幼馴染が私を殺そうとしてきます

幼馴染が私を殺そうとしてきます【81話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【幼馴染が私を殺そうとしてきます】まとめ こんにちは、ピッコです。 「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

81話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 疑念

そしてその日の遅い午後、不意にルートがレリアを訪ねてきた。

レリアは戸惑いながらも、ドアの前に来た彼を見上げた。

ルートは落ち着かない様子で口を開いた。

「申し訳ありませんが、レイモンド卿。お話ししたいことがあります。中に入って話してもよろしいでしょうか?」

「……あ……」

レリアはしばし迷ったあと、扉を閉じた。

「すみませんが、中が少し散らかっていまして。急ぎの用件でしょうか?」

「……では、ここでお話しします。」

「………」

「すみませんが、レイモンド卿、以前お渡しした贈り物を返していただけませんか?」

「えっ?」

レリアは眉間にしわを寄せた。

やっぱり来たか。

それでも少し戸惑っていたのに……。

「実はもともとユリアナ皇女に差し上げるつもりだったんです… 贈り物の話をしたところ、ユリアナ皇女がどうしてもそれを欲しがったんです。返していただけませんか?代わりに別の贈り物を差し上げます。」

「…少々お待ちください。」

レリアは扉を閉め、扉にもたれて大きく息を吐いた。

「こうなると思ったわ。」

ため息すら出ない。

レリアは心の中でルートを責めながら、部屋の奥の引き出しへと向かった。

そして念のため、”錬金復権”のアイテムとして作っておいたレプリカを取り出した。

見た目には完璧にそっくりだが、本物は残り半分の聖物と一緒にレリアのバッグの中にあった。

レリアは偽物の聖物を手にして再びドアを開けた。

本来の持ち主はルートだが、偽物を渡すことに良心が痛んだものの、仕方なかった。

1000億シリングを貯めて封印魔法を解くことができたら、そのあとで返すつもりだ。

いつになるかは分からないけれど――

「こちらです。」

「本当にすみません、レイモンド卿。」

ルートは気まずそうに目をまともに合わせられなかった。

レリアは大丈夫だと、疲れたように彼を見送った。

「ありがとうございます。」

ルートはほっとした表情で足早に去っていった。

レリアは大きく息をついて、彼が消えた服の裾を見つめていた。

そのとき、背後から低い声が聞こえてきた。

「渡したの、偽物だろ?」

レリアは驚いてさっと振り返った。

明らかに人気は感じなかったのに、後ろを確認すると、オスカーが腕を組み、壁に軽くもたれかかってニッコリ笑っていた。

レリアは黙って彼を見つめたあと、すっと中に入り扉を閉めようとした。

しかし扉が閉まる直前、彼の足がドアを押し開けた。

「おい、無視か?」

「……。」

「傷つけるつもりだったのか?」

オスカーは呆れたように笑いながら言い、レリアを押しのけて一瞬で部屋に入ってきた。

カチャリ。

ドアが閉まる音にレリアは身を引いた。

こいつ、ほんとに何なの……。

あのときのことがよみがえってきた。

正体に気づかれたのではと思い深く考える余裕もなかったが、オスカーは彼女にキスをしたのだ。

その瞬間、オスカーがさっき言った言葉が思い出された。

「俺は男でも女でも関係ないと思う。」

ぴたりと静まり返った空間に、オスカーの小さなつぶやきが響いた。

