こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

63話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- サブクエスト③
「すぐに皇城に戻られるのですか?」
「何か用があるの?」
「それは違いますが… 出てきたついでに…。」
レリアが口ごもると、ロミオはしばらく考え込むようにして言った。
「じゃあまあ、昼食でも食べて行こう。」
「いいですね。」
レリアは心の中で安堵の息をついた。
するとロミオが出てきて、渡された新品の帽子を被った。
このまま皇城に戻れば、ロミオは自分の部屋へ行ってしまうだろう。
部屋までついて行って張り付いているのも気が引けるので、王位継承者なら外で少し長く付き合ってから戻る方が都合が良かった。
「最高の一日か……。」
レリアが悩んでいるのはクエストのせいだった。
あの美少年にとって最高の一日を作ってあげるためだ。
ロミオの後について馬車に乗り込むと、馬車は出発した。
近くに食堂が集まっている場所へ向かっていた。
しかし、レリアの悩みは食事が終わった後、広場の周りを散策する時間まで続いた。
どうすればロミオの機嫌を良くできるのか、なかなか考えが浮かばなかった。
そのとき、ロミオが突然足を止めた。
彼を追いかけていたレリアは戸惑いながらも彼の背中を見つめた。
「これだったんだ。」
何かに気づいたような表情でロミオが笑みを浮かべた。
そして隣にある店にふらっと入っていった。
「な、なんですか?」
「待ってろ。」
レリアはぽかんとしたまま、ロミオが入っていった店を確認した。
小さな画廊だった。
ショーウィンドウの奥に一枚の絵が掛けられていた。
レリアはその絵を見た途端、眉をひそめた。
一方、店の中に入ったロミオは店主に尋ねた。
「ねえ、この前の絵は売り物なのか?」
「おやまあ、飾った途端にお客様が来られるとは!はい、はい!売り物です。お包みしましょうか?」
客の多い画家の画廊では、たいてい地方の生徒たちの絵を委託販売していた。
「普通、ああいう絵はいくらくらいで売れるの?」
ロミオが尋ねると、店員は堂々と答えた。
「美男子の肖像画でしょう? 最低でも500万シリングからです。」
「美男子の肖像画……実力のわりにかなり高いな。名前のある画家の絵か?」
「いえ、まだ無名の絵です。高いと思うなら、ただ行ってください!どうせ高い値段がついている絵なので。」
「最近、こういう絵がよく売れるのか?」
「話にもなりません! なくて売れないくらいです。」
「はあ。」
ロミオは呆れたようにため息をつき、肩をすくめながら店を出た。
そしてその後、前で表情を曇らせたまま絵を見つめていたレリアを見つけると、ロミオは横に来ていたずらっぽく笑った。
「おい、気に入った?」
「な、なんですか?」
「最近、都ではこういう絵がなくて売れないくらいだってさ。」
「……」
「ほら、君に似てるじゃないか。」
レリアは否定できなかった。
その絵はとても繊細な線で描かれた男性の肖像画だったが、どう見ても男性らしさは感じられなかった。
たくましさもなく、角ばったところもなかったが、髪型や服装は明らかに男性だった。
「あの男って女を描いたものでしょうか?」
「いや。ただ、こんな男が現実にいないから描いたんだろう。まあ、目的もなくそんな男がいることも結構あるしね。」
「……。」
「だからさ、さっきからみんながやたらと君を見てた理由はこれだったんだ。」
レリアは驚いたように目を大きく開き、ロミオを見つめた。
ロミオのクエストに気を取られて、周りの視線には気づかなかったのだ。
『…人々に見られているんじゃないか?』
レリアは不安になり、唾を飲み込んだ。
しかし、ロミオは違う考えを持っているようだった。
「むしろ幸運だよ。こういう絵が流行ってるなら、誰も君を疑わないはずだから。」
「なぜですか?」
「この絵を女だと思う人はいない。現実にはいないような、想像上の男だと思うだろう。」
「……」
そうだとしたら幸運だ。
レリアは安堵の息をつき、ロミオを観察した。
ロミオは「いったいどうしてこんな顔が良いんだろう?」とぶつぶつ言いながら絵を見つめていた。
正直に言うと、レリアの目にはその絵の中の男より、ロミオの方がはるかに美しく、かっこよく見えた。
その考えに至ったとたん、レリアは「あっ!」と声を上げた。
なぜこんな単純なことを考えつかなかったのか?
