こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

65話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 見返り
そっちには行きたくなかったが、選択肢はなかった。
ルートはすでに軽い足取りでそちらに向かっていて、仕方なく彼の後をついて行った。
空いている二席のうち、ルートはユリアナ皇女に近い席を先に取った。
そのためレリアはセドリック皇子と正面で向き合う席に座らざるを得なかった。
『はぁ……』
ユリアナ皇女が軽く目線で挨拶をし、レリアもルートと同じように軽く頭を下げて挨拶の返事をした。
そしてすぐに、席につくやいなやテーブルに座った全員の視線を感じた。
『なんで来たんだ?』
ルートのクエストのため、どうしようもなかったとはいえ、後悔が込み上げてきた。
このテーブルはパーティー会場の中で一番大きく、そこに座る人々はそれだけの格式のある人たちだ。
レリアは左側から感じる視線が鋭く、そちらを見ることもできなかった。
目が合えばすぐにでも話しかけられそうで緊張した。
ユリアナ皇女が参席した人々に挨拶を交わすと、侍従たちがティーとデザートを運んできた。
テーブルの上では軽い会話が始まった。
そのとき、向かいに座っていたセドリック皇子はノックするようにレリアの前のテーブルを軽く叩いた。
「ローズベリー帝国のどこ出身なんだ?」
「…え?」
唐突な問いにレリアは一瞬呆然とした。
皇子の礼法はあまりに堂々としている。
内心で慌てながらも、以前ロミオが教えてくれたことを思い出した。
「北西にあるパルメニア出身でございます、殿下。」
「そうか?田舎か?」
その言葉にレリアは悩んだ。
『田舎なのか?』
ロミオから具体的な話は聞いていなかった。
セドリック皇子が答えを待つでもなく笑みを浮かべ、細かく笑いながら口元を歪めた。
あきらかに嘲笑するような笑みだ。
『なに、田舎出身だからって馬鹿にしてるの?』
レリアは冷たい目で彼を見た。
国民には良い評判だと聞いていたのに、実際は育ちが良いだけの人間だと思っていたが、違ったらしい。
正直に言えば、レリアは幼い頃の彼らの自分への態度を許すことはできなかった。
しかし、理解はできた。
『母親が亡くなったからって、苛立つのも仕方ないか。』
母親を苦しめていた叔母の娘だと考えたなら、余計に腹が立つだろうし、感情的にもなるだろう。
シュペリオン領地で育ちながら、祖母、祖父、叔父たちのもとで…叔母と従兄たちがどれほど母の死を悲しんだかを見てきた。
だからセドリックとデミアンを理解することはできた。
だが、理解するからといって彼らが良いとは限らない。
理解したからといって無条件に彼らを許したり受け入れなければならないわけではない。
同じ母から生まれた兄弟であっても構わない、レリアは二人が怖かった。
敵意を含んだセドリックの視線を見ると、過去の傷が再びうずくような気がした。
まさか自分の正体を見抜かれたのではと不安になった。
そうでなければ、あんなに敵意を向けてくる理由がないのでは?
「パルメニアはどんなところなのですか、レイモンド?」
その時、左側に座っていた令嬢の一人が尋ねた。
それまでレリアは視線を逸らしながらも、正面や茶器ばかりを見ていたが、話しかけられて無視することもできず、仕方なくそちらに顔を向けた。
「まあ…」
「…あら…」
すると、令嬢たちの間から、何とも甘やかな嘆声が漏れた。
四人の令嬢たちは、一緒に甘いケーキを食べるような表情で微笑んでいた。
それは前に会った、ユリアナ皇女の侍女たちだった。
あまりにもあからさまな表情なので、レリアは思わず息を飲んだ。
「はぁ。」
その様子をすぐそばで見ていたセドリックは、息が詰まったように深いため息をついた。
レリアはどう答えるべきかわからず、呆然とした。
『どんな場所か詳しくは聞いていなかったけど……』
ただ、北西にある領地で、鉱山業が盛んだということだけは知っていた。
レリアはそれでも何とか答えようと口を開きかけた。
だが、その前にセドリックが先に答えた。
「お嬢様方は厄介な質問をするね。パルメニアはとても田舎の村だと聞いている。可愛がられて育った令嬢たちが知ったら、びっくりするくらいの話題ね。」
「……。」
何?
