こんにちは、ピッコです。
「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。
今回は45話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
45話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- トーナメント
一日、二日、一週間・・・。
半月から3日という時間が流れ、ウィンターフェル侯爵家一行はついに首都の城壁にたどり着くことができた。
首都の城壁は記憶に残るように雄大だ。
1年ぶりにまた見る故郷の風景にナディアはとてもワクワク・・・はしなかった。
「それでも故郷なのに、そんなに嬉しそうな顔ではないね」
「言ったじゃないですか。ここには私が一番嫌いな人が3人も集まっていると」
3人?
グレンは怪謗そうにそっと首を傾けた。
(二人は父と妹で、もう一人は誰だ?)
しかし、ちょうど城門が開かれたので、彼は質問するタイミングを逃してしまった。
城門隊長が腰をかがめて挨拶する。
「パンドラゴンヘようこそ、侯爵様」
侯爵家の行列は首都の中心街に向かう大通りに沿って動き始めた。
目的地は居住区域に位置するウィンターフェルのタウンハウスだ。
あまり大きくないが、よく管理されているのが目に見える、古風な邸宅だった。
ナディアはしばらく泊まる邸宅を眺めながら感心した。
「直接来てみるのは初めてですね。あ、使用人に前もって言っておきましたよね?寝室を別に用意しなさいと」
「もちろんだ。それよりすぐに休みたいのではないなら、しばらくこの邸宅を見て回ってみたらどう?」
「ええ、いいですよ。しばらく泊まる所なので構造を覚えておいた方が良いでしょう」
「みんな荷物の整理で忙しいから、私が案内しよう」
瞬間的にそうする必要まであるのか、と思ったが、ナディアはあえて遠慮はしなかった。
タウンハウスの見慣れない使用人に案内されるよりは、グレンと一緒に見て回った方がもっと楽になりそうだったためだ。
ナディアはグレンのエスコートで馬車から降りる。
すると、タウンハウスの全景が一望できだ。
古風な雰囲気が漂う建物だ。
彼女は使用人の挨拶をさりげなく受け入れた。
「まずは庭から案内してください」
「こちらへ」
グレンはナディアをエスコートしてメイドに命じる。
「妻と屋敷を見回す間、君たちはお風呂の湯を沸かしておきなさい。食事はその後にする」
「はい、侯爵様」
やがて二人の足が裏庭に向かう。
晩夏の庭は華やかな花で満ちていた。
本城ほど大きな規模ではなかったが、可愛らしい趣は十分だ。
ナディアはあたりを見回して嘆声を上げる。
「庭師が丹念に育てたような気がしますね」
「もちろん。周辺に池もあるから見物してみるか?」
「もちろんです」
グレンが言った池は、ガゼボ(西洋式の東屋)の隣に位置していた。
色とりどりの魚が悠々と泳いで遊んでいる。
折しも涼しい風まで吹いてきて、椅子に座って池をのぞき込んでいるナディアの口にかすかな笑みが浮かんだ。
「今すぐベッドに横になりたいのを我慢して動いた甲斐がありますね」
「気に入ってもらえてよかった」
グレンは思った。
今雰囲気がとてもいい、と。
庭師を置いて庭を飾るようにと言った甲斐が感じられる瞬間だ。
それに、あの邪魔者龍に邪魔される心配もないし・・・。
「侯爵様、侯爵様!」
・・・ちくしょう.
しかし、喜びは長続きしなかった。
名前の分からない使用人の声が後園をりんりんと鳴らしたのだ。
グレンは眉をひそめて振り返る。
「どうした?」
「ある方が奥様を訪ねてきました」
「私を?」
ナディアの目が丸くなった。
グレンではなく、自分を訪ねてきたなんて。
(まさかお父さんやカレインじゃないだろうし・・・)
社交活動を活発にしなかったから自分が首都に到着するやいなや訪ねて来てくれるほど親交が同じ年頃の人もいなかった。
一体誰だろうか?