これまで複雑に考えすぎていた自分が馬鹿みたいに思えた。
ロミオはとても単純だ。
だから、誰かが自分を持ち上げてくれたり、褒めてくれたりすると、とても喜ぶのだ。
幼い頃からそうだった。
ロミオにとって最高の一日を作る方法は、もしかしたらとても簡単なことかもしれない。
ただ一日中そばにいて褒めていればいいのだから。
レリアは確信を持って言った。
「私はなぜああいう男が人気なのか理解できません。私にはあの絵よりも、ロミオ様の方がずっと素敵に見えます。」
案の定、ロミオの口元が上がった。
レリアは小さくくすっと笑った。
「見てくださいよ。男があの絵みたいにひょろひょろだったら魅力あります? あんなの男でも女でもないですよ。」
「やっぱりそうだろ?」
「はい。ロミオ様はあの絵とは違って、体格も良くて輪郭もはっきりしていますから。まるで神話画に出てくる神様みたいです。」
だんだん褒めすぎになってきたのに、ロミオは特に気にしていない様子だった。
レリアはやめることにした。
「あの絵の中の男はきっとすごく背が低いですよ。ロミオ様みたいに大きくないでしょう。私はやっぱりロミオ様みたいに背が高くて、肩幅も広い方が本当のイケメンだと思います。」
「君、なかなか考えが深いね?」
そうして馬車に乗り、皇城へ戻っていった。
【クエスト完了! ✧。٩(ˊᗜˋ)و✧*。 報酬を受け取ります!】
<報酬アイテム>
・好感度確認チケット 1枚
・特別レシピパズルの欠片 1個
・Lv.1 ランダムプレゼントボックス[?] 1個
・錬金復券 1枚
レリアはとても簡単にクエストを完了させることができた。
ロミオは鼻歌を歌いながら馬車の窓の外を眺めていた。
最高の一日を過ごした人の満足そうな表情だ。
そして次のクエスト画面が現れた。
【特別好感度対象者〈ロミオ〉様の好感度を〈10〉さらに上げてください!】
※クエストストーリー進行度:10%
[受ける][拒否する]
クエストの進行方法はいつもと同じようだった。
ともかく、こうして成功できたことは素直に嬉しかった。
少し不思議ではあったけれど…。
レリアはクエストを完了し、アイテムリストに移った。
チケットは後で使うことにして、ランダムギフトボックスを開けてみた。
前回は役に立たない素材が出たが、今回は何が出るだろう。
期待しながら開けると、「特別レシピパズルの欠片1個」が追加で現れた。
『まあ、これはあとで使い道があるかもしれないし、むしろラッキーだったかも……。』
レリアは安堵の息をつき、ロミオの後ろ姿を眺めた。
窓の外を見ていると、いつの間にか皇城が近づいてきていた。
今重要なのはサブクエストだ。
ルートの聖物、そしてスペシャルショップ。
スペシャルショップが開かれると、以前のように福引きができる。
福引きは一種のガチャのようなもので、一度で大当たりを狙えることもあった。
とても珍しいアイテムが出たり、莫大な量のクリスタル、あるいはゴールドが手に入ることもあった。
「もしくはあの特殊レシピの素材が出るかもしれない。」
レリアは長年のゲーム経験を基に、こういうことだろうと推測した。
その間に馬車は皇城に到着した。
ロミオはまだ上機嫌のようで、一緒にお茶を飲み、夕食まで食べようとレリアを招待した。
レリアは部屋に入ってからロミオの私室へ向かったが、そこには先に来ていたカーリクスがいた。
幸い今回は服を着ていた。
ロミオは応接室のソファに座り、茶を飲んでいた。
カーリクスはソファにもたれかかるように横たわっていた。
肩と腕のあたりがかなり大きく、場所を取っていたが、彼は気にする様子もなかった。
カーリクスは眉間にしわを寄せ、目を閉じていた。
『寝ているわけじゃなさそうだな。』
向かい側に座ったレリアは、ぼんやりとカーリクスを見つめた。
目が痛いのだろうか、その部分がずっと気にかかっていた。
このままではカーリクスは視力を完全に失ってしまうだろう。
レリアは時折、カーリクスのために何かできないかと悩んでいた。
希望を持ってゲーム内のレシピを調べてみたが、彼の視力に役立ちそうなものは見つからなかった。
しかし、まったく方法がないわけではなかった。
「聖物、または賢者の石」
それがあればカーリクスの目を治療できるだろう。
二つの聖物は、それぞれ持つ人の願いを叶えるもので、レリアとルートはすでに一つずつ使ってしまっていた。