レリアはなぜああしているのか知りたくてセドリックを見た。
令嬢たちも同じく見つめていた。
「どんな話をそんなに楽しそうにしているのですか?」
その時、デミアン皇子とルートが話をしていたところに、ユリアナが突然割り込んで聞いてきた。
「レイモンド卿の故郷、ローズベリー帝国の『パルメニア』という場所について話していたのです、皇女様。」
「そうです。パルメニアは本当に静かで運のいい場所だと思います。そうですよね、レイモンド卿?」
「…そうです。」
レリアは質問してきた令嬢に目を合わせ、低い声で答えた。
するとその令嬢の顔が赤く染まった。
他の令嬢たちは相変わらず甘い蜜を味わう猫のような表情でレリアを見つめていた。
「………」
セドリック皇子は彼女たちの反応に少し困惑したのか、しばらく小さく笑ってから席を立った。
デミアン皇子は理由も聞かずに彼の後を追った。
「セドリック兄上、どうしてあんな態度を…」
でも、レリアの「すぐそば」という立場が問題だった。
ユリアナ皇女は露骨にレリアを見て笑った。
視線はわざと右側の頬を貫いて刺さるように感じられた。
言うまでもなく、ルートの視線だ。
「わかりません。突然怒ったように見えます。」
「お兄様が怒るようなこと、ありました?」
ユリアナが頬をぷくっと膨らませてかわいく尋ねた。
自分の兄を怒らせた人を叱りつけようとするような表情だった。
その愛らしい表情に、令嬢たちはくすくす笑った。
「私が思うに、レイモンド卿に嫉妬なさったのではないかしら。 セドリック殿下の婚約者のエミリー嬢が『ドナテリ』の絵を集めているって噂があるでしょう?」
「本当ですか?」
「そうらしいですよ? 私も少し前に聞いたばかりですけど、何でもエミリー嬢が選手を選んだとか。」
「それにしても他の男性に嫉妬する婚約者だなんて、セドリック殿下にもかわいらしい一面があるんですね。」
ユリアナはその言葉を聞いて、面白いというような笑みを浮かべながら、すぐそばのレリアを見た。
「お兄様たちまで嫉妬するなんて。」
ユリアナは幼い頃から伯父様たちは世界で一番強くて素敵だと思って育った。
もちろん、ルートの方が少しだけ素敵だったが。
とにかく、そんな完璧なお兄様たちでさえ嫉妬するほどなら……。
『ルートもきっと嫉妬するようになるに違いない。』
ユリアナはほんの少し口角を上げた。
彼女は、ルートが自分のせいで心がざわつき、早く告白してくれたらいいのにと思った。
だから本当に申し訳ないけれど…目の前にいる「レイモンド卿」を利用するつもりだった。
わざとレイモンド卿に夢中になったふり、興味があるふりをうまく見せれば、ルートは間違いなく嫉妬心を抱くだろう。
ただ、心配なこともあった。
『まさか…レイモンド卿が私に告白したりしないよね?』
ユリアナは母の再婚によって皇女になってから、世の中に二つとない宝石のように育てられた。
皇帝はユリアナの髪の毛一本一本まで大事にし、もし彼女が傷つくことがないかといつも気を揉んでいた。
そして、少しでもユリアナの気分を害する人間は、すべて目の前から排除された。
実母である皇后もまた、ユリアナの過去の傷が癒えるよう願って、娘が望むことなら何でもしてあげた。
セドリックもデミアン皇子たちも同じだった。
二人の兄は、まるで壊れ物のように妹を扱った。
当然の結果として、周りにはみんな彼女を愛する人たちしかいなかった。
だからこそ、この世の全てが美しく、前向きに見えるのも無理はなかった。
基本的には愛らしくて明るい性格だったが、温室の中の花のようでもあった。
かつて、側近の貴族の一人が自分を嫌っていたという事実が明らかになったときは、大きなショックを受け、ひどく落ち込むこともあった。
だが、それを除けば、ユリアナの周囲の女性たちはみな彼女を好きで尊敬し、また、彼女に近づこうとする男性たちもみな彼女に心を奪われた。
若い貴族や騎士たちはただその姿を見つめるばかりだ。
それでも内心を全部見抜かれてしまうほどだった。
だからレイモンド卿に妙に親切にして、もし誤解されたらどうしよう…という悩みが湧かざるを得なかった。
そのとき、ユリアナは「レイモンド卿」と目が合った。
予想外に少し笑うと、レイモンド卿はわざとらしく口角を上げて笑い、すぐに咳払いをした。
そしてルートと小さな声で会話を始めた。
「………」