幸運だったのか不運だったのか、オスカーは彼女が女性だということまでは気づいていないようだ。

しかし“レオ”であることは確かに気づいていた。

どうやって気づいたのかは見当もつかなかった。

オスカーは緊張している彼女を見て、軽く笑いながら眉をひそめた。

「怒ってお前の首を絞めたい気分だけど、同時に嬉しすぎてお前の足にでもキスしたいくらいだ。」

「…オスカー様。」

「…いつまで知らないふりをするつもりなのかは知らないが、俺は気にしない。」

レリアは不安そうな目で彼を見上げた。

幸いにも彼はそれ以上近づいてこなかった。

けれど、その視線はまるで彼女をそっと包み込み、捕らえるように執拗だった。

「俺は…お前が生きていたらやりたかったことを全部するつもりだ。お前の同意なんて関係ない。」

「……」

オスカーはそう言いながら、もう一歩近づいてきた。

レリアは思わず驚いて両手で口を覆った。

その様子にオスカーはくすっと笑った。

彼はそれ以上近づかず、レリアの下を見下ろした。

真剣な眼差しだった。

「さっきも言ったけど、君が男でも構わないよ。」

「……」

さらに一歩近づいた彼は、体をかがめてレリアの耳元に顔を寄せた。

レリアは驚いて口を手で覆ったまま肩をすくめた。

耳元に低く囁かれる声が届いた。

「俺が地獄で捨てたもののように、お前も一度地獄をくぐってみろ。」

「……」

「そんなに心配するな。俺が一生一緒にいるから。」

その言葉は秘密をささやくように、非常に小さな声で発せられた。

彼女の心臓は床に落ちるようにドクンと鳴った。

オスカーはその言葉を最後に、身を翻して去っていった。

ひとり残されたレリアは、膝に力が抜けその場に崩れ落ちた。

涙がにじんだ。苦しかった。

率直に言葉にできないこの状況が、あまりにも苦しかった。

自分がオスカーを地獄に突き落としてしまった罪人のように感じられた。

神殿で過ごしていた頃、オスカーはいつも彼女を頼りにして、信じていた友達だった。

小さくて幼い彼を、レリアはいつも力強く守っていた。

一生涯、彼を守ると誓った優しい約束を交わした。

だから彼女はオスカーの気持ちを理解することができた。

もし状況が逆だったなら、レリアも地獄のような日々を生きていたはずだ。

一生、死んだオスカーを恋しく思いながら生きただろう。

しかし、死んだというのがすべて嘘で、生きていたと知ったら?

きっと、ものすごい裏切られた気持ちになるだろう。

せめて自分には知らせてほしかった。せめて自分にだけは――そんな思いが、やるせない感情を呼び起こしていただろう。

大切にしてきた思い出や友情がすべて、自分ひとりの思い込みだったと感じられ、裏切られたような気持ちになるだろう。

彼らを傷つけたという衝撃でいっぱいだった。

無邪気な友人たちに大きな傷を与えてしまったという罪悪感が押し寄せてきた。

今また彼らを裏切るようなことは、到底できないと思えた。

レリアは押し寄せる感情の波の中から、しばらくの間抜け出せなかった。

 



 

その日の夕方遅く。

レリアは素早く感情を整理した。

いつまでも悲しみに沈んでいる余裕は、彼女にはなかったからだ。

「早く王都に戻らなきゃ。」

ひょっとしたら、ユリアナ皇女とルートが一緒に聖物を神殿に奉納してしまうと危険だ。

『神殿ではすぐに偽物だと気づかれるから。』

その考えが浮かぶと、急に心が焦った。

そのまま急いで荷物をまとめ始めた。

『でも、本当に友達みんな連れて行かなきゃいけないのかな…?』

ふと浮かんだ疑問に、レリアは動きを止めた。

父や祖母、おじたちやおばたちには何て説明するの?

友達にはどう説明すればいい?