けれども、その二つの聖物を一つに融合させれば、さらに大きな願いを一つ叶えることができる。
レリアは禁断の魔法を解く方法を友人たちに告白したい目標はあったが、それよりもカーリクスの目を治すことの方が大事だと思った。
だからレリアはもう一つの方法である「現実の石」までも狙うことにした。
やるべきことはとても多かったので、時間はかかるだろうと思ったが、それでも不可能ではなかった。
レリアはそっとカーリクスを見つめた。
そしているうちに、ふと昔のことを思い出した。
カーリクスは決して小柄な方ではなかったが、こうして大きくなってしまうとは思わなかった。
ロミオも同じで、レリア自身も背が小さいわけではなかったが、それでも差は大きかった。
『もう子どもの頃のようにカーリクスを抱き上げて……それは夢のまた夢だな。』
手に入れて与えるどころか、そろえるのも難しそうだった。
そんなことを考えているとき、カーリクスの目がぱちりと開いた。
「来たのか?」
カーリクスはレリアに挨拶をしながら、もぞもぞと起き上がった。
ああそうだ、レリアは思い出したことがあってぼんやりしながら尋ねた。
「カーリクス…お兄…」
「待った!おい、お前、男の間はそんな呼び方するな。ちょっと鳥肌立つぞ。」
カーリクスが鋭く突っ込むと、ロミオは腹を抱えて笑った。
『…自分で呼べって言ったくせに、誰が呼びたいと思う?』
レリアはかつて隊長だった人間として、プライドが少し傷ついたが、必死に堪えて口を開いた。
「じゃあ、兄さんって呼びましょうか?」
「…兄さん?」
口にしてみると、なんだか妙な気分だった。
すると、カーリクスは自分を見ながら、子どもの頃の「レオ」を思い出すと言った。
かつて「隊長」と呼んでいた人とそっくりな人を「兄さん」と呼ぶ?
これはレリアにとってあまりにも損な話だった。
「いいよ、兄さんって呼びな。」
でも言葉を引っ込める前に、カーリクスが言い切った。
レリアはしばらく唇に力を込め、震えながらようやく言った。
「そ、その、昨日のことなんですけど。なぜユリアナ皇女と散歩してたのか…聞いてもいいですか?」
「なに? お前が女と散歩したって? しかも皇女と?」
その言葉にロミオがぱっと反応した。
ロミオの瞳には、今すぐからかってやりたいという悪戯心がいっぱいだった。
「あっ。」
カーリクスの眉間にシワが寄った。
もともと話すことが多い彼は早口で言葉を続けた。
「ああ、昨日は、その女のせいで本当に…急についてきて、ただ話すんだ、散歩しながら。拒絶されたのに、ついてきて怒られて終わりかと思ったけど。王女だから怒ることもできないし。」
「……。」
レリアはその言葉を聞いて、少しゾクっとした。
『そもそも、ユリアナは何を考えてカーリクスに散歩しようと言ったのか?』
まったく理由が分からなかった。
レリアがカーリクスにこの質問をした理由は、全部サブクエストのためだ。
何としてもルートの恋の告白を手助けしなければならないのだから。
レリアは大きく息を吐いた。
『時間があまりない。』
夕食を終えてからまずルートを訪ねる方がよさそうだった。
だがその必要はなかった。
夕食後、ルートの方から先にレリアの部屋を訪ねてきたのだ。
「急に訪ねてきてすみません。でも仕方なかったんです。」
ルートは少し不機嫌そうな顔だった。
昨日、最後に会ったときは私を殺す気だったのに。
今はまた笑顔で接してくれる。
レリアは震えていたが、無理に笑みを浮かべた。
クエストのための笑顔だ。
二人はレリアの部屋の周りを少し歩きながら話をすることにした。
少し歩くと、すぐそばに小さな散歩道があった。
彼らは小さな噴水の前のベンチに座った。
内心、言葉をぐるぐると回していたルートは、座ると同時に本題を切り出した。
「お願いしたいことがあります。」
「……昨日言っていたお願いの件ですか?」
「そうです。」
ルートが先に話を切り出したため、むしろ幸運だった。
レリアは穏やかに彼を見つめながら言った。
「私にできることなら、何でもお手伝いします。」
「本当ですか?そうですか… かなり頼りになる方なんですね。」
ルートは感激したような表情を浮かべ、興奮した様子を見せた。
「お願いというのは何ですか?」
レリアが尋ねた。
どうやって告白を聞けと言うのだろうか?