ユリアナは少し呆気に取られて、くすっと笑ってしまった。
『やっぱり人気が高いタイプだからかな?』
なんだか鼻が高い気もするし…。
さっきのわざとらしい微笑みのせい?なんだか変だな。
レイモンド卿が自分をちらりと見たような気がした。
「そんなはずないのに。」
妙に気分が悪くなった。
「どうせルートよりカッコよくもないのに。」
ユリアナは、ちょっと居心地が悪くなり、内心でクスッと笑いながらも彼を小馬鹿にした。
どうせ温室の中の花のように育てられた人で、彼女には特に何の価値もないのに。
正直ユリアナは、侍女たちが騒ぎ立てながら『ドナテッリ』の絵を集めるのも理解できなかったし、レイモンド卿を見て胸をときめかせるのもよく分からなかった。
もちろん、その清楚で美しい外見は認めていたけれども。
ユリアナもまた、男らしさが強く感じられるルートの方がもっと素敵だと思っていた。
けれど、本当に不思議だった。
『なに…?』
じっと観察してみると、レイモンド卿は本当に彼女の視線を避けているようだった。
目が合っても3秒以上見つめてくることはなく、普通の男たちのようにじっとこちらを見つめることもなかった。
「もしかして?」と思って、目が合ったときに軽く微笑んでみたが、やはりわざとらしく口角を少し上げただけですぐに視線をそらしてしまった。
『…いったい何なの?』
むしろユリアナの姉妹たちと話しているときの方が、もっと自然な笑顔が見られる気がした。
ユリアナはこんな状況は初めてで、戸惑っていた。
ティーパーティーが終わった後、レリアはルートを引っ張るようにして、ひっそりとした場所へと移動した。
クリスタルハウスの裏側にある小さな散歩道だった。
「卿から見て、私はどう見えますか?私が告白したら、ユリアナ皇女は私を受け入れてくれると思いますか?」
「………」
ルートは困惑した表情で尋ねた。
レリアは体も心も疲れ果てていた。
ティーパーティーが終わった直後であったからだ。
内心、答えてあげるのが面倒だったが、次々と別の質問を投げかけてくる令嬢たちのおかげで、気が紛れた。
「答えてみてください、レイモンド卿。どうなんですか?」
ルートがからかうように尋ね、レリアはベンチにぐったりとしたまま答えた。
「私が見る限り、ユリアナ皇女もルート卿のことをとても好いているようです。本当に。」
「…本当ですか?でも変じゃないですか?ユリアナ皇女はずっとレイモンド卿の方ばかり見て笑ってましたよ…。前回はカーリクスの隣だったのに、今回は…。」
ルートはわざとらしくレリアを見つめた。
レリアはもう仕方ないなという感じで答えた。
「私が見る限り、たぶん嫉妬心を引き出そうとしてるんじゃないかと思います。」
「…嫉妬心ですか?」
ルートは信じられない様子だった。
しかし、レリアは確信していた。
ユリアナ皇女はルートに笑いかけながらも、その反応を確認しようとしているようだったのだ。
ルートはそういったことに疎くて、気づかないだけなのだ。
「…はあ。どうしよう?」
また何が問題なのか、ルートは自分の頭をかきむしった。
「何を悩んでいるんですか?ただ告白すればいいじゃないですか。」
そうだ、早く告白してしまってクエストを終わらせてくれ。
レリアは心の中でそう願った。
「でも…ユリアナ皇女が告白を受け入れてくれたとしても、陛下と皇后陛下、皇子たちが反対したらどうします?」
「……」
レリアは扇子をくるくる回していた。
急に親しい友人たちに会いたくなった。
休憩が必要だった。
ルートに言いたいことはたくさんあったが、口に出すことはできなかった。
罵り言葉が含まれていたからだ。
しばらく考えていたルートは少しぼんやりした後、かすかに唇を引き結びながら言った。
「それでですね、卿。お願いがもう一つあります。」
「…何ですか?」
なんだか嫌な予感がする。
ルートは口をもごもごさせていたが、ついには勢いよく口を開いた。
「皇帝陛下や皇后陛下に私を信任していただき、私と比較対象になるようにしてくださいますよう。」
「……何を言っているの?」
「卿がユリアナ皇女の侍女の一人に無礼を働いたら、私が決闘を申し込みます。そして、私が勝利した後、その侍女に卿が再度謝罪させます。それでどうでしょうか?」
「……?」
レリアはあまりにも驚き、口を大きく開けた。
あれ、何言ってるの?どういうことなの?