友達はみんな彼女を「レオ」の親戚の弟だと思っていた。

気の毒な事情で、男でありながらも女として育った、と。

ため息がこぼれるような、息苦しい状況だった。

『もしもカーリクスが王都に行ってまで、ぽろっとあんなことを言ってしまったら……』

おじいさまは大きなショックを受けるかもしれない。

それならむしろ、友人たちに一刻も早く真実を打ち明けたほうがいいかも……。

1000億シリングを集めるには時間がかかるし、女だと先に打ち明けるのも悪くはなかった。

それは禁呪とは全く関係ないのだから。

『でも、女だと正直に言うのも問題よね。』

そんなふうに言ったら、カーリクスは「じゃああの時見たそれは何だったんだ?」と詰めてくるに違いない。

『そしたら、錬金術のことまで説明しないと――』

そうなればまた疑いを避けられない。

ただでさえロミオは彼女を疑っている最中なのだから。

『…そうだ。いっそ全部置いて一人で行こう。』

レリアは心を固めた。

友達を全員連れて領地まで行くのは誰が見ても無理があった。

申し訳ないけれど仕方がない。

領地の用事をすべて片付けてから、また友達を迎えにくればいい。

レリアは再び気を引き締めて、荷物をまとめ始めた。

『なんでこんなに多いの…』

だが、荷物はあまりにも多すぎた。

ロミオがくれた服のせいだ。

貴重な服だから捨てるわけにもいかず……結局、衣装室で放っておいたカバンに服を一つひとつ詰め始めた。

旅立つときには持っていけないだろうけど、丁寧にまとめてロミオに「ありがとう」のメッセージと共に残そうと思った。

だが、カフスボタンの前で手が止まった。

それはロミオが彼女にくれた贈り物だったが、追跡魔法がかけられている可能性もあった。

レリアは「もしかして」と思った。

『まさか、他の物にも追跡魔法がかけられてるんじゃ……?』

レリアは「もしかして」の思いで錬金器具を取り出した。

「錬金。」

【??】

「……」

レリアは空中に浮かんだ吹き出しを見て眉をひそめた。

ただの飲み物のラベルだった。

あいつ… クリスタルばかり受け取ってだんだんやる気がなくなってきてるわね。

【( ー̀εー́ )a…】

「聞きたいことがあるの。もしこのカフスボタンのほかにも、私に追跡魔法がかけられた物がまだあるなら?」

【錬金がすぐに確認してみます!(๑•̀ㅁ•́ฅ✧)】

そうして少しの時間が流れた。

【特殊な追跡魔法が可能な物品を1個発見!でもご心配なく!錬金が全部ブロックしましたよ!(。•̀ᴗ-)✧」

積み重ねた布団の内側で何かがカサっと音を立てた。開けてみると万年筆だった。

これでも追跡できたってこと?

『だから戦争が終わって私を見つけに来られたのか。』

レリアはなぜか背中に汗が流れる気分だった。

「とにかく、ブロックされたなら幸いね。」

そう思いながら…。

レリアはうっすら目を開けた。

カーリクスは最終クエストまで到達したが、ロミオはまったく進展がなかった。

グリフィスやオスカーはまだ始めてもいないのだから疑う余地はないけれど……。

もしかしてロミオが自分を疑っているせいだろうか?

レリアは好感度ウィンドウを開き、「特別好感度対象者」のリストを確認した。

そして「ロミオ」という名前をクリックして、好感度を確認してみることにした。

【現在の位置で好感度を確認すると、最後に会ったときの好感度しか確認できません。特別好感度対象者<ロミオ>様の好感度を確認しますか?(。•ᴗ-)_✧】

「確認するね。」

そう言って、返事を待っていた。

【魔法の力により情報の閲覧が遮断されました。Σ(゚Д゚)】

――なんですって?

レリアの眉間にシワが寄った。

【system: 魔法の情報をハッキングしています。少々お待ちください。】

「明日の夜、皇城を出て馬を借りに行かなくちゃ。」

そうして脱出の計画を練っていたときだった。

キラリと光りながらシステムウィンドウが浮かび上がった。

そこに現れた吹き出しの内容は、錬金のメッセージではなく、別の内容だった。

[ちょっと、これ何?]

[どうしたの?]

[いや、さっき空中に変な文字が見えたの。グリフィス、君には見えない?]

[……全然。]

「!!!」

レリアは驚いて口を開けたまま固まった。

いつもなら年金メッセージが表示されるシステムウィンドウには、見知らぬ会話の内容が表示されていた。

同時にその言葉が耳元で囁かれているように聞こえてきた。

これは間違いなく……

『ロミオとグリフィスの声だ!』

レリアは驚いて心の中で錬金を呼んだ。

「錬金、今いったい何をしたの?」

【system: 情報収集完了。】

【システムのハッキングが完了しました!✧٩(•́‿•̀)و ✧ 特別好感度対象者<ロミオ>様の好感度を確認しますか?(。•̀ᴗ-)✧】

「やめて!今それが重要なことじゃないでしょ!」

【クエストが完了して次のクエストが進行されます。٩(◕‿◕。)۶ 今すぐ確認しますか?】

『ちょっと待って!』

レリアはシステムウィンドウをさっと払いのけて、その後ろに隠れていた別の吹き出しウィンドウを見つめた。

しかしその吹き出しはかすかに消えつつあった。

レリアはその吹き出しが完全に消える直前、間近でその会話の内容を目撃した。

【だからレオについて調べたの?】

【あやしい点が多すぎる。でももっとおかしなことがある、レリア、あの子の話なんだけど……】

声はさっきとは違い、かすかでとても小さかったが、間違いなくグリフィスとロミオの会話だ。吹き出しがすっと消えた後、レリアは不安げに固まっていた。

ゲームシステムがロミオの好感度を調べるために何かをして、エラーが起きたのかもしれない。

直前、ロミオが目の前に吹き出しが現れたのを見た、ということになる。

『いったい今、ロミオとグリフィスはどんな話をしているの?』

レリアには何も言っていなかったが、2人はそれぞれ「レオ」の死について知っていたようだ。

他に気を取られることが多すぎて、そんな事実を考えもしなかった。

問題は、その2人の会話の中で「レリア」の名前が言及されたという点だった。

一体どこを怪しく思っているのだろうか。

しばらく呆然としていたレリアは、ようやく我に返った。

こんなことをしている場合ではなかった。

『いっそ今夜のうちにこっそり出発したほうがよさそう。』

 



 

 

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