「実はさっき、ユリアナ皇女が僕を訪ねてきたんです。」
「そうなんですか?」
「ええ。僕に、あなたと親しい仲かって聞いてきたんです。」
「……」
なんだか不安だ。
「それで…申し訳ないですが、親しい仲だと答えておきました。」
「それ、信じられます? 昨日初めて会った相手なのに……。」
「あ、はい。初めて会った相手でしたが、話がとても合い、深い友情を育んだ……そう話したんです。」
「……。」
レリアは妙な表情でルートを見つめた。
変なやつだな……
まあ、理解はできた。
ルートはただユリアナに夢中で、他の部分では理性を失っているキャラクターなのだから。
レリアの視線に気がついたのか、ルートはさらに告白した。
「実は、義兄弟の契りを交わすほど親しい関係なんですって言いました。すみません。」
「……?」
「で、その話を聞いてユリアナ皇女がこう言ったんです。自分の侍女たちがあなたを気に入ったって。」
「僕をですか。」
「ええ。僕が言ったように、最近貴族の令嬢たちの間では騎士みたいなタイプの男性が人気らしくて。」
「……」
ああ、だからか。
レリアは今日昼間ロミオと見たあの絵を思い出し、喉をこくりと鳴らした。
心がざわついた。どうすればいいんだろう。
ロミオはむしろ問題ないと安心させようとしたが、レリアの心はそうではなかった。
心臓がドキドキしていた。
「だから、ユリアナ皇女のティーパーティーにあなたを連れて行くと言ったんです。それが私のお願いです。」
「……。」
ティーパーティーに一緒に行こうと?
レリアは眉間にしわを寄せた。ユリアナ皇女のティーパーティー……昨日、あのご婦人たちが集まっていた、あの明らかに危険そうなティーパーティーだ。
『もしバレたらどうしよう。』
レリアは不安げに唇をかみしめた。ルートは緊張した顔でレリアの返事を待っていた。
「ティーパーティーはいつですか?」
「明後日です。」
「…わかりました。」
「本当ですか?!」
レリアの承諾にルートは嬉しさのあまり、立ち上がって前で大きく身振りをした。
そしてレリアに向かって言った。
「ユリアナ皇女に言った通り、僕は本当に殿下と義兄弟のように親しい友達になりたいんです。殿下のように義理堅い男性は、この世にもういないでしょう。」
「………」
レリアは気持ちを奮い立たせ、ルートを見て無理に笑顔を作った。
『しょうがない……。』
ルートの恋の告白を手助けしなければ、報酬とシステムを得ることができない。
『それに、カーリクスを治して、友達にも本当のことを告げるためには……。』
レリアは自分に言い聞かせるように、なぜこのことをしなければならないのか、その理由を必死に説明した。
そうしないと、すぐにでも拒絶の言葉が口をついて出そうだった。
『義兄弟だなんて。』
まさか、自分の友達に「不屈」なんて単語を使いながら、ルートと義兄弟になるなんて、全く考えたこともなかったのだから。
最初から自分は女だから兄弟のような関係は無理だと思っていた。
ルートは原作の男性主人公ではあるが、主人公だからといって最初から最後まで善良というわけではなかった。
レリアにとってルートはすでに悪役のように感じられた。
クエストが全部終わりさえすれば覚えてろ。
そのとき、ルートがふいに真剣な顔で尋ねてきた。
「その前に、殿下に男対男として一つ聞いてもいいですか。」
「…何でしょう?」
その言葉にレリアは緊張した。
男対男という言葉に、思わず罪悪感が刺さったからだ。
「本当にユリアナ皇女のことが好きじゃないのですよね?」
「……。」
「ユリアナ皇女は誰が見ても美しくて魅力的な女性ですから。私はその縁を無駄にしたくありません。」
レリアは深いため息をついた。
「そんな心配はしなくて大丈夫です。」
その言葉に、ルートの表情は再び明るくなった。