その反応に、ルートも何かを悟ったのか微かに眉をひそめた。
「…難しいですか?」
そう言いながらも諦めずに再び尋ねた。
レリアはぞくっとする気分で目をぱちぱちさせた。
(頼まれ続けたら、まるでカモにされている気分じゃない?もちろんクエストは大事だけど、カモみたいにずるずるとルートの下僕になりたくはない。)
「当然難しいです。私の名誉がかかったことですから。それにロミオ皇子殿下の名誉と体面もかかっていることです。」
「…そうですね。私の考えが浅はかでした。申し訳ありません。」
バタバタするかと思いきや、ルートは意外にもあっさりと自分のミスを謝罪した。
だが、少し考えた後、目を大きく見開いた。
「では、この方法はどうでしょうか!?」
「……。」
不安だな。
レリアの引きつった表情にもルートは動じず、楽しそうに説明を続けた。
「これは、公爵の名誉やロミオ皇子の体面を傷つけずに済む方法です。」
「何ですって?」
「レイモンド卿、あなたが社交界の噂の元になるのです!」
「……」
「ユリアナ皇女の侍女たちと一度デートをすればいいんです。軽くティータイムを取ってもいいですし!そうすれば自然に浮気者のイメージがつくのではないでしょうか?」
「あぁ。」
「では、殿下のそばにいる私は、自然に信頼感のある真面目なイメージとして映るでしょう。」
ルートは本当にユリアナ皇女を好きなようだった。
彼女の家族に好印象を与えるためにこんなアイデアまで出すとは。
でも浮気者になるって?自分のためにわざわざゴミになるってこと?浮気者…
絶対にあり得ない話だ。
レリアは叫び出したい気持ちをなんとか堪えて言った。
「…まあ、名誉が損なわれるほどではないけど、友達を見ればその人が分かるって言うじゃない。だから卿が遊び人だと思われる可能性はあるでしょう?」
「うーん…レイモンド卿が浮気者だという噂が立ったら、私が卿と距離を置けばいいんじゃないですか!むしろ、もっと真面目で信頼できるように見えるんじゃないですか?」
「じゃあ、私は何が得られるんですか?」
「………」
ルートはその質問を聞いて、少し考え込んだ。
もちろんレリアは得られるものがあった。
クエストの報酬。
しかしむやみに全部聞き入れれば、ルートはもっと無茶なことを要求してきそうだった。
そのとき、悩みを終えたルートが堂々とした表情で言った。
「私が殿下の真の友人になって差し上げます。」
「…なんですって?」
「殿下は体格が小さい方ですから、誰かが嫌がらせをしたら私が代わりに決闘を申し込みます。これでも剣術の腕前は相当なものです。」
「……」
レリアは言葉を失った。
ルートと真の友人になりたい気持ちはなかった。
すでに彼女には命のように大切な友人が4人いるのだから。
それにしても、それを「見返り」と言うなんて。
レリアはルートの堂々とした自信と傲慢さに驚きを隠せなかった。
「それは結構です。小さなものがどこかでぶつけられて歩くわけではありませんから。」
「では……。」
「代わりに…私が欲しいものを一つだけ聞いてくれれば結構です。」
「何ですか? 言ってください!全部お聞きします!」
ルートの顔が赤くなった。
「それは後でお話しします。」
「いいですよ! 殿下にとってもそう悪いことじゃないです。皇女の令嬢たちと一緒にいれば、殿下の人気ももっと上がるでしょうから!」
「……」
「美しい令嬢たちに囲まれるのは、男のロマンでもあるじゃないですか?もちろん僕はそんな男じゃないけど…。僕はユリアナ皇女さえいればいいんですから。」
じゃあ私はそういう男ってことか?
