抜けるような声を出して笑った。
「まあ見たって仕方ないでしょう。前が見えない神聖者なのに、どうしてそんな男を好きになるなんて…。」
「……?」
レリアナは自分の耳を疑った。
原作ではルートはとても正しい青年だった。
そんな無礼なことを言うはずがないのに…。
ルートもまた自分の失言にようやく気づいたのか、ぎゅっと目を閉じた。
彼は遅ればせながら、自分の言葉を取り繕おうと努力した。
「もちろん、カーリクス卿を悪く言おうとしたわけではなく…。しかし…しかし…申し訳ありません。聞かなかったことにしてください。」
そうだ、だが、やはりユリアナには目が行ってしまうだろう。
原作でもユリアナに関わることとなると、考え方が全て崩れてしまう人だった。
レリアは突然、クエストを進める気がしなくなった。
気まずかった。
カーリクスが視力を失わなければ、光竜との戦争は終わらなかっただろう。
貴重な友人を非難するルートが一瞬で敵のように見えた。
レリアはその瞬間にこみ上げる不快感に、バッと立ち上がった。
「時間が遅くなりましたね。体調が悪いので戻ります。」
「ええ、わかりました。今日は悩みを聞いてくださってありがとうございます、レイモンド卿。」
「ええ。」
振り返って立ち去ろうとするレリアをルートが引き止めた。
「もし次もまた私の悩みを聞いていただけますか? 他の人にはなかなか打ち明けられなくて…。」
「……。」
レリアは苛立った様子で片側の視界に見えるクエスト画面を見つめた。
『そう、今は我慢。我慢だ…クエストを終わらせたら、その瞬間こぶしで顔面を殴り飛ばしてやる。』
必死に力を振り絞って頷くと、ルートの顔が明るくなった。
その時だった。
「ここで何をしているの?」
さっき向こうに行ったカーリクスとユリアナが、またこちらに戻ってきてレリアとルートを見つけたようだった。
カーリクスは片方の眉を上げ、二人を交互に見つめた。
「……」
ユリアナもまた、好奇心に満ちた視線で二人を見ていた。
そしてレリアと正面で目が合った。
続いてユリアナの行動に、レリアはただただ戸惑うしかなかった。
ユリアナはレリアナと目が合った瞬間、素早く彼女をちらりと見て、すぐに視線を逸らした。
まるで軽蔑するかのように。
軽蔑…?
「……。」
レリアナは大いに困惑した。
一体なぜ?
ユリアナをじっと見つめていたルートの視線が、レリアへと向けられた。
レリアは左側から感じるルートの強烈な視線に体がびくっと震えた。
ルートは彼女を殺すかのような目で見つめていた。
『ユリアナのせいで私をあんな風に睨みつけるなんて?急に?』
ついさっきまで悩みを聞いてくれと頼んでいたのに…?
レリアは態度を一変させたルートに困惑した。
「何してる?行こう。」
じっと見守っていたカーリクスが口を開いた。
「お、知り合いだったのか……。」
ユリアナはその様子を見てにこやかに一歩踏み出し、レリアに挨拶した。
「はじめまして。私はユリアナ、皇女です。」
そう言って、ユリアナは自然な笑顔を浮かべた。
とても優雅で堂々とした態度だった。
いかにも皇女らしい。
「……。」
正直気は進まなかったが、仕方がなかった。
今の自分は「レイモンド・ルベスター」、つまり男性の身分なのだから。
レリアは神官の礼儀を思い出し、ユリアナの指先を取り、手の甲に軽く口づけをした。
その後腰を起こすと、硬い表情のユリアナと、その後ろでひそひそ話している侍女たちが見えた。
そしてまるで教本に載っている礼儀作法を全て暗記したかのような彼女の所作に、苦笑いを浮かべるカーリクスの顔も視界に入ってきた。
レリアはそんなカリークスの顔を見ないふりをして言った。
「お会いできて光栄です。皇帝陛下の庇護のもと、皇城に滞在しているレイモンド・レベスターです。」
「おお、ロミオ皇子様の遠縁のご親族なのですね?」
「…はい、その通りです。」
「ああ…。」
ユリアナはわざとらしい感嘆を漏らしながらレリアをちらりと見た。
レリアとしてはただただ戸惑うばかりだった。
首を少しずらすと、ルートと目が合った。
ルートは無言で目を伏せながらも、何かを訴えるような目をしていた。
『助けてあげようとしたのに、こんな風に巻き込まれるなんて…。』
レリアはその視線を知らないふりをし、早くこの場を離れるためにカーリクスを見つめた。
「行きましょう」と言わんばかりに目線を上げると、彼が先に歩き出した。
レリアはユリアナ皇女、そして後ろに立つ侍女たちに軽く挨拶をして、慌ててカーリクスの後を追った。