ナディアが客の正体を察知しようとしていた時だった。
遠くから間き慣れた声が聞こえてくる。
「久しぶりだね、ナディア」
「・・・」
ナディアの頭はそこにさっと戻った。
客が立っている席とはかなり距離があったが、彼女は一目で分かることができた。
灰色の髪。
父に似た目鼻立ち。
にこやかな目。
ナディアの口からため息のような声が聞こえてきた。
「・・・お兄様」
エイデン・エルンスト。
彼女のいとこの兄であり、今世は助からないといけない人。
「私が到着したということはどうして分かったんですか?」
「お使いの召使いが教えてくれた。ウィンターフェル家の印章がある馬車が道を通るのを見たと。ちょうど時間があって、あなたを見に来たんだ」
エイデンはにっこりと笑いながら続けた。
「この前の婚約式の時は出席もできなかったじゃないか。ところで、あなたは私が嬉しくないようだね」
「そんなはずがないわ。突然いらっしゃったので少し驚いただけです」
その時、グレンが腕にそっと触れる感覚が感じられた。
ちらりと視線を向けると、彼が目であいつの身分を教えてくれと言っていた。
「あ!すみません。紹介が遅くなりましたね。グレン、こちらは私の従兄エイデン・エルンストです。お兄様、もうご存知だと思いますが、私の夫、グレンです」
初めて見知らぬお客さんの正体に気づいた彼が「ああ」と小さく声を上げた。
「なんだか公爵によく似ていると思ったら」
叔父と甥の容貌がそっくりなことはよくあったが、実の娘であるナディアよりさらに血肉のように見えるのは不思議ではある。
グレンは右手を差し出して挨拶した。
「私の妻と親しい間柄だったらしいね。到着したという話を聞いてすぐに会いに来たのを見ると」
「私は一人っ子なので、幼い頃から彼女たちと親しくしていました。侯爵様にお会いできて嬉しいです」
「私こそ」
二人が軽く握手を交わす。
エイデンは再び口を開けて言った。
「そうだ、これを受け取ってください」
「これは・・・」
「トーナメントヘの招待状です。参観者としての招待状ですね。前もって到着しなければならなかったのに、漏れていたようです。従妹の顔も見るのを兼ねて、私が代わりに渡してあげます」
「・・・トーナメント?」
それに答えたのはナディアだった。
「生誕祭の前後に行われる行事です。侯爵様は爵位継承後に誕生日宴会への出席が初めてなので見慣れないかもしれませんね。誕生親いに参加する各家門から1人が代表として出て試合をしるそうです」
「3日後に開かれる試合の招待状を今くれるのか?」
「これは参観者としての招待状です。参加を問う招待状といえばウィンターフェルにも2ヶ月前に来ましたが、覚えていませんか?」
言われてみれば、そのような行事が開かれるという話を聞いたような気もした。
侯爵家の家主が直接参加するほどのことではないので、あまり気にしていなかったが。
会話に割り込んできた従妹に向かって、エイデンが笑いながら尋ねる。
「そうだ、ナディア。公爵様に会いに来るんでしょう?」
「首都に来たついでにそうすべきでしょう」
あまり気が進まないけぢね。
「近いうちにみんなで集まって食事でもしたほうがいい。カレインもあなたをたくさん見たがると思うよ。あっ、侯爵も一緒に食事しましょう」
「・・・私が?」
バラジット公爵と仲良く食事をしろって?
反射的に眉をひそめそうになったが、グレンはそれが儀礼的な挨拶だとすぐに気づくことができた。
「代わりに旅の疲れを取るのが先だから、最近はちょっと大変だね」
「快く承諾してくださると思っていました。いつかまたお会いしましょう」
本当にお世辞だったのか、エイデンは日程を調整してみようという話もしなかった。
彼はナディアを優しく抱きしめながら挨拶する。
「またね、ナデイア」
「お待ちしています」
用件を終えたエイデンは侍従の見送りと共にすぐに席を離れた。
遠ざかるエイデンの後ろ姿を見て、グレンが尋ねる。
「親しい間柄だったのかい?」
「そうですね。別に親しくもないですが、だからといって悪い関係ではありませんでした。ただお互いに無関心な関係でした」
息子がいなかった父親はずいぶん前からエイデンに後継者教育をさせたが、そんなに忙しい人が従妹に関心を傾けるはずがない。
ナディアは自分の後継構図に少しも影響を及ぼすことができない庶女だったからだ。
彼女はカレインほど意地悪ではなかったが、特別な世話をしたわけでもなかった。
当然、ナディアも彼に血肉の情など持っていない。
だから彼女がエイデンを助けなければならない人とは、特に彼に好感を持っているからではない。
(タクミを邪魔するためだよ)
死ぬ前に父親とタクミの間で交わされた取引の正確な内容は分からなかった。
しかし、一体何の理由で彼が自分を裏切ったのか、大体見当はつく。
そして父が他の名門家の貴族の令息ではなく、異邦人の騎士を選ばなけれはならなかった理由・・・、それについても大体見当がついた。
ただ、前世では自分と関係のないことだと思って、関心を持たなかっただけ。
重要なことは、悪魔戦争中に戦死する予定のエイデンの命を救わなければならないということだ。
彼は長い間生き残って、タクミを牽制する役割を果たさなければならない。
(まあ・・・すぐに解決しなければならないことではないから、焦ることはないけど)
悪魔戦争までは時日が残っている。
ただ安心しているわけではないが、直ちに解決しなければならない事案でもなかった。
今重要なことは、首都を訪問したついでにすべきことはすべて解決することだ。
彼女はため息をついて話し続ける。
「とりあえず・・・今日はゆっくり休むことにしましょう。遅くても明後日くらいにはとても忙しくなるだろうから」
「そうだね。もう入ろうか?」
「はい、そうです。そろそろお腹もすきましたしね」
グレンがエスコートするように自然に手を差し出したので、ナディアも反射的に彼の手を握った。
やがて手を握った2人が一緒に室内に向かって歩き始めた。
つるで覆われた塀の向こうに日が暮れていた。
ようやく首都に到着した二人。
タクミを牽制するためにもエイデンには生きていてもらわないとですね。
そして、トーナメントにはグレンも出場するのでしょうか?
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