レリアはルートの話術にはついていけなかった。
あまりにも疲れていて、とにかく早く休みたかった。
レリアはざっとルートと挨拶を交わした後、すぐに自分の部屋へ戻った。
なぜか気分がすっきりした。
あの男の贈り物のせいで嫌な顔ぶれと向き合うだけでも足りないのに、今度は噂の種にまでならなければならないなんて。
『でも、あの聖物でカーリクスの目を治せるかもしれないし…。』
廊下の前に立ち尽くした時だった。
ロミオ殿下の侍女の一人が彼女に近づき話しかけた。
「ロミオ皇子様がレイモンド卿をお呼びだそうです。今晩の食事をご一緒されたいとおっしゃっています。」
レリアはその言葉に顔をしかめ、従者の後に続いた。
テーブルの上にはきれいに並べられた料理が並んでいた。
カーリクスは礼儀も気にせずがつがつと料理を食べ、ロミオはとてもゆっくりと料理を味わっていた。
並べられた料理がとても素晴らしく、ルートのせいで失っていた食欲が戻ってくるようだった。
レリアは食事をしながら二人をちらちらと見た。
そういえばこちらのクエストもやらないと…。
クエスト内容はどちらも同じだった。
好感度を [+10] ずつ上げること。
今の好感度を確認してみようかと思ったが、チケットを使うのが惜しかった。
どうせ好感度が10ほど上がれば自動でクエスト完了になるので、好感度確認チケットは念のため取っておくことにした。
「特に何もなかったのか?」
食事が終わる頃、カーリクスが突然尋ねた。
なぜそうしたのかは分からなかったが、その質問を聞いた途端、レリアの鼻の奥がツンとした。
今日あった出来事が、まるで走馬灯のように思い出された。
緊張が一気に解けたような感覚だった。
「……。」
「何?どうして目が赤くなってる? 泣いてるの?」
カーリクスが眉をひそめた。
その言葉に、ロミオの視線もレリアへと向けられた。
「ティーパーティーで誰かにいじめられたの?」
ロミオはくすっと笑いながらも心配そうな口調で言った。
ガン!
その言葉が終わるやいなや、カーリクスはテーブルを拳で叩きつけた。
「誰がレオの妹をいじめてるって?」
庇ってくれるような言葉に、私はさらに感情が込み上げてきた。
表には出さなかったが、レリアは今日は本当に疲れていた。
明るいユリアナを見ることも、自分に敵対的なセドリックやデミアンを見ることも、男のふりをして正体を隠すことも、聖物のためにルートの頼みを引き受けることも、すべてがそうだった。
「ふん、一緒に行けばよかったのに?言ってみな、誰にいじめられた?髪の毛を全部引き抜いてやるよ。」
「それで済む?噛みついてやる。」
ロミオとカーリクスの続く言葉に、レリアはついに笑いをこぼした。
しかし、二人の表情は真剣だった。
レリアは心の中で、何か暖かいものが溢れてくるのを感じた。心強かった。
「ただ、疲れました。男の人と接するのが簡単なことじゃないんですね。」
レリアの言葉に、ロミオは「そうだろうと思った」といった顔でくすくす笑い、カーリクスは眉をひそめたが、なぜそんなことを言うのかは理解できないような表情を浮かべた。
「実は…私、ルート卿の助けを借りなければならないことがあって、その方のお願いを聞いていたんです。」
「ルート? お前があの子に助けを借りることなんてあるのか?」
「前に言ってたレオの頼み?」
「はい。」
「一体何だっていうんだ、その子に助けてもらうなんて?」
カーリクスがいぶかしげな表情で尋ねた。
「今は到底詳しくお話しできません。後で……全部お話しします。」
レリアがそう言うと、カーリクスとロミオはそれ以上は聞かなかった。
ただ、必要なことがあったら何でも言えという言葉を付け加えた。
「じゃあついでに、また私がティーパーティーに一緒に行けたらいいのにね……。」
レリアの言葉に、二人はそそくさと立ち上がり、向こう側のソファへと移動した。
少し寂しさはあったが、それでもレリアは笑みを浮かべた。
今日あった辛いことが全て吹き飛ぶような気がした。
『よし、頑張ろう。』
レリアはその気持ちを胸に、できるだけ早くルートの聖物を手に入れようと決意した。









